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異端児達の集結
異端児達の入学③後編
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「嘘だな」
零弥がそれを否定する。
「えっ…どういうこと?」
「何故ならば、ユミとのやり取りの最中、俺は一度周りを確認したタイミングがあった。その時流雅の姿は確認できなかった」
零弥が説明をする。
しかし、流雅は反論があるようで、
「そのタイミングが悪かったんじゃないの?」
「いいや。そのタイミングは既に集合時間についての話が終わった後だ。つまり、ユミの寝癖を発見した時ということになるな」
「ちょっと!また掘り返さないでよ!」
ユミが恥ずかしそうに言い返す。
「なら、その確認した所から見えない位置に居たんだよ。そこから話の内容が聞こえてきたんだ。これはどうかな?」
一見反論しづらい内容。しかし、零弥は、
「あのときは人混みの中だった。そんな中の話し声が聞こえるはずがない」
零弥が非常に鋭い指摘をする。この反論はとても効いたようで、流雅はこれ以上反論する事は無かった。
「う~ん負けちゃったなぁ。さすがだよ。零弥くんは」
「ところで、なぜ知っていたのか教えてくれないか」
零弥は説明を求める。聞くこと自体はあまり意味の無さそうだが。
その言葉を聞いて、流雅は説明を始める。
「あぁそれはね、零弥くんが違うルートで歩いて行くのを見かけたからだよ。たまたま外を見たらさぁ、君が一人で遠回りしていたんだ。しかも時間はかなり早かったし」
「お前が住むアパートから見えてたのか…」
「3階って結構見渡せる範囲広いんだよね」
流雅がさりげなく補足をする。
零弥が最短ルートを通らず回り道をしたことは事実。勿論集合場所に行くためだ。
そしてその道は流雅の住むアパートの3階から確認することができる。説明としては真っ当なものだった。
最も、その理由がどうしても聞きたかった訳では無いのだが。
「ところで流雅、お前月島にストラップを返したのか?」
零弥がこの質問をした理由は二つ。
一つは紗亜矢の件から話を逸らすため。普通の生徒とのやり取りならまだいいが、生徒会長ともあらば話は別だ。後で面倒臭い展開と処理が待っているのは目に見えている。
もう一つは純粋にストラップについて聞きたかったからだ。ストラップは亜芽が落としてから流雅が保管している。教室に入ってからずっと流雅に付いていた訳ではなく、自分の知らない時に既に返却しているかもしれない。また、亜芽の事についても気になっていたからだ。
「いいや、まだだよ。準備時間は短かったし、返すならついでにゆっくり話がしたかったからさ。明日の放課後に返すことにするよ。勿論君たちにも付き合ってもらうけどね」
どうやら話を逸らすことには成功したようだ。
しかし流雅の話によると、ストラップはまだ返却していないようだ。
「早く返してあげなさいよ」
ユミが流雅にそう告げる。
「しかし、アイツ何でそこまで急いでたんだろうか…」
「零弥くん、さすがにそれは早すぎると思うよ」
零弥は亜芽の事が気になっていたのだが、流雅はそれを抑えようとした。
「でも、あんなに急いでいたら、帰りに私たちの誘いに来てくれるかな…あんまり束縛したら後々まずいし…」
ユミが懸念するのは当然だ。
ファミレスでもジュースだけ飲みに行ってもいいが、そもそもついて来てくれないかもしれない。
とりあえず少しだけ相談したあと、流雅はマンションに戻り、零弥とユミだけになった。
「そういやユミ、お前何で今日遅れてきたんだよ」
零弥がユミに聞く。紗亜矢の件も、亜芽の件も、ユミが遅れ来なければ零弥は巻き込まれなかった。おかげで二人に問いただされる羽目になってしまった。
「あたし夜もゆっくりできないし、寝不足になることは仕方ないでしょ」
「昨日は非番だっただろ」
零弥が呆れたように言い返す。
「まぁそうだよな。国家公務員様は大変ですよねっと」
「ここ最近ホントに仕事が多いのよ。この地域の治安悪くなってない?」
「それを良くするのがお前の仕事だろ」
「零弥も手伝ってくれてるから同罪でしょ」
ユミが零弥に言い返す。
話ながら歩いていれば、ユミの自宅の近くまで歩いていた。
「じゃ、お疲れさま」
「お疲れ」
零弥とユミはここで別れ、自分の帰路についた。
自宅のドアを開けると疲れと空腹感が一気に放出される。
入学式を終えただけなので、昼飯も食べていない。
零弥は近くのコンビニにいくことに決めて、とりあえず着替えることにした。
しかし、すぐに行かずにテレビをつけてリラックスすることにした。
-次のニュースです。あの世間を騒がせた凶悪な殺人事件から五年たち、現場には花束が置かれています。当時の事を知らない人はほとんどいないでしょう-
テレビには、五年前の殺人事件を追悼及び振り替えるニュースが報じられていた。
「五年前…か…」
零弥はここで自分の記憶の糸を辿ってみることにした。
記憶の糸…誰しもが持っている糸。
自分の行動を記録する糸。
学習するための糸。
未来を生きるための糸。
そして、過去の真実を確かめるための糸。
朝に行われた入学式、入試が近づきピリピリする教室、修学旅行、そして中学校の入学式。
しかし、三年前に目覚めたひとつの病院の病室で、零弥のただ一つの糸はぷっつりと切れてしまっていた。
零弥がそれを否定する。
「えっ…どういうこと?」
「何故ならば、ユミとのやり取りの最中、俺は一度周りを確認したタイミングがあった。その時流雅の姿は確認できなかった」
零弥が説明をする。
しかし、流雅は反論があるようで、
「そのタイミングが悪かったんじゃないの?」
「いいや。そのタイミングは既に集合時間についての話が終わった後だ。つまり、ユミの寝癖を発見した時ということになるな」
「ちょっと!また掘り返さないでよ!」
ユミが恥ずかしそうに言い返す。
「なら、その確認した所から見えない位置に居たんだよ。そこから話の内容が聞こえてきたんだ。これはどうかな?」
一見反論しづらい内容。しかし、零弥は、
「あのときは人混みの中だった。そんな中の話し声が聞こえるはずがない」
零弥が非常に鋭い指摘をする。この反論はとても効いたようで、流雅はこれ以上反論する事は無かった。
「う~ん負けちゃったなぁ。さすがだよ。零弥くんは」
「ところで、なぜ知っていたのか教えてくれないか」
零弥は説明を求める。聞くこと自体はあまり意味の無さそうだが。
その言葉を聞いて、流雅は説明を始める。
「あぁそれはね、零弥くんが違うルートで歩いて行くのを見かけたからだよ。たまたま外を見たらさぁ、君が一人で遠回りしていたんだ。しかも時間はかなり早かったし」
「お前が住むアパートから見えてたのか…」
「3階って結構見渡せる範囲広いんだよね」
流雅がさりげなく補足をする。
零弥が最短ルートを通らず回り道をしたことは事実。勿論集合場所に行くためだ。
そしてその道は流雅の住むアパートの3階から確認することができる。説明としては真っ当なものだった。
最も、その理由がどうしても聞きたかった訳では無いのだが。
「ところで流雅、お前月島にストラップを返したのか?」
零弥がこの質問をした理由は二つ。
一つは紗亜矢の件から話を逸らすため。普通の生徒とのやり取りならまだいいが、生徒会長ともあらば話は別だ。後で面倒臭い展開と処理が待っているのは目に見えている。
もう一つは純粋にストラップについて聞きたかったからだ。ストラップは亜芽が落としてから流雅が保管している。教室に入ってからずっと流雅に付いていた訳ではなく、自分の知らない時に既に返却しているかもしれない。また、亜芽の事についても気になっていたからだ。
「いいや、まだだよ。準備時間は短かったし、返すならついでにゆっくり話がしたかったからさ。明日の放課後に返すことにするよ。勿論君たちにも付き合ってもらうけどね」
どうやら話を逸らすことには成功したようだ。
しかし流雅の話によると、ストラップはまだ返却していないようだ。
「早く返してあげなさいよ」
ユミが流雅にそう告げる。
「しかし、アイツ何でそこまで急いでたんだろうか…」
「零弥くん、さすがにそれは早すぎると思うよ」
零弥は亜芽の事が気になっていたのだが、流雅はそれを抑えようとした。
「でも、あんなに急いでいたら、帰りに私たちの誘いに来てくれるかな…あんまり束縛したら後々まずいし…」
ユミが懸念するのは当然だ。
ファミレスでもジュースだけ飲みに行ってもいいが、そもそもついて来てくれないかもしれない。
とりあえず少しだけ相談したあと、流雅はマンションに戻り、零弥とユミだけになった。
「そういやユミ、お前何で今日遅れてきたんだよ」
零弥がユミに聞く。紗亜矢の件も、亜芽の件も、ユミが遅れ来なければ零弥は巻き込まれなかった。おかげで二人に問いただされる羽目になってしまった。
「あたし夜もゆっくりできないし、寝不足になることは仕方ないでしょ」
「昨日は非番だっただろ」
零弥が呆れたように言い返す。
「まぁそうだよな。国家公務員様は大変ですよねっと」
「ここ最近ホントに仕事が多いのよ。この地域の治安悪くなってない?」
「それを良くするのがお前の仕事だろ」
「零弥も手伝ってくれてるから同罪でしょ」
ユミが零弥に言い返す。
話ながら歩いていれば、ユミの自宅の近くまで歩いていた。
「じゃ、お疲れさま」
「お疲れ」
零弥とユミはここで別れ、自分の帰路についた。
自宅のドアを開けると疲れと空腹感が一気に放出される。
入学式を終えただけなので、昼飯も食べていない。
零弥は近くのコンビニにいくことに決めて、とりあえず着替えることにした。
しかし、すぐに行かずにテレビをつけてリラックスすることにした。
-次のニュースです。あの世間を騒がせた凶悪な殺人事件から五年たち、現場には花束が置かれています。当時の事を知らない人はほとんどいないでしょう-
テレビには、五年前の殺人事件を追悼及び振り替えるニュースが報じられていた。
「五年前…か…」
零弥はここで自分の記憶の糸を辿ってみることにした。
記憶の糸…誰しもが持っている糸。
自分の行動を記録する糸。
学習するための糸。
未来を生きるための糸。
そして、過去の真実を確かめるための糸。
朝に行われた入学式、入試が近づきピリピリする教室、修学旅行、そして中学校の入学式。
しかし、三年前に目覚めたひとつの病院の病室で、零弥のただ一つの糸はぷっつりと切れてしまっていた。
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