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番外編【ミーシャ視点1】
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「だから、そこは違うと言ってるだろう。いいかげん凝り固まった考えはよせ。国に帰りたくないのだろう? 幸せになりたいのだろう? 何度も言ってるけどな、ミーシャは自分の価値を知らなすぎる。もっと自信を持て。時にはハッタリも必要だ」
「……けど、どうやれば良いか分からないわ」
「分からないじゃない。考えようとしていないだけだ。貪欲に知識を求める癖に、なんでそんなに自信が持てないんだ」
「だって! 男の人は怖いもの!」
「その割に、姉の婚約者やうちの大事な辺境伯に横恋慕しようとしたじゃないか」
「なっ……!」
なんで、なんで知ってるの?!
もう嫌!
なんなのよこの男!
王太子だかなんだか知らないけど、失礼過ぎるわ!
「ガルシアがミーシャに優しかったのは愛しい婚約者の妹だったからだ。ロバートがミーシャに優しかったのは愛しい妻が気にかけていたからだ」
「そ、それはっ……!」
分かってるわよ!
それくらい分かってるわ!
「ガルシア様はちょっと憧れただけだし、ロバート様とはあまり話してないでしょ!」
「まぁな。けど、マリアにベッタリ張りついて2人を邪魔していたじゃないか。マリアはミーシャの意図に気が付いていたぞ。それでもロバートを信じてミーシャを尊重してくれたんだ」
「え……」
うそ、嘘でしょ?!
いつも優しかったマリアは、わたくしの意図に気が付いてないと思ってた。だから、思いっきり甘えられたのに……!
ものすごく恥ずかしい!
もうヤダ! マリアは徳が高すぎるわ!
「信じられないって顔してるな。ミーシャは賢いからそれくらい分かっていると思っていたが。恋に恋するお年頃か?」
キィ! 悔しい!
何よあの勝ち誇った顔はっ!
ガルシア様やロバート様はもっと優しいのにっ!
「わたくしは徳がないの! 徳があるマリアと比べないでよ!」
「また、徳か。下らない」
「下らないって……!」
「そんな不確かなものより、ミーシャの幸せの方が大事だろう?」
「貴方もマリアと同じ事を言うのね。隣の国なのに、どうしてこんなに違うのかしら。マリアが羨ましいわ」
吐き捨てるように叫ぶと、目の前の男は可笑しそうに目を細めた。
「ミーシャは、マリアの何を知ってるんだ?」
「素敵な旦那様がいて、綺麗で可愛くて、使用人にも慕われていて、大事にされてる。ちゃんと自分の意思があって、頭が良くて、優しい。きっとマリアはものすごーく徳が高いのよ!」
「ミーシャはマリアの外面しか見ていないんだな。マリアは確かに賢いし、美しい女性だ。だが、生まれた時から賢く美しかったわけではない。ミーシャも女性なら分かるだろう。美しさを磨くには手間も時間も金もかかる。勉強だって、初めからできるやつなんていない。マリアはうちの貴族の中でもかなり優秀だ。化粧水なども自分で配合しているそうだぞ。マリアの美しさも賢さも、マリアの努力が形になっただけだ」
「それは……そうだけど……」
「美しい王女様のミーシャは侍女の言われるがままにケアをしてきたのか?」
図星を突かれて顔が赤くなるのが分かる。
なんなのこの男! 失礼過ぎるんだけど!!!
「だいぶ表情が崩れてきたな。作った顔より、今の方が魅力的だ」
「……なっ……!」
「国に戻る気はないのだろう? 王族として生まれて生きてきたミーシャが今更平民として生きていけると思うか?」
「うるさい! じゃあどうしろってのよ!!!」
「簡単だ。王族のままでいれば良い」
「国に帰れないって分かってて言ってるの?! 性格悪すぎよ!」
「はっはっは。確かに俺は性格が悪い。ガルシアのように真っ直ぐではないし、ロバートのように誠実でもない。けど、ガルシアやロバートより俺の方が優れている部分もあるぞ」
「腹黒さかしら?」
「まぁそれもあるがな。俺は、ガルシアやロバートと違ってミーシャを一番大事にするぞ」
「……え……」
「……けど、どうやれば良いか分からないわ」
「分からないじゃない。考えようとしていないだけだ。貪欲に知識を求める癖に、なんでそんなに自信が持てないんだ」
「だって! 男の人は怖いもの!」
「その割に、姉の婚約者やうちの大事な辺境伯に横恋慕しようとしたじゃないか」
「なっ……!」
なんで、なんで知ってるの?!
もう嫌!
なんなのよこの男!
王太子だかなんだか知らないけど、失礼過ぎるわ!
「ガルシアがミーシャに優しかったのは愛しい婚約者の妹だったからだ。ロバートがミーシャに優しかったのは愛しい妻が気にかけていたからだ」
「そ、それはっ……!」
分かってるわよ!
それくらい分かってるわ!
「ガルシア様はちょっと憧れただけだし、ロバート様とはあまり話してないでしょ!」
「まぁな。けど、マリアにベッタリ張りついて2人を邪魔していたじゃないか。マリアはミーシャの意図に気が付いていたぞ。それでもロバートを信じてミーシャを尊重してくれたんだ」
「え……」
うそ、嘘でしょ?!
いつも優しかったマリアは、わたくしの意図に気が付いてないと思ってた。だから、思いっきり甘えられたのに……!
ものすごく恥ずかしい!
もうヤダ! マリアは徳が高すぎるわ!
「信じられないって顔してるな。ミーシャは賢いからそれくらい分かっていると思っていたが。恋に恋するお年頃か?」
キィ! 悔しい!
何よあの勝ち誇った顔はっ!
ガルシア様やロバート様はもっと優しいのにっ!
「わたくしは徳がないの! 徳があるマリアと比べないでよ!」
「また、徳か。下らない」
「下らないって……!」
「そんな不確かなものより、ミーシャの幸せの方が大事だろう?」
「貴方もマリアと同じ事を言うのね。隣の国なのに、どうしてこんなに違うのかしら。マリアが羨ましいわ」
吐き捨てるように叫ぶと、目の前の男は可笑しそうに目を細めた。
「ミーシャは、マリアの何を知ってるんだ?」
「素敵な旦那様がいて、綺麗で可愛くて、使用人にも慕われていて、大事にされてる。ちゃんと自分の意思があって、頭が良くて、優しい。きっとマリアはものすごーく徳が高いのよ!」
「ミーシャはマリアの外面しか見ていないんだな。マリアは確かに賢いし、美しい女性だ。だが、生まれた時から賢く美しかったわけではない。ミーシャも女性なら分かるだろう。美しさを磨くには手間も時間も金もかかる。勉強だって、初めからできるやつなんていない。マリアはうちの貴族の中でもかなり優秀だ。化粧水なども自分で配合しているそうだぞ。マリアの美しさも賢さも、マリアの努力が形になっただけだ」
「それは……そうだけど……」
「美しい王女様のミーシャは侍女の言われるがままにケアをしてきたのか?」
図星を突かれて顔が赤くなるのが分かる。
なんなのこの男! 失礼過ぎるんだけど!!!
「だいぶ表情が崩れてきたな。作った顔より、今の方が魅力的だ」
「……なっ……!」
「国に戻る気はないのだろう? 王族として生まれて生きてきたミーシャが今更平民として生きていけると思うか?」
「うるさい! じゃあどうしろってのよ!!!」
「簡単だ。王族のままでいれば良い」
「国に帰れないって分かってて言ってるの?! 性格悪すぎよ!」
「はっはっは。確かに俺は性格が悪い。ガルシアのように真っ直ぐではないし、ロバートのように誠実でもない。けど、ガルシアやロバートより俺の方が優れている部分もあるぞ」
「腹黒さかしら?」
「まぁそれもあるがな。俺は、ガルシアやロバートと違ってミーシャを一番大事にするぞ」
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