傷物にされた私は幸せを掴む

コトミ

文字の大きさ
26 / 29

26

しおりを挟む
 確かにルーク様と結婚すれば私は良いのは分かる。でも、ジャック様の事が心残りであるし、何より、エリーゼ様とファミール様とは離れたくない。
 恩があるのに、返せていない。それじゃあリル先生の恩はどうなる?
 書庫にある本を取りながらコンコンと考え続けていた。

「エミリア様」

 背後にメイドが一人立っていた。メイドは私の前に手紙を突き出して私が取ると、さっさといなくなった。送り主を見て背中に悪寒が走った。

「なんで、こんな時に…」

 考えることがたくさんなのに、なんでミアから手紙が来るの。捨てて現実逃避したいところだけど、そうにもいかない。
 ビリビリと手紙を開けて、中を開いて私は目を丸くした。

『来月に迎えの馬車をそっちへやるから』
「はあ!?」

 おもわずそんな素っ頓狂な声を上げてしまった。

『せっかくミアが公爵夫人になれるチャンスだったのに、それをつぶしたんだから、さっさと戻ってきて。それにお姉様がジャック様の愛人なんて、ただ弄ばれてるだけなことに気づかないの?お母様とお父様が愛人なんて聞いてカンカンなんだから。戻ってきて説教を食らって。そんでもって再来月の誕生日に男爵と結婚して』

 なんで私がジャック様の愛人ってことになっているの。愛人なんかじゃないのに、なんでみんな好き勝手そういうことを言うの。遊ばれてるなら、もうとっくに体を弄ばれてるはずでしょ。夜一緒に寝室に行った時だって、全然そういうそぶりが無かった。
 手紙を握りしめて、カレンダーの日付を見た。来月ってことはあと二週間。なんでそんな身勝手に決めるのよ。私とジャック様の事を決めるの!噂だけを信じ込んで、私の性格やジャック様の誠実さを知らないで、想像力の欠如も甚だしい。
 こうなったらルーク様と結婚するしか道が無くなってしまう。体に力が入らなくなって、書庫の真ん中で座り込んだ。
 私は、どうすれば、どうすればいいの。どれが一番の最適解で、私自身が人に振り回されないで済む?

「エミリア?」

 書庫の扉を見ると、ファミール様が本を両手で抱えてたってらっしゃった。

「どうなさったんですか?そろそろ授業のお時間ですよ」
「エリーゼと手分けして、エミリアの事探してた。まだ来ないから」 

 なぜだかファミール様はおびえた様子で私の事を見ている。

「まだ熱下がってないの?」
「下がりましたよ」
「具合悪そう」

 子供っていうのはやっぱり鋭い。

「もしも、私がここからいなくなって新しい家庭教師が来るとしたら、その人と仲良くできますか?」
「できないと思う。エリーゼがエミリアの事をすごく気に入っているからね。それに他の人は勉強教えるの下手だからね」

 そんな下手なんてことは無いと思うけど、でも必要とされるのは嬉しい。思わずアミール様の事を抱きしめてしまった。

「なに、苦しいんだけど」

 絶対に私はここから離れない。離れたくないから。

「エミリア、ファミール、貴方達何してるのよ」

 エリーゼ様の声まで聞こえてきた。

「助けてエリーゼ、エミリアが」
「もう、どうしちゃったのよ。まだ、熱が下がってないんじゃない?」
「下がってますよ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹が公爵夫人になりたいようなので、譲ることにします。

夢草 蝶
恋愛
 シスターナが帰宅すると、婚約者と妹のキスシーンに遭遇した。  どうやら、妹はシスターナが公爵夫人になることが気に入らないらしい。  すると、シスターナは快く妹に婚約者の座を譲ると言って──  本編とおまけの二話構成の予定です。

学園首席の私は魔力を奪われて婚約破棄されたけど、借り物の魔力でいつまで調子に乗っているつもり?

今川幸乃
ファンタジー
下級貴族の生まれながら魔法の練習に励み、貴族の子女が集まるデルフィーラ学園に首席入学を果たしたレミリア。 しかし進級試験の際に彼女の実力を嫉妬したシルヴィアの呪いで魔力を奪われ、婚約者であったオルクには婚約破棄されてしまう。 が、そんな彼女を助けてくれたのはアルフというミステリアスなクラスメイトであった。 レミリアはアルフとともに呪いを解き、シルヴィアへの復讐を行うことを決意する。 レミリアの魔力を奪ったシルヴィアは調子に乗っていたが、全校生徒の前で魔法を披露する際に魔力を奪い返され、醜態を晒すことになってしまう。 ※3/6~ プチ改稿中

【完結】何でも奪っていく妹が、どこまで奪っていくのか実験してみた

東堂大稀(旧:To-do)
恋愛
 「リシェンヌとの婚約は破棄だ!」  その言葉が響いた瞬間、公爵令嬢リシェンヌと第三王子ヴィクトルとの十年続いた婚約が終わりを告げた。    「新たな婚約者は貴様の妹のロレッタだ!良いな!」  リシェンヌがめまいを覚える中、第三王子はさらに宣言する。  宣言する彼の横には、リシェンヌの二歳下の妹であるロレッタの嬉しそうな姿があった。  「お姉さま。私、ヴィクトル様のことが好きになってしまったの。ごめんなさいね」  まったく悪びれもしないロレッタの声がリシェンヌには呪いのように聞こえた。実の姉の婚約者を奪ったにもかかわらず、歪んだ喜びの表情を隠そうとしない。  その醜い笑みを、リシェンヌは呆然と見つめていた。  まただ……。  リシェンヌは絶望の中で思う。  彼女は妹が生まれた瞬間から、妹に奪われ続けてきたのだった……。 ※全八話 一週間ほどで完結します。

大切にしていた母の形見のネックレスを妹に奪われましたが、それ以降私と妹の運は逆転しました!

四季
恋愛
大切にしていた母の形見のネックレスを妹に奪われましたが、それ以降私と妹の運は逆転しました!

双子の姉がなりすまして婚約者の寝てる部屋に忍び込んだ

海林檎
恋愛
昔から人のものを欲しがる癖のある双子姉が私の婚約者が寝泊まりしている部屋に忍びこんだらしい。 あぁ、大丈夫よ。 だって彼私の部屋にいるもん。 部屋からしばらくすると妹の叫び声が聞こえてきた。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【短編】可愛い妹の子が欲しいと婚約破棄されました。失敗品の私はどうなっても構わないのですか?

五月ふう
恋愛
「お姉様。やっぱりシトラ様は、お姉様ではなく私の子供が産みたいって!」 エレリアの5歳下の妹ビアナ・シューベルはエレリアの婚約者であるシトラ・ガイゼルの腕を組んでそう言った。 父親にとって失敗作の娘であるエレリアと、宝物であるビアナ。妹はいつもエレリアから大切なものを奪うのだ。 ねぇ、そんなの許せないよ?

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

処理中です...