俺たちに明日はある。〜ゾンビ化彼氏を愛するための間違えられない選択肢〜

かの

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プロローグ

0-2 告白

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 都内での感染者が十万人を超えたとネットニュースが伝えていた。それだけ新種のウィルスは猛威を奮っているようだ。だけどまだゾンビ化した人間なんて見かけた事もない。それに今日は待ちに待った土曜日だ。
 吉祥寺駅の東口。改札を抜けて来たカナタに軽く手を挙げる。

「えっ? リュウキ君。もう来てたの?」
「あ、うん」
「待たしちゃ悪いから二十分前に着く電車に乗ったんだけど、それでも待たせたんだ。ごめん」
「いや、俺ん。ここから歩いて十分だし。それよりわざわざ吉祥寺まで来てもらって。ごめん」
「全然。俺ん家。国分寺だし。観たい映画がちょうど吉祥寺でやってたから」
「あ、この映画だよね?」

 スマホを取り出してウェブ予約しておいたチケットを見せる。

「うん。これ。チケット代は後で払うね」

 カナタが観たいと言った映画が恋愛映画で良かった。今日でカナタに会うのは三回目だ。これはカジュアルな関係ではなく、ちゃんとした恋愛に繋がると考えていいはず。映画の後は井之頭にでも行って告白だ。
 上映開始まではまだ三十分以上あったけど、館内のカフェで時間を潰していたらすぐに開始時間になった。……そして上映開始。初めてのペアシートに最初は少し緊張していたけど、カナタが選んだ映画は面白くて、二時間の上映時間はただただ没頭して終わった。

「……面白かったね。でもラストで泣かされてしまった」

 カナタが泣いていたのは気付かなかった。それに少し……???はてなだ。

「ああ、面白かったよね。でも泣くシーンあった?」
「ほら。ラストに二人が手を繋いで……」

 説明が始まったけどピンとは来なかった。それより今は告白だ。今日みたいな時間を永遠に続けていきたい。そのためにはカナタの彼氏にならないといけない。

「泣きどころの話はゆっくり聞くから。とりあえず井之頭でも言ってのんびりしないか?」
「うん。井之頭公園だよね? ……公園でのんびりするの好き」

 カナタの返事を聞く前に既に足は井之頭へ向かわせていた事は言わない。……途中のカフェでテイクアウトした紙コップを両手に公園に入って落ち着けそうな場所を探す。

「……はい。こっちがカナタのカフェオレ」

 公園入口近くのベンチに並んで腰を落とす。

「ありがとう。リュウキ君はブラック?」
「そうだよ」
「さすが大人だ」

 カナタが笑う。もうダメだ。セーブが出来ない。気持ちが止めどなく傾いていく。

「なぁ、カナタ。大事な話があって」
「何? 実は俺もリュウキ君に話したい事があるんだけど」

 話したい事って何だろう? 

「何? カナタが話したい事って」
「今日でこうやって会うの三回目だよね?」
「ああ、そうだな」

 まさかもう会わないとか言い出すんだろうか。そんな事を言われたら立ち直れなくなる。でも告白前で良かった。

「……リュウキ君の事を好きになっていいかな。リュウキ君みたいな彼氏が居たら俺幸せになれるだろうなって」

 まさかカナタから告白されるなんて思ってもいなかった。

「え? いいのか? 実は俺の大事な話ってのはカナタに告白しようと思ってて。……カナタ。俺と付き合ってください。大袈裟な言い方だけど永遠の愛を誓います。よろしくお願いします」

 立ち上がって右手を差し出す。本当は抱き締めたりキスしたり。そんな事をしたいけど、とりあえず握手からでいい。何か付き合い始める形が欲しい。

「ありがとう。こちらこそよろしくお願いします」

 立ち上がり右手を握り返してきたカナタ。……ダメだ。とりあえずなんて理性は働きそうにない。カナタの腕を引き強く抱き締める。

 えっ? 誰? 何で?

 突然の事に考えが追いつかない。カナタの後ろ。地面を人間が這っている。男? いや、性別なんかどうでもいい。—— その時。這っていた男がカナタの左のふくはぎに噛み付いた。見上げてきた男の顔は青くてこの世の者とは思えない。
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