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2章 魔法使いは真夜中に
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ロープには等間隔に結び目が作られ、手の滑りを防いであった。いったいいつこんな準備をしていたんだろうと感心する。昼間はずっと一緒にいた。だったら眠っている間か? でも、そんな時間にどこでロープを買えるんだ?
庭に降り立つとロープはするすると窓に吸い込まれて行く。すぐにカッチーが顔を見せ、回収終了の合図を寄こした。
「行くぞ、ピエッチェ」
窓から目を離してクルテが歩き出す。
「まずは窓の女――ロープはマデルに頼んでおいたんだよ。お駄賃を要求されたけどね」
そうか、なるほどね、と思うピエッチェ、慌ててクルテのあとを追った。
昨日の場所に来てみるが、外壁が続くだけだった。
「今日は扉も窓も出てきそうにないな」
ピエッチェの呟きに、
「ピエッチェ、おまえ、木登りくらいできるな?」
壁を見ていたクルテが後ろを見て言った。背後には大きなイチョウの木が立っている。
イチョウの木はかなり高さがあり、枝を四方に伸ばしていた。ピエッチェやクルテの頭上にも枝があり、その枝の先には……
「あんなところに扉?」
ピエッチェが小さな驚きの声を上げた。
「昨日もあったか?」
「いや、地上に現れた扉に気を取られて、上なんか見てない」
扉があるのは二階の高さ、宿の内部は外壁を隔て横並びの客室の前を通る廊下のはずだ。
「あの扉、どうせ宿の廊下には出られないんだろ?」
「多分ね。宿を見て回った時、廊下には窓も、客室以外の扉もなかった」
「いつ、宿を見て回ったんだ?」
ピエッチェの疑問にクルテが不機嫌になる。
「おまえがマデルとイチャイチャしてた時」
「はぁ? イチャイチャなんかしてない」
「フン! ベッドに二人でいたのに?――まぁ、いい。さっさとその木に登れ」
「あの時か。あれはマデルが勝手に来て、勝手に俺のベッドに腰かけたんだ」
「いいからさっさと登れってば。木登りもできないのか? それともわたしの『擽ったい』が聞きたいのか?」
「誰が聞きたいかもんか! 判った、登るから機嫌を直せ。怒るな」
「怒ってないし、機嫌も悪くない。少しイラっとしただけ」
「それを機嫌が悪いって言うんだよ」
木の幹を探って手掛かりと足場を確認しながらピエッチェが苦笑した。『ふぅん』とクルテは鼻を鳴らしただけだった。
イチョウの木の枝は外壁にぶつかる直前で剪定されて、中でも扉に一番近い枝は太いまま壁近くで切られている。その枝を使えば扉を開けて中に入るのにそれほど苦労しなさそうだ。ひょっとしたらこの枝から入るよう、扉をあの位置に出現させたんだろうかとピエッチェが思う。
登り始めたピエッチェを見上げるクルテ、
「巧いもんだね」
下から声を掛けてきた。
「扉に届くところまで行ったらそこで待機。わたしが行くまで扉に触れるな」
相変わらず命令口調だ。
「ここでいいのか?」
すぐそこは扉というところでピエッチェが下を見る。クルテの姿はない。登ってきているんだろうかと振り返ろうとしてやめた。背中にクルテの体温を感じたからだ。
慌てて扉に向かって
「二人も乗ったら枝が折れないか?」
と言えば、
「大丈夫、わたしは浮いているから」
クルテの声が耳元で聞こえた。
「いいよ、扉を開けてみて」
腕を伸ばして扉を押してみる。ビクともしない。扉は外開き、引けば簡単に開いた。
「真っ暗だぞ」
「扉の沓摺に乗れるか?」
「沓摺?」
「枠の下の部分――左右の枠に掴まって沓摺に乗ってみろ」
「判った……ってクルテ、しがみ付かれてると動きづらい」
「わたしを背に乗せたままでも行けるだろう? 今は離れたくない」
「えっ? なんだよ、それ?」
「いいからさっさと行けったら!」
「お、おう……」
枝に跨ったまま、足を延ばして沓摺に足を乗せる。それから慎重に腕を伸ばし枠を掴み、沓摺に乗せた足に体重を掛けて立ち上がる。
(なんだ、コイツ……随分軽いな。それに柔らかい)
肩と背中の上の方だけだったクルテの体温がピエッチェの背中全体を包んだ。
(えっ……?)
感じた疑問を確かめようとしたピエッチェ、それをクルテの声が邪魔をする。
「一歩前へ! 前進!」
「あ、はいっ!」
こうなると条件反射か? クルテの声に思わず従うピエッチェ、それとも感じた疑問の後ろめたさからか? 慌てて部屋に入っていった。
瞬時に部屋が明るく照らされ、同時に耳に嬌声が飛び込んでくる。笑いながら何かを話している声、どこかで『また負けた』と誰かが嘆く。カジノだ。
すぐそこのテーブルはポントゥーン、ちょうど勝負がついたところでチップを振り分けていたデューラーがピエッチェに気付く。
「お客様、どうかされましたか?」
「あ、いや、連れが気分を悪くして……」
もちろんクルテの指示だ。クルテはとっくに背中から降りて、ぐったりとピエッチェに寄り掛かっている。
「休めるところ、ないかな?」
「お待ちください」
デューラーが手をあげて誰かを呼んだ。こんな時のためにフロアで待機している従業員だろう。
「大丈夫でございますか、奥さま?」
奥さま? 驚いてクルテを見るといつの間に変化したのか女の服だ。髪は緩くウェーブが掛かっている。
「こちらに控室がございます」
クルテを運ぶのを手伝うというのを断って、ピエッチェが支えて部屋に移動した。部屋にはソファーセットと暖炉、だが、昨日の部屋とは違う部屋だ。
ピエッチェがぐったりしているクルテをソファーに座らせるのを見届けて
「温かいお飲み物をお持ちしましょう」
従業員は出て行った。するとぐったりしていたクルテがシャンとソファーに座り直した。恰好は女のままだ。
「やっぱりカジノだったね」
クスリと笑う。
「おまえ、それを見越して俺に背負わせた? でもさ、わざわざ病人のフリする必要あったのか?」
「昨日の流れから、今日はカジノにご招待だって推測できる。だけどカジノでゲームに参加するのは危険だと思った。カジノに来てゲームをしないのは不自然、ではどうするか? ってことだよ」
と、言ったと思うと、再びぐったりとクルテがソファーに突っ伏した。
「おい、大丈夫か?」
ピエッチェが焦り、部屋の扉が開く。なんだ、従業員が戻ってきたからか、とピエッチェが心の中でほっとする。
カップに茶を注ぐと従業員が
「主人が大変心配しておりまして、のちほどご挨拶をしたいと申しております」
と言った。
「それで、そちらのご婦人は奥さまでよろしいのでしょうか?」
「いや、フィアンセだ」
もちろんクルテの指示だ。
「承知いたしました――甘いものを少し召し上がれば、ご気分が回復するのではないかと思い、お茶菓子にはフィナンシェをご用意いたしました、主人の気遣いでございます」
従業員が部屋を出て行き、クルテがすぐに上体を起こす。すぐに茶を啜り、菓子に手を伸ばした。
「うん、普通に上等なお茶とお菓子。美味しいよ、ピエッチェも食べたら? 食べないならわたしが食べる」
「そんなに旨いのか?」
呆れながらも食べてみると、これが随分と旨い。バターと卵をふんだんに使い、風味豊かだ。お茶も高級品、王宮で飲んでいた物と同じ香りがした。けれど、ゆっくり味わっている場合ではない。
ピエッチェが気掛かりを口にする。
「主人ってのが例の魔法使いなのかな?」
「多分ね」
「それにしても、なんでおまえ、女に化けた?」
「男より女のほうが具合が悪くなっても不思議じゃなさそうな気がしたから。男だって具合が悪くなる時はなるもんだけどね――それと女のほうがターゲットを誘き寄せられそうな気がしたから」
「ターゲット? 魔法使いの事か?」
「うん、ゴルゾンが言ってたじゃん。若くて見栄えのいいのを連れて来いって言われてるって」
「男女を問わずとも言ってたぞ」
「でもさ、女になって化粧をしたら、さらに見栄えが良くなっただろう?」
「あ、あぁ、まぁな」
そうか、化粧のせいか。ヤケにクルテが綺麗に見えるのはそのせいか。
「それに一緒にいるのが、見るからに腕っぷしが強そうなピエッチェだ。わたしが男のままではやめておこうとなるかもしれないし――どうだ、今のわたしなら、少しくらい無理してでも手に入れたくなるんじゃないのか?」
悔しいが認めざるを得ない。
「奥さまかって聞いたのが気になるな。しかもこっちの名を聞きもしなかった。普通はまず男の名や素性を確認するものだろう?」
「カジノだから、あえて訊かなかったのかもしれない」
「あぁ、その可能性もあるな」
「ところでおまえ、舞踏会の時は中身は男のままだって言ってたけど、今は身体も女に化けてるよな? なんで今回は中身まで女になった?」
さっき感じた疑問だ。
「背負った時、背中に胸の膨らみが当たってた」
「きっと気のせいだよ――主人とやらが来たようだ」
クルテがニヤッと笑って扉に視線を向けた。
入ってきたのは中年の、見た感じどこにでもいるような男だった。
「この店の主人、センシリケでございます」
低いが柔らかに響く、やたらといい声だ。
「お加減が悪くなられたとか?」
穏やかな眼差しでクルテを見詰めた。
「お茶とお菓子をいただいたら、すっかり治ったようです。お心遣いのお陰です」
頭の中に響いたクルテの指示で、ピエッチェが答える。
「お世話を掛けました――治ったところで早々に帰ろうと思っております」
するとセンシリケが
「カジノはお楽しみいただけましたか?」
念を押すように訊いてきた。
「いえ、どのゲームで遊ぼうか迷っているうちに体調を崩したものですから」
「それは……さぞかし残念なのでは?」
センシリケがニッコリと笑う。
「お嬢さまがお元気になられたのなら、せめて一ゲーム、していきませんか?」
センシリケがクルテを見詰めながらそう言った。
クルテを見詰めながら――と言うよりも、センシリケ、一度もクルテから目を離さない。部屋に入ってクルテを見てからずっとだ。
「イヤ、しかし……カジノの喧騒に当てられたようなのです。連れてくるのではありませんでした」
「連れて、と仰ると、お嬢さまはついてきただけ?」
「えぇ、遊びに行くと聞いて、一緒に行きたいと……わたしがゲームをするところを見ていたいと申しまして」
「なるほど。ご婚約されていると聞いております。仲がよろしいのですね、羨ましい事です。けれどまだご結婚されているわけではない、と――馬車でお屋敷までお送りいたします。用意ができるまで、お嬢さまはここでお休みに、あなたはカジノでゲームを楽しまれてはいかがですか? この部屋には誰も来ません。ご安心を」
結婚していないことを気にするのはなぜだろうと思うピエッチェ、クルテの『問うなよ』がなければ何か言っていただろう。
「いや、それはできません。フィアンセを放り出して一人で遊んだところで楽しめるとは思えません」
「なるほど。しかし折角お出でいただいたのに、このまま帰ってしまわれるのもどうかと――いかかでしょう。この部屋で一勝負いたしませんか?」
「この部屋で?」
「はい、カードならここでもできます。わたしがお相手を勤めましょう」
「イヤ、やはり早く帰りたい。馬車はいいので、すぐに帰ります」
するとセンシリケがやっとピエッチェを見た。
「それはいけません。カジノに来たのですから、ゲームをしない限り帰せません」
声は今までと変わらない穏やかさ、しかしその眼光は鋭い。
「ゲームをしてからではないと、この部屋から出られないとお思いください」
「ゲームをするのも、いつ帰るのも、こちらの勝手なのではありませんか?」
「それはそちらの都合。こちらにはこちらの都合があるのです。ゲームをして勝たない限り、このお部屋からはお出ししませんよ」
「勝たない限り?」
「はい。だけど特別に……負けても部屋から出して差し上げます。そのお嬢さまを賭けて勝負するのなら」
「なにを、馬鹿な……」
このピエッチェの発言はクルテの指示ではない、思わず言ってしまったことだ。
「拒否なさるのならそれでもわたしは構いません。この部屋にあなたがたを閉じ込めておくだけですから」
立ち去ろうとするセンシリケをクルテが呼び止める。
「もし負けたら、わたしはどうなるのでしょう?」
上品で弱々しいクルテの声、世慣れしていない深窓の令嬢気取りか? ピエッチェが『コイツ、女になった自分を楽しんでる』と半ば呆れ、半ば魔物って凄いやと感心する。
センシリケがクルテを見て微笑んだ。
「あるかたが高貴な令嬢の話し相手をお探しです。そこに送ります。なんの心配もございません」
「高貴な令嬢?」
「はい……もう何人もお送りしたのですが、令嬢のお気に召す相手は見つかっておりません。ですがあなたほど美しければ、今度こそお気に召すことでしょう。不自由のない生活が保障されます。なんでしたらゲームなど関係なく、お連れしますよ?」
「それは、どこの、なんと仰るかたなのですか?」
「それは明かせません。秘密ですから」
「どこに行くか判らないのに承知できないわ」
「では、王都のどこか、とだけ……ですが、行けばお屋敷からは出られませんよ。どこなのか判っても意味のない事です――どうしますか? お行きになりますか?」
「もう一つ聞いてもよろしいかしら? あなたが『あるかた』に協力して令嬢のお相手を探している理由はなんですか?」
「それは……」
センシリケが僅かに動揺する。だが、答えは素っ気ないものだった。
「そのかたに依頼されたからでございます」
「報酬をいただいているのでしょうか?」
「いいえ、報酬などとんでもない――もういいでしょう? わたしの依頼を受けてくださいますか? 勝負で決着を付けますか? それともここに閉じ込められるのを選びますか?」
センシリケに結論を促されたクルテが切なげな眼差しでピエッチェを見る。全てクルテの芝居、ましてクルテは魔物、それが判っているのにピエッチェの心臓が騒ぎ始める。コイツ、なんでこんなに無駄に綺麗なんだ――正体を知らなきゃ惚れちまいそうじゃないか。
「いかがいたしますかな? お嬢さまはフィアンセのあなたに決めて欲しいようですよ?」
センシリケの声にピエッチェが我に返る。うっかりクルテに見惚れてしまっていた。
どうするんだよ、クルテ? 心の中でピエッチェがクルテに呼び掛ける。だけどクルテは応答しない。じりじりとした緊張、フッとセンシリケが溜息を吐く。
「では、この部屋で寿命が尽きるのを――」
「する! 勝負する!」
立ち去ろうとするセンシリケにピエッチェが叫ぶ。
「勝てば二人とも無事に帰してくれるんだな?」
「もちろんです」
「無条件でだな?」
「どうぞお好きにお帰りください」
「で、こちらが勝った時には?」
センシリケがハッとする。
「申し訳ございません。何も考えておりませんでした」
「そっちはわたしのフィアンセを欲した。ならば、こちらも欲しいものを言ってもいいか?」
「何をお望みで?」
「デレドケで、おまえが奪ったものすべて――元の持ち主に返せ」
「……随分と大きく出ましたな。まぁ、いいでしょう」
「それとイカサマは許さない。イカサマすれば問答無用でおまえの負けだ」
フッとセンシリケが笑う。
「イカサマ? するもんですか。もしするのなら絶対見抜かれない方法を使います。ゲームは何をお望みで?」
そう言って、上着のポケットからカードを取り出した。
庭に降り立つとロープはするすると窓に吸い込まれて行く。すぐにカッチーが顔を見せ、回収終了の合図を寄こした。
「行くぞ、ピエッチェ」
窓から目を離してクルテが歩き出す。
「まずは窓の女――ロープはマデルに頼んでおいたんだよ。お駄賃を要求されたけどね」
そうか、なるほどね、と思うピエッチェ、慌ててクルテのあとを追った。
昨日の場所に来てみるが、外壁が続くだけだった。
「今日は扉も窓も出てきそうにないな」
ピエッチェの呟きに、
「ピエッチェ、おまえ、木登りくらいできるな?」
壁を見ていたクルテが後ろを見て言った。背後には大きなイチョウの木が立っている。
イチョウの木はかなり高さがあり、枝を四方に伸ばしていた。ピエッチェやクルテの頭上にも枝があり、その枝の先には……
「あんなところに扉?」
ピエッチェが小さな驚きの声を上げた。
「昨日もあったか?」
「いや、地上に現れた扉に気を取られて、上なんか見てない」
扉があるのは二階の高さ、宿の内部は外壁を隔て横並びの客室の前を通る廊下のはずだ。
「あの扉、どうせ宿の廊下には出られないんだろ?」
「多分ね。宿を見て回った時、廊下には窓も、客室以外の扉もなかった」
「いつ、宿を見て回ったんだ?」
ピエッチェの疑問にクルテが不機嫌になる。
「おまえがマデルとイチャイチャしてた時」
「はぁ? イチャイチャなんかしてない」
「フン! ベッドに二人でいたのに?――まぁ、いい。さっさとその木に登れ」
「あの時か。あれはマデルが勝手に来て、勝手に俺のベッドに腰かけたんだ」
「いいからさっさと登れってば。木登りもできないのか? それともわたしの『擽ったい』が聞きたいのか?」
「誰が聞きたいかもんか! 判った、登るから機嫌を直せ。怒るな」
「怒ってないし、機嫌も悪くない。少しイラっとしただけ」
「それを機嫌が悪いって言うんだよ」
木の幹を探って手掛かりと足場を確認しながらピエッチェが苦笑した。『ふぅん』とクルテは鼻を鳴らしただけだった。
イチョウの木の枝は外壁にぶつかる直前で剪定されて、中でも扉に一番近い枝は太いまま壁近くで切られている。その枝を使えば扉を開けて中に入るのにそれほど苦労しなさそうだ。ひょっとしたらこの枝から入るよう、扉をあの位置に出現させたんだろうかとピエッチェが思う。
登り始めたピエッチェを見上げるクルテ、
「巧いもんだね」
下から声を掛けてきた。
「扉に届くところまで行ったらそこで待機。わたしが行くまで扉に触れるな」
相変わらず命令口調だ。
「ここでいいのか?」
すぐそこは扉というところでピエッチェが下を見る。クルテの姿はない。登ってきているんだろうかと振り返ろうとしてやめた。背中にクルテの体温を感じたからだ。
慌てて扉に向かって
「二人も乗ったら枝が折れないか?」
と言えば、
「大丈夫、わたしは浮いているから」
クルテの声が耳元で聞こえた。
「いいよ、扉を開けてみて」
腕を伸ばして扉を押してみる。ビクともしない。扉は外開き、引けば簡単に開いた。
「真っ暗だぞ」
「扉の沓摺に乗れるか?」
「沓摺?」
「枠の下の部分――左右の枠に掴まって沓摺に乗ってみろ」
「判った……ってクルテ、しがみ付かれてると動きづらい」
「わたしを背に乗せたままでも行けるだろう? 今は離れたくない」
「えっ? なんだよ、それ?」
「いいからさっさと行けったら!」
「お、おう……」
枝に跨ったまま、足を延ばして沓摺に足を乗せる。それから慎重に腕を伸ばし枠を掴み、沓摺に乗せた足に体重を掛けて立ち上がる。
(なんだ、コイツ……随分軽いな。それに柔らかい)
肩と背中の上の方だけだったクルテの体温がピエッチェの背中全体を包んだ。
(えっ……?)
感じた疑問を確かめようとしたピエッチェ、それをクルテの声が邪魔をする。
「一歩前へ! 前進!」
「あ、はいっ!」
こうなると条件反射か? クルテの声に思わず従うピエッチェ、それとも感じた疑問の後ろめたさからか? 慌てて部屋に入っていった。
瞬時に部屋が明るく照らされ、同時に耳に嬌声が飛び込んでくる。笑いながら何かを話している声、どこかで『また負けた』と誰かが嘆く。カジノだ。
すぐそこのテーブルはポントゥーン、ちょうど勝負がついたところでチップを振り分けていたデューラーがピエッチェに気付く。
「お客様、どうかされましたか?」
「あ、いや、連れが気分を悪くして……」
もちろんクルテの指示だ。クルテはとっくに背中から降りて、ぐったりとピエッチェに寄り掛かっている。
「休めるところ、ないかな?」
「お待ちください」
デューラーが手をあげて誰かを呼んだ。こんな時のためにフロアで待機している従業員だろう。
「大丈夫でございますか、奥さま?」
奥さま? 驚いてクルテを見るといつの間に変化したのか女の服だ。髪は緩くウェーブが掛かっている。
「こちらに控室がございます」
クルテを運ぶのを手伝うというのを断って、ピエッチェが支えて部屋に移動した。部屋にはソファーセットと暖炉、だが、昨日の部屋とは違う部屋だ。
ピエッチェがぐったりしているクルテをソファーに座らせるのを見届けて
「温かいお飲み物をお持ちしましょう」
従業員は出て行った。するとぐったりしていたクルテがシャンとソファーに座り直した。恰好は女のままだ。
「やっぱりカジノだったね」
クスリと笑う。
「おまえ、それを見越して俺に背負わせた? でもさ、わざわざ病人のフリする必要あったのか?」
「昨日の流れから、今日はカジノにご招待だって推測できる。だけどカジノでゲームに参加するのは危険だと思った。カジノに来てゲームをしないのは不自然、ではどうするか? ってことだよ」
と、言ったと思うと、再びぐったりとクルテがソファーに突っ伏した。
「おい、大丈夫か?」
ピエッチェが焦り、部屋の扉が開く。なんだ、従業員が戻ってきたからか、とピエッチェが心の中でほっとする。
カップに茶を注ぐと従業員が
「主人が大変心配しておりまして、のちほどご挨拶をしたいと申しております」
と言った。
「それで、そちらのご婦人は奥さまでよろしいのでしょうか?」
「いや、フィアンセだ」
もちろんクルテの指示だ。
「承知いたしました――甘いものを少し召し上がれば、ご気分が回復するのではないかと思い、お茶菓子にはフィナンシェをご用意いたしました、主人の気遣いでございます」
従業員が部屋を出て行き、クルテがすぐに上体を起こす。すぐに茶を啜り、菓子に手を伸ばした。
「うん、普通に上等なお茶とお菓子。美味しいよ、ピエッチェも食べたら? 食べないならわたしが食べる」
「そんなに旨いのか?」
呆れながらも食べてみると、これが随分と旨い。バターと卵をふんだんに使い、風味豊かだ。お茶も高級品、王宮で飲んでいた物と同じ香りがした。けれど、ゆっくり味わっている場合ではない。
ピエッチェが気掛かりを口にする。
「主人ってのが例の魔法使いなのかな?」
「多分ね」
「それにしても、なんでおまえ、女に化けた?」
「男より女のほうが具合が悪くなっても不思議じゃなさそうな気がしたから。男だって具合が悪くなる時はなるもんだけどね――それと女のほうがターゲットを誘き寄せられそうな気がしたから」
「ターゲット? 魔法使いの事か?」
「うん、ゴルゾンが言ってたじゃん。若くて見栄えのいいのを連れて来いって言われてるって」
「男女を問わずとも言ってたぞ」
「でもさ、女になって化粧をしたら、さらに見栄えが良くなっただろう?」
「あ、あぁ、まぁな」
そうか、化粧のせいか。ヤケにクルテが綺麗に見えるのはそのせいか。
「それに一緒にいるのが、見るからに腕っぷしが強そうなピエッチェだ。わたしが男のままではやめておこうとなるかもしれないし――どうだ、今のわたしなら、少しくらい無理してでも手に入れたくなるんじゃないのか?」
悔しいが認めざるを得ない。
「奥さまかって聞いたのが気になるな。しかもこっちの名を聞きもしなかった。普通はまず男の名や素性を確認するものだろう?」
「カジノだから、あえて訊かなかったのかもしれない」
「あぁ、その可能性もあるな」
「ところでおまえ、舞踏会の時は中身は男のままだって言ってたけど、今は身体も女に化けてるよな? なんで今回は中身まで女になった?」
さっき感じた疑問だ。
「背負った時、背中に胸の膨らみが当たってた」
「きっと気のせいだよ――主人とやらが来たようだ」
クルテがニヤッと笑って扉に視線を向けた。
入ってきたのは中年の、見た感じどこにでもいるような男だった。
「この店の主人、センシリケでございます」
低いが柔らかに響く、やたらといい声だ。
「お加減が悪くなられたとか?」
穏やかな眼差しでクルテを見詰めた。
「お茶とお菓子をいただいたら、すっかり治ったようです。お心遣いのお陰です」
頭の中に響いたクルテの指示で、ピエッチェが答える。
「お世話を掛けました――治ったところで早々に帰ろうと思っております」
するとセンシリケが
「カジノはお楽しみいただけましたか?」
念を押すように訊いてきた。
「いえ、どのゲームで遊ぼうか迷っているうちに体調を崩したものですから」
「それは……さぞかし残念なのでは?」
センシリケがニッコリと笑う。
「お嬢さまがお元気になられたのなら、せめて一ゲーム、していきませんか?」
センシリケがクルテを見詰めながらそう言った。
クルテを見詰めながら――と言うよりも、センシリケ、一度もクルテから目を離さない。部屋に入ってクルテを見てからずっとだ。
「イヤ、しかし……カジノの喧騒に当てられたようなのです。連れてくるのではありませんでした」
「連れて、と仰ると、お嬢さまはついてきただけ?」
「えぇ、遊びに行くと聞いて、一緒に行きたいと……わたしがゲームをするところを見ていたいと申しまして」
「なるほど。ご婚約されていると聞いております。仲がよろしいのですね、羨ましい事です。けれどまだご結婚されているわけではない、と――馬車でお屋敷までお送りいたします。用意ができるまで、お嬢さまはここでお休みに、あなたはカジノでゲームを楽しまれてはいかがですか? この部屋には誰も来ません。ご安心を」
結婚していないことを気にするのはなぜだろうと思うピエッチェ、クルテの『問うなよ』がなければ何か言っていただろう。
「いや、それはできません。フィアンセを放り出して一人で遊んだところで楽しめるとは思えません」
「なるほど。しかし折角お出でいただいたのに、このまま帰ってしまわれるのもどうかと――いかかでしょう。この部屋で一勝負いたしませんか?」
「この部屋で?」
「はい、カードならここでもできます。わたしがお相手を勤めましょう」
「イヤ、やはり早く帰りたい。馬車はいいので、すぐに帰ります」
するとセンシリケがやっとピエッチェを見た。
「それはいけません。カジノに来たのですから、ゲームをしない限り帰せません」
声は今までと変わらない穏やかさ、しかしその眼光は鋭い。
「ゲームをしてからではないと、この部屋から出られないとお思いください」
「ゲームをするのも、いつ帰るのも、こちらの勝手なのではありませんか?」
「それはそちらの都合。こちらにはこちらの都合があるのです。ゲームをして勝たない限り、このお部屋からはお出ししませんよ」
「勝たない限り?」
「はい。だけど特別に……負けても部屋から出して差し上げます。そのお嬢さまを賭けて勝負するのなら」
「なにを、馬鹿な……」
このピエッチェの発言はクルテの指示ではない、思わず言ってしまったことだ。
「拒否なさるのならそれでもわたしは構いません。この部屋にあなたがたを閉じ込めておくだけですから」
立ち去ろうとするセンシリケをクルテが呼び止める。
「もし負けたら、わたしはどうなるのでしょう?」
上品で弱々しいクルテの声、世慣れしていない深窓の令嬢気取りか? ピエッチェが『コイツ、女になった自分を楽しんでる』と半ば呆れ、半ば魔物って凄いやと感心する。
センシリケがクルテを見て微笑んだ。
「あるかたが高貴な令嬢の話し相手をお探しです。そこに送ります。なんの心配もございません」
「高貴な令嬢?」
「はい……もう何人もお送りしたのですが、令嬢のお気に召す相手は見つかっておりません。ですがあなたほど美しければ、今度こそお気に召すことでしょう。不自由のない生活が保障されます。なんでしたらゲームなど関係なく、お連れしますよ?」
「それは、どこの、なんと仰るかたなのですか?」
「それは明かせません。秘密ですから」
「どこに行くか判らないのに承知できないわ」
「では、王都のどこか、とだけ……ですが、行けばお屋敷からは出られませんよ。どこなのか判っても意味のない事です――どうしますか? お行きになりますか?」
「もう一つ聞いてもよろしいかしら? あなたが『あるかた』に協力して令嬢のお相手を探している理由はなんですか?」
「それは……」
センシリケが僅かに動揺する。だが、答えは素っ気ないものだった。
「そのかたに依頼されたからでございます」
「報酬をいただいているのでしょうか?」
「いいえ、報酬などとんでもない――もういいでしょう? わたしの依頼を受けてくださいますか? 勝負で決着を付けますか? それともここに閉じ込められるのを選びますか?」
センシリケに結論を促されたクルテが切なげな眼差しでピエッチェを見る。全てクルテの芝居、ましてクルテは魔物、それが判っているのにピエッチェの心臓が騒ぎ始める。コイツ、なんでこんなに無駄に綺麗なんだ――正体を知らなきゃ惚れちまいそうじゃないか。
「いかがいたしますかな? お嬢さまはフィアンセのあなたに決めて欲しいようですよ?」
センシリケの声にピエッチェが我に返る。うっかりクルテに見惚れてしまっていた。
どうするんだよ、クルテ? 心の中でピエッチェがクルテに呼び掛ける。だけどクルテは応答しない。じりじりとした緊張、フッとセンシリケが溜息を吐く。
「では、この部屋で寿命が尽きるのを――」
「する! 勝負する!」
立ち去ろうとするセンシリケにピエッチェが叫ぶ。
「勝てば二人とも無事に帰してくれるんだな?」
「もちろんです」
「無条件でだな?」
「どうぞお好きにお帰りください」
「で、こちらが勝った時には?」
センシリケがハッとする。
「申し訳ございません。何も考えておりませんでした」
「そっちはわたしのフィアンセを欲した。ならば、こちらも欲しいものを言ってもいいか?」
「何をお望みで?」
「デレドケで、おまえが奪ったものすべて――元の持ち主に返せ」
「……随分と大きく出ましたな。まぁ、いいでしょう」
「それとイカサマは許さない。イカサマすれば問答無用でおまえの負けだ」
フッとセンシリケが笑う。
「イカサマ? するもんですか。もしするのなら絶対見抜かれない方法を使います。ゲームは何をお望みで?」
そう言って、上着のポケットからカードを取り出した。
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