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飛んで火に入る……
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「まあ! アンドレ王子! 場所を貸してくださるの?」
「もちろん、いつまでも立ち話もなんだろう? 良ければ私も付き添うよ」
「光栄ですが、遠慮いたしますわ。わたくし、デヴィッド様とふたりきりでお話ししたいの」
「おや? もう婚約破棄してしまったのだから、男女がふたりきりはまずいんじゃないかなあ?」
「なるほど 確かにそうですわね」
エミリー様ぁ……笑顔がとてつもなく怖いですわぁ。まさか黒幕がわかりやすく登場するなんて。いやいや、黒幕と決まったわけではございませんわよね。限りなくあやしいし、このまま放っておくと明らかにデヴィッド様から黒幕様の名前が出そうですから、止めたように見えますが、見えるだけですわよね。
それに、このタイミングで話しかけたのは、エミリー様たちがゆっくりお話しできるようにですわよね。決して、この場所から離して万が一があっても自分の罪が周りにバレないように。なんて事ないですわよね。
ああもう! ダメよ! とにかく余計な事思ったらしゃべるとボロが出てしまいますわ。今日、私は何も考えないようにしなくては……
でも、王子が黒幕だったらもうこの国エミリー様から見捨てられるんじゃ……
あぁ! ダメー!
みんな何かを言いたそうな、なにかが終わったみたいな顔してる!!!
国王陛下は……死人の目をしてる?!
これ、王子のスタンドプレー?! 大丈夫よ! 国王陛下が噛んでなければ、まだ生き残る道はあるはずよ!!!
いや、もう考えるな。私は無になる、私は無になる…
「そぉねぇ……では、場所をお貸しくださる?」
「もちろん。エスコートいたしますよ」
「結構よ。デヴィッド様、婚約破棄の慰謝料として、わたくしのエスコートを要求しますわ」
「も、もちろんエスコートいたします。エミリー様」
ちょっと! 王子! 睨まないでよ! 自分の罪を顔で告白すんな!!!
「アンドレ王子、場所はどちら?」
「ああ、第一会議室をお貸しするよ」
「そう、ありがとう。では、参りましょうデヴィッド様」
「立会人として、わたしも行くよ」
「いえ、立会人ならひとりでは不足がありますわ」
「そうかい? では私の侍従をつけるよ」
「とんでもない! 王子のお手を煩わせたくはありませんわ! 場所をお貸しいただくだけで充分でございます。立ち合いは、そうね、関係者でもありますし、ジェシカ様お願いいたしますわ」
圧が、圧がすっごい。
ジェシカ様が断れる空気じゃない。
「も、もちろんですわ! ですが私だけでは不安もごさいます」
「だろう! だからやはり王子である僕が!」
「いえいえ、そのような恐れ多い! やはりここは婚約者のトーマス様にもお願いしますわ! ジェシカ様も王子よりも、愛する婚約者の方がよろしいでしょう?」
「ジェシカだけを行かせる気はありませんよ。もちろん同行します。ですがやはりもうひとりは必要でしょう? ねぇ王子」
トーマス様は、黒幕なの?! それとも単に王子の気持ちを汲んだだけ?! トーマス様も、泥舟に乗ってるの?! どっち!!!
「そうだろ! だから僕も行くよ」
「あとひとり、立ち合い人が必要なのですね」
「そうだよ!」
「あと、たったひとりいれば、おはなしができますわね?」
「ああ! 適任は僕しかいないだろ?」
「そうですわねぇ」
「人選は、エミリー嬢が決めればいいよ。早く話したいだろ? 今この場できみが頼れるのは、僕くらいだろ?」
「人選は、私にお任せいただけるのですね」
「もちろん」
「あとひとり、私が決めればお話できるんですものね」
「ああ、そのとおりだよ」
「では、ジェシカ様はトーマス様がエスコート、わたくしは、デヴィッド様のエスコート、もうおひとりはそのままきていただけばよろしいの?」
「いや、そこはエミリー様が手を取ってくれればいいいんじゃないか? 夜会なんかで3人で入場するみたいに」
「なるほど、では私が手を取った方と移動致しましょう。場所は分かるから問題ありませんわ」
そう言って、エミリー様はとてもとても美しく笑った。みんな見惚れてる。王子なんて、ボーっとしてる。ホントに綺麗。毛穴なんてない美しい肌に、ながーいまつ毛……ってなぜ?!
エミリー様は、なぜかわたしの手を取った。
「さあ、移動致しましょう」
今日イチのいい笑顔で。
「もちろん、いつまでも立ち話もなんだろう? 良ければ私も付き添うよ」
「光栄ですが、遠慮いたしますわ。わたくし、デヴィッド様とふたりきりでお話ししたいの」
「おや? もう婚約破棄してしまったのだから、男女がふたりきりはまずいんじゃないかなあ?」
「なるほど 確かにそうですわね」
エミリー様ぁ……笑顔がとてつもなく怖いですわぁ。まさか黒幕がわかりやすく登場するなんて。いやいや、黒幕と決まったわけではございませんわよね。限りなくあやしいし、このまま放っておくと明らかにデヴィッド様から黒幕様の名前が出そうですから、止めたように見えますが、見えるだけですわよね。
それに、このタイミングで話しかけたのは、エミリー様たちがゆっくりお話しできるようにですわよね。決して、この場所から離して万が一があっても自分の罪が周りにバレないように。なんて事ないですわよね。
ああもう! ダメよ! とにかく余計な事思ったらしゃべるとボロが出てしまいますわ。今日、私は何も考えないようにしなくては……
でも、王子が黒幕だったらもうこの国エミリー様から見捨てられるんじゃ……
あぁ! ダメー!
みんな何かを言いたそうな、なにかが終わったみたいな顔してる!!!
国王陛下は……死人の目をしてる?!
これ、王子のスタンドプレー?! 大丈夫よ! 国王陛下が噛んでなければ、まだ生き残る道はあるはずよ!!!
いや、もう考えるな。私は無になる、私は無になる…
「そぉねぇ……では、場所をお貸しくださる?」
「もちろん。エスコートいたしますよ」
「結構よ。デヴィッド様、婚約破棄の慰謝料として、わたくしのエスコートを要求しますわ」
「も、もちろんエスコートいたします。エミリー様」
ちょっと! 王子! 睨まないでよ! 自分の罪を顔で告白すんな!!!
「アンドレ王子、場所はどちら?」
「ああ、第一会議室をお貸しするよ」
「そう、ありがとう。では、参りましょうデヴィッド様」
「立会人として、わたしも行くよ」
「いえ、立会人ならひとりでは不足がありますわ」
「そうかい? では私の侍従をつけるよ」
「とんでもない! 王子のお手を煩わせたくはありませんわ! 場所をお貸しいただくだけで充分でございます。立ち合いは、そうね、関係者でもありますし、ジェシカ様お願いいたしますわ」
圧が、圧がすっごい。
ジェシカ様が断れる空気じゃない。
「も、もちろんですわ! ですが私だけでは不安もごさいます」
「だろう! だからやはり王子である僕が!」
「いえいえ、そのような恐れ多い! やはりここは婚約者のトーマス様にもお願いしますわ! ジェシカ様も王子よりも、愛する婚約者の方がよろしいでしょう?」
「ジェシカだけを行かせる気はありませんよ。もちろん同行します。ですがやはりもうひとりは必要でしょう? ねぇ王子」
トーマス様は、黒幕なの?! それとも単に王子の気持ちを汲んだだけ?! トーマス様も、泥舟に乗ってるの?! どっち!!!
「そうだろ! だから僕も行くよ」
「あとひとり、立ち合い人が必要なのですね」
「そうだよ!」
「あと、たったひとりいれば、おはなしができますわね?」
「ああ! 適任は僕しかいないだろ?」
「そうですわねぇ」
「人選は、エミリー嬢が決めればいいよ。早く話したいだろ? 今この場できみが頼れるのは、僕くらいだろ?」
「人選は、私にお任せいただけるのですね」
「もちろん」
「あとひとり、私が決めればお話できるんですものね」
「ああ、そのとおりだよ」
「では、ジェシカ様はトーマス様がエスコート、わたくしは、デヴィッド様のエスコート、もうおひとりはそのままきていただけばよろしいの?」
「いや、そこはエミリー様が手を取ってくれればいいいんじゃないか? 夜会なんかで3人で入場するみたいに」
「なるほど、では私が手を取った方と移動致しましょう。場所は分かるから問題ありませんわ」
そう言って、エミリー様はとてもとても美しく笑った。みんな見惚れてる。王子なんて、ボーっとしてる。ホントに綺麗。毛穴なんてない美しい肌に、ながーいまつ毛……ってなぜ?!
エミリー様は、なぜかわたしの手を取った。
「さあ、移動致しましょう」
今日イチのいい笑顔で。
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