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4.使用人たちの会議【ジョージ視点】
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俺の主人は、仕事は出来るし鍛錬も欠かさないし、部下にも優しい素晴らしい人物だ。
だが、一点だけ問題がある。
「今日も駄目だったようですね」
「ええ、奥様は先ほどお休みになられました」
「ふがいない主人で申し訳ございません」
「とんでもありません。奥様が奥ゆかしすぎるのです。夫婦なのですから、挨拶で口付けでもすれば良いのです」
「間違いなく旦那様が倒れますね」
「そんな事になれば、奥様は旦那様に嫌がられていると勘違いするでしょうね」
「「はぁー……」」
エイダさんと共にため息を吐く。
「念のため確認なのですが、奥様は旦那様を好いておられますよね?」
「ええ、ええ。一目惚れだそうですよ。今日も遠くから旦那様を見つめて頬を染めておられました」
「ですよねぇ?! どう見ても好かれてますよねぇ?!」
なんで、奥様が俺を見ていると思うんだ。奥様は俺と話す時は顔色一つ変えないぞ。旦那様と話す時は真っ赤な顔で目を潤ませているってのに。
「……念の為お伺いしますが、旦那様は奥様の事を……」
「奥様の好きな薔薇を集め、贈り物に最高級の絹を取り寄せ、鉱山から出た一番大きな原石を自ら職人の元に届け指示をする。領民は皆、旦那様が奥様を溺愛していると思っております。旦那様も、奥様がお好きなようです」
「そうですよね。両思いではありませんか」
「本当に、意味が分かりません。幼子でもあるまいし、少し話せばお互い好いている事くらい分かるでしょうに」
旦那様は、お忙しい。
奥様と会える時間はあまりない。だからこそ、仕事の終わった夜にゆっくり夫婦の時間をとって頂きたい。
政略結婚は少しずつ愛を深めていくしかない。上手くいかず、夫婦仲が悪い貴族も多い。だが、旦那様は奥様を好いているし、奥様も旦那様に一目惚れしている。
それなら、仲良く過ごして欲しい。
主人が幸せなら、我々も幸せなのだから。それに、辺境は小競り合いも多い。いつまた旦那様が出陣しないといけなくなるか分からない。
「このままでは、いけませんね」
「そうですね。一刻も早く、心を通わせて頂かないと」
「緊急会議を開きましょう」
旦那様は、多くの領民に慕われている。我々使用人も旦那様の幸せを願っている。
使用人達の会議は夜遅くまで続いた。
「ふたりとも真面目だもんなぁ。いっそ、どっかに閉じ込めちまえば良いんじゃね? 会話すりゃ仲良くなるのは分かりきってるんだしさ」
「ふむ……多少強引な手も必要ということですか」
「閉じ込めるのはやりすぎだが、ふたりきりになれるようにするのはいい手だな」
「デートすれば良いんじゃない? 旦那様しょっちゅう視察してるんだし、奥様を連れて街を歩けば良いのよ」
「あー……来週視察の予定があるな。探しものもあるが、あれだけ探して見つからないんだ。多分うちにはいないだろ。今、隣の領地を探してる。うちにいないなら、トラブルは起きそうにないな」
「奥様の説得はお任せ下さい。旦那様に近づくチャンスだとお伝えします」
「よし、視察先を決めて来週決行だ!」
「旦那様には、当日まで奥様が来ると伝えないでおきましょう。事前に伝えたら仕事にならなくなるのは目に見えています。落ち着く時間も必要でしょうし、休日前に決行した方が良いですね」
「それが良い。準備もあるだろうし奥様には事前にお伝えしよう。エイダさん、よろしくお願いします」
「お任せ下さい。しっかり準備させて頂きます」
侍女達の目が、輝いている。
それから1週間。奥様は日に日に美しくなっていった。
だが、一点だけ問題がある。
「今日も駄目だったようですね」
「ええ、奥様は先ほどお休みになられました」
「ふがいない主人で申し訳ございません」
「とんでもありません。奥様が奥ゆかしすぎるのです。夫婦なのですから、挨拶で口付けでもすれば良いのです」
「間違いなく旦那様が倒れますね」
「そんな事になれば、奥様は旦那様に嫌がられていると勘違いするでしょうね」
「「はぁー……」」
エイダさんと共にため息を吐く。
「念のため確認なのですが、奥様は旦那様を好いておられますよね?」
「ええ、ええ。一目惚れだそうですよ。今日も遠くから旦那様を見つめて頬を染めておられました」
「ですよねぇ?! どう見ても好かれてますよねぇ?!」
なんで、奥様が俺を見ていると思うんだ。奥様は俺と話す時は顔色一つ変えないぞ。旦那様と話す時は真っ赤な顔で目を潤ませているってのに。
「……念の為お伺いしますが、旦那様は奥様の事を……」
「奥様の好きな薔薇を集め、贈り物に最高級の絹を取り寄せ、鉱山から出た一番大きな原石を自ら職人の元に届け指示をする。領民は皆、旦那様が奥様を溺愛していると思っております。旦那様も、奥様がお好きなようです」
「そうですよね。両思いではありませんか」
「本当に、意味が分かりません。幼子でもあるまいし、少し話せばお互い好いている事くらい分かるでしょうに」
旦那様は、お忙しい。
奥様と会える時間はあまりない。だからこそ、仕事の終わった夜にゆっくり夫婦の時間をとって頂きたい。
政略結婚は少しずつ愛を深めていくしかない。上手くいかず、夫婦仲が悪い貴族も多い。だが、旦那様は奥様を好いているし、奥様も旦那様に一目惚れしている。
それなら、仲良く過ごして欲しい。
主人が幸せなら、我々も幸せなのだから。それに、辺境は小競り合いも多い。いつまた旦那様が出陣しないといけなくなるか分からない。
「このままでは、いけませんね」
「そうですね。一刻も早く、心を通わせて頂かないと」
「緊急会議を開きましょう」
旦那様は、多くの領民に慕われている。我々使用人も旦那様の幸せを願っている。
使用人達の会議は夜遅くまで続いた。
「ふたりとも真面目だもんなぁ。いっそ、どっかに閉じ込めちまえば良いんじゃね? 会話すりゃ仲良くなるのは分かりきってるんだしさ」
「ふむ……多少強引な手も必要ということですか」
「閉じ込めるのはやりすぎだが、ふたりきりになれるようにするのはいい手だな」
「デートすれば良いんじゃない? 旦那様しょっちゅう視察してるんだし、奥様を連れて街を歩けば良いのよ」
「あー……来週視察の予定があるな。探しものもあるが、あれだけ探して見つからないんだ。多分うちにはいないだろ。今、隣の領地を探してる。うちにいないなら、トラブルは起きそうにないな」
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「よし、視察先を決めて来週決行だ!」
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「それが良い。準備もあるだろうし奥様には事前にお伝えしよう。エイダさん、よろしくお願いします」
「お任せ下さい。しっかり準備させて頂きます」
侍女達の目が、輝いている。
それから1週間。奥様は日に日に美しくなっていった。
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