この婚約破棄は、神に誓いますの

編端みどり

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なんでこんなに早く来れるわけ?!

エミリー様、泣きすぎてデヴィッド様の胸で寝てしまわれました。おかわいそうに。

トーマス様は顔面蒼白で固まってるし、ジェシカ様も状況を理解できてないご様子。どうしよう、この状況と思っていたら、

バターン!!!

すっごい大きな音でドアが開いたんですけど! って、どなた?! めちゃくちゃイケメンですけど、って、エミリー様に似てる?! まさか……

「エミリー!」

エミリー様が、目を開かれましたわ。それにしても、涙の跡、なかなかに目立ちますわね。それでもお美しいですけど。

「きさま! エミリーを泣かせてどういうつもりだっ!」

あ、これデヴィッド様殺されるわ。めっちゃ殺気丸出しで、剣取り出したし。怒りで短絡的な行動とるとこは、兄弟そっくりですわね。エミリー様の場合、性格もわかってたデヴィッド様の仕掛けだからしょうがないとこもあるけど、もうちょっと話聞いて周り見て頂きたいわ。泣かせた相手の胸で眠る訳ないじゃない。

はあ、仕方ない。ホントならトーマス様が止めてくれれば良いんだけど、もうあれ、役立たずだし、エミリー様も本来なら止める力あるけど、寝起きじゃあね。

「おやめください。ここでデヴィッド様に危害を加えられたら、エミリー様はもっとお泣きになられますわ」

剣を、扇子で受け止める。ふう、鉄製で助かったわ。それにしても、なんだかんだで本気で剣を振るった訳ではないのね。私で受け止められるくらいだし。

「な! 俺の剣を止めただと?!」

本気じゃなかったでしょうに。何を驚かれてるんだか。ああ、そうか淑女が扇子で剣受け止めたら驚くわよね。あなたの妹様は扇子粉になさってたから、それよりいいでしょうよ。

「エミリー様、早くご説明くださいませ」

「え、ええ。お兄様、わたしがちゃんと確認しなかったからいけなかったの。デヴィは、わたしのせいで婚約破棄なんて言い出したの。わたしが、この国で色々やりすぎたから、王子に目をつけられたの」

そう言って、また泣き出してしまわれた。はあ、誰か説明してよって思うけど、トーマス様とジェシカ様は無理よね。今にも逃げたそうにしてるし。ってか、もう逃げるんじゃないかしら。

「申し訳ございません。すべてわたしの責任です」

そう言ってデヴィッド様は、今までのことをすべて話しはじめた。

デヴィッド様視点とは言え、正確に状況を判断した説明は、とても理路整然としていた。
その説明をまとめると、

①デヴィッド様とエミリー様は、婚約破棄した
 →デヴィッド様は、エミリー様にふさわしくないと散々言われて、エミリー様の名誉を守るために自分から婚約破棄することを思いついた。ただ、その相談をすべてアンドレ王子にしていたことが判明。アンドレ王子も、婚約破棄を残念そうに勧めたらしい。ついでに、子爵家だと勘違いさせたのも王子の言葉だから信じたんだって。騙されたと思って、だんだん、エミリー様に対する好意が薄れていったみたい。王子は、黒幕確定です

②デヴィッド様が、ジェシカ様にイジメをした
→デヴィッド様がそもそもジェシカ様を気になり出した原因は、王子とのこと。ジェシカ様は知らなかったみたいだけど、王子は散々ジェシカ様はお前のことが好きだって言い続けたみたい。で、単純なデヴィッド様はその気になってしまったらしい。トーマス様もその場にいて、頷いてたらしいから、トーマス様も黒だよね。まさか、自分の婚約者まで利用するとはね。ジェシカ様に火の粉が飛ばないように、ジェシカ様には関わらせなかったらしいけど、廊下のラブラブタイムも、ドキドキしたって王子に相談したらそれはお前に言ったんだって言われたらしい。それを、数回繰り返せば勘違いの完成だ。
クッキーだけは、一枚しか渡さなかったのは婚約者のプライドかねえ。王子が、あとでフォローしまくって勘違い続行させたみたいだけど。イジメも、ほとんど王子主導だったみたい。婚約者イジメを了承するなんてホントクズ。

③ジェシカ様はデヴィッド様と挨拶しかしてない
→これはホント。デヴィッド様もよく考えたら話してないって。

④デヴィッド様は、ジェシカ様が自分の事を好きだと思っている
→王子の仕掛け。

⑤デヴィッド様はトーマス様とジェシカ様の婚約を知らなかった
→トーマス様のせい。婚約披露パーティにちょこっと呼んだのは、あとあとパーティにきたのに知らなかった無能としてデヴィッド様を糾弾するためみたいね。デヴィッド様も気が付いてなかったが、確かにおかしかったとおっしゃってるし。

⑥デヴィッド様は、自分から婚約破棄することを望んだ
→そう誘導されたって感じね

⑦でもそれは、エミリー様のため?
→これもホント。行き違いにも程があるわ。

「ふ、ふふふふ……」

あ、お兄様の殺気がヤバい。エミリー様、止めましょう? デヴィッド様を、惚れ惚れと見つめてる場合ではありませんわ。

「トーマスとやらは、ここにいたはずだよな」

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