乙女ゲームのヒロインとして転生しました ~悪役令嬢には負けません!~

柚子猫

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乙女ゲームのヒロインとして転生しました ~悪役令嬢には負けません!~

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「お前が、サーヤをいじめたことはわかっている。アンジェリカ! お前との婚約を破棄する!」

 キタキタキター!
 ついにこの瞬間がやってきましたよ!

 私、サーヤ・クランベートには前世の記憶がある。
 それに。
 ここが私が大好きだった乙女ゲームの世界であることも知っている。

 最初は、すごく驚いたけど。
 転生したのがゲームのヒロインキャラだったから。
 当然! 王子様を落とすしかないでしょ!

 ええ。
 それはもう、頑張ってこなしましたよ。
 甘やかされて育った、おバカ王子との数々のイベントも我慢して……。
 
 さぁ、ここからは私の時間よ!
 さようなら、前世の地味な私!
 こんにちは、素敵な私のプリンセスライフ!!


「そうですか、わかりましたわ……」

 婚約者の悪役令嬢、アンジェリカがじっとこちらをみてる。
 
 蜂蜜色の美しい金髪。
 宝石のような水色の透き通った瞳。
 とても愛らしい顔立ち。
 
 この子は、とんでもない好敵手だったわ。
 ゲームと全然行動が違ったし。

 私を太らせようと、食べたくもないデザートを沢山プレゼントされたり。
 イベントの邪魔をするために、ショッピングに付き合わされたり
 そうそう。
 舞踏会では、何故かこの子と踊ることになったわね。
 王子様とダンスするシーンだったのに!
 
 予想外の嫌がらせを受けたけど。
 最後に勝ったのは私!
 睨まれてもびくともしませんから!


「最後になにか、言いたいことはあるか」

 優しい声で、アンジェリカに話しかける。
 見たことのあるゲームのワンシーン。
 この王子、顔だけはかっこいいのよね。

「いいえ、婚約破棄をお受けします」

 さぁ、いよいいよ。
 王子さまが私の元に!
 え? なんでアンジェリカが満面の笑みでこっちにくるのよ!

「サーヤ様! わたくしやっと自由になれました! 二人で幸せになりましょう!」

 はい?
 なにいってるの、この悪役令嬢。

「ふざけるな、サーヤには僕がこれから求婚するんだ!」

「まぁ。アナタみたいなボンクラ王子に、サーヤが似合うハズありませんわ」

「ふ、不敬罪で死刑にするぞ!」
「やれるものならやってみたらいいわ! 公爵家の力をみせつけてさしあげますわ!」

 私の両手を握って、離さないアンジェリカ様。

 ………なにこれ。
 どうなってるの?


 一年後。
 公爵家は独立して、顔だけ王子の王国は滅びましたとさ。

「うふふ。幸せですね、サーヤ様」
「……あー、ええ。そうですねー……」

 ってなんなの!
 この乙女ゲームの世界!

 やりなおし! やりなおしを要求するわ!
 リセットボタンってどこにあるのよ!
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