ミックスブラッドオンライン・リメイク

マルルン

文字の大きさ
22 / 49
始まりの森編

森の精霊からの依頼2

しおりを挟む


 敵の気配はすぐに察知出来た、さっきも目にしたけど戦えなかった海辺のモンスター達だ。まずは大きなフナムシ、形状は気持ち悪いがそんなに強くは無い感じ。
 ついでにイソギンチャク型の、待ち伏せタイプの敵も何匹か始末して行く。コイツの水弾飛ばしは、魔法扱いなのか当たると凄く痛い。

 近付き過ぎると触手でまとわり付かれるし、水系の敵の中では厄介なカテゴリーに入るかも。まぁ、数が少ないのが唯一の幸いだろうか。
 初見の敵で言えば、死霊系の骸骨スケルトンには驚かされた。やけにリアルな外観なのもあったけど、装備がしっかりしてるので攻撃力が見た目に反して高い。

 こちらとしては、隙間だらけの形状に短槍で攻撃する気にはまるでなれない。ただし、棍棒の殴り攻撃はすこぶる効果が高かった。
 さすが相手は骨である、HPもそこまで高くは無いし防御力は低い感じ。そして時折落とす、矢束や錆びた鉄の斧などの装備品が微妙に嬉しい。

 いや、攻撃力や耐久値は本当に微妙な感じだけど。それでも販売店の無いこのエリアでは、予備になり得る装備品のドロップは貴重ではある。
 矢束も同じく、もし弓矢を使う機会があれば補充は有り難い筈。ただし予備に使えるかもと言う装備品も、鞄を圧迫して何とも大変ではある。

 どこかに一時預けられないかな、安全地帯の着ぐるみとは意思疎通が不可能でアレだけど。前にも言ったが、初期用の鞄は容量がとにかく少ないのだ。
 内心で文句を並び立てながら、頼りない松明の灯りで探索は続く。そんなに広くない筈と思っていた洞窟も、奥に進むにつれて段々と幅も高さも広くなって来た。

 足場もゴツゴツ岩が転がっていたり、潮溜まりがあったりして恐い事このうえ無い。それでもめげずに進んで行くと、洞窟は次第に上り坂になって来た。
 しかも探し回っていた蝙蝠こうもりモンスターに遭遇、ひょっとして他にも出入り口が? まぁ、別段閉じ込められている訳でも無いし、いても不思議は無いのかも。

 帰りも元来た道を辿れば良いのだ、森の精霊の依頼が無事に済んだらの話だけど。とにかくコウモリ討伐クエも、何とか無事に終了の運びに。
 コイツ等も変則的に飛び回って回避力が高かったけど、攻撃力は記述する程のモノでは無かった。数こそ多くて倒すのに手間取ったけど、逆に言えはそれだけだった。

 ドロップに関しても、皮膜や牙とか使い道の分からない物ばかり。何にせよ、受けていたクエも達成出来て胸のつかえも1つ取れた感じ。
 暗くてジメジメした洞窟探索も、少しだけ光明が差した気さえする。遭遇するモンスターも適正範囲内だし、恐れてた程の難易度でないのは有り難い。

 後はさっさと受けた依頼を果たせば、この暗い場所から脱出できるって寸法だ。最終的に倒すべき敵が、どんな奴なのか不明なのが少々怖いけど。
 この海辺の洞窟に入って、既に20分程度が過ぎただろうか。敵を倒しながら進んで行くと、間もなくして生臭い空気と共にそこそこ広そうな部屋に辿り着いた。

 妖精のファーも緊張してるし、間違い無く何かボス的な存在がいる。姿勢を低くして辺りを窺うと、さっきの大猪ほどの背丈の物体が数匹揺らめいているのが見えた。
 軟体生物のようだが、コレは何だろう?

 海に潜む軟体生物と言えば、クラゲとかアメフラシとか色々存在するけど。それが混在したような、不思議な物体と言うか生き物ではあるようだ。
 一番気味が悪いのが、プヨプヨした表面に浮かぶ醜い顔である。数匹いるけど、全部顔の存在する位置が違うのは何故だろう……?

 顔立ちがほぼ一緒に見えるコイツ等が、恐らく森の精霊の言っていた“よどみ”なのだろう。見た感じキモいし、これを退治するのに何の躊躇ためらいも浮かばない。
 そんな訳で殲滅せんめつ開始である、棍棒片手にレッツゴー!



 不気味な敵の群れも、即座にこちらに反応して来た。案の定と言うか、向こうは移動は凄く鈍くてこちらの攻撃の良い標的でしかない。
 ただし触手っぽい攻撃の、範囲は意外と広いみたいで少し厄介かも。更に毒霧なのか、紫色のナニかを周囲に振り撒いて来る奴もいる。

 ついでに言うと、表皮に浮かぶ不気味な顔が、何やら呪文の詠唱を始めている奴も数匹。やっぱりそれは魔法だったみたいで、強烈な水の飛沫があちこちから飛んで来た。
 避けれない俺は、敢えてその場に留まる事を選択する。その見返りにと、数匹のタゲの中央で意地と根性の《ブン回し》を敢行してやった。

 その甲斐あって、3匹が範囲内に入った模様……平均で約4割程度ずつHPを削れた。ちなみに明かり取りに持っていた松明は、近くの岩の上に放り捨てている。
 幸い火が消える事も無く、悪い視界が更に悪くなる事態は防げていて良かった。さて、好位置をキープしている間に、次なる範囲技を披露しようか。

 とか思っていた矢先、2番目に近くにいた『海カーズ』なる名前の敵が、急に舌を伸ばして来た。思わず退避行動を取った俺だが、その舌の戻りに何か気になる変化を発見。
 ファーさんっ、ナニからめ取られちゃってるんですかっ!? どうも俺の後ろに陣取って観戦していた妖精が、不慮の事故に巻き込まれてしまった模様。

 こちらは大慌てで、相棒の妖精の救出へと向かう事態に。そんな訳で、複数の敵を掻き分けての、ファーを呑み込んだモンスターに一直線に駆け寄って行く。
 そして焦っていたせいで、周囲からの一斉攻撃をモロに浴びてしまった。代わりに、狙い澄ましての背中? への一撃で、何とかファーは生きたまま吐き出された。

 ホッとしたのも束の間、モンスターの群れのど真ん中と言う危険領域に、俺は期せずして踏み込んでしまっていた。バタンQのファーを拾い上げ、とにかくこの状況を切り抜けようと必死に脳内で策を練る。
 幸い相手の海カーズは、俊敏性は皆無に等しいのは分かっている。毒霧は甘んじて受けて、触手と舌飛ばしは何とか躱《かわ》して行く方向で。

 ってかこの位置ならば、足元に玉を放るだけで範囲攻撃が可能な気が。この水晶玉だが、幸いにも自身にはダメージが来ない事は実験済みである。
 それより先に、棍棒を振り回そうかと心の中で暫し逡巡しゅんじゅんしていると。それに先んじて、前後の敵から手足を縛る特殊攻撃がやって来た。
 不味い、これはさっきファーも喰らった舌飛ばしだっ!?

 あんなに警戒してたのに、何て事だ……ってか、何気に毒霧の中にいたのでダメージが重なっている。体力はいつの間にか半減、そして未だに敵の1匹も倒していないと言う。
 これはピンチかも、このまま動けずタコ殴りに遭えばアバターロス必至。考えている暇は無い、俺はファーを懐に放り入れてズボンのポッケから雷の水晶玉を取り出す。

 そして密集地帯の地面に向かって、まずは一投目を思い切り投げ落とす。ってか、反対側の腕は長い舌に絡め取られて動かせないんだけどね。
 雷の放電が四方に飛び散ると、その束縛もふわっと緩やかになった。強引に抜け出して暴れる様に棍棒を振るうと、数匹の海カーズは呆気無くぺしゃんこに。

 それから一旦危険フィールドから退避して、俺はパウダーを使用してHPを回復する。これでもう負ける気はしない、後は順繰りに倒して行くだけ。
 実際は向こうの毒霧の乱打で、敵を倒し切った時の俺の体力も相当ヤバかった。しんどかったのは暗闇の中での戦闘もそう、多少の灯りだけではやはり神経を使う。

 それでも苦労して倒した甲斐はあった、コイツ等はレア種でこそ無かったけど経験値はそこそこ美味しかった。つまり見事にレベルアップ、何と今日3度目である。
 洞窟も無事クリア出来たし、依頼達成で何よりだ。


 そうそう、ファーもぬめっと湿っているけど、別に怪我の類いは無かった。周囲の安全を確認すると、モソモソと俺の懐から出て来て飛び立とうと頑張っている。
 思わず不憫ふびんに感じてしまって、服の袖で滑りを取ってやると。濡れたネコの様に大人しくされるがまま、まぁ現状は似たようなモノなんだろう。

 それより今回のドロップは、変なアイテムばかりで思わず首を傾げてしまった。光る貝殻とか珊瑚の欠片とか、軟体生物の核とか闇の水晶の欠片とか。
 換金用のアイテムなのか、それとも合成用の素材なのかすら分からないと来ている。後でまとめて、琴音に訊いてみる事にしよう。

 さっきのメールで、用途の分からないアイテムとか変なスキルを拾ったら、ゲーム内の撮影機能を使って後で見せてくれと指示された。
 なるほど、それだとリアル世界の暇な時間に、まとめて質問出来て便利だ。さっき信じて貰えなかった称号も、の機能を使って見せ付けてやるつもり。

 それよりやっと復活した妖精のファーが、嬉しそうに洞窟内を飛び回っている。自ら淡く発光して、まるで蛍みたいでちょって綺麗で癒される。
 まぁ元気になって良かった、こんなおっちょこちょいでも大切な相棒だしな。そんな妖精が、ふっと何かに気付いたように一瞬空中で停止した。

 おやっと俺も、思わずファーの見ている方向を見つめてみるけど。暗い洞窟内だけあって、当然ながらまるで何があるのか見当もつかない有り様。
 松明をかかげてみるけど、もっと近付かないと何の役にも立ちそうにない。その内、ふっと光を放っていたファーの姿が消えてしまった。

 さっきの顛末もあるし、俺は焦って彼女の名前を大声で呼んでみる。すると洞窟の天井近くから、再び淡い光が勢いよく飛び出して来た。
 どうやら横道か何かを発見したらしい、ここからは全く見えやしないけど。妖精はひたすら無邪気に、コッチも進めるよと空中で小さな指で指し示している。




 ――はてさて、その奥には何が待ち構えているのやら?




 名前:ヤスケ   初心者Lv7   種族:ミックスB

筋力 17     体力 18     HP 55(+5)
器用 18     敏捷 16(+2)  MP 41
知力 14     精神 14(-4)  SP 39
幸運 14(+8) 魅力 6(+3)  スタミナ**

職業(1):『新米冒険者』Lv7
武器(3):《ブン回し》《落とし突き》《》
補正(3):《投擲威力20%up》《》《》
武器:弓矢1P
  :短剣1P
  :短槍4P《落とし突き》
  :両手棍4P《ブン回し》
  :投擲4P《投擲威力20%up》
魔法:『闇』(4)《Dタッチ》
種族:『ミックスB』(幸運+2、魅力-1)
称号:『蝶舞』『猪突』
スキルP:6


 ***『新米冒険者』ヤスケ 装備一覧***

武器 :粗末な手製の木槍(3)  攻+3
武器2:粗末な木の棍棒(4)  攻+4(両手時+6)
予備 :研ぎ直した粗末な石斧(3)  攻+4(投擲可)
盾  :粗末な木の盾(3)  防+2
頭  :犬獣人の兜(4)  防+3
上着 :質素な狼皮ベスト(5)  防+5
アクセ:妖精(-)  防+0、幸運+6、魅力+4、精神-4
指輪1:耐魔の指輪(2)  耐魔20%
腕  :粗末な革の腕輪(2)  防+1
下肢 :疾風のズボン(8)  防+7、敏捷+2
靴  :粗末な革の靴(2)  防+1
鞄:魔法の鞄(初心者用)
アイテム:ポーション(大)、ポーション(小)×2、毒消し×2、マナポ×3
    :風の術書、《風の茨》、雷の術書、潤いの蜂蜜×3、魔石(小)×3
    :蛇の皮、蛇の牙、大猪の牙、大猪の毛皮、虹色の果実×2
    :木編みの鳥籠、料理キット、冒険者セット、《地図形成》《水中呼吸》
    :水の術書、薬品箱






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

親がうるさいのでVRMMOでソロ成長します

miigumi
ファンタジー
VRが当たり前になった時代。大学生の瑞希は、親の干渉に息苦しさを感じながらも、特にやりたいことも見つからずにいた。 そんなある日、友人に誘われた話題のVRMMO《ルーンスフィア・オンライン》で目にしたのは――「あなたが求める自由を」という言葉。 軽い気持ちでログインしたはずが、気づけば彼女は“ソロ”で世界を駆けることになる。 誰にも縛られない場所で、瑞希は自分の力で強くなることを選んだ。これは、自由を求める彼女のソロ成長物語。 毎日22時投稿します。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

転生大賢者の現代生活

サクラ近衛将監
ファンタジー
 ベイリッド帝国の大賢者として173歳で大往生したはずのロイドベル・ダルク・ブラームントは、何の因果か異世界のとある若者に転生を遂げた。  ロイドベルの知識、経験、能力、更にはインベントリとその中身まで引き継いで、佐島幸次郎として生き返ったのである。  これは、21世紀の日本に蘇った大賢者の日常の生活と冒険を綴る物語である。  原則として、毎週土曜日の午後8時に投稿予定です。  感想は受け付けていますけれど、原則として返事は致しませんので悪しからずご了承ください。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

スラム街の幼女、魔導書を拾う。

海夏世もみじ
ファンタジー
 スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。  それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。  これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

処理中です...