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セラフィーヌサイド 10
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フェルマン様との楽しい時間はあっという間に過ぎ、気が付けば数カ月が経過していた。
多忙のフェルマン様の負担を減らしたくて書類整理から、清書、調べ物などできることをお手伝いさせてもらった。だんだん重要な仕事も手伝わせてくれるようなり、少しはお役に立てているのだ感じながら過ごす日々は本当に幸せだった。
このまま何食わぬ顔で一緒に暮らせるのではないかと思っていたのに、フェルマン様は縁談を持ってきた。
離婚歴があるというのに、私にはもったいないくらいの相手を紹介してくれる。
フェルマン様は超鈍感だ。
初めによろけた時に手を借りたのをいいことに、それ以来しれーっとエスコートしてもらっている。一緒にお茶したり、会話をするときには大好きオーラを振りまいているというのに何にも伝わっていなかったらしい。
持ち込まれる縁談をすべて断っていたけど、ついに陛下のお墨付きという畏れ多すぎる良縁をフェルマン様は持ってきた。
もしかして、陛下に頼んでまで私を早く追い出したいってこと?
優しかったのはただ申しわかなかったから? 悲しくて泣いちゃう。
しかしどれだけ好条件でも、陛下のお墨付きであっても首を横に振っていると、とうとう困った顔をされてしまった。
(こちらの方が泣きたいくらい困っているのですよ、フェルマン様。もう一度私の望みをお伝えしておかなくては!)
「フェルマン様、私のためにいろいろ手を尽くしてくださりありがとうございます。とてもうれしいのですが、御迷惑でなければこのままずっとクローズ家においていただけませんか」
「私はセラフィーヌ嬢に幸せになってほしいのだ」
「こちらでフェルマン様の傍に置いていただくのが私の幸せですわ」
「……。そうか。もう縁談を無理に勧めるのはやめておこう。セラフィーヌ嬢がそれでいいならここで暮らしなさい」
私の言葉をフェルマン様はどのように受け取ったのかわからないけど、一瞬驚いたように目を見開いたが構わないと言ってくれた。
(やったわ! フェルマン様に必要と思われるように頑張らなくっちゃ!)
私はこれまで以上にフェルマン様の仕事を手伝ったり、ハンカチやスカーフに刺繍をしてプレゼント渡したりした。そこに自分の想いをこっそりとこめる。
(フェルマン様、気が付いてくださるかしら)
思いを込めて刺した刺繍のデザインは赤いチューリップ。『愛の告白・真実の愛』の花言葉を持つ。
それを知ってか知らずか、お礼にとたびたびフェルマン様が綺麗になったガゼボでのお茶に誘ってくれるようになった。
同じ敷地に住んでいるガエル達が本邸に突撃してきた時のために、特別区域から出るときは顔がわからないようにベールで隠すことになったのだが……なんだか秘密の恋みたいでドキドキして楽しい。
というかもはや夫婦じゃなかろうか。
そんな嬉し恥ずかし、楽しい毎日を過ごしていたある日、フェルマン様はため息をついてガエルを追い出すことに決めたといった。
これ以上チャンスを与えても無駄だと少し疲れたようにため息をつかれた。。
「一度本気で怒らねばあいつはわからないのだろう。一人息子だから何をしても安泰だと思っている。いざとなれば縁戚のものから養子をとれるというのに」
「フェルマン様……」
(フェルマン様はお気の毒だけれど、これはチャンスだわ! セラフィーヌ、頑張るのよ!)
「あいつに継がせる前に本性や能力がわかってよかったと思う。あれには侯爵家を守っていくことなどできない」
「でしたら、私をずっとフェルマン様のそばにいさせてください。私のせいでお一人になってしまうのですもの」
「それは違う。あいつ自身の資質の問題だ。あなたには幸せになってほしい、ここに残っておかしな噂になれば困るから……」
出ていった方がいいと言われる前に、話を遮る。
「……私は噂されても構いません。むしろ噂になって欲しいと思っています」
鼻息荒くセラフィーヌは一世一代の勇気を出して告白した。
顔が熱く真っ赤になっているのがわかる。でもここは負けられないと震えそうになる手を握り締めてフェルマン様の目を見つめた。
私の言葉を聞いたフェルマン様は目を見開き、固まってしまわれた。
多忙のフェルマン様の負担を減らしたくて書類整理から、清書、調べ物などできることをお手伝いさせてもらった。だんだん重要な仕事も手伝わせてくれるようなり、少しはお役に立てているのだ感じながら過ごす日々は本当に幸せだった。
このまま何食わぬ顔で一緒に暮らせるのではないかと思っていたのに、フェルマン様は縁談を持ってきた。
離婚歴があるというのに、私にはもったいないくらいの相手を紹介してくれる。
フェルマン様は超鈍感だ。
初めによろけた時に手を借りたのをいいことに、それ以来しれーっとエスコートしてもらっている。一緒にお茶したり、会話をするときには大好きオーラを振りまいているというのに何にも伝わっていなかったらしい。
持ち込まれる縁談をすべて断っていたけど、ついに陛下のお墨付きという畏れ多すぎる良縁をフェルマン様は持ってきた。
もしかして、陛下に頼んでまで私を早く追い出したいってこと?
優しかったのはただ申しわかなかったから? 悲しくて泣いちゃう。
しかしどれだけ好条件でも、陛下のお墨付きであっても首を横に振っていると、とうとう困った顔をされてしまった。
(こちらの方が泣きたいくらい困っているのですよ、フェルマン様。もう一度私の望みをお伝えしておかなくては!)
「フェルマン様、私のためにいろいろ手を尽くしてくださりありがとうございます。とてもうれしいのですが、御迷惑でなければこのままずっとクローズ家においていただけませんか」
「私はセラフィーヌ嬢に幸せになってほしいのだ」
「こちらでフェルマン様の傍に置いていただくのが私の幸せですわ」
「……。そうか。もう縁談を無理に勧めるのはやめておこう。セラフィーヌ嬢がそれでいいならここで暮らしなさい」
私の言葉をフェルマン様はどのように受け取ったのかわからないけど、一瞬驚いたように目を見開いたが構わないと言ってくれた。
(やったわ! フェルマン様に必要と思われるように頑張らなくっちゃ!)
私はこれまで以上にフェルマン様の仕事を手伝ったり、ハンカチやスカーフに刺繍をしてプレゼント渡したりした。そこに自分の想いをこっそりとこめる。
(フェルマン様、気が付いてくださるかしら)
思いを込めて刺した刺繍のデザインは赤いチューリップ。『愛の告白・真実の愛』の花言葉を持つ。
それを知ってか知らずか、お礼にとたびたびフェルマン様が綺麗になったガゼボでのお茶に誘ってくれるようになった。
同じ敷地に住んでいるガエル達が本邸に突撃してきた時のために、特別区域から出るときは顔がわからないようにベールで隠すことになったのだが……なんだか秘密の恋みたいでドキドキして楽しい。
というかもはや夫婦じゃなかろうか。
そんな嬉し恥ずかし、楽しい毎日を過ごしていたある日、フェルマン様はため息をついてガエルを追い出すことに決めたといった。
これ以上チャンスを与えても無駄だと少し疲れたようにため息をつかれた。。
「一度本気で怒らねばあいつはわからないのだろう。一人息子だから何をしても安泰だと思っている。いざとなれば縁戚のものから養子をとれるというのに」
「フェルマン様……」
(フェルマン様はお気の毒だけれど、これはチャンスだわ! セラフィーヌ、頑張るのよ!)
「あいつに継がせる前に本性や能力がわかってよかったと思う。あれには侯爵家を守っていくことなどできない」
「でしたら、私をずっとフェルマン様のそばにいさせてください。私のせいでお一人になってしまうのですもの」
「それは違う。あいつ自身の資質の問題だ。あなたには幸せになってほしい、ここに残っておかしな噂になれば困るから……」
出ていった方がいいと言われる前に、話を遮る。
「……私は噂されても構いません。むしろ噂になって欲しいと思っています」
鼻息荒くセラフィーヌは一世一代の勇気を出して告白した。
顔が熱く真っ赤になっているのがわかる。でもここは負けられないと震えそうになる手を握り締めてフェルマン様の目を見つめた。
私の言葉を聞いたフェルマン様は目を見開き、固まってしまわれた。
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