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8.メイドの行方
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「フィリップ、報告が遅い」
「申し訳ありません!」
「もう君の妹の処罰は決めたから。半年後、ケネスが王族として評価されなければジーナ嬢は処刑する」
「……承知しました」
「本当、兄妹そっくりだね。ジーナ嬢も、一言も文句を言わなかったよ。まぁ、家族を助けてくれとは言ったけど。だから、ジーナ嬢が処刑されても君は隊長のまま、伯爵は伯爵のまま。良かったね」
「……兄として言いたい事はたくさんありますが、妹が罪を犯したのは間違いありません。半年も時間を与えて下さり、感謝します」
「さすがフィリップ。君は正しいよ。それに比べて、あのメイドは最悪だね」
「どうされたんですか?」
「フィリップに色目を使ってたメイドが居ただろ? 菓子に下剤を混ぜようとしてた。ジーナ嬢の前でケネスが恥をかけば良いってな」
「とんでもない事をしますね。最低じゃないですか。王族に毒を盛るなんて処刑ものですよ。処罰しないんですか?」
「証拠がなくてさー。前にも似たような事をしたんだけど、ケネスが許してしまったんだ。ケネスに恩があるんだから忠誠を誓えば良いのにまたやらかした。処罰は出来なかったけど、王太子権限でクビにして素敵な所に再就職してもらったよ」
「絶対素敵な所じゃありませんよね?」
「男好きな性格の悪いメイドにはピッタリなんじゃない? ま、客も同僚もタチが悪いトコに入れたから苦労するかもだけど。自由もあまりないしね」
「……生きてるだけ、幸運ですね」
「そ、本当なら処刑したかったけど証拠がないからさー。アイツ、下剤入りのクッキーを食べちゃったんだよ。笑えるよね。今頃苦しんでるんじゃない? 今回はジーナ嬢が素直に自分の罪を告白したから処罰出来たけど、いつもはケネスが庇うのを良い事に罪を認めないの。そしたら証拠がないから罰せられなくて。けど、本来は許される事じゃない。フィリップだって、ヤバいと思ったから俺に報告に来たんだろ?」
「ああ……、ケネス殿下が許すと言っても、許される事じゃねぇからな」
フィリップとビクターは同い年で、夜会でウマがあった為にひっそりと友情を育んでいた。ビクターが自分の事を俺と言った時、フィリップは敬語をやめて対等に話す。それが暗黙のルールとなっている。
「ジーナ嬢だってそれを分かってたから、俺に素直に罪を告白したんでしょ。あんな子初めてだよ。今までは無言を貫くか、何もしてないって言い張るかのどちらかだったからね。さすが、フィリップの妹だ」
「うちは父上が王家への忠誠心を叩き込むからな。嘘も誤魔化しもしねぇよ。自分が死ぬとしてもな」
「申し訳ありません!」
「もう君の妹の処罰は決めたから。半年後、ケネスが王族として評価されなければジーナ嬢は処刑する」
「……承知しました」
「本当、兄妹そっくりだね。ジーナ嬢も、一言も文句を言わなかったよ。まぁ、家族を助けてくれとは言ったけど。だから、ジーナ嬢が処刑されても君は隊長のまま、伯爵は伯爵のまま。良かったね」
「……兄として言いたい事はたくさんありますが、妹が罪を犯したのは間違いありません。半年も時間を与えて下さり、感謝します」
「さすがフィリップ。君は正しいよ。それに比べて、あのメイドは最悪だね」
「どうされたんですか?」
「フィリップに色目を使ってたメイドが居ただろ? 菓子に下剤を混ぜようとしてた。ジーナ嬢の前でケネスが恥をかけば良いってな」
「とんでもない事をしますね。最低じゃないですか。王族に毒を盛るなんて処刑ものですよ。処罰しないんですか?」
「証拠がなくてさー。前にも似たような事をしたんだけど、ケネスが許してしまったんだ。ケネスに恩があるんだから忠誠を誓えば良いのにまたやらかした。処罰は出来なかったけど、王太子権限でクビにして素敵な所に再就職してもらったよ」
「絶対素敵な所じゃありませんよね?」
「男好きな性格の悪いメイドにはピッタリなんじゃない? ま、客も同僚もタチが悪いトコに入れたから苦労するかもだけど。自由もあまりないしね」
「……生きてるだけ、幸運ですね」
「そ、本当なら処刑したかったけど証拠がないからさー。アイツ、下剤入りのクッキーを食べちゃったんだよ。笑えるよね。今頃苦しんでるんじゃない? 今回はジーナ嬢が素直に自分の罪を告白したから処罰出来たけど、いつもはケネスが庇うのを良い事に罪を認めないの。そしたら証拠がないから罰せられなくて。けど、本来は許される事じゃない。フィリップだって、ヤバいと思ったから俺に報告に来たんだろ?」
「ああ……、ケネス殿下が許すと言っても、許される事じゃねぇからな」
フィリップとビクターは同い年で、夜会でウマがあった為にひっそりと友情を育んでいた。ビクターが自分の事を俺と言った時、フィリップは敬語をやめて対等に話す。それが暗黙のルールとなっている。
「ジーナ嬢だってそれを分かってたから、俺に素直に罪を告白したんでしょ。あんな子初めてだよ。今までは無言を貫くか、何もしてないって言い張るかのどちらかだったからね。さすが、フィリップの妹だ」
「うちは父上が王家への忠誠心を叩き込むからな。嘘も誤魔化しもしねぇよ。自分が死ぬとしてもな」
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