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「おや、どうしたんだい?」
うっそお。また王子がいらっしゃったわ。パーネル男爵の顔には、やっぱり聞こえないって書いてある。うう……。魔法は万能じゃないわよね。
王家ですもの、何か対策があるのかもしれない。って事は、早く魔法を使うのをやめた方が良いわ。第一、王族の心を読んだりしたら不敬罪になってもおかしくない。
パーネル男爵、今すぐ魔法をおやめになって!
彼が小さく頷いたのを確認して、第三王子ににっこりと笑いかけた。
「いいえ。なんでもありませんわ」
「なら、またお話しないかい?」
「光栄ですが、わたくしは先程もお相手をして頂きました。素敵な方を独占していては申し訳ありませんわ」
「……そう。残念。そうそう、ナタリアはパーネル男爵と親しいの?」
いきなり名前呼び?!!
なんでよ! さっきまではそんな事なかったのに!
パーネル男爵は、驚いて……なんだか悲しそうな顔をなさっている。
「え、ええ。よくお話いたしますわ」
何? なんなの?!
「ふぅん。そう」
冷たい! 目が冷たい!
何が気に入らないの?!
イライラするわ。何がイライラするかって、王子がパーネル男爵を馬鹿にしたような目で見る事よ。
「パーネル男爵、席を外してくれる?」
「は、はい……」
王子にそんな事言われたら離れるしかないじゃない。パーネル男爵は、わたくしを心配そうに見ながらその場を離れて行った。
うー……。またこの人と話すの?
嫌だけど、顔に出せないわよね。とにかく当たり障りのない会話をして、すぐ離れましょう。
昔っからこの王子様は苦手だ。やけに距離が近いし、馴れ馴れしいし、何より全てを見透かしたような目が怖い。
第三王子は、遊び放題で私財を食い潰しているとの噂だ。王太子殿下は隣国の姫君と婚約中。第二王子は公爵令嬢と結婚したけど、彼は未だに婚約者がおられない。第三王子になると、婚家に婿入りするのが慣例だ。え、じゃあわたくしは丁度良いって事?
いやいや、いくらなんでも離婚したわたくしを本気で狙う訳ないわよね。
「本気だよ」
「え……」
「俺は、ナタリアを本気で口説こうとしてるんだよ」
王子の目はどこまでも澄んでいて……だけどとっても恐ろしい。
「な……なんで……わたくしは夫と愛を育めなかった女ですのよ。王子に相応しくありませんわ」
あんな男と一生添い遂げるくらいなら、生涯独身の方が良いけどね。
「あんな男と一生添い遂げるくらいなら、生涯独身の方が良い」
は……?!
わ、わたくし……声に出しておりましたかしら?
「出してないよ」
嘘……。って事は……この方は……パー……。
そこまで考えて、慌てて思考を止める。読まれているなら、決して考えてはいけない。
「ふぅん。思考を止めたか。やるね」
「……では、やはり……」
「お察しの通りだよ。でも、こんなに簡単に対策されちゃうなんてね。まるで、元々この魔法を知っていたみたいだ。ねぇどうして? 教えてよ」
「それは……」
どうしよう、思考を止めてるから何も考えられない。
「ナタリアは具合が悪いみたいだ。介抱するから、おいで」
この手を取れば、わたくしは確実に王子のお相手として認識される。それは……嫌ね。だけど、お断りする理由がない。
どうしよう……。
うっそお。また王子がいらっしゃったわ。パーネル男爵の顔には、やっぱり聞こえないって書いてある。うう……。魔法は万能じゃないわよね。
王家ですもの、何か対策があるのかもしれない。って事は、早く魔法を使うのをやめた方が良いわ。第一、王族の心を読んだりしたら不敬罪になってもおかしくない。
パーネル男爵、今すぐ魔法をおやめになって!
彼が小さく頷いたのを確認して、第三王子ににっこりと笑いかけた。
「いいえ。なんでもありませんわ」
「なら、またお話しないかい?」
「光栄ですが、わたくしは先程もお相手をして頂きました。素敵な方を独占していては申し訳ありませんわ」
「……そう。残念。そうそう、ナタリアはパーネル男爵と親しいの?」
いきなり名前呼び?!!
なんでよ! さっきまではそんな事なかったのに!
パーネル男爵は、驚いて……なんだか悲しそうな顔をなさっている。
「え、ええ。よくお話いたしますわ」
何? なんなの?!
「ふぅん。そう」
冷たい! 目が冷たい!
何が気に入らないの?!
イライラするわ。何がイライラするかって、王子がパーネル男爵を馬鹿にしたような目で見る事よ。
「パーネル男爵、席を外してくれる?」
「は、はい……」
王子にそんな事言われたら離れるしかないじゃない。パーネル男爵は、わたくしを心配そうに見ながらその場を離れて行った。
うー……。またこの人と話すの?
嫌だけど、顔に出せないわよね。とにかく当たり障りのない会話をして、すぐ離れましょう。
昔っからこの王子様は苦手だ。やけに距離が近いし、馴れ馴れしいし、何より全てを見透かしたような目が怖い。
第三王子は、遊び放題で私財を食い潰しているとの噂だ。王太子殿下は隣国の姫君と婚約中。第二王子は公爵令嬢と結婚したけど、彼は未だに婚約者がおられない。第三王子になると、婚家に婿入りするのが慣例だ。え、じゃあわたくしは丁度良いって事?
いやいや、いくらなんでも離婚したわたくしを本気で狙う訳ないわよね。
「本気だよ」
「え……」
「俺は、ナタリアを本気で口説こうとしてるんだよ」
王子の目はどこまでも澄んでいて……だけどとっても恐ろしい。
「な……なんで……わたくしは夫と愛を育めなかった女ですのよ。王子に相応しくありませんわ」
あんな男と一生添い遂げるくらいなら、生涯独身の方が良いけどね。
「あんな男と一生添い遂げるくらいなら、生涯独身の方が良い」
は……?!
わ、わたくし……声に出しておりましたかしら?
「出してないよ」
嘘……。って事は……この方は……パー……。
そこまで考えて、慌てて思考を止める。読まれているなら、決して考えてはいけない。
「ふぅん。思考を止めたか。やるね」
「……では、やはり……」
「お察しの通りだよ。でも、こんなに簡単に対策されちゃうなんてね。まるで、元々この魔法を知っていたみたいだ。ねぇどうして? 教えてよ」
「それは……」
どうしよう、思考を止めてるから何も考えられない。
「ナタリアは具合が悪いみたいだ。介抱するから、おいで」
この手を取れば、わたくしは確実に王子のお相手として認識される。それは……嫌ね。だけど、お断りする理由がない。
どうしよう……。
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