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番外編?「悪役令嬢はお菓子作りに夢中です」
アリアーナと謝罪のお菓子ができるまで⑨
しおりを挟む国王陛下へのお詫びにお菓子を作りたい事を伝えるとローたちは予想通り狼狽えた。
「ええええ!!!!!お嬢様が作られるんですか?????」
「もちろん、皆にも手伝ってもらうわよ?」
そう、こてりと小首を傾げるが、ローたちは納得がいってないようだ。
「いやいやいやいや、お嬢様!国王ですよ?国王陛下!国王陛下の口に入るものを我々のようなただの料理人が作るとか何言ってるんですか!」
「あなた達こそ何を言ってるの?先日のパーティの時の料理は陛下にも出せるものだったのでしょう?」
「いや、それは・・・」
まぁ、分かるけどね。貴族令嬢が作ったものを食べさす訳にはいかないと言いたくて言えないのでしょう?
確かにローたちは、わたくしのお菓子の話を聞いてくれたし、作り方も熱心にメモしていた。でも、今までわがままばかり言ってた、お菓子の作り方を知ってるはずのない貴族令嬢が、何処で知ったのかも分からない知識で、それで本当にちゃんとした食べ物ができるのか、彼らには分からないのだ。わたくしのお菓子を食べてないのだから当たり前の事だ。
わたくしがいきなりお菓子を作りたいと言い出して作り出して、公爵家で働くような一流の料理人からすると突拍子もない内容もあっただろう。ただの子供意見だとわたくしを突っぱねず好きにさせてくれた。それに、子供の突飛な発想で上手くいくこともある。実際作ってみて、良いところだけ吸収したいと思ったのかもしれない。でも恐らく彼らはお菓子を作りたいというわたくしの意見を尊重してくれたのだ。
その優しさにほっこりしつつ、作ることはわたくしの中で決定事項なので、無理やりにでも笑顔を貼り付けて話を押し通す。
「それに、陛下・・・おじ様ならわたくしが作ったと言えばおそらく不味くても食べてくれるわ。もちろん不味いものを渡す気はないからロー達にも手伝ってほしいのよ」
そもそも王弟である父が公爵を務める家の料理人の腕だ。国王陛下に出して恥になるような料理なわけがない。ただ、国王陛下は毒味もなしにものを口にしない。先日のパーティの食事には手をつけないことは最初から分かっていた。もちろんそこはロー達も了承してることだ。なので、この言い合いも本来なら無意味なんだけれど。
それに甘味好きのおじ様のことだ、おそらくわたくしがお菓子を持って行けば毒味のあと食べてくれる。ようは、何を持っていくかではないのだ。
これは、持っていくお菓子をわたくしが作りたいというただのわがままなのだ。
一方、ローたちは、今までと違う形でのわがままにどう対処したらいいのか分からないという顔をしている。
いくら一流の料理人が手伝っても素人の貴族令嬢が作ったお菓子などたかが知れている。そう思っているに違いない。いかにしてわたくしを傷つけることなく諦めさそうか考えて答えが見つからないのだろう。
ローたちは黙ったまま返事をしてくれない。そんな様子に思わずため息が漏れてしまう。
「はぁ・・・まぁ、いいわ。わたくしの力量も分からないのに、一方的にお願いしても頷けないのはわかりました!」
そう言うわたくしが傷ついているんじゃないかとおろおろする3人は本当に優しいわね。と、目を細める。
そろそろいい感じに焼けているカップケーキの入ったオーブンへ目線を逸し、頬を赤く蒸気させながら、絶対にこの話は譲らないわよと笑顔を深くする。
「美味しく焼けたカップケーキを食べながら話の続きをしましょうか?」
ローはそんなわたくしの様子にどう言おうか迷い諦めたと言うように何も言わずオーブンからカップケーキを取り出すのだった。
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素敵な作品です‼️
ヒロインちゃんも改心してまるくおさまり良かったです(* ´ ▽ ` *)
ありがとうございます
続きも書いたので良かったら読んでくださいね〜