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あとがきにかえて 【Making of『イシャータの受難』】
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この文章は初稿の際に書いたあとがきをベースに手を加え、“アルファポリス版”用に再々編集したものです。お暇な時にでもどうぞ。
※『物語』の世界観、余韻を崩したくない方は跳ばしてくださいね。あくまでこのページは遊び感覚です。
【宵の口】
──わしゃの名はペイザンヌ、N区にねぐらをもつ野良猫だ。
今さらなに言ってんすか。
──な、なんかこれ言わないと落ち着かないじゃん。ここから始めないと緊張するじゃん。
まあまあ師匠、アルファポリス版の『イシャータの受難』ひとまず終了ということで。日々の野良猫生活、お疲れさまです。さぞかし腹ペコでしょうから、今日はたんと飲んで食っちゃってください。
──あれ、打ち上げだよね、おまえだけなん? 女の娘とかファンの娘とかいないの?
はっはっは、なにおっぺけぺーなこと言ってんすか。夢は寝てから見てくださいね。あ、マスター、私、とりあえず生ね。
──わしゃ梅酒おかわり、あと鰹節とサバディン奴ね。
いや~、こんなに長くなるとは思ってませんでしたね。
──そだね。もともと四~五回くらいで終わる掌編くらいの予定だったもんね。
もともとコレ書き始めるきっかけって何だったんです?
──前に、仕事場で派閥とかグループなんかのいざこざがあったとかなんとかキミが言ってたでしょうに。そういうのって何だろうな? て、アレがきっかけだったような。
あれ、そうだったんですか? そういえばイシャータって飼い猫から否応なしにノラになったっていうか、いわば『新人さん』みたいなとこありますもんね。
──手探りで初めて外の世界に飛び込んで失敗したりいじめられたり……誰でもそういうことがあったはずなのに段々それを忘れていっちゃうんだよね~。でもそういう時代ってまた、そういう時にしか見えないもんってのもあんじゃん?
ギノスなんてのはノラの玄人だけど自分の埋めた食料のこと忘れちゃうっていう野良猫特有の欠点というか習性がある。でも外側から見ていた新参者のイシャータにはそういう真実が見えてたりとか。
──そうそう。
『お待ち~ 、生に梅酒ね~』
んではとりあえず乾杯ということで。
【ほろ酔い】
で、なんでこんな長くなっちゃったんでしたっけ?
──確か『佐藤』が初めて登場した回に(第5話『立派な野良猫になるために』)「この子猫がどう物語に関わってくるんでしょうね?」みたいな感想を頂いて……。
あ~ あったあった
──んで、「え?」って。「イヤ、そんなの全然考えてにゃい……」みたいな(笑)
じゃあ佐藤は本当に偶然の産物ということですか?
──そだよ。でも、せっかくこういう場で書くんだから、そういうのもアリだと思ったんよね。頂いた感想で物語が左右したりするのも面白いかなって。んで、佐藤というキャラクターができたら、今度はそろそろイシャータだけでは飽きられるかもな~という不安も出てきて。
メインにオス猫のヴァン=ブランをもってきた……と。
──最初、頭にあったのはイシャータがザンパノと闘う筋立てだったんだけどね、ジャンヌ=ダルク的な感じで。
あれ、そうなんですか? そういやザンパノってわりと早い段階で名前が登場してますもんね。
──その辺りまでくると自分でもこの先どうなるんだろ? と、さっぱりわからんかったんよね。毎回、陸地についたかと思うとすぐ次の陸地を目指して泳ぎ出すみたいな。
ちなみにイシャータの名前の由来って何なんすか? ギリシャ神話とか?
──いや、知り合いに石渡さんてのがいてね。
イシワタサン? イシャワタサン、イシャータさん? なるほど。でも捨てられるメス猫の名前なんてゲンが悪いというか……読まれたら怒られません?
──いや、怒るんだよ。怒ると恐いんだよ。だから最初にちゃんと断ったのだ。名前使ってもいい? どうしてもイシャータって響きがすごく気に入っちゃって。
OK出たんですか?
──せめて物語の中でくらいは、最後は幸せにしてくれと言い残して……。
死んだ…………と。
──いや、生きてるよ! 失礼だな、キミは!
す、すいません! んで、そのへんで白猫のギリーなんかも出てくるわけですが
──ギリー、可愛いよねっ、ねっ♪
……はいはい、師匠はギリーが大のお気に入りですからね。で、フライやらメタボチックやら急激に登場猫が増えてくる。
──前半は個人の悩みを、後半は集団の葛藤を書こうと指針が決まってきたのはその辺りだにゃ。
読んでる方が混乱しなきゃよかったんですけどねえ。
──う……そうなのだ。ありがたいことに中には相関図まで書きながら読んでくれた方もいたりして………。
キャラを書き分けられなかっただけじゃないんすかぁ?(冷)
──そ、それでも最新版ではいろいろ頑張ったんだけどなぁ。
本当ですかぁ?
──ヴァンとかも初稿では絶対に台詞の前後に “ …… ” をつけないよう決めてたんだけどね。弱さを見せない、迷いを見せないという性格を徹底したかったんだけど。でもそれだと読んでる方に共感されないかもって結構初稿に比べて台詞まわしとかも変えてみたりしたのだ。
第3章の(第29話『幼年期の終わり』)に至っては屋根の上でクローズに向かってグチグチ言ったりするシーンも新たに加えてましたもんね。
──そうとう迷ったんだけど、あれはあれでよかったのかなって。そう考えるとクローズっていうキャラにはいろいろ助けられたな~。
イシャータやギリーにはまだない女性の強さの部分っていうか母性的な強さがありますしね。唯一ヴァンが甘えても違和感がない雰囲気というか。
──ヴァンはわしゃにとって理想のオスみたいなところがあるんよね。竹を割ったような豪快な性格でユーモアがあって、かつクール。ただ、それだけだと物語が転がらないし。ああ、結局この物語ってヴァンを取り巻く連中の物語なんだなって。
完璧すぎるとはなんと羨ましい悩み……まあ、師匠には一生無縁の悩みですよね。
──そうそう、一生無縁の悩み……マスター、梅酒おかわりっ!
そんなに怒んなくても……ほーら、よーしよしよし…………
──ゴロゴロゴロ…………
【肴は炙ったイカでいい】
とはいえ黒猫のフライがあそこまで育ってくれるとは思わなかったですよね。
──そだね、ある意味一番人間らしいっていうか。
まあ、猫でなんですけどね。
──僕はフライに一番似てるかもしれないって感想をくれた人がいたんだけど、それを読んでなんかハッとしちゃったもんね。ふーんっていうか、教えられたというか。
と、言うと?
──人間って失敗した時に決まるじゃん? そこで「ああ、私なんて……」って思ってずるずる生きてゆくのか、それともそこから何かを見つけていく旅が始まるのか? たぶん、それって誰にでも訪れる大きなターニングポイントじゃね? 価値観とかの。
そんなもんですかね?
──あの感想がなければ、ラストでヴァンがお婆さんに『フライの未来』を見せられるシーンとか思いつかなかったかも。
ただの悪役で終わってた可能性もありますもんね。
──そういうところだよね、こういう場所で書いてみて勉強になるのは。読んで頂いてる方々の反応を見ながらっていうかキャッチボールをしながら書くこともできる。「ザンパノの本当の気持ちってどんなものでしょうね?」とか言われると、んじゃ、次の直しではザンパノの過去について書き足してみようかなトカ。
まあ、言ってみりゃ結局師匠一匹の力じゃ完成しなかったってことですよね。
──う、うるさいのだ!
【お酒は温めの燗がいい】
黒猫のフライの役割ってそもそも佐藤がやるはずだったって聞きましたけど。
──そうそう。佐藤がヴァンとギリーの過去を知って嫉妬の気持ちが沸き上がる。んで、ヴァンを裏切ってザンパノと共謀する。当初はそんな展開も考えてた。
ここは一番悩んでましたよね~。
──んで、ここはもう流れにまかせてみようかと。
と、言うと?
──今でも覚えてるっていうか、一番思い入れのあるエピソードなんだけど、ヴァンが犬と闘う回があったじゃん?(第24話『人間たちの言葉』)
ああ、傘を広げて。ちなみにあれ師匠、猫の格好で四つん這いになって(まあ、猫なんだけど)ジャンプ傘を寝転がせてホントに開くのかどうか実験してみたらしいけど開かなかったらしいですよね(笑) しかも真夜中に。
──ま、まあフィクションなんだしいいじゃん! それはまあいいとして……佐藤ってその前にヴァンにコテンパンに負けるんだよ。んで、すねちゃって「ヴァンにはボクの気持ちはわからんよ」とか言っちゃって。んで、ギリーとイシャータを守るため犬と闘うヴァンを見て……
で?
──物語の中では佐藤が泣きながら「ボク強くなんねん!」って約束するわけだけど、なんか書きながら不覚にも自分でもらい泣きしちゃってさぁ……。
自分がで書いてて自分で泣いてりゃ世話ないすね……そういうの一番いけないんですよ。客観的に見れてない証拠っていうか……(冷めた目線)
──ほっとけ! んで、ああ、こいつにヴァンを裏切らせるなんてできんわ……ていうかそんなことさせられないなと。
ああ、だから最終回に「少しだけフライの気持ちがわかる」と佐藤が。
──でもね、今でもあの佐藤が真顔で「ヴァン、ボクの勝ちや……」って言ってる姿をイメージしたりするのよね。それはそれで面白いかもなって。邪魔者のヴァンは死んじゃうんだけどギリーには振り向いてもらえない、そしてイシャータとは敵対することになる、みたいな……
そしたらまた別の物語になってもうちょい続いてましたね、きっと(笑)
──もっと暗くてドロドロした話がね(笑)
ちなみにヴァンとフライがクローズを巡って闘う回想シーン(第16話『傷あと』)は今回アルファポリス版で初めて書き足してみました。その描写がないのが前々からすごく気になってたもんで。
【泥酔】
映画からも結構パクってますよね。
──こ、こら、パクるとは何だパクるとは! 人聞きの悪い!
ほーら、いい子いい子、お腹なでなで、さすさす…………
──ゴロゴロゴロ…………
結局イシャータの全体的なイメージ像って裕福層から転落したけどそれでも負けてなるものかっていう『風と共に去りぬ』のスカーレットですもんね。
──そ、それはあとあと気付いたのだ。ていうか、今だったらそんなの掃いて捨てるほどあんじゃん! スカーレットは元祖ツンデレだぞ。
99曲歌ってあと1曲ってとこで去っていくというのは『ニュー・シネマ・パラダイス』(注:映画では歌は歌いません)ですし。
──あ、あれは確信犯だからちゃんと本編でもそう言ってるのにゃ!
そう考えるとヴァンにそれを提案したイシャータって何気に映画好きなのかな。小学生たちにリベンジする時はブルース・リーの真似して鼻をつまむ格好をしてみせたり……きっと御主人様と一緒によく映画見てたんだろな(笑)
──フライが堕ちていく姿は『スターウォーズ』のダース・ベイダーっていうかアナキン・スカイウォーカーみたいですしね。
ヴァンが『ゾロ』の真似して額に“ V ”のイニシャルを爪で入れるのもある(笑)
──第8話のサブタイトル “What a feeling!”は映画『フラッシュ・ダンス』の有名なテーマ曲のタイトルだし、第40話の『When you wish upon a star』はディズニーのアニメ『ピノキオ』のテーマ曲ですね。
アルファポリス版は一話一話の文字数を調整しようとして話数が増えちゃったから、新しいサブタイトルを作らなきゃならなかった。それも映画のタイトルからとったのが多かったやね。
──『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を捩って『Knock to the future(第26話)』とか『交渉人(第27話)』とか。
『Project-S』はもちろん『プロジェクトA』から、『Wild at heart』はデビッド・リンチの映画のタイトルからで、決して嵐の歌のタイトルからではない(笑)でも歌詞の中身がエピソードの世界観にも似てたし、これにしよ、と。
あ、あと、佐藤が馬場の軽トラの上で『ショーシャンクの空に』のポスターの真似するところもある(笑)
──あれは今回即興で思わず入れちゃったんだけど映像を思い浮かべるとなんか面白くね? 普通にネットとかに猫を使ったそんな写真あがってそうだし(笑)
細かいとこでは最初の方でイシャータが缶詰め泥棒する時、床に落としちゃって缶詰めがコロコロ転がっていったらその先に友達のナナの脚があったとか。あれは『戦場のピアニスト』の完全なパクりですねっ(ズバリ!)
──お、おまえ、よく気付いたなぁ……映画のあのシーンはホントにドキッとしたもんなぁ。
あれ、上手いですよねぇ……。
──あと“ザンパノ”って名前はフェリーニの『道』に出てくる主人公の名前だしね。ちなみに映画ではザンパノは鎖を胸筋で引きちぎる芸で食っている巨体の旅芸人なのね。
しかし『イシャータ』ではS区のボスのザンパノの正体は実はチビだったという叙述トリックもどきの設定。その辺を気付いてくれた方が果たしていたのかどうかは知りませんがね(冷)ちなみに最終回はあれでよかったんですか?
──3パターンほど考えたのだ。でも、結局少しだけ成長した佐藤の目線でいこうと。本来はイシャータで始まったんだからイシャータで終わるのが普通だし、その方がよかったんだろうけどね。
最後の最後ではやっぱり映画なんだけど『ロッキー3』のラスト・シーンのイメージなんだよね。もとライバル同士のロッキーとアポロがメディア抜きで夜中に二人だけでこっそり試合をやり直そうとして、これからいざ闘おうってところでストップ・モーションになってエンディングになる。あれがえらい格好良くてついつい使っちゃったというか(笑)
最後になんか言いたいことあります?
──まあ、一度こんな感じであとがきが書いてみたかっただけなんです。あと最近、著作権とかうるさいし、怖いから(笑)。先に全部バラしとこう、と。
そういうことなんで、まあ笑って許してあげてください。
──さらには、映画好きが高じまして2016年1月より、『あの映画は本当に面白かったのか?』と題してエッセイを書いております(『小説家になろう』『カクヨム』にて)。そちらも機会があればよろしくお願いします。
【宵越しの銭は持たにゃい】
ちなみに、ほとんどのキャラには実在のモデルが存在するらしいですが?
『へい、梅酒に鰹節、おまち~』
あっ!
『ペイちゃんうまいんだから~ このカツブシ』
あなたは、ひょっとして……?
『私? 失礼しましたっ! 私は──』
いや、わかります。馬場トミオさん。33歳、独身、ですよね?
『さすがです!』
あなたも実在の人物だったんだ?
『当然です(ニヤリ)』
猫たちよりも一番リアリティのなさそうなキャラなのに……。
【二日酔い】
──にゃーにゃーにゃーにゃー、にゃあ、にゃーにゃ。
飲み過ぎですってば、師匠。あ~あ、すっかり普通の猫に戻っちゃってるし…。『ここまで読んで頂いている方がいらっしゃいましたらありがとうございます。作者としては皆様に読んで頂くことで、または読み返して頂くことで猫たちが生き返り、また新たな命が吹き込まれるような気持ちになります』と言っているようです。
──みゃーみゃーみゃー、ふるふる、ふにゅー、うにゅー。
『必ずやまた新作を書いて戻ってきますので、また、もし読んでやってもいいよという方がいらっしゃいましたらば、その時はよろしくお願い致します』と、言ってるようです。『それは若きヴァンが旅立った後の物語であるかもしれませんし、はたまた佐藤のその後の物語なのかもしれませんし。もしくは? それとも……?』って、あーあ、寝ちゃったよ……。
長い間、お付き合い頂きまして本当にありがとうございました。
御意見、御指摘などございましたら感想ページの方へお気軽によろしくお願い致します。
なお、本作『イシャータの受難』は、現在こちらアルファポリス様で開催中の『キャラ文芸大賞』にも参加しております。
なにかしら心に残るようなものが少しでもあれば、もしくは『しゃあないやっちゃな!』という同情にも似た感覚でも構いませんので、投票して頂ければとてもありがたい次第です。
感謝を込めまして──
── ペイザンヌ ──
場所提供:BAR BAR BABA
※『物語』の世界観、余韻を崩したくない方は跳ばしてくださいね。あくまでこのページは遊び感覚です。
【宵の口】
──わしゃの名はペイザンヌ、N区にねぐらをもつ野良猫だ。
今さらなに言ってんすか。
──な、なんかこれ言わないと落ち着かないじゃん。ここから始めないと緊張するじゃん。
まあまあ師匠、アルファポリス版の『イシャータの受難』ひとまず終了ということで。日々の野良猫生活、お疲れさまです。さぞかし腹ペコでしょうから、今日はたんと飲んで食っちゃってください。
──あれ、打ち上げだよね、おまえだけなん? 女の娘とかファンの娘とかいないの?
はっはっは、なにおっぺけぺーなこと言ってんすか。夢は寝てから見てくださいね。あ、マスター、私、とりあえず生ね。
──わしゃ梅酒おかわり、あと鰹節とサバディン奴ね。
いや~、こんなに長くなるとは思ってませんでしたね。
──そだね。もともと四~五回くらいで終わる掌編くらいの予定だったもんね。
もともとコレ書き始めるきっかけって何だったんです?
──前に、仕事場で派閥とかグループなんかのいざこざがあったとかなんとかキミが言ってたでしょうに。そういうのって何だろうな? て、アレがきっかけだったような。
あれ、そうだったんですか? そういえばイシャータって飼い猫から否応なしにノラになったっていうか、いわば『新人さん』みたいなとこありますもんね。
──手探りで初めて外の世界に飛び込んで失敗したりいじめられたり……誰でもそういうことがあったはずなのに段々それを忘れていっちゃうんだよね~。でもそういう時代ってまた、そういう時にしか見えないもんってのもあんじゃん?
ギノスなんてのはノラの玄人だけど自分の埋めた食料のこと忘れちゃうっていう野良猫特有の欠点というか習性がある。でも外側から見ていた新参者のイシャータにはそういう真実が見えてたりとか。
──そうそう。
『お待ち~ 、生に梅酒ね~』
んではとりあえず乾杯ということで。
【ほろ酔い】
で、なんでこんな長くなっちゃったんでしたっけ?
──確か『佐藤』が初めて登場した回に(第5話『立派な野良猫になるために』)「この子猫がどう物語に関わってくるんでしょうね?」みたいな感想を頂いて……。
あ~ あったあった
──んで、「え?」って。「イヤ、そんなの全然考えてにゃい……」みたいな(笑)
じゃあ佐藤は本当に偶然の産物ということですか?
──そだよ。でも、せっかくこういう場で書くんだから、そういうのもアリだと思ったんよね。頂いた感想で物語が左右したりするのも面白いかなって。んで、佐藤というキャラクターができたら、今度はそろそろイシャータだけでは飽きられるかもな~という不安も出てきて。
メインにオス猫のヴァン=ブランをもってきた……と。
──最初、頭にあったのはイシャータがザンパノと闘う筋立てだったんだけどね、ジャンヌ=ダルク的な感じで。
あれ、そうなんですか? そういやザンパノってわりと早い段階で名前が登場してますもんね。
──その辺りまでくると自分でもこの先どうなるんだろ? と、さっぱりわからんかったんよね。毎回、陸地についたかと思うとすぐ次の陸地を目指して泳ぎ出すみたいな。
ちなみにイシャータの名前の由来って何なんすか? ギリシャ神話とか?
──いや、知り合いに石渡さんてのがいてね。
イシワタサン? イシャワタサン、イシャータさん? なるほど。でも捨てられるメス猫の名前なんてゲンが悪いというか……読まれたら怒られません?
──いや、怒るんだよ。怒ると恐いんだよ。だから最初にちゃんと断ったのだ。名前使ってもいい? どうしてもイシャータって響きがすごく気に入っちゃって。
OK出たんですか?
──せめて物語の中でくらいは、最後は幸せにしてくれと言い残して……。
死んだ…………と。
──いや、生きてるよ! 失礼だな、キミは!
す、すいません! んで、そのへんで白猫のギリーなんかも出てくるわけですが
──ギリー、可愛いよねっ、ねっ♪
……はいはい、師匠はギリーが大のお気に入りですからね。で、フライやらメタボチックやら急激に登場猫が増えてくる。
──前半は個人の悩みを、後半は集団の葛藤を書こうと指針が決まってきたのはその辺りだにゃ。
読んでる方が混乱しなきゃよかったんですけどねえ。
──う……そうなのだ。ありがたいことに中には相関図まで書きながら読んでくれた方もいたりして………。
キャラを書き分けられなかっただけじゃないんすかぁ?(冷)
──そ、それでも最新版ではいろいろ頑張ったんだけどなぁ。
本当ですかぁ?
──ヴァンとかも初稿では絶対に台詞の前後に “ …… ” をつけないよう決めてたんだけどね。弱さを見せない、迷いを見せないという性格を徹底したかったんだけど。でもそれだと読んでる方に共感されないかもって結構初稿に比べて台詞まわしとかも変えてみたりしたのだ。
第3章の(第29話『幼年期の終わり』)に至っては屋根の上でクローズに向かってグチグチ言ったりするシーンも新たに加えてましたもんね。
──そうとう迷ったんだけど、あれはあれでよかったのかなって。そう考えるとクローズっていうキャラにはいろいろ助けられたな~。
イシャータやギリーにはまだない女性の強さの部分っていうか母性的な強さがありますしね。唯一ヴァンが甘えても違和感がない雰囲気というか。
──ヴァンはわしゃにとって理想のオスみたいなところがあるんよね。竹を割ったような豪快な性格でユーモアがあって、かつクール。ただ、それだけだと物語が転がらないし。ああ、結局この物語ってヴァンを取り巻く連中の物語なんだなって。
完璧すぎるとはなんと羨ましい悩み……まあ、師匠には一生無縁の悩みですよね。
──そうそう、一生無縁の悩み……マスター、梅酒おかわりっ!
そんなに怒んなくても……ほーら、よーしよしよし…………
──ゴロゴロゴロ…………
【肴は炙ったイカでいい】
とはいえ黒猫のフライがあそこまで育ってくれるとは思わなかったですよね。
──そだね、ある意味一番人間らしいっていうか。
まあ、猫でなんですけどね。
──僕はフライに一番似てるかもしれないって感想をくれた人がいたんだけど、それを読んでなんかハッとしちゃったもんね。ふーんっていうか、教えられたというか。
と、言うと?
──人間って失敗した時に決まるじゃん? そこで「ああ、私なんて……」って思ってずるずる生きてゆくのか、それともそこから何かを見つけていく旅が始まるのか? たぶん、それって誰にでも訪れる大きなターニングポイントじゃね? 価値観とかの。
そんなもんですかね?
──あの感想がなければ、ラストでヴァンがお婆さんに『フライの未来』を見せられるシーンとか思いつかなかったかも。
ただの悪役で終わってた可能性もありますもんね。
──そういうところだよね、こういう場所で書いてみて勉強になるのは。読んで頂いてる方々の反応を見ながらっていうかキャッチボールをしながら書くこともできる。「ザンパノの本当の気持ちってどんなものでしょうね?」とか言われると、んじゃ、次の直しではザンパノの過去について書き足してみようかなトカ。
まあ、言ってみりゃ結局師匠一匹の力じゃ完成しなかったってことですよね。
──う、うるさいのだ!
【お酒は温めの燗がいい】
黒猫のフライの役割ってそもそも佐藤がやるはずだったって聞きましたけど。
──そうそう。佐藤がヴァンとギリーの過去を知って嫉妬の気持ちが沸き上がる。んで、ヴァンを裏切ってザンパノと共謀する。当初はそんな展開も考えてた。
ここは一番悩んでましたよね~。
──んで、ここはもう流れにまかせてみようかと。
と、言うと?
──今でも覚えてるっていうか、一番思い入れのあるエピソードなんだけど、ヴァンが犬と闘う回があったじゃん?(第24話『人間たちの言葉』)
ああ、傘を広げて。ちなみにあれ師匠、猫の格好で四つん這いになって(まあ、猫なんだけど)ジャンプ傘を寝転がせてホントに開くのかどうか実験してみたらしいけど開かなかったらしいですよね(笑) しかも真夜中に。
──ま、まあフィクションなんだしいいじゃん! それはまあいいとして……佐藤ってその前にヴァンにコテンパンに負けるんだよ。んで、すねちゃって「ヴァンにはボクの気持ちはわからんよ」とか言っちゃって。んで、ギリーとイシャータを守るため犬と闘うヴァンを見て……
で?
──物語の中では佐藤が泣きながら「ボク強くなんねん!」って約束するわけだけど、なんか書きながら不覚にも自分でもらい泣きしちゃってさぁ……。
自分がで書いてて自分で泣いてりゃ世話ないすね……そういうの一番いけないんですよ。客観的に見れてない証拠っていうか……(冷めた目線)
──ほっとけ! んで、ああ、こいつにヴァンを裏切らせるなんてできんわ……ていうかそんなことさせられないなと。
ああ、だから最終回に「少しだけフライの気持ちがわかる」と佐藤が。
──でもね、今でもあの佐藤が真顔で「ヴァン、ボクの勝ちや……」って言ってる姿をイメージしたりするのよね。それはそれで面白いかもなって。邪魔者のヴァンは死んじゃうんだけどギリーには振り向いてもらえない、そしてイシャータとは敵対することになる、みたいな……
そしたらまた別の物語になってもうちょい続いてましたね、きっと(笑)
──もっと暗くてドロドロした話がね(笑)
ちなみにヴァンとフライがクローズを巡って闘う回想シーン(第16話『傷あと』)は今回アルファポリス版で初めて書き足してみました。その描写がないのが前々からすごく気になってたもんで。
【泥酔】
映画からも結構パクってますよね。
──こ、こら、パクるとは何だパクるとは! 人聞きの悪い!
ほーら、いい子いい子、お腹なでなで、さすさす…………
──ゴロゴロゴロ…………
結局イシャータの全体的なイメージ像って裕福層から転落したけどそれでも負けてなるものかっていう『風と共に去りぬ』のスカーレットですもんね。
──そ、それはあとあと気付いたのだ。ていうか、今だったらそんなの掃いて捨てるほどあんじゃん! スカーレットは元祖ツンデレだぞ。
99曲歌ってあと1曲ってとこで去っていくというのは『ニュー・シネマ・パラダイス』(注:映画では歌は歌いません)ですし。
──あ、あれは確信犯だからちゃんと本編でもそう言ってるのにゃ!
そう考えるとヴァンにそれを提案したイシャータって何気に映画好きなのかな。小学生たちにリベンジする時はブルース・リーの真似して鼻をつまむ格好をしてみせたり……きっと御主人様と一緒によく映画見てたんだろな(笑)
──フライが堕ちていく姿は『スターウォーズ』のダース・ベイダーっていうかアナキン・スカイウォーカーみたいですしね。
ヴァンが『ゾロ』の真似して額に“ V ”のイニシャルを爪で入れるのもある(笑)
──第8話のサブタイトル “What a feeling!”は映画『フラッシュ・ダンス』の有名なテーマ曲のタイトルだし、第40話の『When you wish upon a star』はディズニーのアニメ『ピノキオ』のテーマ曲ですね。
アルファポリス版は一話一話の文字数を調整しようとして話数が増えちゃったから、新しいサブタイトルを作らなきゃならなかった。それも映画のタイトルからとったのが多かったやね。
──『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を捩って『Knock to the future(第26話)』とか『交渉人(第27話)』とか。
『Project-S』はもちろん『プロジェクトA』から、『Wild at heart』はデビッド・リンチの映画のタイトルからで、決して嵐の歌のタイトルからではない(笑)でも歌詞の中身がエピソードの世界観にも似てたし、これにしよ、と。
あ、あと、佐藤が馬場の軽トラの上で『ショーシャンクの空に』のポスターの真似するところもある(笑)
──あれは今回即興で思わず入れちゃったんだけど映像を思い浮かべるとなんか面白くね? 普通にネットとかに猫を使ったそんな写真あがってそうだし(笑)
細かいとこでは最初の方でイシャータが缶詰め泥棒する時、床に落としちゃって缶詰めがコロコロ転がっていったらその先に友達のナナの脚があったとか。あれは『戦場のピアニスト』の完全なパクりですねっ(ズバリ!)
──お、おまえ、よく気付いたなぁ……映画のあのシーンはホントにドキッとしたもんなぁ。
あれ、上手いですよねぇ……。
──あと“ザンパノ”って名前はフェリーニの『道』に出てくる主人公の名前だしね。ちなみに映画ではザンパノは鎖を胸筋で引きちぎる芸で食っている巨体の旅芸人なのね。
しかし『イシャータ』ではS区のボスのザンパノの正体は実はチビだったという叙述トリックもどきの設定。その辺を気付いてくれた方が果たしていたのかどうかは知りませんがね(冷)ちなみに最終回はあれでよかったんですか?
──3パターンほど考えたのだ。でも、結局少しだけ成長した佐藤の目線でいこうと。本来はイシャータで始まったんだからイシャータで終わるのが普通だし、その方がよかったんだろうけどね。
最後の最後ではやっぱり映画なんだけど『ロッキー3』のラスト・シーンのイメージなんだよね。もとライバル同士のロッキーとアポロがメディア抜きで夜中に二人だけでこっそり試合をやり直そうとして、これからいざ闘おうってところでストップ・モーションになってエンディングになる。あれがえらい格好良くてついつい使っちゃったというか(笑)
最後になんか言いたいことあります?
──まあ、一度こんな感じであとがきが書いてみたかっただけなんです。あと最近、著作権とかうるさいし、怖いから(笑)。先に全部バラしとこう、と。
そういうことなんで、まあ笑って許してあげてください。
──さらには、映画好きが高じまして2016年1月より、『あの映画は本当に面白かったのか?』と題してエッセイを書いております(『小説家になろう』『カクヨム』にて)。そちらも機会があればよろしくお願いします。
【宵越しの銭は持たにゃい】
ちなみに、ほとんどのキャラには実在のモデルが存在するらしいですが?
『へい、梅酒に鰹節、おまち~』
あっ!
『ペイちゃんうまいんだから~ このカツブシ』
あなたは、ひょっとして……?
『私? 失礼しましたっ! 私は──』
いや、わかります。馬場トミオさん。33歳、独身、ですよね?
『さすがです!』
あなたも実在の人物だったんだ?
『当然です(ニヤリ)』
猫たちよりも一番リアリティのなさそうなキャラなのに……。
【二日酔い】
──にゃーにゃーにゃーにゃー、にゃあ、にゃーにゃ。
飲み過ぎですってば、師匠。あ~あ、すっかり普通の猫に戻っちゃってるし…。『ここまで読んで頂いている方がいらっしゃいましたらありがとうございます。作者としては皆様に読んで頂くことで、または読み返して頂くことで猫たちが生き返り、また新たな命が吹き込まれるような気持ちになります』と言っているようです。
──みゃーみゃーみゃー、ふるふる、ふにゅー、うにゅー。
『必ずやまた新作を書いて戻ってきますので、また、もし読んでやってもいいよという方がいらっしゃいましたらば、その時はよろしくお願い致します』と、言ってるようです。『それは若きヴァンが旅立った後の物語であるかもしれませんし、はたまた佐藤のその後の物語なのかもしれませんし。もしくは? それとも……?』って、あーあ、寝ちゃったよ……。
長い間、お付き合い頂きまして本当にありがとうございました。
御意見、御指摘などございましたら感想ページの方へお気軽によろしくお願い致します。
なお、本作『イシャータの受難』は、現在こちらアルファポリス様で開催中の『キャラ文芸大賞』にも参加しております。
なにかしら心に残るようなものが少しでもあれば、もしくは『しゃあないやっちゃな!』という同情にも似た感覚でも構いませんので、投票して頂ければとてもありがたい次第です。
感謝を込めまして──
── ペイザンヌ ──
場所提供:BAR BAR BABA
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