11 / 35
11.あっという間
しおりを挟む
「な、なんだおまえら!」
ジョージを先頭に部屋に踏み込む。部屋には3名の男がいて、部屋の隅に姉妹が寄り添うように座り込んでいた。妹と思われる少女は泣いている。姉妹の足には鎖が付けられていた。
監禁していたのは間違いないみたいね。
「この男は、お嬢様達のお父上ですか?」
「違うわ! こいつらは誘拐犯よ」
「排除してよろしいですね?」
「ええ、排除してちょうだい」
姉の落ち着き払った顔、息をするように命じる態度、整った顔立ちに綺麗な肌。高貴な身分である事は間違いないわ。
「かしこまりました」
ジョージは優雅に礼をすると、男達に武器を向けた。
こちらには何人も精鋭がいたのに、ジョージひとりであっという間に殲滅してしまった。
「……凄い」
「マリア、私はもっと……危ない!」
悔し紛れに男が投げたナイフを跳ね飛ばし、ナイフを投げた男にゆっくりと近づくロバート様。
「貴様……私の大切な妻に何をしようとした?」
「ひ、ひぃ! 頼む、やめてくれ……!」
「答えろ。マリアに何を投げつけたんだ」
「すまない……すまなかった……!」
「旦那様。威嚇するのは後にして下さい」
「ジョージがきちんと対処しないからこんな事になったんだ」
「奥様の守りは旦那様の担当です。奥様、お怪我はありませんか?」
「ないわ。ロバート様が守って下さったから大丈夫よ」
「それは良かった。さすが旦那様です。惚れ直したでしょう?」
「ふふ、確かにそうね。ロバート様は元々素敵だったけど、今日ますます好きになったわ。だから気にしないで。ロバート様、守って頂きありがとうございます」
「あ、ああ……私はマリアの夫だからな!」
「良かったなぁ。奥様がお優しくて」
「ひ、ひぃ……!」
ロバート様に威圧され、ジョージに脅された男は気絶した。どうやら気絶した男がリーダーだったみたいで、他の男達もあっさり投降したわ。
男達は、周囲にバレないように1人ずつ連行される。街の人達とうまくやっていたみたいだから、犯罪者と分からないように連れて行くそうだ。今後の事もあるとロバート様がおっしゃっていたから、なにか考えがあるのだろう。
ロバート様が少女達に挨拶をするが、警戒した少女達は一切動こうとしない。
「領主のロバート・ウィリアム・ミッチェルです。どうか私と来て頂けますか?」
「嫌よ!」
「あの、この人こんな見た目ですけど優しい人なんです。我々は、敵ではありません。安全な場所をご提供します。すぐ、お迎えも来ます」
「……信用できないわ」
ロバート様とジョージが必死に説得しても、少女達は頑なだ。
ここは、わたくしの出番ね。
「お初にお目にかかります。マリア・ウィリアム・ミッチェルと申します。どうかお気軽にマリアとお呼び下さい。こちらにいる辺境伯、ロバート・ウィリアム・ミッチェルの妻でございます。夫と部下の失礼な態度、心よりお詫び申し上げます。ここはキャダール王国の西の端、聖帝国ラーアントと、オキ共和国に接している辺境の地でございます。夫のロバートは、伯爵としてこの地を治めております。わたくしは、たまたま夫と視察に来ていてこの場に出くわしました。貴女方のお名前も、事情も存じません。ですが、お二人ともとても賢いご様子。ここで我々の手を跳ね除ければどうなるか、理解しておられるでしょう?」
多少脅すような言い方をしてしまうが、仕方ない。彼女達はプライドが高そうだけど、状況を客観的に見る力はあるだろう。
自分達の立場を理解して、ロバート様に保護される事が最良だと分かって欲しい。
「……脅す気?」
「いいえ、事実を述べているだけでございます。我々は、貴女方を丁重に保護して帰るべき場所へお帰しします。ですが、決して貴女方の意思を無視したりしません」
「本当に?」
「事情をお話頂ければですけれど。なにもお話頂けないなら、夫の知る保護者に連絡を取るでしょうね。この場には、貴女方を監禁していた男達を一瞬で倒したジョージと、ジョージの3倍強いわたくしの夫がいます。頑なになるよりも、対話をした方がお互いの為ではありませんか? わたくしは貴女方を丁重に扱うつもりです」
「マリアがそうでも……他の男達は信用できない」
「まぁ! ではわたくしは信用して頂けるのですか?」
「……まぁ、そうね」
「光栄ですわっ! では、是非わたくしの屋敷に来て下さいまし。暖かいお茶とお菓子をお出ししますわ」
懐から、先ほどロバート様に買って頂いたお菓子を出すと妹の目が輝いた。
「お菓子はお好き?」
キラキラとした目でお菓子を見る妹に諦めたのか、姉が同行する事を了承してくれた。
「では、お茶を飲みながらゆっくりお話しましょう」
ジョージを先頭に部屋に踏み込む。部屋には3名の男がいて、部屋の隅に姉妹が寄り添うように座り込んでいた。妹と思われる少女は泣いている。姉妹の足には鎖が付けられていた。
監禁していたのは間違いないみたいね。
「この男は、お嬢様達のお父上ですか?」
「違うわ! こいつらは誘拐犯よ」
「排除してよろしいですね?」
「ええ、排除してちょうだい」
姉の落ち着き払った顔、息をするように命じる態度、整った顔立ちに綺麗な肌。高貴な身分である事は間違いないわ。
「かしこまりました」
ジョージは優雅に礼をすると、男達に武器を向けた。
こちらには何人も精鋭がいたのに、ジョージひとりであっという間に殲滅してしまった。
「……凄い」
「マリア、私はもっと……危ない!」
悔し紛れに男が投げたナイフを跳ね飛ばし、ナイフを投げた男にゆっくりと近づくロバート様。
「貴様……私の大切な妻に何をしようとした?」
「ひ、ひぃ! 頼む、やめてくれ……!」
「答えろ。マリアに何を投げつけたんだ」
「すまない……すまなかった……!」
「旦那様。威嚇するのは後にして下さい」
「ジョージがきちんと対処しないからこんな事になったんだ」
「奥様の守りは旦那様の担当です。奥様、お怪我はありませんか?」
「ないわ。ロバート様が守って下さったから大丈夫よ」
「それは良かった。さすが旦那様です。惚れ直したでしょう?」
「ふふ、確かにそうね。ロバート様は元々素敵だったけど、今日ますます好きになったわ。だから気にしないで。ロバート様、守って頂きありがとうございます」
「あ、ああ……私はマリアの夫だからな!」
「良かったなぁ。奥様がお優しくて」
「ひ、ひぃ……!」
ロバート様に威圧され、ジョージに脅された男は気絶した。どうやら気絶した男がリーダーだったみたいで、他の男達もあっさり投降したわ。
男達は、周囲にバレないように1人ずつ連行される。街の人達とうまくやっていたみたいだから、犯罪者と分からないように連れて行くそうだ。今後の事もあるとロバート様がおっしゃっていたから、なにか考えがあるのだろう。
ロバート様が少女達に挨拶をするが、警戒した少女達は一切動こうとしない。
「領主のロバート・ウィリアム・ミッチェルです。どうか私と来て頂けますか?」
「嫌よ!」
「あの、この人こんな見た目ですけど優しい人なんです。我々は、敵ではありません。安全な場所をご提供します。すぐ、お迎えも来ます」
「……信用できないわ」
ロバート様とジョージが必死に説得しても、少女達は頑なだ。
ここは、わたくしの出番ね。
「お初にお目にかかります。マリア・ウィリアム・ミッチェルと申します。どうかお気軽にマリアとお呼び下さい。こちらにいる辺境伯、ロバート・ウィリアム・ミッチェルの妻でございます。夫と部下の失礼な態度、心よりお詫び申し上げます。ここはキャダール王国の西の端、聖帝国ラーアントと、オキ共和国に接している辺境の地でございます。夫のロバートは、伯爵としてこの地を治めております。わたくしは、たまたま夫と視察に来ていてこの場に出くわしました。貴女方のお名前も、事情も存じません。ですが、お二人ともとても賢いご様子。ここで我々の手を跳ね除ければどうなるか、理解しておられるでしょう?」
多少脅すような言い方をしてしまうが、仕方ない。彼女達はプライドが高そうだけど、状況を客観的に見る力はあるだろう。
自分達の立場を理解して、ロバート様に保護される事が最良だと分かって欲しい。
「……脅す気?」
「いいえ、事実を述べているだけでございます。我々は、貴女方を丁重に保護して帰るべき場所へお帰しします。ですが、決して貴女方の意思を無視したりしません」
「本当に?」
「事情をお話頂ければですけれど。なにもお話頂けないなら、夫の知る保護者に連絡を取るでしょうね。この場には、貴女方を監禁していた男達を一瞬で倒したジョージと、ジョージの3倍強いわたくしの夫がいます。頑なになるよりも、対話をした方がお互いの為ではありませんか? わたくしは貴女方を丁重に扱うつもりです」
「マリアがそうでも……他の男達は信用できない」
「まぁ! ではわたくしは信用して頂けるのですか?」
「……まぁ、そうね」
「光栄ですわっ! では、是非わたくしの屋敷に来て下さいまし。暖かいお茶とお菓子をお出ししますわ」
懐から、先ほどロバート様に買って頂いたお菓子を出すと妹の目が輝いた。
「お菓子はお好き?」
キラキラとした目でお菓子を見る妹に諦めたのか、姉が同行する事を了承してくれた。
「では、お茶を飲みながらゆっくりお話しましょう」
25
あなたにおすすめの小説
政略結婚だけど溺愛されてます
紗夏
恋愛
隣国との同盟の証として、その国の王太子の元に嫁ぐことになったソフィア。
結婚して1年経っても未だ形ばかりの妻だ。
ソフィアは彼を愛しているのに…。
夫のセオドアはソフィアを大事にはしても、愛してはくれない。
だがこの結婚にはソフィアも知らない事情があって…?!
不器用夫婦のすれ違いストーリーです。
沈黙の指輪 ―公爵令嬢の恋慕―
柴田はつみ
恋愛
公爵家の令嬢シャルロッテは、政略結婚で財閥御曹司カリウスと結ばれた。
最初は形式だけの結婚だったが、優しく包み込むような夫の愛情に、彼女の心は次第に解けていく。
しかし、蜜月のあと訪れたのは小さな誤解の連鎖だった。
カリウスの秘書との噂、消えた指輪、隠された手紙――そして「君を幸せにできない」という冷たい言葉。
離婚届の上に、涙が落ちる。
それでもシャルロッテは信じたい。
あの日、薔薇の庭で誓った“永遠”を。
すれ違いと沈黙の夜を越えて、二人の愛はもう一度咲くのだろうか。
どうぞお好きになさってください
はなまる
恋愛
ミュリアンナ・ベネットは20歳。母は隣国のフューデン辺境伯の娘でミュリアンナは私生児。母は再婚してシガレス国のベネット辺境伯に嫁いだ。
兄がふたりいてとてもかわいがってくれた。そのベネット辺境伯の窮地を救うための婚約、結婚だった。相手はアッシュ・レーヴェン。女遊びの激しい男だった。レーヴェン公爵は結婚相手のいない息子の相手にミュリアンナを選んだのだ。
結婚生活は2年目で最悪。でも、白い結婚の約束は取り付けたし、まだ令息なので大した仕事もない。1年目は社交もしたが2年目からは年の半分はベネット辺境伯領に帰っていた。
だが王女リベラが国に帰って来て夫アッシュの状況は変わって行くことに。
そんな時ミュリアンナはルカが好きだと再認識するが過去に取り返しのつかない失態をしている事を思い出して。
なのにやたらに兄の友人であるルカ・マクファーレン公爵令息が自分に構って来て。
どうして?
個人の勝手な創作の世界です。誤字脱字あると思います、お見苦しい点もありますがどうぞご理解お願いします。必ず最終話まで書きますので最期までよろしくお願いします。
【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。
お飾りな妻は何を思う
湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。
彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。
次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては世間体のための結婚だった。
そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。
果たされなかった約束
家紋武範
恋愛
子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。
しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。
このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。
怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。
※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる