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第十八話
「セドリック! 3年でこんな規模に成長させるなんてさすがね」
「マリーに褒められるとやる気が出るね。ありがとう」
セドリックに会社を見せてもらいました。最初の資本金は、日本円で100万円程。決して多くありません。
ですが、初年度からしっかり利益を出しています。最初はピエールさんと針子のルイーズさんの3人だけ。それでも斬新なデザインと、確かな品質であっという間に人気店に上り詰めたそうです。最初は数坪の小さな店舗だったのに、今はいくつも支店を抱える人気店です。
支店の従業員にまで毎月わたくしが居ないか聞いていたそうですから、後で謝罪をしておきましょう。
経理も見せていただきました。嬉しそうに見せるセドリックは、まるで100点を取って褒められるのを待つ子どものようです。この世界、複式簿記もあるから経理書類はとても見やすく、わたくしでもすぐに見事な経営をしていたと分かります。資金も無駄なく使われていました。複式簿記は、転生者が教えたそうです。わたくしも前世で少し経理をしていましたが、複式簿記は偉大な発明ですわ。単式簿記だと、経営状態を把握するのは大変ですから。
転生者は、さまざまな恩恵をもたらすそうです。転生者が作った食べ物もたくさんあります。プライドチキンやフライドポテトなどの揚げ物を作ったのは転生者だそうです。醤油や味噌もありました。よく麹菌を見つけましたね。前世で細菌学者の方でも居たのかしら。
「セドリック、転生者がもたらした恩恵が凄すぎて、プレッシャーだわ」
「プレッシャー?」
「ええ、複式簿記とか、料理とか、セドリックだって服飾店をしてるわ。きっと斬新なデザインで人気でしょう?」
「まぁ、そうだね。うちのデザイナーは秘密にしてるんだけど、転生者じゃないかって噂もあるよ。たまに横暴な貴族がデザイナーを出せって騒いでるから、そろそろ僕が経営とデザイナーをしてるって言っても良いかなって悩んでるんだよね」
「んー……セドリックの名を出す事で従業員は守れるわよね。でも、面倒なお嬢様も沸きそうね。それなら、王室御用達みたいなの作ったら? 御用達のお店に手を出したら王室を怒らせるってなれば抑止力にならないかしら? もうある? 王室御用達みたいなの」
「いや、ない。確かにそれは良いね! 申請した店は、王家が徹底的に調べると言っておけば変な店は申請しないし、してきても却下出来る。ついでに悪どい事してればバラしてやれば良い。弟の店も御用達にしちゃえば、前例も出来るし、僕の店のオーナーが僕と分かって店に御用達がついてても、問題視されにくい。まだしばらく僕は正体を隠せる」
「もうここまできたら、セドリックの正体は隠してる方がメリットが大きいわよね」
変なお嬢様が沸いても困る。対応する従業員の負担が大きくなりすぎる。セドリックは毎日店にいる訳じゃないもの。従業員は、平民の子がほとんどだから、貴族が無茶苦茶言い出したら守れない。
「確かに……今更バラすと面倒だね」
「なんとか、対策を考えましょう。無茶言うお偉いさんの対応は得意でしょ?」
「まぁ……そうだね。マリーも助けてくれる?」
「もちろん! セドリックの為ならなんでもするわ!」
「じゃあ、今キスして?」
「みんな見てるからイヤ!」
「誰も居ないよ?」
ちょっと! なんでよ! さっきまでピエールさんとかいたでしよ?!
もう! 空気読んで出ていったわね!
セドリックにキスをしたら、嬉しそうに笑ってたから良しとするわ。でも、なんだか恥ずかしい。前世と今世が混じり合っていて、初心な反応をしてしまうのよね。それがセドリックは楽しいみたいで、こうやって揶揄われる。一応、わたくしがいちばん嫌がる人達の前ではやらはいから、許してあげるわ。セドリックのご家族、今はわたくしの家族でもあるんだけど、その人達の前でだけは節度を持った態度を取って貰ってる。
そのかわり、後で過度なスキンシップをされるけど……セドリックが楽しそうだし、誰も見ていないし、純潔は守ってるから良いと思う事にしてるわ。
なんだか今世の方がスキンシップが激しい気がするんだけど……若いからなのか、長年待たせたからなのか、どっちなのかしら。
「マリーに褒められるとやる気が出るね。ありがとう」
セドリックに会社を見せてもらいました。最初の資本金は、日本円で100万円程。決して多くありません。
ですが、初年度からしっかり利益を出しています。最初はピエールさんと針子のルイーズさんの3人だけ。それでも斬新なデザインと、確かな品質であっという間に人気店に上り詰めたそうです。最初は数坪の小さな店舗だったのに、今はいくつも支店を抱える人気店です。
支店の従業員にまで毎月わたくしが居ないか聞いていたそうですから、後で謝罪をしておきましょう。
経理も見せていただきました。嬉しそうに見せるセドリックは、まるで100点を取って褒められるのを待つ子どものようです。この世界、複式簿記もあるから経理書類はとても見やすく、わたくしでもすぐに見事な経営をしていたと分かります。資金も無駄なく使われていました。複式簿記は、転生者が教えたそうです。わたくしも前世で少し経理をしていましたが、複式簿記は偉大な発明ですわ。単式簿記だと、経営状態を把握するのは大変ですから。
転生者は、さまざまな恩恵をもたらすそうです。転生者が作った食べ物もたくさんあります。プライドチキンやフライドポテトなどの揚げ物を作ったのは転生者だそうです。醤油や味噌もありました。よく麹菌を見つけましたね。前世で細菌学者の方でも居たのかしら。
「セドリック、転生者がもたらした恩恵が凄すぎて、プレッシャーだわ」
「プレッシャー?」
「ええ、複式簿記とか、料理とか、セドリックだって服飾店をしてるわ。きっと斬新なデザインで人気でしょう?」
「まぁ、そうだね。うちのデザイナーは秘密にしてるんだけど、転生者じゃないかって噂もあるよ。たまに横暴な貴族がデザイナーを出せって騒いでるから、そろそろ僕が経営とデザイナーをしてるって言っても良いかなって悩んでるんだよね」
「んー……セドリックの名を出す事で従業員は守れるわよね。でも、面倒なお嬢様も沸きそうね。それなら、王室御用達みたいなの作ったら? 御用達のお店に手を出したら王室を怒らせるってなれば抑止力にならないかしら? もうある? 王室御用達みたいなの」
「いや、ない。確かにそれは良いね! 申請した店は、王家が徹底的に調べると言っておけば変な店は申請しないし、してきても却下出来る。ついでに悪どい事してればバラしてやれば良い。弟の店も御用達にしちゃえば、前例も出来るし、僕の店のオーナーが僕と分かって店に御用達がついてても、問題視されにくい。まだしばらく僕は正体を隠せる」
「もうここまできたら、セドリックの正体は隠してる方がメリットが大きいわよね」
変なお嬢様が沸いても困る。対応する従業員の負担が大きくなりすぎる。セドリックは毎日店にいる訳じゃないもの。従業員は、平民の子がほとんどだから、貴族が無茶苦茶言い出したら守れない。
「確かに……今更バラすと面倒だね」
「なんとか、対策を考えましょう。無茶言うお偉いさんの対応は得意でしょ?」
「まぁ……そうだね。マリーも助けてくれる?」
「もちろん! セドリックの為ならなんでもするわ!」
「じゃあ、今キスして?」
「みんな見てるからイヤ!」
「誰も居ないよ?」
ちょっと! なんでよ! さっきまでピエールさんとかいたでしよ?!
もう! 空気読んで出ていったわね!
セドリックにキスをしたら、嬉しそうに笑ってたから良しとするわ。でも、なんだか恥ずかしい。前世と今世が混じり合っていて、初心な反応をしてしまうのよね。それがセドリックは楽しいみたいで、こうやって揶揄われる。一応、わたくしがいちばん嫌がる人達の前ではやらはいから、許してあげるわ。セドリックのご家族、今はわたくしの家族でもあるんだけど、その人達の前でだけは節度を持った態度を取って貰ってる。
そのかわり、後で過度なスキンシップをされるけど……セドリックが楽しそうだし、誰も見ていないし、純潔は守ってるから良いと思う事にしてるわ。
なんだか今世の方がスキンシップが激しい気がするんだけど……若いからなのか、長年待たせたからなのか、どっちなのかしら。
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