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番外編?「悪役令嬢はお菓子作りに夢中です」
ルイスの失恋と決意
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アリアーナを好きだと理解した瞬間、僕は絶望した。
何故ならアリアーナは、兄であるクリスの婚約者なのだ。王族として、好きという感情だけで将来の相手を決めてはいけないのはわかっているつもりだ。きっと、アリアーナとクリスの婚約にも何か理由があるんだろう。
ただ、僕とは絶対に結ばれることはない。アリアーナがクリスの横にいるのをずっと見続けなければいけない。それは、恋を知ったばかりの子供には酷な事だった。
思わず眉間にシワが寄りそうになるのを我慢し、お菓子の美味しさで気分を誤魔化す。すると、また頬が緩む。それ程までにこのお菓子は美味しかった。
「美味しかったです!はじめて見るお菓子でしたが、今まで食べてきたお菓子の中で1番です!こちらはどちらの国のお菓子なんですか?」
とにかく自分の気持ちには蓋をしよう、そう思いお菓子の話題をふると、父は少しニヤつき、ロゼリウス公爵は困った顔をし、アリアーナは真っ赤になっていた。
訳が分からず首を傾げていると見かねたロゼリウス公爵が答えてくれた。
「こちらは、娘のアリアーナが作ったものです。・・・唐突に思いついたと作り出し、どうしても先日のお詫びを持っていくと言って聞かないのでね。」
「お父様っ!それは、言わないでくださいと約束したではありませんか!」
アリアーナがとても恥ずかしそうにロゼリウス公爵に詰め寄るが、僕の頭の中はそれどころではなかった。
このお菓子をアリアーナが作ったと言うのだ。
信じられない。
貴族の令嬢が料理をすると言うだけでも信じられないのに、それが見た事もないほど綺麗で、食べたことがないほど美味しいのである。せっかく蓋をしたばかりなのに、更にひとつアリアーナの好きなところを増えてしまい途方に暮れる。
そして、負けたと思った。
先程の挨拶の完璧な所作、最後の方は年相応なところも見せたが僕らはまだ5歳だ。これから、アリアーナはどんどん素敵な令嬢になっていくのだろう。
それに加えてこの料理の腕、顔も天使のように可愛いし、天は二物を与えずって言葉をこの間の勉強で習った、王族だからといっておごってはいけないという教えのひとつだったが、それはアリアーナには当てはまらないなと思ってしまった。
その考えは、間違ってなかったのだと、のちのち思い知ることになるがまだ先のことである。
それに比べて僕はどうなんだ。
勉強は王族として、これからどんどん増えていくだろう。まだ始まったばかりなのについていけないこともある。
剣もそこまで得意ではない。
自分なりに頑張っているつもりではいた。だが、今の状態の僕をアリアーナに見せるのが恥ずかしくなる。
アリアーナを前に恥ずかしくない男になろう。
兄の横で笑うアリアーナの笑顔が曇らないように。そばで見守れる強い男になろう。
僕は新たな決意を胸にまたしっかりと気持ちへ蓋をする。
何故ならアリアーナは、兄であるクリスの婚約者なのだ。王族として、好きという感情だけで将来の相手を決めてはいけないのはわかっているつもりだ。きっと、アリアーナとクリスの婚約にも何か理由があるんだろう。
ただ、僕とは絶対に結ばれることはない。アリアーナがクリスの横にいるのをずっと見続けなければいけない。それは、恋を知ったばかりの子供には酷な事だった。
思わず眉間にシワが寄りそうになるのを我慢し、お菓子の美味しさで気分を誤魔化す。すると、また頬が緩む。それ程までにこのお菓子は美味しかった。
「美味しかったです!はじめて見るお菓子でしたが、今まで食べてきたお菓子の中で1番です!こちらはどちらの国のお菓子なんですか?」
とにかく自分の気持ちには蓋をしよう、そう思いお菓子の話題をふると、父は少しニヤつき、ロゼリウス公爵は困った顔をし、アリアーナは真っ赤になっていた。
訳が分からず首を傾げていると見かねたロゼリウス公爵が答えてくれた。
「こちらは、娘のアリアーナが作ったものです。・・・唐突に思いついたと作り出し、どうしても先日のお詫びを持っていくと言って聞かないのでね。」
「お父様っ!それは、言わないでくださいと約束したではありませんか!」
アリアーナがとても恥ずかしそうにロゼリウス公爵に詰め寄るが、僕の頭の中はそれどころではなかった。
このお菓子をアリアーナが作ったと言うのだ。
信じられない。
貴族の令嬢が料理をすると言うだけでも信じられないのに、それが見た事もないほど綺麗で、食べたことがないほど美味しいのである。せっかく蓋をしたばかりなのに、更にひとつアリアーナの好きなところを増えてしまい途方に暮れる。
そして、負けたと思った。
先程の挨拶の完璧な所作、最後の方は年相応なところも見せたが僕らはまだ5歳だ。これから、アリアーナはどんどん素敵な令嬢になっていくのだろう。
それに加えてこの料理の腕、顔も天使のように可愛いし、天は二物を与えずって言葉をこの間の勉強で習った、王族だからといっておごってはいけないという教えのひとつだったが、それはアリアーナには当てはまらないなと思ってしまった。
その考えは、間違ってなかったのだと、のちのち思い知ることになるがまだ先のことである。
それに比べて僕はどうなんだ。
勉強は王族として、これからどんどん増えていくだろう。まだ始まったばかりなのについていけないこともある。
剣もそこまで得意ではない。
自分なりに頑張っているつもりではいた。だが、今の状態の僕をアリアーナに見せるのが恥ずかしくなる。
アリアーナを前に恥ずかしくない男になろう。
兄の横で笑うアリアーナの笑顔が曇らないように。そばで見守れる強い男になろう。
僕は新たな決意を胸にまたしっかりと気持ちへ蓋をする。
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