独創スキルを手に入れたのでアダルトグッズ作ります

海月ウミヅキ

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何がどうなってこうなった。

隣には全裸の男、そして俺を挟んで、隣には全裸の男
ちなみに俺も全裸

なんだ、この状況

しかもなんか……口の中がイカ臭い
…この味、このにおいは?うそだろ?

え?まって、待て、嘘だと言って
頭がガンガンする。間違いなく二日酔いの症状
味噌汁が飲みたい、しじみの味噌汁

まずは服を着よう。うん。そしてすまし汁を作ろう。
インベントリから服を一色取り出して、左右の2人を起こさない様にそっとゆっくり一枚ずつ身に纏う

いやしかし、お二人とも立派なお身体ですね?ご子息も大変ご立派で……………よし、大丈夫だ。尻は痛くない。

昨夜の記憶を辿ってみるが、風呂を出てから思い出せない…なにも思い出せない
久々の酒でテンション上がってたんだよなあ…やらかしたか?やらかしたよな、これ

前世では一度も酒で失敗した事なんてなかったのに…!!異世界の空気?いや、この自然溢れる空気につい開放的になってしまったのか?!

終わってしまった事はもう仕方ないので、ゆっくりと起き上がり、いつも通り竈へと火を入れる。
ポチはまだ来ていないようだ


できるだけ静かに魔素水を入れた鍋を火にかけた。
二日酔いだから優しいものを食べたい…でも、あまり手間はかけたくない
なので、まだ沸騰していない魔素水に醤油、塩、こんぶ、白菜っぽい野菜、骨を除いた白身魚を纏めて入れた。まあ、それっぽい味になるだろう…しかし、眠いな…



「………身体は大丈夫か」



あくびを噛み殺していると、背後から聞こえた低い声
ゆっくりと振り返ると、そこに居たのは全裸で堂々と立つラルフレッド。目のやり場に困る

身体は大丈夫かだって?その…変な気遣いはやめて欲しい。何も無かったように振る舞ってくれ



「…服は?」


絞り出した声は、嫌にかすれていた。


「………汚れたから外だ」
「汚れたって…?」
「ああ、お前が出したもので汚れた」


いやだ、うそだろ?俺が一体何をだしたって?止めてくれ
ギギギ、と軋む扉を開けたラルフレッドが足元を見つめる。無駄にデカいその背中から俺も、ラルフレッドが見つめる先を見た。覚悟を決めて見た。

地面の上に乱雑に放り出された服。
砂と、吐瀉物にまみれる服
心なしか海の幸の香りが漂ってくる


……なるほど。


何がどうなったかは分からないが、俺がゲロをぶっ掛けて、3人仲良く全裸で寝たってこと?それだけって事?あってる?それでもあってる?
ああ、そう思うと何か…口の中のイカ臭さも、磯臭さな気がしてきた


「…ごめん、悪かった」
「…………問題ない」



いや、問題大有りだから?!

突っ立てるラルフレッドを押し退け、外へと出る。そしてインベントリから取り出した魔素水を服の塊目掛けてぶっかけた。
キラキラと煌めくエフェクト、たちまち綺麗になる服
インベントリから魔素水入りのバケツを取り出し、その中へと地面に落ちている布を入れ揉み洗い…
魔素水のお陰で充分綺麗だが、気分的に嫌だ。俺が嫌だ。
もう一つバケツを取り出し、洗った服を一度絞り、新しいバケツへと移す。念のためな、念の為。

木材で簡易的な物干しを作り、絞った服を、これまた木材で作ったハンガーにかけて、一枚ずつ干していった。今日も天気がいいからすぐ乾きそうだ。
だが、乾くまで全裸は困る。非常に困る。俺が

いつかポチが獲ってきてくれた獣からとれた毛皮。そんなに多くは残っていないので、その毛皮で腰布を作り出した


「とりあえずコレ」
「………分かった」


ずっと背後に立ってたラルフレッドへ、視線を外しながら腰布を渡した。
ゴソゴソと手早く布を巻きつけた事を確認して、小屋の中へと戻る

はあ……いい下半身だった、残念だ。
……じゃなくて!!下半身だけじゃなく、上半身だけでも十分見応えあるだろ!?
…でもなくて!!
急足でラルフレッドの横を抜けディーダの元へと行き、呑気に寝てるその男の男の部分へと、今し方作った布をかけた。


頭が痛い…
いつの間にかグツグツと煮えたぎる鍋を火から下ろし、テーブルの上へと置き、仕上げに刻んだオレンジの皮を入れる


…そういえば


「ラルフレッドは何しに来たんだ?」


昨日の俺も聞いたかもしれないが何も覚えてないので、ラルフレッドへと尋ねる
ディーダがローション売ってくれって言ってたのは覚えてるんだけどなあ…


「……森にモンスターが出た。恐らく活性期だ」
「活性期……?なんだそれ?」

「………そ、」
「どこだここ!!!!?」


ゆっくりと口を開いたラルフレッドの言葉を、大きな声が遮った
声の主は言わずもがな行商人のディーダ
寝癖でボサボサになった鼠色の髪は、朝日に照らされて僅かに銀色に輝いている。そんな髪を掻き乱しながら周りを見渡したディーダが、状況を飲み込み、全てを思い出したのか、ふっと胸を撫で下ろした


「…おはよ、ディーダ」
「あ、ああ…おはよう!なんだ!何かいい匂いがする!!」


朝から元気だな。とキョロキョロと匂いの元を探す中年男に笑いが溢れる
胡散臭いと思っていた顔だが、爽やかな朝日のせいか人懐こい顔に見えてきた…不思議だ


「食べるか?」


机の上にある鍋いっぱいに入ったスープを見て、2人に問いかけた
沢山作ったから3人で食べても余るくらいだろう


「いいのか!有り難く頂く!」
「………食べる」


ディーダが腰布を巻いたのを確認して、机の周りにある小さめの丸椅子へと2人を座らせ、インベントリから食器を取り出した
木の器にスープを入れ、それぞれの前へと並べる
フォークを手渡し、2人に食べるよう勧めながら俺もスープへと手をつけた。

まあまあの味だな…悪くはない。すっげえあっさり味で二日酔いの体に染みる

それにしても…見えてるんだよなあ
何がって、ナニが。
毛皮が少なくて短めに作ったせい…というか、この2人がデカいんだよな!全体的に!


「はああーー!うめぇー!あったまるう!!」


朝から元気なおっさんだ。
そういえば自分が作った物を人に食べてもらうのは、こっちの世界に来てからは初めてだ
ポチはいつも美味そうに食べてくれるが…まあ、犬だし


「…ところで、そっちの男前は誰なんだ?」


魚を頬張ったディーダが、フォークでラルフレッドを指しながら首を傾げた。指された本人は全く視線を動かす事なく黙々とスープを飲んでいる。

誰って…俺が寝てる間に自己紹介くらい済ましておいてくれないか?昨夜は何してたんだ?
名前も知らない野郎と2人っきりなど気まずい事間違い無しだろう
俺が間に入ってわざわざ紹介しないといけないわけか?めんどくせえ。


「えーと、こちら自称冒険者のラルフレッド。で、こちらは行商人のディーダ」
「自称冒険者ぁ?」


ディーダが不躾な目でラルフレッドを見る。それはもう、舐め回すように見る。
だがラルフレッドは何も気にせずひたすらスープを飲んでいる
凄まじいスルースキルだ

ラルフレッドには悪いが本物の冒険者かどうかを見極める術を俺は持っていないからな。
それに怪しさ満点なんだよな…無表情だし目つきも悪い…愛想無いし、無駄にデカいし……まあイケメンだけど!
顔が整ってるからこそ、無表情がより一層怖く見える


「…冒険者か、そうか」


値踏みする様に見ていたディーダだったが自分なりに納得したのか深く頷き、スープを飲み始めた。
ディーダの視線がスープへと移ると、ラルフレッドが不意に顔を上げ俺を見る


「……もう一杯いいか」
「ああ、もちろん」


言葉と共に差し出された空っぽの器

こうして美味そうに食べてもらうのは、何か嬉しくて擽ったい。悪くないな
嬉しさから来る口の緩みを抑えきれないまま、ラルフレッドへとスープのおかわりを渡す。
そこで、俺はハッ、と先程の会話を思い出した


「さっき言ってた活性期って何なんだ?」

「……ああ、それは」
「活性期?!!!本当か!!!!?」



デジャヴ。ラルフレッドの言葉をまた、大きな声が遮った


「間違いじゃないのか?!!」
「…ああ」

「だから、その活性期って…」
「それはマズイ!!早く帰らねえと!!!」

「……活性期というのは、」
「フユキ!!お前もこんな所にいる場合じゃねえ!!!」



俺は、話を遮られるのが嫌いだ。
だが前世での俺は我慢強かったし、社会人だったし、空気が読めたので、話を遮られてもにっこり笑顔で待っていた。が……ここは異世界。自由に生きると決めたのだ


「ちょっと黙れる??」
「……はひぃ…」


掴む胸ぐらが無かったから、その煩い口を塞ぐ為に片手でディーダの両頬を押しつぶした。
茶色の瞳をこぼれ落ちそうな程大きく目を開いたディーダから小さな返事が返ってくる


「で、活性期って何?」


ちょっと強く掴みすぎたか?と思い、ディーダの両頬を撫でながらラルフレッドへと問う


「……周期的に、モンスターが活性化する時期」
「う…ん?」


ちょっと説明下手すぎやしないか?
ラルフレッドからディーダへと視線をうつすと、ゴホンと咳払いしたディーダが口を開いた


「活性期とはモンスターが凶暴化し…かつ、大発生する時期と言われている。が、何をもって活性期が発生したとするか明確な基準は決まっていない。……何か根拠はあるのか?」


ディーダの茶色の瞳がラルフレッドへと向かう。小さく頷いたアイスグレーの瞳がゆらり、と揺れた


「………森の奥でダンジョンが生まれた」

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