浮気は契約違反です

編端みどり

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領地でたっぷりストレス発散して、王都に帰って来た。

シーズンが始まって1週間。

パーネル男爵と夜会や茶会に行き、わたくしに話しかけた方々の本音を探って貰う。ちょっとズルい気もするけど、なかなかに楽しい。

夜会や茶会の次の日にお会いしたり、手紙を頂いたりして情報を教えて頂くんだけど……分かった事はわたくしの人を見る目は素晴らしいって事ね。

わたくしが不快に思った相手は、たいてい最低な事を考えてる。今のところ、可もなく不可もなくって方か、不快な方しかお会い出来ていないのよね。困ったわ。

パーネル男爵のご希望で、彼の魔法の事は信頼している使用人にも伝えていない。だけど、わたくしとパーネル男爵が親しくなった事は分かってるみたい。お仕事でも提携させて頂くようになったんだけど、とてもやりやすい。

身分差があるから、わたくしの言いなりになる可能性もあると思ってた。だけど、彼はちゃんと領民や領地を守る気がある。無理な取引はちゃんと断って下さるし、理由も納得いくまで説明して下さる。

面倒だから、パーネル男爵にはわたくしの考えはいつでも読んで良いと伝えてある。今更だし、読まれてるかもと疑うくらいなら常に読んでもらう方が気楽だ。深層心理までわかる訳じゃないから、心で考える事も喋るのと同じように意識すれば良いだけだしね。

使用人達の心は勝手に読まないようにして欲しいから、わたくしと会う時は使用人を下げようとしたんだけど、パーネル男爵は魔法の訓練をなさったらしくて任意の相手の気持ちだけをピンポイントに読めるようになったんですって。

なんて凄いのかしら。魔法の訓練は毎日やらないとすぐ勘が鈍ってしまうのに。きっと、毎日欠かさず訓練をなさったのでしょうね。

わたくし達がしょっちゅう会ったり、手紙のやりとりをしたりするものだから使用人達はパーネル男爵に好意的だ。

執事や、幼い頃は乳母をしてくれたメイド長からはさっさと捕まえろとけしかけられている。

そりゃ、パーネル男爵は素敵な方だけど……わたくしの結婚相手を探そうとして下さってるのよ?!

好きな女性の結婚相手を探そうとしたりする?!

わたくしは、彼の好みではないのだろう。確かに、わたくしとナターシャ様は正反対だもの。

こんな本音、絶対知られたくないからパーネル男爵がいらっしゃった時は思考をコントロールしている。

パーネル男爵は人気なのに、一向に婚約者を決める気配がない。きっと、わたくしの事を慮って下さっているのだろう。

早く次のお相手を見つけないと。焦り始めていた頃、夜会で第三王子とお話しをした。

非常に好意的で、わたくしに気があるのだろうなとは思った。だけど、パーネル男爵が青い顔で震えている。

嫌な予感がして、失礼にならない程度にお相手してからパーネル男爵の元へ行った。あんなに女性達に囲まれていたのに、わたくしが近寄ったら皆さま赤い顔をして去っていかれた。

ああ、お邪魔してごめんなさい。どのご令嬢もお美しいし、可愛らしい。わたくしにはない、可愛らしさ。羨ましい。胸がチクリと痛んだけど、すぐ思考を切り替えてパーネル男爵に話しかけた。

「あの、お顔の色が優れないようですけど……どうなさったのですか?」

「……聞こえないんです。魔法を使っても、王子の……聞こえなくて……」
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