ねじおじいさん

jack4532

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夕暮れ

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ふと思い耽っているうちに、空は夕焼け色に染まっていた。

街には暮れのチャイムがなり渡っていた。

「そろそろ帰るか…」

努はボソッと呟いた。

「今日の夕焼けは格別に綺麗だ…
そうは思わないか?お兄ちゃん?」

老人がいきなり後ろから声をかけてきた。

努はびっくりして肩をすくめた。

ふと後ろを振り返ると小柄なおじいさんがワンカップを片手にこじんまり立っていた。

努はその場を立ち去ろうと考えたが体は老人を向いたまま動こうとはしなかった。
好奇心という物はとても正直なものだ。

老人はゴソゴソとポケットからネジを取り出した。そして口に入れ、ワンカップで押し流した。

努は丸い目で老人を見つめていた。

「鉄分てのは体には必要だからな。
こいつは毎日飲むって決めてんだ。」

老人はそう呟きながら暮れの方向にとぼとぼと歩いて去った。

努は恐怖を感じながら、ニヤついていた。

努は心のなかで、その老人をねじおじいさんと呼ぶことにきめた。
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