4 / 14
番外編?「悪役令嬢はお菓子作りに夢中です」
ルイスの失恋と決意
しおりを挟む
アリアーナを好きだと理解した瞬間、僕は絶望した。
何故ならアリアーナは、兄であるクリスの婚約者なのだ。王族として、好きという感情だけで将来の相手を決めてはいけないのはわかっているつもりだ。きっと、アリアーナとクリスの婚約にも何か理由があるんだろう。
ただ、僕とは絶対に結ばれることはない。アリアーナがクリスの横にいるのをずっと見続けなければいけない。それは、恋を知ったばかりの子供には酷な事だった。
思わず眉間にシワが寄りそうになるのを我慢し、お菓子の美味しさで気分を誤魔化す。すると、また頬が緩む。それ程までにこのお菓子は美味しかった。
「美味しかったです!はじめて見るお菓子でしたが、今まで食べてきたお菓子の中で1番です!こちらはどちらの国のお菓子なんですか?」
とにかく自分の気持ちには蓋をしよう、そう思いお菓子の話題をふると、父は少しニヤつき、ロゼリウス公爵は困った顔をし、アリアーナは真っ赤になっていた。
訳が分からず首を傾げていると見かねたロゼリウス公爵が答えてくれた。
「こちらは、娘のアリアーナが作ったものです。・・・唐突に思いついたと作り出し、どうしても先日のお詫びを持っていくと言って聞かないのでね。」
「お父様っ!それは、言わないでくださいと約束したではありませんか!」
アリアーナがとても恥ずかしそうにロゼリウス公爵に詰め寄るが、僕の頭の中はそれどころではなかった。
このお菓子をアリアーナが作ったと言うのだ。
信じられない。
貴族の令嬢が料理をすると言うだけでも信じられないのに、それが見た事もないほど綺麗で、食べたことがないほど美味しいのである。せっかく蓋をしたばかりなのに、更にひとつアリアーナの好きなところを増えてしまい途方に暮れる。
そして、負けたと思った。
先程の挨拶の完璧な所作、最後の方は年相応なところも見せたが僕らはまだ5歳だ。これから、アリアーナはどんどん素敵な令嬢になっていくのだろう。
それに加えてこの料理の腕、顔も天使のように可愛いし、天は二物を与えずって言葉をこの間の勉強で習った、王族だからといっておごってはいけないという教えのひとつだったが、それはアリアーナには当てはまらないなと思ってしまった。
その考えは、間違ってなかったのだと、のちのち思い知ることになるがまだ先のことである。
それに比べて僕はどうなんだ。
勉強は王族として、これからどんどん増えていくだろう。まだ始まったばかりなのについていけないこともある。
剣もそこまで得意ではない。
自分なりに頑張っているつもりではいた。だが、今の状態の僕をアリアーナに見せるのが恥ずかしくなる。
アリアーナを前に恥ずかしくない男になろう。
兄の横で笑うアリアーナの笑顔が曇らないように。そばで見守れる強い男になろう。
僕は新たな決意を胸にまたしっかりと気持ちへ蓋をする。
何故ならアリアーナは、兄であるクリスの婚約者なのだ。王族として、好きという感情だけで将来の相手を決めてはいけないのはわかっているつもりだ。きっと、アリアーナとクリスの婚約にも何か理由があるんだろう。
ただ、僕とは絶対に結ばれることはない。アリアーナがクリスの横にいるのをずっと見続けなければいけない。それは、恋を知ったばかりの子供には酷な事だった。
思わず眉間にシワが寄りそうになるのを我慢し、お菓子の美味しさで気分を誤魔化す。すると、また頬が緩む。それ程までにこのお菓子は美味しかった。
「美味しかったです!はじめて見るお菓子でしたが、今まで食べてきたお菓子の中で1番です!こちらはどちらの国のお菓子なんですか?」
とにかく自分の気持ちには蓋をしよう、そう思いお菓子の話題をふると、父は少しニヤつき、ロゼリウス公爵は困った顔をし、アリアーナは真っ赤になっていた。
訳が分からず首を傾げていると見かねたロゼリウス公爵が答えてくれた。
「こちらは、娘のアリアーナが作ったものです。・・・唐突に思いついたと作り出し、どうしても先日のお詫びを持っていくと言って聞かないのでね。」
「お父様っ!それは、言わないでくださいと約束したではありませんか!」
アリアーナがとても恥ずかしそうにロゼリウス公爵に詰め寄るが、僕の頭の中はそれどころではなかった。
このお菓子をアリアーナが作ったと言うのだ。
信じられない。
貴族の令嬢が料理をすると言うだけでも信じられないのに、それが見た事もないほど綺麗で、食べたことがないほど美味しいのである。せっかく蓋をしたばかりなのに、更にひとつアリアーナの好きなところを増えてしまい途方に暮れる。
そして、負けたと思った。
先程の挨拶の完璧な所作、最後の方は年相応なところも見せたが僕らはまだ5歳だ。これから、アリアーナはどんどん素敵な令嬢になっていくのだろう。
それに加えてこの料理の腕、顔も天使のように可愛いし、天は二物を与えずって言葉をこの間の勉強で習った、王族だからといっておごってはいけないという教えのひとつだったが、それはアリアーナには当てはまらないなと思ってしまった。
その考えは、間違ってなかったのだと、のちのち思い知ることになるがまだ先のことである。
それに比べて僕はどうなんだ。
勉強は王族として、これからどんどん増えていくだろう。まだ始まったばかりなのについていけないこともある。
剣もそこまで得意ではない。
自分なりに頑張っているつもりではいた。だが、今の状態の僕をアリアーナに見せるのが恥ずかしくなる。
アリアーナを前に恥ずかしくない男になろう。
兄の横で笑うアリアーナの笑顔が曇らないように。そばで見守れる強い男になろう。
僕は新たな決意を胸にまたしっかりと気持ちへ蓋をする。
0
あなたにおすすめの小説
私の人生に、おかえりなさい。――都合のいい「お姉ちゃん」は、もうどこにもいません
しょくぱん
恋愛
「お姉ちゃんなんだから」
――それは私を縛る呪いの言葉だった。
家族の醜い穢れを一身に吸い込み、妹の美しさの「身代わり」として生きてきた私。
痛みで感覚を失った手も、鏡に映らない存在も、全ては家族のためだと信じていた。
そんな私、私じゃない!!
―― 私は、もう逃げない。 失われた人生を取り戻した今、偽りの愛に縋る彼らに、私は告げるだろう。
「私の人生に、おかえりなさい。」
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが
水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。
王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。
数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。
記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。
リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが……
◆表紙はGirly Drop様からお借りしました
◇小説家になろうにも掲載しています
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
婚約破棄された令嬢ですが、今さら愛されたって遅いですわ。~冷徹宰相殿下の溺愛が止まりません~
nacat
恋愛
王立学院の卒業式で、婚約者の王太子に「悪女」と断罪された公爵令嬢リリアナ。
全ての罪を着せられ、婚約を破棄された彼女は、冷徹と名高い宰相殿下のもとへ嫁ぐことになった。
「政略結婚ですから、愛など必要ございませんわ」そう言い放ったリリアナ。
だが宰相殿下は、彼女を宝物のように扱い、誰よりも深く愛し始める――。
やがて明らかになる“陰謀”と、“真実の愛”。
すべてを失った令嬢が、愛と誇りをもって世界を見返す、痛快ざまぁ&溺愛ロマンス!
〈本編完結〉わたくしは悪役令嬢になれなかった
塚本 結理
ファンタジー
「返しなさい! その体はわたくしのものよ!」
ある日ルミエラが目覚めると、転生者だという女に体を奪われていた。ルミエラは憤慨し、ありとあらゆる手を尽くして己の体を取り戻そうとする。
これは転生者に人生を奪われたひとりの少女のお話。
目覚めたら大好きなアニメの悪役令嬢でしたが、嫌われないようにしただけなのに全員から溺愛されています
月影みるく
恋愛
目を覚ましたら、大好きだったアニメの世界。
しかも私は、未来で断罪される運命の悪役令嬢になっていた。
破滅を回避するために決めたことはただ一つ――
嫌われないように生きること。
原作知識を頼りに穏やかに過ごしていたはずなのに、
なぜか王族や騎士、同年代の男女から次々と好意を向けられ、
気づけば全員から溺愛される状況に……?
世界に一人しかいない光属性を持つ悪役令嬢が、
無自覚のまま運命と恋を変えていく、
溺愛必至の異世界転生ラブファンタジー。
一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!
夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」
婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。
それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。
死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。
……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。
「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」
そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……?
「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」
不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。
死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる