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エドガーの日々
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「ジャック、悪いが出張だ」
「……かしこまりました」
不満げな顔の部下を動かすには、やっぱりコレかな。
「東の国の、ワガシだっけ? ソフィの好物、手に入れたよ? あとこれ、エレナが好きだったよね? 他にも息子達が欲しがった本と、おもちゃも手に入れたよ?」
「ほんっと、最高の上司ですねぇっっ!!!」
ふう、今回も上手く動いて貰えそうだ。ジャックはソフィが大好きだから、最速で調査は終わるし、再調査なんて言われたくないから、完璧な証拠も揃えてくれるだろう。
ジャックと会った時は、ずいぶん思い詰めた顔をしていたが、今は生意気を言うようになった。
「だろう? 僕を暗殺しなくて良かっただろ?」
「その節は、すいませんでした……」
あの頃のジャックで良かったよ。今のジャックなら、僕はあの世行きだった筈だ。
「悪いと思うなら、生涯僕に忠誠を誓ってくれ」
「……ソフィと、エレナに手を出さないなら誓います」
「あはは、エレナはずいぶん僕に懐いてくれてるからね。約束だし、ソフィには手は出さないよ。エレナもまだ子どもじゃないか」
「大人になったら手ェ出すっんっすか?!」
ジャックは、涙目だ。まぁ、揶揄うのはこれくらいにしておくか。
「僕は結婚するから大丈夫だよ」
「またっすか、次は誰っすか?」
「ファース伯爵家の次女、今回の調査対象」
「……破談前提じゃないですか。そろそろご主人様自身を餌にするの辞めましょうよ」
「なら、ジャックが餌になるかい? ジャックなら、名前と、ちょっと見た目を変えて我が侯爵家の養子って事にすれば僕より引く手数多だけど」
「……オレがソフィ以外に甘い言葉が言えるとでも?!」
「でも、上手くやれば調査時間はさらに短くて済むから、ソフィと一緒にいる時間は増えるよ?」
「う……」
貴族院で情報を捜査していて、式に参列するのもターゲット以外はほぼ貴族院の調査を担当する家だから僕が結婚を繰り返している事はあまり知られていないけど、そろそろ年齢的に若い子を口説くのは厳しいんだよね。ジャックなら貴族に面は割れてないし、僕に忠実だから適任なんだけどなぁ。
「どのくらい、調査短くなりますか?」
「今回のターゲットは、若い子が好きらしくてね。僕じゃちょっと厳しそうなんだよね。それでも頑張るつもりだったけど、ジャックが気に入られれば、睡眠薬でも盛れば1日で調査終わるんじゃないかな? 一人暮らしらしいし」
「いきなり連れ込まれるんすか?! 一人暮らしぃ?!」
「そ、家族にうるさく言われないよう一人暮らしらしいよ。若い子が好きでよく連れ込んでるって。んで、連れ込まれた子は行方不明らしい」
「マジか……」
「だから、被害者増やす前にサクッと解決したいんだよね。お好みは、頼りなさそうなオドオドしたタイプみたいだよ」
「オレと真逆じゃないですか!」
「まぁそこは、支店長して培った相手に合わせる技術を駆使してくれればいけるよ?」
ジャックは、簡単にキャラクターを切り替えられる。威圧的かと思えば丁寧になるし、客の無茶はサラリとかわすから、毎回別人を相手にしてるようだと評価される事も多い。
「家族以外は興味ないんで、キャラクター変えるのは簡単ですけど」
「あっさり言い切るね。孤児院仲間は信頼してないのかい?」
「信頼してますよ。孤児院もオレの家族です」
「なるほどね、そこに僕は入るかい?」
「……」
ふむ、無言で迷うくらいには信頼を得たようだねぇ。
「さて、僕が手間取って出張が長引くのと、自分が餌になるのと、どっちがお好みかい?」
「……なりますよ、餌になりゃあ良いんでしょうご主人様」
「物分かりの良い部下を持って幸せだよ。ひとまず衣装の用意があるから来てくれるかい? もう用意は出来てるから」
「わかりました」
さて、もう少し驚いて貰うとするか。
「ジャック!」
「そ、ソフィ?! なんでここに居るんだ?!」
「ジャックが出張で着る服の手配を頼まれたの。サイズはバッチリのはずよ? 私も見てみたいの! 着てみてくれる?」
「お、おう……」
「今回は取引先が上級貴族だからねぇ、最高級のものを頼むよ」
「もちろんです! ねぇ、メガネもかけるんだって? 見たいの! 見せて?」
「お、おう……」
「似合う! カッコいいわ!」
「そうそう、仕事が済んだら衣装類は全部あげるよ? あとでゆっくりソフィ達の前で着てあげたらどうかな?」
「本当ですか? あとでゆっくり見せてね?」
「……最速で仕事終わらせてくる」
「無理しちゃダメよ?」
「大丈夫、無理はしないから」
ジャックは、半日で証拠を揃えて、囚われていた行方不明者は全員無事に救出された。本当に、いい拾い物をしたねぇ。
「……かしこまりました」
不満げな顔の部下を動かすには、やっぱりコレかな。
「東の国の、ワガシだっけ? ソフィの好物、手に入れたよ? あとこれ、エレナが好きだったよね? 他にも息子達が欲しがった本と、おもちゃも手に入れたよ?」
「ほんっと、最高の上司ですねぇっっ!!!」
ふう、今回も上手く動いて貰えそうだ。ジャックはソフィが大好きだから、最速で調査は終わるし、再調査なんて言われたくないから、完璧な証拠も揃えてくれるだろう。
ジャックと会った時は、ずいぶん思い詰めた顔をしていたが、今は生意気を言うようになった。
「だろう? 僕を暗殺しなくて良かっただろ?」
「その節は、すいませんでした……」
あの頃のジャックで良かったよ。今のジャックなら、僕はあの世行きだった筈だ。
「悪いと思うなら、生涯僕に忠誠を誓ってくれ」
「……ソフィと、エレナに手を出さないなら誓います」
「あはは、エレナはずいぶん僕に懐いてくれてるからね。約束だし、ソフィには手は出さないよ。エレナもまだ子どもじゃないか」
「大人になったら手ェ出すっんっすか?!」
ジャックは、涙目だ。まぁ、揶揄うのはこれくらいにしておくか。
「僕は結婚するから大丈夫だよ」
「またっすか、次は誰っすか?」
「ファース伯爵家の次女、今回の調査対象」
「……破談前提じゃないですか。そろそろご主人様自身を餌にするの辞めましょうよ」
「なら、ジャックが餌になるかい? ジャックなら、名前と、ちょっと見た目を変えて我が侯爵家の養子って事にすれば僕より引く手数多だけど」
「……オレがソフィ以外に甘い言葉が言えるとでも?!」
「でも、上手くやれば調査時間はさらに短くて済むから、ソフィと一緒にいる時間は増えるよ?」
「う……」
貴族院で情報を捜査していて、式に参列するのもターゲット以外はほぼ貴族院の調査を担当する家だから僕が結婚を繰り返している事はあまり知られていないけど、そろそろ年齢的に若い子を口説くのは厳しいんだよね。ジャックなら貴族に面は割れてないし、僕に忠実だから適任なんだけどなぁ。
「どのくらい、調査短くなりますか?」
「今回のターゲットは、若い子が好きらしくてね。僕じゃちょっと厳しそうなんだよね。それでも頑張るつもりだったけど、ジャックが気に入られれば、睡眠薬でも盛れば1日で調査終わるんじゃないかな? 一人暮らしらしいし」
「いきなり連れ込まれるんすか?! 一人暮らしぃ?!」
「そ、家族にうるさく言われないよう一人暮らしらしいよ。若い子が好きでよく連れ込んでるって。んで、連れ込まれた子は行方不明らしい」
「マジか……」
「だから、被害者増やす前にサクッと解決したいんだよね。お好みは、頼りなさそうなオドオドしたタイプみたいだよ」
「オレと真逆じゃないですか!」
「まぁそこは、支店長して培った相手に合わせる技術を駆使してくれればいけるよ?」
ジャックは、簡単にキャラクターを切り替えられる。威圧的かと思えば丁寧になるし、客の無茶はサラリとかわすから、毎回別人を相手にしてるようだと評価される事も多い。
「家族以外は興味ないんで、キャラクター変えるのは簡単ですけど」
「あっさり言い切るね。孤児院仲間は信頼してないのかい?」
「信頼してますよ。孤児院もオレの家族です」
「なるほどね、そこに僕は入るかい?」
「……」
ふむ、無言で迷うくらいには信頼を得たようだねぇ。
「さて、僕が手間取って出張が長引くのと、自分が餌になるのと、どっちがお好みかい?」
「……なりますよ、餌になりゃあ良いんでしょうご主人様」
「物分かりの良い部下を持って幸せだよ。ひとまず衣装の用意があるから来てくれるかい? もう用意は出来てるから」
「わかりました」
さて、もう少し驚いて貰うとするか。
「ジャック!」
「そ、ソフィ?! なんでここに居るんだ?!」
「ジャックが出張で着る服の手配を頼まれたの。サイズはバッチリのはずよ? 私も見てみたいの! 着てみてくれる?」
「お、おう……」
「今回は取引先が上級貴族だからねぇ、最高級のものを頼むよ」
「もちろんです! ねぇ、メガネもかけるんだって? 見たいの! 見せて?」
「お、おう……」
「似合う! カッコいいわ!」
「そうそう、仕事が済んだら衣装類は全部あげるよ? あとでゆっくりソフィ達の前で着てあげたらどうかな?」
「本当ですか? あとでゆっくり見せてね?」
「……最速で仕事終わらせてくる」
「無理しちゃダメよ?」
「大丈夫、無理はしないから」
ジャックは、半日で証拠を揃えて、囚われていた行方不明者は全員無事に救出された。本当に、いい拾い物をしたねぇ。
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