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第五章 孫を追いかけ王都を目指す旅で御座います。
5-1 夕食は中華で御座います。
「探偵さんよぅ。町役場では何か雷人の情報を、得られたんかいのぅ?」
珍しくじぃじが雷人の名前を出しております。そりゃあ、じぃじにとっても可愛い孫ですから、当然の事ですが、少し意外で御座いました。
「ええ、それなんですが……。ゆっくりお話したいので、ここではなく家を出してからにしましょう」
広場のベンチから腰を上げ、探偵さんとじぃじに続きます。……家の台所で夕飯作りが出来るなら、今日は中華に致しましょう。ミーナさんのキッチンでお料理をさせていただきましたが、どうも火力が弱かったのです。家の台所なら、充分な火力がありますから、今日は中華で決まりです。
「……ゆっくり話しないとならないって事は、何か良からぬ話って事なんじゃなかろうか?」
じぃじがこそこそと耳打ちして来ました。もう家族同然の探偵さんの前で、耳打ちだなんて、あまりいい気は致しませんが、じぃじの心配にも少し納得させられます。いつもニコやかな探偵さんですが、町役場から戻られてから、少し難しい顔をしておいでです。
「今日はここに家を出させてもらいましょう」
広場から少し歩いた所には、大きな公園が御座いました。辺りを見回すと、人猫さん達が芝生の上で、くつろいでいらっしゃいます。
あら。じぃじは相変わらず、家を出す時だけ、動きが早よう御座います。
「……1時間ほどで、夕飯の支度が整いますので、お話はその時にでも、お聞かせください」
隣に家を出された、探偵さんとしばしお別れして、さっそく台所に立ちます。……まずは餅米を取り出しまして、ご飯から炊いていきましょう。……こちらに来てから、あまり季節感は御座いませんが、今は秋のはずです。中華おこわに、じぃじの好きな栗を入れましょう。
後は酢豚、カニ玉、コーンスープに春雨サラダです。……毎回、自画自賛で申し訳御座いませんが、今日も美味しそうに出来上がりました。いえ、美味しく出来たはずです。
「じぃじ、探偵さんをお呼びしてください」
ソファにだらしなく寝ておりました、じぃじに声を掛けます。……あらまぁ。だらしなく寝ていましたが、急に機敏に動き出しました。夕食を楽しみにしてくださっているんですね。
「……今日は中華みたいじゃ」
「中華ですか。まさかこんな所で、中華を食べられるなんて、有り難いですね」
さっきは探偵さんの顔が少し気になりましたが、今はいつも通りのニコやかな笑顔を見せてくださってます。……やっぱり、お食事は誰にとっても嬉しいもので御座いますね。
「……それでだ、探偵さんよぅ。さっきの話なんじゃが」
席に着くなり、じぃじが話し始めました。いつもなら席に着けば、すぐに食べ始めるじぃじですが、今日は箸も持っておりません。
「とりあえず食べながらで、いいのでは御座いますはんか? 熱いうちに酢豚を召し上がってください。それに今日のおこわは栗入りですよ」
小皿に取り分けた酢豚を、じぃじと探偵さんの前に差し出します。黒酢を使った濃厚な酢豚は、中華の中では、私の得意料理の一品です。
「あ、はい。ありがとうございます。戴きます」
探偵さんは、ようやく箸を持ってくださいました。
「じぃじも、食べましょう。お好きな栗ですよ。しかも丹波産の和栗ですよ」
「おお! 丹波産なのか!」
じぃじもようやく箸を持って、栗を摘み上げてくださいました。
「はい。そうですよ。丹波産です。……お話は食べながらと言う事で。……それで、探偵さん。何か雷人にまつわる情報があったんで御座いましょうか?」
「ええ、それが……。雷人君と直接関係あるかは分からないんですが、国王と妃が、異世界から何人も若者を召喚しているって話を聞きまして」
「でも、それは護衛隊のためではないのでしょうか?」
「いや、それが……。そうじゃないんです。護衛隊のためなら、魔導師に頼んで召喚させます。ですが、国王と妃が自らの手で召喚していると言う話なんです」
確か国王と妃は、私達と同じ転移者だとお伺い致しました。そんなお二人が自らの手で召喚となれば、何か特別な事があると考えるのが、道理でしょう。
珍しくじぃじが雷人の名前を出しております。そりゃあ、じぃじにとっても可愛い孫ですから、当然の事ですが、少し意外で御座いました。
「ええ、それなんですが……。ゆっくりお話したいので、ここではなく家を出してからにしましょう」
広場のベンチから腰を上げ、探偵さんとじぃじに続きます。……家の台所で夕飯作りが出来るなら、今日は中華に致しましょう。ミーナさんのキッチンでお料理をさせていただきましたが、どうも火力が弱かったのです。家の台所なら、充分な火力がありますから、今日は中華で決まりです。
「……ゆっくり話しないとならないって事は、何か良からぬ話って事なんじゃなかろうか?」
じぃじがこそこそと耳打ちして来ました。もう家族同然の探偵さんの前で、耳打ちだなんて、あまりいい気は致しませんが、じぃじの心配にも少し納得させられます。いつもニコやかな探偵さんですが、町役場から戻られてから、少し難しい顔をしておいでです。
「今日はここに家を出させてもらいましょう」
広場から少し歩いた所には、大きな公園が御座いました。辺りを見回すと、人猫さん達が芝生の上で、くつろいでいらっしゃいます。
あら。じぃじは相変わらず、家を出す時だけ、動きが早よう御座います。
「……1時間ほどで、夕飯の支度が整いますので、お話はその時にでも、お聞かせください」
隣に家を出された、探偵さんとしばしお別れして、さっそく台所に立ちます。……まずは餅米を取り出しまして、ご飯から炊いていきましょう。……こちらに来てから、あまり季節感は御座いませんが、今は秋のはずです。中華おこわに、じぃじの好きな栗を入れましょう。
後は酢豚、カニ玉、コーンスープに春雨サラダです。……毎回、自画自賛で申し訳御座いませんが、今日も美味しそうに出来上がりました。いえ、美味しく出来たはずです。
「じぃじ、探偵さんをお呼びしてください」
ソファにだらしなく寝ておりました、じぃじに声を掛けます。……あらまぁ。だらしなく寝ていましたが、急に機敏に動き出しました。夕食を楽しみにしてくださっているんですね。
「……今日は中華みたいじゃ」
「中華ですか。まさかこんな所で、中華を食べられるなんて、有り難いですね」
さっきは探偵さんの顔が少し気になりましたが、今はいつも通りのニコやかな笑顔を見せてくださってます。……やっぱり、お食事は誰にとっても嬉しいもので御座いますね。
「……それでだ、探偵さんよぅ。さっきの話なんじゃが」
席に着くなり、じぃじが話し始めました。いつもなら席に着けば、すぐに食べ始めるじぃじですが、今日は箸も持っておりません。
「とりあえず食べながらで、いいのでは御座いますはんか? 熱いうちに酢豚を召し上がってください。それに今日のおこわは栗入りですよ」
小皿に取り分けた酢豚を、じぃじと探偵さんの前に差し出します。黒酢を使った濃厚な酢豚は、中華の中では、私の得意料理の一品です。
「あ、はい。ありがとうございます。戴きます」
探偵さんは、ようやく箸を持ってくださいました。
「じぃじも、食べましょう。お好きな栗ですよ。しかも丹波産の和栗ですよ」
「おお! 丹波産なのか!」
じぃじもようやく箸を持って、栗を摘み上げてくださいました。
「はい。そうですよ。丹波産です。……お話は食べながらと言う事で。……それで、探偵さん。何か雷人にまつわる情報があったんで御座いましょうか?」
「ええ、それが……。雷人君と直接関係あるかは分からないんですが、国王と妃が、異世界から何人も若者を召喚しているって話を聞きまして」
「でも、それは護衛隊のためではないのでしょうか?」
「いや、それが……。そうじゃないんです。護衛隊のためなら、魔導師に頼んで召喚させます。ですが、国王と妃が自らの手で召喚していると言う話なんです」
確か国王と妃は、私達と同じ転移者だとお伺い致しました。そんなお二人が自らの手で召喚となれば、何か特別な事があると考えるのが、道理でしょう。
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