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残念美女、野獣に転がされる ② 【微エロ】
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明けましておめでとうございます (=゜ω゜)ノ
今年最初の投稿、なんとか三が日に間に合いました (=_=)
そしてちょっと長めの微エロスタートです!
本年もよろしくお願いします♪
**************************************
これから仕事だからと帰って行く晃を泣く泣く見送った。
どさくさに紛れて晃と一緒に帰ろうとした瀬里を京平が見逃してくれよう筈もなく、走り去るセダンを売られた仔牛よろしく悲哀に潤んだ眼差しで。
故意ではなかったにせよ。
自分が原因だと理解していても。
瀬里を振り切るように帰って行った晃に、恨み節のひとつも言いたい。
言ったところできっと誰も瀬里を責めないだろう。けど、口に上らせることなくぐっと飲み込んだ。
(パパさんに恨み事言ったって、いや言いたいけど、現状変わんないし。嫌だけどっ! ホントにホントに嫌だけど……)
消沈したままここに来た理由を思い出し、溜息をひとつ吐いて京平に対峙した。
はっきり言って気は進まないが、自分の責任を果さない事で弱みを握られたり揚げ足を取られたくない一心で、家の中を案内して貰うことにした。
(まずは敵陣を把握しとかないとね)
心の中でぐっと拳を握ったのだが……。
不審に感じるくらい手入れの行き届いた平屋の家屋は、男の二人暮らしには無駄に広かった。
そして、折角奮い立たせた心が現実を前にポキッと折れた。
(壁! 壁少なっ。襖ばっかでプライベートが微妙! 防御力低っ! ここで! この家で京平から身を守るのかぁぁぁぁあ!? のぉぉぉぉぉ!! やっぱ無理。パパさんなんとか説き伏せて、せめて通いになるよう交渉して貰おう。うん。そうしよう)
貞操の絶望的危機を感じ、発狂して喚きだしそうなのを何とか堪える。
父に訴えてどのくらいの確率で回避できるのかは全く以て不明だが、わざわざ好き好んで娘を毒牙にかけたくない筈だ……と信じたい。
色々と考えては悶絶を繰り返す瀬里は、京平に手を引かれていた事にも気付かず、曇りガラスの格子戸がガラガラと音を立てて意識を戻した。
ハッと慌てて周囲を見回せば、六畳ほどある台所だった。
ダイニングテーブルが目に留まる。
正確に言うと、テーブルの上に積み重ねられた物体に目が釘付けになった。
複数の寿司桶と、複数の丼鉢。
(二日間の、一人の食事量にしては多くないか?)
ざっと見ただけでも十数人分くらい有りそうだ。
(……しかも、汚れがカピカピになってこびり付いてやしませんか?)
京平の手を振り解いて器を確認した瀬里は、額をべしっと叩いた姿勢のまま暫し固まった。
せめて、水につけて置いて欲しかった。
「これでも散らかさなかった方だろうな」
「はぃい!?」
「一応親父なりに、瀬里に気を遣ったんだと思うぞ。俺が相手なら容赦なく散らかしているだろうよ。学校行事で数日でも家を空けるのが恐ろしいくらいだからな」
「これで?」
「これで」
「アンタ入院前から暫く帰っていなかったの?」
そう聞きたくなるだけの数が積み重なっている。
瀬里が顔を引き攣らせていると「いいや」と苦笑しながら、京平は汚れ物を流しに運び始める。瀬里は自分の存在理由を思い出し、慌てて京平に倣って汚れ物を運び始めた。
「こんなのは日常茶飯事だからな。気が付けば編集が脱稿するまで住み込んでいる事もあるから」
「ならその編集さんたちに食べた物を片付けて貰うべきなんじゃ」
「偏屈者が嫌がるからだよ。扶養家族の仕事を取るなってな。俺だって稼いでるっつーの」
「稼いでるって言ったって、どうせバイトでしょ?」
「家事手伝い、か? 親父が趣味で始めて俺に丸投げしたイタリアンバルの管理と、店に立てばかなり売り上げに貢献しているぞ。変な輩は叩き出すしな」
「用心棒かっ」
頭の中で悪徳商人が『先生! お願いします!』と言っている時代劇のシーンが再生されて、貧困な想像力に思わず眉間に皺が寄る。
お湯に浸かって潤かされた汚れを偶に爪でカリカリ引っ掻きながら洗い落とし、水切り籠に伏せて行き、第二陣に着手する。その傍らで京平が器を拭きながら、
「新婚みたいだな」
「巫山戯たことを」
「何れはそうなる。今は予行演習みたいなもんだろ?」
「わたしは単なる家事手伝いでございます」
「そのツレなさが堪らん。が、いつでも俺に堕ちて来い」
妖しい光を双眸の奥に揺らめかせ、唇の片端を上げて笑う。
ねっとりと絡みつくような空気に瀬里の肌が粟立った。ぶるりと躰を揺らす。
「じょーだん」
「な訳ねえの分かってるだろ?」
「わかんない」
どうして此処まで執着されるのか、知ったら引き返せないような気がして、いつも訊くのを躊躇ってしまう。
初めて会った時の瀬里の何が京平の琴線に触れたのか。
気になるけれど、知りたくない。
(初対面でいきなり髪引っ張るとか、有り得ないでしょ)
当時の光景が頭を掠め、瀬里は頭を振って打ち払う。短くなった髪が襟足を擽った。
その感触がどうにも慣れない。
(うーん。むず痒い)
手が濡れているから掻きたくても掻けないでモゾモゾしていると、ひたりと何かが貼り付いた。「ひっ」と声を漏らし、反射的に首を竦めようとして、阻んだソレが生温かいことに気付く。
ぬるりと蠢いた。
寿司桶が手元を離れてゴトッと音を立てる。
気が付けば瀬里は京平の腕の中に囚われ、蠢くものは首筋をなぞり上げた。ゾクゾクッと身震いする。
(ゆ…油断した! 京平の隣で考えに耽るなんて……っ)
蠢くものの正体に気付いて身を捩るが、京平の唇が離れて行くことはなく、舌がぬらぬらと這い回る。
腕ごと拘束されて上半身の自由が利かない。ならば自由になる足でとアクションを起こそうとしたのだが、
「ぅひゃ――――ッ!」
頸動脈の上に歯が立てられて、間抜けの悲鳴を上げながら瞬封された。
包帯を巻いた手が顎を掴んで喉を晒す。
「ゃ……やだ」
「脈が速いな……あぁゾクゾクする。痕残してぇ」
「ダメッ……は…なこ、さんに……ぉこられ、るぅ」
「……そう、だな」
言いつつも京平の唇は物欲しそうに啄んでいる。
(ぼ、防御力上げた心算でダダ下がりぃぃぃ)
こんなの嫌だと思うのに、京平を振り解けない。
嫌悪だけじゃない何かが競り上がって、彼女の四肢から力を奪い、更にはぐっと引き寄せられた腰に押し付けられた感触が、瀬里の顔から血の気を奪った。
拍動するモノの熱が擦りつけられる。
それが何なのか判らないほど無知ではない。これでも一応医者の娘だし。
瀬里を拘束していた腕が弛み、逃げるなら今だと思うのに足が動かない。
(! どうして!?)
軽い眩暈を覚えて払い飛ばす様に頭を振る。
京平の手がゆっくりと移動して行き、下腹に円を描きながら囁いた。
「この奥、俺の形に作り変えて、枯れるまで注ぎてぇ。俺なしじゃ居られなくしてやりてぇ」
顎を掴んでいた手が喉を滑り、指先が鎖骨の上を伝う。
「早く堕ちて来い。訳が分からなくなるくらい愛して乱れさせてやるから」
「ゃ……だ……ぁっ」
胸の尖端にチリっとした痛みが走った。なのに電気のような、彼女の知らない痺れもあって、瀬里は眉間をギュッと絞る。
混在するものが何なのか、考えたくもなかった。
「俺のを咥えこんで善がり啼く瀬里が見たい」
お腹周りが弛んだ。そう認識した次には、京平の大きく熱い手がジーンズの中に忍び込む。節くれだった指先がその様相とは対照的な優しさで、下着の上から掠めるように秘裂を撫でる。瀬里が小さく震えながら「むりぃ」と漏らした瞬間、京平の指先は秘裂の上部を押し込むようにして小刻みに揺れ始めた。
ビクビクビクッと躰が大きく戦慄いた。
膝が落ちる。
瀬里は咄嗟に流しの縁に指を掛け、包帯の手が彼女の腰を支えた。
「感度良好。このまま指で達かせてやろうか?」
「や……やだやだやだ…ぁ……っ」
「でも気持ちいいんだろ?」
「きっ……きらい……あんたなんて……んっ…ぁ……だいっきらい」
敏感な所を指先で嬲られ、意識が混濁しそうな感覚に怯え、泣きそうになりながらも悪態を吐く。けれども京平は喉を鳴らして笑っていた。
「くくっ……その減らず口も俺を煽り立てるって、知ってるか?」
「も、お家帰るーぅ」
「帰すかよ。やっと引き込んだのに」
「やだやだ帰りたいぃ」
「帰さない。帰したくない」
「きょへのばか――――ぁ!」
「やっぱ一度達っとくか」
「っ…ふぁ……や…んんっ」
流しの縁を掴んだ瀬里の指先に力が篭る。
項垂れ、肩をしならせ、唇をきつく噛んだ。
京平の指が緩急を付けながら花芽を嬲り、腰に得も言われぬ震えが齎された。
自分ではどうにもならない感覚と感情が、躰中を駆け巡る。
生温かいものがトロリと溢れて下着を濡らし、瀬里の不安を掻き立てた。脚の震えも止まらないし力が入らない。
京平に支えられて漸く立っていられる。
「や……こわい」
平時であれば、京平なんかに絶対漏らさない言葉が衝いて出た。すると彼は小さく笑い「怖くないから、俺にすべて委ねて」と耳朶にキスをする。チロリと舐めることも忘れない。
躰の震えがだんだん激しくなり、なのに爪先は突っ張るほど力が篭る。お腹の奥では気が変になってしまいそうな大きなうねりが巻き起こる。
何かが来る――躰の訴えに心が強張りそうになった時だった。
ピンポ――――ン
耳慣れた電子音が遠くに聞こえた……ような気がすると、朦朧とした頭で考える。すると背後から盛大な舌打ちが聞こえた。
「チッ! いい所で時間切れか」
そう言ってからの京平は、まるで潮が引いて行くような潔さだった。瀬里があれほど拒否しても、我欲を貫いたと言うのに。
京平は手早く瀬里の身なりを整え、抱き上げたかと思えば小走りで先程の応接間に運んだ。畳に座らせてから瀬里の荷物を引き寄せて着替えを勧めると、彼は再び鳴ったチャイム音に「はいはい。今出るよ」と答えながら部屋を出て行った。
襖がパシッと音を立てて閉まった瞬間、瀬里はふにゃりと畳の上に崩れ伏し、「むり」と呟くとくすんと鼻を啜った。
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故意ではなかったにせよ。
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はっきり言って気は進まないが、自分の責任を果さない事で弱みを握られたり揚げ足を取られたくない一心で、家の中を案内して貰うことにした。
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心の中でぐっと拳を握ったのだが……。
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そして、折角奮い立たせた心が現実を前にポキッと折れた。
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ハッと慌てて周囲を見回せば、六畳ほどある台所だった。
ダイニングテーブルが目に留まる。
正確に言うと、テーブルの上に積み重ねられた物体に目が釘付けになった。
複数の寿司桶と、複数の丼鉢。
(二日間の、一人の食事量にしては多くないか?)
ざっと見ただけでも十数人分くらい有りそうだ。
(……しかも、汚れがカピカピになってこびり付いてやしませんか?)
京平の手を振り解いて器を確認した瀬里は、額をべしっと叩いた姿勢のまま暫し固まった。
せめて、水につけて置いて欲しかった。
「これでも散らかさなかった方だろうな」
「はぃい!?」
「一応親父なりに、瀬里に気を遣ったんだと思うぞ。俺が相手なら容赦なく散らかしているだろうよ。学校行事で数日でも家を空けるのが恐ろしいくらいだからな」
「これで?」
「これで」
「アンタ入院前から暫く帰っていなかったの?」
そう聞きたくなるだけの数が積み重なっている。
瀬里が顔を引き攣らせていると「いいや」と苦笑しながら、京平は汚れ物を流しに運び始める。瀬里は自分の存在理由を思い出し、慌てて京平に倣って汚れ物を運び始めた。
「こんなのは日常茶飯事だからな。気が付けば編集が脱稿するまで住み込んでいる事もあるから」
「ならその編集さんたちに食べた物を片付けて貰うべきなんじゃ」
「偏屈者が嫌がるからだよ。扶養家族の仕事を取るなってな。俺だって稼いでるっつーの」
「稼いでるって言ったって、どうせバイトでしょ?」
「家事手伝い、か? 親父が趣味で始めて俺に丸投げしたイタリアンバルの管理と、店に立てばかなり売り上げに貢献しているぞ。変な輩は叩き出すしな」
「用心棒かっ」
頭の中で悪徳商人が『先生! お願いします!』と言っている時代劇のシーンが再生されて、貧困な想像力に思わず眉間に皺が寄る。
お湯に浸かって潤かされた汚れを偶に爪でカリカリ引っ掻きながら洗い落とし、水切り籠に伏せて行き、第二陣に着手する。その傍らで京平が器を拭きながら、
「新婚みたいだな」
「巫山戯たことを」
「何れはそうなる。今は予行演習みたいなもんだろ?」
「わたしは単なる家事手伝いでございます」
「そのツレなさが堪らん。が、いつでも俺に堕ちて来い」
妖しい光を双眸の奥に揺らめかせ、唇の片端を上げて笑う。
ねっとりと絡みつくような空気に瀬里の肌が粟立った。ぶるりと躰を揺らす。
「じょーだん」
「な訳ねえの分かってるだろ?」
「わかんない」
どうして此処まで執着されるのか、知ったら引き返せないような気がして、いつも訊くのを躊躇ってしまう。
初めて会った時の瀬里の何が京平の琴線に触れたのか。
気になるけれど、知りたくない。
(初対面でいきなり髪引っ張るとか、有り得ないでしょ)
当時の光景が頭を掠め、瀬里は頭を振って打ち払う。短くなった髪が襟足を擽った。
その感触がどうにも慣れない。
(うーん。むず痒い)
手が濡れているから掻きたくても掻けないでモゾモゾしていると、ひたりと何かが貼り付いた。「ひっ」と声を漏らし、反射的に首を竦めようとして、阻んだソレが生温かいことに気付く。
ぬるりと蠢いた。
寿司桶が手元を離れてゴトッと音を立てる。
気が付けば瀬里は京平の腕の中に囚われ、蠢くものは首筋をなぞり上げた。ゾクゾクッと身震いする。
(ゆ…油断した! 京平の隣で考えに耽るなんて……っ)
蠢くものの正体に気付いて身を捩るが、京平の唇が離れて行くことはなく、舌がぬらぬらと這い回る。
腕ごと拘束されて上半身の自由が利かない。ならば自由になる足でとアクションを起こそうとしたのだが、
「ぅひゃ――――ッ!」
頸動脈の上に歯が立てられて、間抜けの悲鳴を上げながら瞬封された。
包帯を巻いた手が顎を掴んで喉を晒す。
「ゃ……やだ」
「脈が速いな……あぁゾクゾクする。痕残してぇ」
「ダメッ……は…なこ、さんに……ぉこられ、るぅ」
「……そう、だな」
言いつつも京平の唇は物欲しそうに啄んでいる。
(ぼ、防御力上げた心算でダダ下がりぃぃぃ)
こんなの嫌だと思うのに、京平を振り解けない。
嫌悪だけじゃない何かが競り上がって、彼女の四肢から力を奪い、更にはぐっと引き寄せられた腰に押し付けられた感触が、瀬里の顔から血の気を奪った。
拍動するモノの熱が擦りつけられる。
それが何なのか判らないほど無知ではない。これでも一応医者の娘だし。
瀬里を拘束していた腕が弛み、逃げるなら今だと思うのに足が動かない。
(! どうして!?)
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京平の手がゆっくりと移動して行き、下腹に円を描きながら囁いた。
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顎を掴んでいた手が喉を滑り、指先が鎖骨の上を伝う。
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「ゃ……だ……ぁっ」
胸の尖端にチリっとした痛みが走った。なのに電気のような、彼女の知らない痺れもあって、瀬里は眉間をギュッと絞る。
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お腹周りが弛んだ。そう認識した次には、京平の大きく熱い手がジーンズの中に忍び込む。節くれだった指先がその様相とは対照的な優しさで、下着の上から掠めるように秘裂を撫でる。瀬里が小さく震えながら「むりぃ」と漏らした瞬間、京平の指先は秘裂の上部を押し込むようにして小刻みに揺れ始めた。
ビクビクビクッと躰が大きく戦慄いた。
膝が落ちる。
瀬里は咄嗟に流しの縁に指を掛け、包帯の手が彼女の腰を支えた。
「感度良好。このまま指で達かせてやろうか?」
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「でも気持ちいいんだろ?」
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敏感な所を指先で嬲られ、意識が混濁しそうな感覚に怯え、泣きそうになりながらも悪態を吐く。けれども京平は喉を鳴らして笑っていた。
「くくっ……その減らず口も俺を煽り立てるって、知ってるか?」
「も、お家帰るーぅ」
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「やだやだ帰りたいぃ」
「帰さない。帰したくない」
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流しの縁を掴んだ瀬里の指先に力が篭る。
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京平の指が緩急を付けながら花芽を嬲り、腰に得も言われぬ震えが齎された。
自分ではどうにもならない感覚と感情が、躰中を駆け巡る。
生温かいものがトロリと溢れて下着を濡らし、瀬里の不安を掻き立てた。脚の震えも止まらないし力が入らない。
京平に支えられて漸く立っていられる。
「や……こわい」
平時であれば、京平なんかに絶対漏らさない言葉が衝いて出た。すると彼は小さく笑い「怖くないから、俺にすべて委ねて」と耳朶にキスをする。チロリと舐めることも忘れない。
躰の震えがだんだん激しくなり、なのに爪先は突っ張るほど力が篭る。お腹の奥では気が変になってしまいそうな大きなうねりが巻き起こる。
何かが来る――躰の訴えに心が強張りそうになった時だった。
ピンポ――――ン
耳慣れた電子音が遠くに聞こえた……ような気がすると、朦朧とした頭で考える。すると背後から盛大な舌打ちが聞こえた。
「チッ! いい所で時間切れか」
そう言ってからの京平は、まるで潮が引いて行くような潔さだった。瀬里があれほど拒否しても、我欲を貫いたと言うのに。
京平は手早く瀬里の身なりを整え、抱き上げたかと思えば小走りで先程の応接間に運んだ。畳に座らせてから瀬里の荷物を引き寄せて着替えを勧めると、彼は再び鳴ったチャイム音に「はいはい。今出るよ」と答えながら部屋を出て行った。
襖がパシッと音を立てて閉まった瞬間、瀬里はふにゃりと畳の上に崩れ伏し、「むり」と呟くとくすんと鼻を啜った。
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