【勢い小説】転生したらただの〇〇〇〇でした

しゅーげつ

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第一章 とある牢獄でひっそり横たわる男へ

プロローグ

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代わり映えしない日々。
普段どおりの昼下がりに、見慣れた曲がり角。

お決まりの――というより一種類しかない――コーディネイト。

そんないつもの帰り道。



何も生まず、何も構わず、
関わらず、欲っさず、

誰からも求められず、

誰も求めず。



そんなお世辞にも『生きてる』とは言えない日々は、

とある地方都市の、
とある街の片隅の、
とある名も無きT字路で、

右から左に受け流すように吹っ飛んで来たトラックのバンパーに
鈍い効果音を添えて――終わった。





出落ちかよ……!!


薄れゆく意識の中で、自分へのツッコミを最期の置き土産に、
オレは急速に収縮していく暗闇の最奥、

薄ぼんやりと煌く一点の光へと、飛ぶ。


大したことない人生は、他愛もなく終わったけど、
不思議と怖くも辛くもなかった。

ただ後ろめたい解放感だけが全身をひんやりと包み、


オレは暖かな帳に溶けていった――



ぱーらららー!ぱーーーらーーーーらーーー!!




突如頭の中だか、脳だか、意識だかに、
どこか聞き覚えのある、

『教会風ファンファーレ』がけたたましく響き渡る。



見渡す限り360度一面を、
見たことのない淡色の草花が埋めつくす。


絵の具が滲むように拡がる緑、
霞むような青空、

眩むように射し込むエンジェルラダーと共に、


一人の美しい女性が舞い降りた。


いや……天女か、女神か、
得体の知れない美女が、

薄絹をはためかせ、両手を大きく開く。



「おお....よ、しんでしまうとはなさけない」



……はい??

「え??誰??」


「……ごにょごにょ、よ!しんでしまうとは――」

「いやいやいやいや!その、ごにょっとしたとこ、
  そこんとこを、
 
 もう一度!
 
 ハッキリ!!

 渇舌良くおなしゃす!!!」


「んむにゅ……」

小さく咳払いをして顔を背けると、
絶妙にアルカイックなスマイルをたたえながら言い直した。


「しんでしまうとはなさけない」


諦めやがったよ……


名前が読めないとか、DQNネームだとか、
やーい!お前の母ちゃん厨二病だとか、


教師ですら最後まで苗字一本で貫かれて来たが、
完全にスルーした奴は初めてだわ。


てか、リアルで聞くとさすがに萎えるな、
この台詞……



「……で、アンタ誰?」


「私は精霊ん……ビス。かの地を創造りしもの」


自己紹介も伏せんのな。
大人の事情?別にいーけどさ。

「その精霊さんとやらが、何の用?」


「貴方の無気力で自堕落で、無意味な生は、
ぶっちゃけ、何も成さぬままに終わりました」

初対面で辛辣だなおい!!
美人に悪し様に言われて悪い気もしないオレも大概だけどな!!!


「で、何!? 転生とかさせてくれたりすんの??」


「貴方が望むのであれば……今は余りお勧めしませんが」



え!?まじ??
異世界に生まれ変わって?


序盤からレベルカンストしたり、
のっけからステータスマックスで?
現れる女子が老若問わずことごとく
大した理由も無く没個性にオレに好意を持ってたり!?
ライバルは不当に頭が悪かったり?

そんな都合の良い世界に!?
このオレを!!!


「やってくれ! 今すぐやってくれ!」

「で、ですが……今、枠が一つしか開いてなくて……」

「は?? 転生枠とかあんの!?」


ハロワでももうちょい門戸広いぞ?
まぁブラックじゃなきゃ何でもいーよ。


けどまぁ転生っつーと、
チート放題やり放題、高確率でパラメーターに恵まれるか、
不遇職でもご都合運補正で何とかなったりする
ヌルゲーと相場が決まってる!!

「……ノープロブレム! やっちゃってくれ!」

「分かりました……もう一度確認しますが、本当に良いのですね?」



「ばっちこーい!!!」
精霊……んビスの小さな溜息と共に突如降りてきた漆黒の緞帳と、



聞き慣れた、


でれでれでれでれ、でんででん


という、
具体的には昭和後期のいたいけな少年達の心に、
強烈なトラウマを植えつけた――

あの効果音と共に、


オレの意識はヒューズが飛んだブラウン管テレビのように、

ぷつんと途絶えた。
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