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「ん……」「っはぁ……」
唇が重なる湿った音と、衣擦れの気配が部屋に満ちる。
昨晩は蒼真と僕の両親の挨拶、今日は蒼真の母との挨拶も終えた。「終電まで帰らない」と言い残してお義母さんは出かけていき、家に残されたのは僕と蒼真だけ。
愛し合う二人が一つ屋根の下にいて、することはただ一つ。
蒼真の部屋。ベッドの上で、昨日とは逆に蒼真が上から覆いかぶさり、互いの口を夢中で貪り合った。
指を絡め、根元まで強く結ぶ。手のひらはぴたりと重なり、逃げ場はない。絶対逃げないけど。むしろずっとここにいたい。
蒼真の重みとあたたかさ、彼が普段眠るシーツから立ちのぼる匂いに包まれて、意識は次第にとろけていく。
頭の中はただひとつ——彼が好き、という想いでいっぱいだ。
「んぁっ……蒼真もう我慢できない」
「俺も」
蒼真の手が僕の服の裾に伸びる。
「いい?」
「もちろん」
自分で服を脱ぐ、そのまま蒼真の上を脱がせて、裸の肌の感触に酔う。二人ともあとはズボンだけ。
「綺麗」
そう呟いて、蒼真が僕の首に口づけを残す。そのままちゅっちゅっと、啄みながら、唇が下に降りていく。
僕の乳首は、早く舐めてほしいと静かに勃ち上がっている。確認するように、蒼真が上目づかいでこちらをうかがう。凛々しい顔なのに仕草は子犬みたいで、胸が甘くなる。こくりと頷いて合図を返した。
「あっ……!」
次の瞬間、舌先が胸の先をそっと掠め、電気のような快感が走る。求めていた刺激に身体がふるえる。反応を見計らいながら、蒼真は唇で吸い、舌で転がし、反対側は指でやさしく摘まんで、時折かすかに甘噛みする。
すべてが気持ちよくて、絡めたままの左手の指に力がこもり、背が弓なりに反った。お腹の奥がきゅん、きゅん──彼を待ちきれない合図みたいに収縮をはじめる。
思えば、誠司さんの家に行ったことは一度もない。だから、相手の匂いが染み込んだベッドに包まれる感覚は新鮮で、こんなにも安らぐのかと驚く。なのにあの人は、僕を一度だって招かなかった──それでもいつか番になれると夢見ていた自分が幼くて、愚かで、笑えてくる。「悪い男に騙されそう」って言った父さんの言葉は、たしかに当たってた。
両親に大切に育てられて、世間知らずのまま悪意に躓いて、自暴自棄になって──それでも今、僕は大切な人に抱きしめられている。家族にも認められた、ちゃんと“良い人”に。
張りのある髪を撫でると、愛しさで胸が張り裂けそうになる。「ん?」と顔を上げた蒼真の視線が、まっすぐ刺さる。
「今ね……僕、この時のために生きてきたのかもって、思った」
「つらかったことも、きっと今日のための布石だったんだと思う。過去の嫌なことなんて、もう全部どうでもいい。今日は、人生のご褒美みたい。今がいちばん幸せ。」
蒼真は顔を上げ、うるむ瞳で見下ろす。いつもきらきらしている瞳が、今は少し水を湛えている。
「琉生のつらいことも、嫌だったことも、俺に教えて。助けたい。ずっとそばにいさせて」
好きだ──その気持ちで胸も頭も満たされる。
「助けて。今、ひとつだけつらいことがある」
「なに?」
「早く、蒼真が欲しい」
「ぷっ……!」
思わず吹き出してから、肩を震わせて笑い、額をこつんと合わせてくる。
「いつもの琉生は清楚で、欲なんて一欠片もない顔してるのに……二人きりになると、とたんに甘くなるんだね」
「好きな人限定。誘惑してるの」
「もう、とっくに虜だよ。なのに、また好きになる」
そう言って、つないだ手の甲にちゅっと口づける。
──その仕草のほうが、よっぽど色っぽいのに。
蒼真の指がそっと腰に触れ、ズボンの留め具が外れる。少し引っかかりながら下着ごと脱がされる。背筋に甘い震えが走った。
「……同じ“形”なの、嫌じゃない?」
蒼真は、静かに僕の下半身を見つめる。僕は不安で目を伏せる。
「嫌どころか、琉生のは綺麗だって見惚れてる」
今度は蒼真が自分の留め具に指をかけ、微かな金属音が静かな部屋に落ちた。体格に見合う重みをもったものが姿を現し、天を仰ぐ。その威容に鼓動はさらに早まり、身体の奥がくすぐるように疼く。
「前から、抱きしめていい?」
「……うん」
触れ合った瞬間の熱、張りのある肌、馴染んだ香り、下生えが脚に触れて走る微かなざわめき——すべてが僕の願ったもの。
これはフェロモンなんて関係ない。彼を"愛しているから"高鳴る鼓動だ。
あとは、その熱を受け入れるだけ。
唇が重なる湿った音と、衣擦れの気配が部屋に満ちる。
昨晩は蒼真と僕の両親の挨拶、今日は蒼真の母との挨拶も終えた。「終電まで帰らない」と言い残してお義母さんは出かけていき、家に残されたのは僕と蒼真だけ。
愛し合う二人が一つ屋根の下にいて、することはただ一つ。
蒼真の部屋。ベッドの上で、昨日とは逆に蒼真が上から覆いかぶさり、互いの口を夢中で貪り合った。
指を絡め、根元まで強く結ぶ。手のひらはぴたりと重なり、逃げ場はない。絶対逃げないけど。むしろずっとここにいたい。
蒼真の重みとあたたかさ、彼が普段眠るシーツから立ちのぼる匂いに包まれて、意識は次第にとろけていく。
頭の中はただひとつ——彼が好き、という想いでいっぱいだ。
「んぁっ……蒼真もう我慢できない」
「俺も」
蒼真の手が僕の服の裾に伸びる。
「いい?」
「もちろん」
自分で服を脱ぐ、そのまま蒼真の上を脱がせて、裸の肌の感触に酔う。二人ともあとはズボンだけ。
「綺麗」
そう呟いて、蒼真が僕の首に口づけを残す。そのままちゅっちゅっと、啄みながら、唇が下に降りていく。
僕の乳首は、早く舐めてほしいと静かに勃ち上がっている。確認するように、蒼真が上目づかいでこちらをうかがう。凛々しい顔なのに仕草は子犬みたいで、胸が甘くなる。こくりと頷いて合図を返した。
「あっ……!」
次の瞬間、舌先が胸の先をそっと掠め、電気のような快感が走る。求めていた刺激に身体がふるえる。反応を見計らいながら、蒼真は唇で吸い、舌で転がし、反対側は指でやさしく摘まんで、時折かすかに甘噛みする。
すべてが気持ちよくて、絡めたままの左手の指に力がこもり、背が弓なりに反った。お腹の奥がきゅん、きゅん──彼を待ちきれない合図みたいに収縮をはじめる。
思えば、誠司さんの家に行ったことは一度もない。だから、相手の匂いが染み込んだベッドに包まれる感覚は新鮮で、こんなにも安らぐのかと驚く。なのにあの人は、僕を一度だって招かなかった──それでもいつか番になれると夢見ていた自分が幼くて、愚かで、笑えてくる。「悪い男に騙されそう」って言った父さんの言葉は、たしかに当たってた。
両親に大切に育てられて、世間知らずのまま悪意に躓いて、自暴自棄になって──それでも今、僕は大切な人に抱きしめられている。家族にも認められた、ちゃんと“良い人”に。
張りのある髪を撫でると、愛しさで胸が張り裂けそうになる。「ん?」と顔を上げた蒼真の視線が、まっすぐ刺さる。
「今ね……僕、この時のために生きてきたのかもって、思った」
「つらかったことも、きっと今日のための布石だったんだと思う。過去の嫌なことなんて、もう全部どうでもいい。今日は、人生のご褒美みたい。今がいちばん幸せ。」
蒼真は顔を上げ、うるむ瞳で見下ろす。いつもきらきらしている瞳が、今は少し水を湛えている。
「琉生のつらいことも、嫌だったことも、俺に教えて。助けたい。ずっとそばにいさせて」
好きだ──その気持ちで胸も頭も満たされる。
「助けて。今、ひとつだけつらいことがある」
「なに?」
「早く、蒼真が欲しい」
「ぷっ……!」
思わず吹き出してから、肩を震わせて笑い、額をこつんと合わせてくる。
「いつもの琉生は清楚で、欲なんて一欠片もない顔してるのに……二人きりになると、とたんに甘くなるんだね」
「好きな人限定。誘惑してるの」
「もう、とっくに虜だよ。なのに、また好きになる」
そう言って、つないだ手の甲にちゅっと口づける。
──その仕草のほうが、よっぽど色っぽいのに。
蒼真の指がそっと腰に触れ、ズボンの留め具が外れる。少し引っかかりながら下着ごと脱がされる。背筋に甘い震えが走った。
「……同じ“形”なの、嫌じゃない?」
蒼真は、静かに僕の下半身を見つめる。僕は不安で目を伏せる。
「嫌どころか、琉生のは綺麗だって見惚れてる」
今度は蒼真が自分の留め具に指をかけ、微かな金属音が静かな部屋に落ちた。体格に見合う重みをもったものが姿を現し、天を仰ぐ。その威容に鼓動はさらに早まり、身体の奥がくすぐるように疼く。
「前から、抱きしめていい?」
「……うん」
触れ合った瞬間の熱、張りのある肌、馴染んだ香り、下生えが脚に触れて走る微かなざわめき——すべてが僕の願ったもの。
これはフェロモンなんて関係ない。彼を"愛しているから"高鳴る鼓動だ。
あとは、その熱を受け入れるだけ。
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