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第21話 デート ソフィアの場合
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王都広場にある噴水の前で待っていた私に向かって、清楚な白のワンピースを着たソフィアが走ってくる。
優雅に足を進め、白いワンピースの端が微かに風に揺れる。
まるで天使のようなその姿に思わず見とれてしまう。
遠目に見える、お辞儀している爺やさんは無視だ、無視。
「お待たせしましたわ。リーシャさん、さあ、参りましょう」
「演劇だっけ?」
「そうですわ♪ 本日から公演する最新作ですの! 是非、リーシャさんに観て頂きたいですわ」
私はソフィアに手を引っ張られながら劇場へと向かう。
へえ? 結構お客さんが入ってるんだなあ。
客層が若い女性ばかりなのは女性向けなのかな?
やがて幕が開き、演劇が始まった。
タイトルは……天地創造の神々が地上で悪さをしている魔女を倒す話か。
広い劇場の舞台が開かれると華やかな装飾に彩られた舞台に、様々な女性キャラクターが登場する。
中央に鎮座する女性像は、まるで神殿を思わせるような存在感があった。
ん? 魔女の名前……アンゼリカ? ん? 何か引っ掛かるぞ。
ただ、悪役であるアンゼリカは私の知っている小学生ぐらいの美少女ではなく、絶世の美女という設定であった。
ソフィアの瞳が輝き頬が赤く染まる様子から、この物語が大好きなのが私に伝わってくる。
劇場を観終わり、ソフィアと近くのカフェで紅茶を飲みながら休憩しつつ、私たちは演劇の感想を述べあっていく。
「はあ、面白かったですわ。特にラストの生き残った女性2人に、神々が赤児を授けるところが特に素敵でしたわ」
なんで生き残ったのが女性2人で、神々から授かったのも女の子で、どうやってその後に子孫を残させるんだとツッコみたいのは山々だったよ。
ちなみにソフィアは、涙でハンカチを濡らしながら劇中の登場人物に感情移入しっぱなしである。
ただ演劇のコンセプトがガールズラブみたいなので、そこで私は考えるのをやめた。
「愛があれば女性同士でも神様は子供を授けてくれるのですわ! わたくし、感銘を受けましたの。わたくしのリーシャさんへの想いは邪道ではないかと、ずっと悩んでおりましたわ。ですがこの王都には、わたくしと同じような方々が大勢いると聞いて勇気をいただきましたの。さあ、リーシャさん! この昂った気持ちのまま、今宵はわたくしのお部屋に泊まってくださいませ!」
はあ⁉ 何を言ってるのこの公爵令嬢様は!
ファーストキスを軽く飛び越える気か⁉
ここは冷静に対処しないといけないぞ。
「ところでソフィア。聞きたいんだけど、さっきの演劇の内容って有名な話なの?」
私の質問に、目をキラキラさせてソフィアが答える。
「ええ、女性が好きな女性にとってバイブルのようなお話ですわ! 地上を支配しようとして暴れている魔女アンゼリカを、神々が倒して封印する神話ですわ! 登場人物が全て女性なのがポイント高いですの!」
へえ、ソフィアは自分に合った、いい趣味を見つけたんだなあ。
目が輝いてるねえ……って! マズいぞ!
このままだと、流されるままに私の初めてを奪われかねない!
「封印された魔女アンゼリカって、その後どうなったんだろ?」
「それはですね、のちに神々の1人が裏切って大地を支配し、魔王となった女性がアンゼリカの封印を破ったのです。やがてお互いに愛しあったというのが、我々ガールズラブ推進派の間で語り継がれている有名なお話ですわ!」
……ん? 今、何か引っ掛かるワードがあったような?
ま、まあそれは置いておいて、ようやく魔王の詳細が出てきたぞ。
メガネ男子のフェリクスが知らないわけだよ。
ガールズラブ推進派とかいう、謎の組織で語り継がれていたなんて。
魔王が女性で、アンゼリカちゃんとラブラブだった、ねえ。
ただこれは脚色なんだろうなあ。
実際に私が会ったアンゼリカちゃんは、私を恋愛目線で見てこなかったし。
さらに私の前前世の魔王は、どうやらファーストキスすらできずに勇者に殺されたみたいだ。
……うん。ガールズラブ推進派の考察は、恋愛抜きにして聞いたほうが良さそうかな?
「はっ⁉ 閃きましたわ! 勇者も女性で、魔王を倒したのは三角関係のもつれが原因というのはどうでしょう? これを次のガールズラブ推進派会議で提案してみますわ! リーシャさん! よろしければご一緒に参加してみてくださいませ!」
私の手をガッと掴んで、ブンブン上下に振るソフィア。
どうしよう? 行って見てみたい気持ちはあるけど、行ったら戻れなくなりそうな予感がするぞ。
「ゆ、勇者も女性と言ったけど、勇者って男性だったのが事実なのかな?」
なんとか話題を変えるべく私は質問する。
「存じませんですわ♪」
にこやかに答えるソフィア。
おいおい、自分の妄想を事実のように語るなよ!
本当に大丈夫だろうか? この公爵令嬢様。
ただ、勇者とか魔王とかのワードを聞いても天真爛漫なままのソフィアだ。
彼女が勇者の転生体の可能性は限りなくゼロに近いかも。
「ですが魔王は女性だったのは事実ですわ。わたくし、思うんですの。魔王に統治された時代があったからこそ、人類は平和に暮らせているのかもしれないと」
なんかソフィアが真面目なことを言いだした。
「魔王も魔女アンゼリカも復活を目論み、再び世界を支配するという噂が昔から囁かれておりますが、わたくしはそうなっても良いと思ってますの。だって素敵ではありませんか。自由な恋愛を謳歌して、女性が愛する女性と結ばれることができる。そんな世界が実現できるかもしれないなら、わたくしはどんな逆境にも立ち向かえる気がいたしますわ!」
おお、ソフィアが燃えている。
彼女の私への愛は本物なのか⁉
嬉しいような、困ったような……ん? なんか奥の席に座っている爺やさん(元王様)の泣いている様子が目に入ったような?
いや、これのどこに泣く要素があったんだ?
孫娘がこれでいいのか、元王様。
結局このあとのデートも、他のガールズラブの題材を熱く語るソフィアによって1日が終了したのであった。
ソフィアの純粋な想いに触れるたびに、自分との関係性がどうなっていくのかに不安は感じる。
でも同時に、彼女の熱意に心奪われているのも事実であった。
うん、ソフィアが勇者である可能性はないかな。
勇者を確定してから、彼女の想いにキチンと向き合って考えないといけないかも。
***
『岩下真帆殺害事件
第4容疑者
ソフィア・グラナーク
年齢 15歳 王立学校1年生
容姿 薄いピンク髪 ボンキュッボン 超絶美少女
身分 レフレリア王国公爵家の公女
能力 ガールズラブを広めて行きますわよ
性格 リーシャさんのためなら何でもしますわ
人生 リーシャに出会うまでは順調だった
目的 リーシャと結婚すること(確定?)』
優雅に足を進め、白いワンピースの端が微かに風に揺れる。
まるで天使のようなその姿に思わず見とれてしまう。
遠目に見える、お辞儀している爺やさんは無視だ、無視。
「お待たせしましたわ。リーシャさん、さあ、参りましょう」
「演劇だっけ?」
「そうですわ♪ 本日から公演する最新作ですの! 是非、リーシャさんに観て頂きたいですわ」
私はソフィアに手を引っ張られながら劇場へと向かう。
へえ? 結構お客さんが入ってるんだなあ。
客層が若い女性ばかりなのは女性向けなのかな?
やがて幕が開き、演劇が始まった。
タイトルは……天地創造の神々が地上で悪さをしている魔女を倒す話か。
広い劇場の舞台が開かれると華やかな装飾に彩られた舞台に、様々な女性キャラクターが登場する。
中央に鎮座する女性像は、まるで神殿を思わせるような存在感があった。
ん? 魔女の名前……アンゼリカ? ん? 何か引っ掛かるぞ。
ただ、悪役であるアンゼリカは私の知っている小学生ぐらいの美少女ではなく、絶世の美女という設定であった。
ソフィアの瞳が輝き頬が赤く染まる様子から、この物語が大好きなのが私に伝わってくる。
劇場を観終わり、ソフィアと近くのカフェで紅茶を飲みながら休憩しつつ、私たちは演劇の感想を述べあっていく。
「はあ、面白かったですわ。特にラストの生き残った女性2人に、神々が赤児を授けるところが特に素敵でしたわ」
なんで生き残ったのが女性2人で、神々から授かったのも女の子で、どうやってその後に子孫を残させるんだとツッコみたいのは山々だったよ。
ちなみにソフィアは、涙でハンカチを濡らしながら劇中の登場人物に感情移入しっぱなしである。
ただ演劇のコンセプトがガールズラブみたいなので、そこで私は考えるのをやめた。
「愛があれば女性同士でも神様は子供を授けてくれるのですわ! わたくし、感銘を受けましたの。わたくしのリーシャさんへの想いは邪道ではないかと、ずっと悩んでおりましたわ。ですがこの王都には、わたくしと同じような方々が大勢いると聞いて勇気をいただきましたの。さあ、リーシャさん! この昂った気持ちのまま、今宵はわたくしのお部屋に泊まってくださいませ!」
はあ⁉ 何を言ってるのこの公爵令嬢様は!
ファーストキスを軽く飛び越える気か⁉
ここは冷静に対処しないといけないぞ。
「ところでソフィア。聞きたいんだけど、さっきの演劇の内容って有名な話なの?」
私の質問に、目をキラキラさせてソフィアが答える。
「ええ、女性が好きな女性にとってバイブルのようなお話ですわ! 地上を支配しようとして暴れている魔女アンゼリカを、神々が倒して封印する神話ですわ! 登場人物が全て女性なのがポイント高いですの!」
へえ、ソフィアは自分に合った、いい趣味を見つけたんだなあ。
目が輝いてるねえ……って! マズいぞ!
このままだと、流されるままに私の初めてを奪われかねない!
「封印された魔女アンゼリカって、その後どうなったんだろ?」
「それはですね、のちに神々の1人が裏切って大地を支配し、魔王となった女性がアンゼリカの封印を破ったのです。やがてお互いに愛しあったというのが、我々ガールズラブ推進派の間で語り継がれている有名なお話ですわ!」
……ん? 今、何か引っ掛かるワードがあったような?
ま、まあそれは置いておいて、ようやく魔王の詳細が出てきたぞ。
メガネ男子のフェリクスが知らないわけだよ。
ガールズラブ推進派とかいう、謎の組織で語り継がれていたなんて。
魔王が女性で、アンゼリカちゃんとラブラブだった、ねえ。
ただこれは脚色なんだろうなあ。
実際に私が会ったアンゼリカちゃんは、私を恋愛目線で見てこなかったし。
さらに私の前前世の魔王は、どうやらファーストキスすらできずに勇者に殺されたみたいだ。
……うん。ガールズラブ推進派の考察は、恋愛抜きにして聞いたほうが良さそうかな?
「はっ⁉ 閃きましたわ! 勇者も女性で、魔王を倒したのは三角関係のもつれが原因というのはどうでしょう? これを次のガールズラブ推進派会議で提案してみますわ! リーシャさん! よろしければご一緒に参加してみてくださいませ!」
私の手をガッと掴んで、ブンブン上下に振るソフィア。
どうしよう? 行って見てみたい気持ちはあるけど、行ったら戻れなくなりそうな予感がするぞ。
「ゆ、勇者も女性と言ったけど、勇者って男性だったのが事実なのかな?」
なんとか話題を変えるべく私は質問する。
「存じませんですわ♪」
にこやかに答えるソフィア。
おいおい、自分の妄想を事実のように語るなよ!
本当に大丈夫だろうか? この公爵令嬢様。
ただ、勇者とか魔王とかのワードを聞いても天真爛漫なままのソフィアだ。
彼女が勇者の転生体の可能性は限りなくゼロに近いかも。
「ですが魔王は女性だったのは事実ですわ。わたくし、思うんですの。魔王に統治された時代があったからこそ、人類は平和に暮らせているのかもしれないと」
なんかソフィアが真面目なことを言いだした。
「魔王も魔女アンゼリカも復活を目論み、再び世界を支配するという噂が昔から囁かれておりますが、わたくしはそうなっても良いと思ってますの。だって素敵ではありませんか。自由な恋愛を謳歌して、女性が愛する女性と結ばれることができる。そんな世界が実現できるかもしれないなら、わたくしはどんな逆境にも立ち向かえる気がいたしますわ!」
おお、ソフィアが燃えている。
彼女の私への愛は本物なのか⁉
嬉しいような、困ったような……ん? なんか奥の席に座っている爺やさん(元王様)の泣いている様子が目に入ったような?
いや、これのどこに泣く要素があったんだ?
孫娘がこれでいいのか、元王様。
結局このあとのデートも、他のガールズラブの題材を熱く語るソフィアによって1日が終了したのであった。
ソフィアの純粋な想いに触れるたびに、自分との関係性がどうなっていくのかに不安は感じる。
でも同時に、彼女の熱意に心奪われているのも事実であった。
うん、ソフィアが勇者である可能性はないかな。
勇者を確定してから、彼女の想いにキチンと向き合って考えないといけないかも。
***
『岩下真帆殺害事件
第4容疑者
ソフィア・グラナーク
年齢 15歳 王立学校1年生
容姿 薄いピンク髪 ボンキュッボン 超絶美少女
身分 レフレリア王国公爵家の公女
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