悪女と呼ばれた私は静かに微笑む

時雨 琉樹

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契約主の証

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15歳の春。優しい彼は何度も同じことを聞いてきた。

「じゃあ契約を始めるよ…
ルファーナ…本当にいいのか?
この契約をしてしまったら
永遠に誰とも結ばれないんだよ?」

シャードルは真っ白な髪の毛をぐしゃぐしゃにしながら聞いてきた。
彼はやはり血の聖女の契約をすることを悩んでるようだ。

優しい彼らしい…。

「うん…分かってるよ。」

シャードルを見つめ彼の頬を撫でながら言葉を続けた。

「心配してくれてありがとう。大丈夫…それに私は1人ではないよ。
シャードル、貴方が居てくれるから。」

シャードルは自分の真っ白な羽を弄りながら暫く考え込み重い口を開いた…。


「分かった…。ルファーナの力は世界の破滅を導けるものだ。それは分かってる?」

私はもちろんと首を頷き伝えた。

「私は世界の破滅とかどうでもいいよ。
だからマラートの囁きには応えない。」

シャードルは決意したようだ。

「それでは契約の儀式を始めよう。」

「契約の儀式は何をするの?」

「俺とルファーナの手首をこのリヴァイアサンノドラゴンの鱗を削って作ったナイフで斬り合ってその血を啜るんだ。」

「それだけなの?なんか簡単だね。」

「異種族との契約なんてそんなものだろ。」

シャードルは笑った。

とても優しい笑顔で天使の様だ。

そして儀式は始まった。

互いの手首を斬り合って血を啜り終わるとシャードルは静かに唱えた。

「契約主血の聖女ルファーナ
 契約者マラートの名のもとに悪魔シャードル。この血の交わりと共に契約を結ぶ。」

その瞬間私の右肩に時計の印章が浮かんだ。シャードルがいうにはこれが契約主の証だそうだ。  それは聖女と悪魔を結ぶものにしては余りにも綺麗な証だった…。

夜が明けるのが近くなりシャードルは
闇に帰る時間だ。

シャードルは私に尋ねた。

「どうしてこんなにも残酷な世界を取っておくことにしたんだ?ルファーナなら天地創造も可能なのに」

凄く気になって居たのか質問した表情があどけなくて可愛らしかった。

「え、なんでかって?」

今にも消えそうな彼を見つめて言った。

「だって世界を滅ぼしたくらいじゃ
私の欲しいものは手に入らない。」


だって私の欲しいモノは…


「ほら、夜が明けたよ。シャードルは帰らないとでしょ」



シャードルは残念そうに闇へ帰っていく。

「そうだね…」


嗚呼、また、くだらない1日が始まる。


まぁ、この契約印が有効な限りヤツは
手は出せないだろうけど…。

そんなことより、さぁ、新しい存在の

『血の聖女』を共に演じて行こう。
ねぇ、シャードル?

     「…………………あぁ。そうだな。」

右肩の証は静かに答えた。

彼はシャードルは白い髪と白い翼を持った優しく美しい悪魔だった。

恐らく聖女と悪魔が契約するなんてことあってはならないから神殿側が事実をもみ消し方法がないと言い伝えてきたのだろう。

そんな悪魔の彼と契約したのは


桜が舞い散りその美しさを嫉妬する
太陽が空を照らす朝のことだった。

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