49 / 258
~真夏のビーチバレー編 第9章~
しおりを挟む
[決着]
「はぁ・・・はぁ・・・」
ロメリア達は息を切らしながら相手を睨みつける。リティ達も息を乱しながらフォルト達を同じように睨みつけている。
陽はもう半分ほど沈んでしまって、空には星々が砂の様に輝いて見え始めていた。コートの周囲には少し離れて火が焚かれ始めてその灯りと僅かな日の光を頼りにバレーをしているという状況になっていた。ボールが上へ行きすぎると見失ってしまうので、味方に上手くパスを回す時にも高く打ち上げることが出来なくなっていた。
ケストレルが審判員の横にある点数表に視線を移す。
「20対20・・・最後の最後までもつれ込んだな・・・」
「デュースは・・・無かったよね・・・という事は・・・これが最後?」
「だな・・・次、ロメリアがサーブを打ったらもうボールは落とせねえぞ。落とせるとしたら・・・」
「相手のコートの中・・・だね。」
フォルトとケストレルは互いに顔を見合わせて静かに頷くと、ロメリアが2人に向かって檄を飛ばす。
「フォルト!ケストレル!ここが一番の踏ん張り時だよっ!死に物狂いでボールに食らいついていこっ!」
「了解!」
「おう!」
フォルトとケストレルは肺を大きく膨らませると、一気に吐き出して自身を励ます為にも大声で叫んだ。
同じタイミングでバンカーもリティとラックに声をかける。
「行くぞっ、ラック、リティ!気ィ引き締めていけよ!」
「うんっ!」
「おっけっ!」
リティとラックもフォルト達に負けない様に声を張り上げると、両チームの気合の入った声を聞いて周りの観客達も大地を揺るがすほどの歓声を上げた。ボールを持っているロメリアの手が周囲の歓声を受けて震え始める。
『落ち着いて私・・・周りの空気に支配されちゃダメ・・・』
ロメリアが呼吸を正しながらフォルトの方を見ると、フォルトは真っ直ぐにロメリアの目を見つめていた。その目はロメリアに大丈夫だと励ましているように一切の曇りのない瞳をしていた。
『そうだよ・・・私の傍にはフォルトとケストレルがいるんだよ?・・・何も怖がるような事は無いんだよ!』
ロメリアはふぅっと軽く息を吐いて手の震えを止めると、リティ達がいる方を向いて声を張り上げた。
「行きますっ!」
ロメリアは自身に喝を入れるというのも兼ねて叫ぶとボールを空へと舞い上げた。ボールは星が輝く夜空に落ちていき、そして再び世界に帰ってきた。ロメリアはその帰ってきたボールを迎え入れるように右腕を掲げると、勢いよく弾き飛ばした。ボールはネットの少し上を通って、綺麗な曲線を描いて相手コートの中へと入って行く。
「はいっ!」
リティがそのボールの着弾地点に潜り込むと、ボールをネットの傍へと打ち上げる。するとラックがボール目掛けて飛び上がり、フォルト達のコートを睨みつける。その様子を見たケストレルが短く舌を打った。
『あいつっ、2発目から打ち込んでくる気かっ!』
ケストレルはラックがボールを打ち込んでくるのを防ぐ為にその場から飛び上がった。
しかしケストレルは飛び上がるのが少し遅く、ラックが放った強烈なスパイクがケストレルのまだネットの上へと出ていない両手を通過し、フォルト達のコートへと飛び込んでいった。
「わぁぁぁっ!」
ボールがケストレルの上を通過した瞬間、ロメリアは叫び声をあげながらボールの着弾地点へと右手を伸ばして飛び込んだ。ロメリアの拳にボールが当たると、ボールは軌道を変えて横へと低く飛んでいった。
『うあああああああ!絶対取るっ!』
「ぬぁぁぁっ!」
フォルトは雄叫びを上げながらボール目掛けて頭から飛び込んでいくと、手を丸めてボールを下から力任せで打ち上げた。打ち上がったボールがネットのほんの少し上にまで接近すると、ケストレルが飛んできたボールを裏拳で反対側のコートに弾き飛ばした。ケストレルの裏拳を受けたボールはロメリアから続いてきた勢いを殺すことなくより加速する。
『やべぇ!』
ネットの近くにいたバンカーが流れる水の様にぬるりと入ってきたボールが自分達のコートの浜辺に落ちて行っているのを視認した瞬間に咄嗟に飛び込んでボールを打ち上げた。ボールはそのままネットとは反対方向へと飛んでいった。
「ラック!」
「任せろっ!」
ラックはバンカーが打ち上げるのを予期しており、飛び込む動作をした時には既に兄が飛ばしてくるであろう着地点へと走っていた。ボールが重力に従って下へと落ちて来る時には、もうその真下で安定して打ち上げる体勢を取っていたのだ。
『畜生っ!こいつら・・・あの球も取るのかっ!大会優勝経験チームはそこいらのチームとは違うってか⁉』
ケストレルが額から冷や汗を流してラックを見つめていると、ラックは落ちてきたボールを正確にネットの真上にまで打ち上げた。
「リティ!行けっ!」
「はいっ!」
リティは砂を後ろへと蹴り飛ばして一気に加速すると、ネットに飛び込んでくるかと思うぐらい前へと高く跳躍し、激しいスパイクをお見舞いした。リティの視線が彼女から見て左側にいる砂浜に倒れた状態から起き上がった瞬間のロメリアを捉えたのを見たケストレルは息が止まった。
『まずいっ!今体勢を整えたばかりのロメリアの方に打たれたらヤバいっ!』
「くっ!」
ケストレルがリティのスパイクを止めるべく、横に思いっきり飛び上がってボールを防ごうとした。
・・・だが遅かった。
激しい音と共に、ボールは真っ直ぐとロメリアを射抜く様に突き進んでいった。ロメリアはこちらに直進してくるボールを視界に入れると一瞬だけ頭の中が真っ白になり、時間が緩やかになった。
ボールがゆっくりと回転しながらこちらにやって来ているように見える。
『早く・・・早く構えないとっ!ここで落とす訳には・・・いかないっ!』
ロメリアは緩やかな意識の中で両手を組むと、腕を真下に構えてボールを迎え入れる体勢を整える。
「うおりゃぁぁぁっ!」
バァァァァン・・・と腕を思いっきり振り上げてボールを夜空に吸い込ませるように打ち上げると、ボールはすっかり見えなくなった上に、ネットとは反対方向のそれもコートから随分離れた所にまで飛んでいってしまった。
「ああっ!ボールがぁぁぁ!」
「いやぁぁぁぁぁ!ごめんなさ~いっ!」
「・・・終わったな。」
フォルトとロメリアは喉が張り裂けんばかりの叫び声を上げ、ケストレルはもう負けたとばかりに諦めムードに入っていた。フォルトがロメリアの方を見ると『やってしまった・・・』とばかりに目から光が無くなってお通夜ムードを全身から滲みだしていた。
『負けた?もう負けたのか僕達は・・・』
フォルトがそう心の中で呟くと、フォルトは激しく首を振った。
『いや!まだ負けてないっ!だってボールはまだ地面についていないじゃないか!』
フォルトは夜闇に溶け込んだボール目掛けてコートの外へと飛び出していった。
「フォルト⁉」
「おいフォルト!お前何してんだ!」
ロメリアとケストレルが走り去っていくフォルトに対して叫ぶがフォルトは一切反応を示すことなく人混みの中を蛇の様にするりと潜り抜けていく。その際にも常に空高く打ち上げられたボールに意識を向けていた。
『落としてたまるものかっ!ロメリアの行動を・・・無駄にはさせないっ!』
ロメリアは確かにこんなコートの外にまで弾き飛ばしてしまったが、彼女は彼女なりにボールを落とすまいと必死に体を動かしたのをフォルトは知っていた。もしこれでボールを落としてしまえば、ロメリア自身が自分のせいで負けてしまったのだと思い込むに違いない・・・彼女は笑顔でそのことを否定するかもしれないが、心の中ではずっと後悔し続けるかもしれない。
『折角楽しい思い出を作ろうって思ってたのに・・・ボールを落としたらロメリアが悲しんじゃう・・・悲しい顔をしたロメリアなんて・・・見たくないっ!』
フォルトの背中に電流の様な鋭い感覚が走る。
フォルトは人混みを潜り抜けて少し開けた所に出ると、ボールが風に扇がれてふらふらと宙で軌道を不安定にさせながら大体の予測地点に落ちてきた。フォルトは息を思いっきり吸い込んで体全体に酸素を行き渡らせると、落ちてきたボールを全力でコートにまで打ち戻した。
「はああああああああッ!」
体を仰け反らせながら打ち上げたボールは再び夜空に消えていくとロメリア達がいるコートへと戻ってきた。リティ達も何がどうなっているのか分かっていない様子だったので目を細めてフォルトが消えていった人混みをネット越しに見つめていた。
「どうなったのかな・・・さっきフォルト君の雄叫びが聞こえたけど・・・」
「まさか打ち返したとか無いよな?」
「まさか!ロメリアさんが打ち上げたボールはコート超えて相当向こう側にまで飛んでいったんだよ?いくらフォルト君でも届く訳が・・・」
その時、ふと上を見たラックが目を大きく開いて叫んだ。
「リティ!上だ、構えろっ!」
ラックの声を受けて咄嗟に体勢を整えて上を見ると、先程ロメリアが盛大に吹っ飛ばしたボールが夜空からネットを超えてリティの真上へと落ちてきていたのだ。リティが着地点に立っているので気がついたラックはボールを取ることが出来ず、リティに叫ぶしかなかったのだ。
「嘘でしょっ⁉あのボールを返してきたのっ⁉」
リティはあまりの動揺の余りボールを打ち上げることには成功したがそのままフォルト達のコートへと入れてしまった。
・・・そしてその瞬間をロメリアは見逃さなかった。
ロメリアはボールがネットより10㎝上位で入ってくるのを確認すると、さっきのお返しとばかりにネットに突撃するかのように飛び込んでいき、右腕を大きく振りかぶった。
『フォルト・・・ありがとう・・・』
ロメリアはフォルトの事を頭に思い浮かべながらボールを思いっきり叩き落とした。
バァンッ!というパンパンに張った皮が破けたような音が浜辺に轟くと、そのすぐ後でその音を吹き飛ばすほどの歓声が周囲から巻き上がった。
「はぁ・・・はぁ・・・」
ロメリア達は息を切らしながら相手を睨みつける。リティ達も息を乱しながらフォルト達を同じように睨みつけている。
陽はもう半分ほど沈んでしまって、空には星々が砂の様に輝いて見え始めていた。コートの周囲には少し離れて火が焚かれ始めてその灯りと僅かな日の光を頼りにバレーをしているという状況になっていた。ボールが上へ行きすぎると見失ってしまうので、味方に上手くパスを回す時にも高く打ち上げることが出来なくなっていた。
ケストレルが審判員の横にある点数表に視線を移す。
「20対20・・・最後の最後までもつれ込んだな・・・」
「デュースは・・・無かったよね・・・という事は・・・これが最後?」
「だな・・・次、ロメリアがサーブを打ったらもうボールは落とせねえぞ。落とせるとしたら・・・」
「相手のコートの中・・・だね。」
フォルトとケストレルは互いに顔を見合わせて静かに頷くと、ロメリアが2人に向かって檄を飛ばす。
「フォルト!ケストレル!ここが一番の踏ん張り時だよっ!死に物狂いでボールに食らいついていこっ!」
「了解!」
「おう!」
フォルトとケストレルは肺を大きく膨らませると、一気に吐き出して自身を励ます為にも大声で叫んだ。
同じタイミングでバンカーもリティとラックに声をかける。
「行くぞっ、ラック、リティ!気ィ引き締めていけよ!」
「うんっ!」
「おっけっ!」
リティとラックもフォルト達に負けない様に声を張り上げると、両チームの気合の入った声を聞いて周りの観客達も大地を揺るがすほどの歓声を上げた。ボールを持っているロメリアの手が周囲の歓声を受けて震え始める。
『落ち着いて私・・・周りの空気に支配されちゃダメ・・・』
ロメリアが呼吸を正しながらフォルトの方を見ると、フォルトは真っ直ぐにロメリアの目を見つめていた。その目はロメリアに大丈夫だと励ましているように一切の曇りのない瞳をしていた。
『そうだよ・・・私の傍にはフォルトとケストレルがいるんだよ?・・・何も怖がるような事は無いんだよ!』
ロメリアはふぅっと軽く息を吐いて手の震えを止めると、リティ達がいる方を向いて声を張り上げた。
「行きますっ!」
ロメリアは自身に喝を入れるというのも兼ねて叫ぶとボールを空へと舞い上げた。ボールは星が輝く夜空に落ちていき、そして再び世界に帰ってきた。ロメリアはその帰ってきたボールを迎え入れるように右腕を掲げると、勢いよく弾き飛ばした。ボールはネットの少し上を通って、綺麗な曲線を描いて相手コートの中へと入って行く。
「はいっ!」
リティがそのボールの着弾地点に潜り込むと、ボールをネットの傍へと打ち上げる。するとラックがボール目掛けて飛び上がり、フォルト達のコートを睨みつける。その様子を見たケストレルが短く舌を打った。
『あいつっ、2発目から打ち込んでくる気かっ!』
ケストレルはラックがボールを打ち込んでくるのを防ぐ為にその場から飛び上がった。
しかしケストレルは飛び上がるのが少し遅く、ラックが放った強烈なスパイクがケストレルのまだネットの上へと出ていない両手を通過し、フォルト達のコートへと飛び込んでいった。
「わぁぁぁっ!」
ボールがケストレルの上を通過した瞬間、ロメリアは叫び声をあげながらボールの着弾地点へと右手を伸ばして飛び込んだ。ロメリアの拳にボールが当たると、ボールは軌道を変えて横へと低く飛んでいった。
『うあああああああ!絶対取るっ!』
「ぬぁぁぁっ!」
フォルトは雄叫びを上げながらボール目掛けて頭から飛び込んでいくと、手を丸めてボールを下から力任せで打ち上げた。打ち上がったボールがネットのほんの少し上にまで接近すると、ケストレルが飛んできたボールを裏拳で反対側のコートに弾き飛ばした。ケストレルの裏拳を受けたボールはロメリアから続いてきた勢いを殺すことなくより加速する。
『やべぇ!』
ネットの近くにいたバンカーが流れる水の様にぬるりと入ってきたボールが自分達のコートの浜辺に落ちて行っているのを視認した瞬間に咄嗟に飛び込んでボールを打ち上げた。ボールはそのままネットとは反対方向へと飛んでいった。
「ラック!」
「任せろっ!」
ラックはバンカーが打ち上げるのを予期しており、飛び込む動作をした時には既に兄が飛ばしてくるであろう着地点へと走っていた。ボールが重力に従って下へと落ちて来る時には、もうその真下で安定して打ち上げる体勢を取っていたのだ。
『畜生っ!こいつら・・・あの球も取るのかっ!大会優勝経験チームはそこいらのチームとは違うってか⁉』
ケストレルが額から冷や汗を流してラックを見つめていると、ラックは落ちてきたボールを正確にネットの真上にまで打ち上げた。
「リティ!行けっ!」
「はいっ!」
リティは砂を後ろへと蹴り飛ばして一気に加速すると、ネットに飛び込んでくるかと思うぐらい前へと高く跳躍し、激しいスパイクをお見舞いした。リティの視線が彼女から見て左側にいる砂浜に倒れた状態から起き上がった瞬間のロメリアを捉えたのを見たケストレルは息が止まった。
『まずいっ!今体勢を整えたばかりのロメリアの方に打たれたらヤバいっ!』
「くっ!」
ケストレルがリティのスパイクを止めるべく、横に思いっきり飛び上がってボールを防ごうとした。
・・・だが遅かった。
激しい音と共に、ボールは真っ直ぐとロメリアを射抜く様に突き進んでいった。ロメリアはこちらに直進してくるボールを視界に入れると一瞬だけ頭の中が真っ白になり、時間が緩やかになった。
ボールがゆっくりと回転しながらこちらにやって来ているように見える。
『早く・・・早く構えないとっ!ここで落とす訳には・・・いかないっ!』
ロメリアは緩やかな意識の中で両手を組むと、腕を真下に構えてボールを迎え入れる体勢を整える。
「うおりゃぁぁぁっ!」
バァァァァン・・・と腕を思いっきり振り上げてボールを夜空に吸い込ませるように打ち上げると、ボールはすっかり見えなくなった上に、ネットとは反対方向のそれもコートから随分離れた所にまで飛んでいってしまった。
「ああっ!ボールがぁぁぁ!」
「いやぁぁぁぁぁ!ごめんなさ~いっ!」
「・・・終わったな。」
フォルトとロメリアは喉が張り裂けんばかりの叫び声を上げ、ケストレルはもう負けたとばかりに諦めムードに入っていた。フォルトがロメリアの方を見ると『やってしまった・・・』とばかりに目から光が無くなってお通夜ムードを全身から滲みだしていた。
『負けた?もう負けたのか僕達は・・・』
フォルトがそう心の中で呟くと、フォルトは激しく首を振った。
『いや!まだ負けてないっ!だってボールはまだ地面についていないじゃないか!』
フォルトは夜闇に溶け込んだボール目掛けてコートの外へと飛び出していった。
「フォルト⁉」
「おいフォルト!お前何してんだ!」
ロメリアとケストレルが走り去っていくフォルトに対して叫ぶがフォルトは一切反応を示すことなく人混みの中を蛇の様にするりと潜り抜けていく。その際にも常に空高く打ち上げられたボールに意識を向けていた。
『落としてたまるものかっ!ロメリアの行動を・・・無駄にはさせないっ!』
ロメリアは確かにこんなコートの外にまで弾き飛ばしてしまったが、彼女は彼女なりにボールを落とすまいと必死に体を動かしたのをフォルトは知っていた。もしこれでボールを落としてしまえば、ロメリア自身が自分のせいで負けてしまったのだと思い込むに違いない・・・彼女は笑顔でそのことを否定するかもしれないが、心の中ではずっと後悔し続けるかもしれない。
『折角楽しい思い出を作ろうって思ってたのに・・・ボールを落としたらロメリアが悲しんじゃう・・・悲しい顔をしたロメリアなんて・・・見たくないっ!』
フォルトの背中に電流の様な鋭い感覚が走る。
フォルトは人混みを潜り抜けて少し開けた所に出ると、ボールが風に扇がれてふらふらと宙で軌道を不安定にさせながら大体の予測地点に落ちてきた。フォルトは息を思いっきり吸い込んで体全体に酸素を行き渡らせると、落ちてきたボールを全力でコートにまで打ち戻した。
「はああああああああッ!」
体を仰け反らせながら打ち上げたボールは再び夜空に消えていくとロメリア達がいるコートへと戻ってきた。リティ達も何がどうなっているのか分かっていない様子だったので目を細めてフォルトが消えていった人混みをネット越しに見つめていた。
「どうなったのかな・・・さっきフォルト君の雄叫びが聞こえたけど・・・」
「まさか打ち返したとか無いよな?」
「まさか!ロメリアさんが打ち上げたボールはコート超えて相当向こう側にまで飛んでいったんだよ?いくらフォルト君でも届く訳が・・・」
その時、ふと上を見たラックが目を大きく開いて叫んだ。
「リティ!上だ、構えろっ!」
ラックの声を受けて咄嗟に体勢を整えて上を見ると、先程ロメリアが盛大に吹っ飛ばしたボールが夜空からネットを超えてリティの真上へと落ちてきていたのだ。リティが着地点に立っているので気がついたラックはボールを取ることが出来ず、リティに叫ぶしかなかったのだ。
「嘘でしょっ⁉あのボールを返してきたのっ⁉」
リティはあまりの動揺の余りボールを打ち上げることには成功したがそのままフォルト達のコートへと入れてしまった。
・・・そしてその瞬間をロメリアは見逃さなかった。
ロメリアはボールがネットより10㎝上位で入ってくるのを確認すると、さっきのお返しとばかりにネットに突撃するかのように飛び込んでいき、右腕を大きく振りかぶった。
『フォルト・・・ありがとう・・・』
ロメリアはフォルトの事を頭に思い浮かべながらボールを思いっきり叩き落とした。
バァンッ!というパンパンに張った皮が破けたような音が浜辺に轟くと、そのすぐ後でその音を吹き飛ばすほどの歓声が周囲から巻き上がった。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【完結】巻き込まれたけど私が本物 ~転移したら体がモフモフ化してて、公爵家のペットになりました~
千堂みくま
ファンタジー
異世界に幼なじみと一緒に召喚された17歳の莉乃。なぜか体がペンギンの雛(?)になっており、変な鳥だと城から追い出されてしまう。しかし森の中でイケメン公爵様に拾われ、ペットとして大切に飼われる事になった。公爵家でイケメン兄弟と一緒に暮らしていたが、魔物が減ったり、瘴気が薄くなったりと不思議な事件が次々と起こる。どうやら謎のペンギンもどきには重大な秘密があるようで……? ※恋愛要素あるけど進行はゆっくり目。※ファンタジーなので冒険したりします。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる