傷物にされた私は幸せを掴む

コトミ

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8 ジャック視点

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私は驚いた。家庭教師になるエミリア・フィアナを迎えに行こうと馬車に向かおうとしたとき、もう来ていると聞いた。誰が連れてきたのかと思ったら、いつも馬車でミルクや穀物を持ってくる農村の者の馬車に乗ってきたと聞いた。


世話になっているリル先生の紹介だったので、信用はしている。右目を妹に焼かれ、失明し、右の目あたりには酷い火傷を負ったと聞き、どうにかできないかと思い、家庭教師として引き入れることにした。三か国語も話せることができ、頭もいいと聞き、そうして引き入れることにした。

私の妹と弟はとにかく手におえずに困っていたので、ちょうどいいと思い。まあ、妹たちの世話に手こづっても、家庭教師という名目で家に住まわせられれば、フィアナ家から守ることができるだろう。


門に降ろしてきたと言うので、行ってみると、そこには確かに女性が一人、荷物を地べたに置いて、すごく疲れ果てた様子で、立っていた。

顔は真っ青だったし、もう立っているだけでも限界という風だった。話しかけると、頭も回っていないようで、言葉がつっかえて話していた。

もう屋敷の中に入れて休ませようとした。案内しようとしたとき、もう限界だったようで私に倒れてきた。力が入らないようなので、私が抱き上げた。

はじめて会った女性を抱き上げるのはどうかと思ったけれども、無理して歩かせるわけにもいかないと思い、抱き上げて、屋敷の中まで運んだ。


メイドにエミリアの服を着替えさせた。悪いと思っていながらも、興味本位で、髪で隠れている右目の方を見た。白い肌が茶色くなっていた。ところどころ皮がむけて、痛々しかった。


妹にこんなことされて、けれども、両親は叱ったりせずに、妹をかばうなんて、おかしい。この子はきっと今まで苦しく、我慢をしてきたのだろう。



起きたときに、絵画を見て立っていた。綺麗な人だなと思った。ベッドに落ち着かせて、それから、食事を食べさせたけれど、欲望が無い感じがした。少量しか食事を持ってこなかったのだけれど、それも半分しか食べられずにいた。

考えたくもないけれど、食事をあまり食べさせてもらっていなかったのだろうか。栄養失調などでは無いようだけれども、体はとても細くて、折れてしまいそうだ。

なぜこんな早くに来たのか聞いても、教えてくれなかった。だから、フィアナ家に手紙を送ってみるとして、リル先生にも詳しい話を聞こう。
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