外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら

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第20話 私はアルガス・ヘスターです

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 「そういやぁ、伯爵の領地はここからどのくらいかかるんだ?」
 
 エリックがリズに質問をしてくる。
 
 するとリズが答えた。
 
 「ここからだと馬車で3日間かかるかな」
 
 「結構遠い~」
 
 そんな会話をしていると、やがて2頭の馬と馬車が1台立っているのが見つかった。
 
 「こちらが皆さまのために用意した馬車です、どうぞ乗ってくださいませ」
 
 すぐに私たちは馬車に乗り込み王都を出るのだった。
 
 私達は今馬車に揺られ目的地に向かっている最中である。
 
 馬車に揺られながら私はふと家族を思い出していた。
 
 追放された身だけど、元気にしてるのかなぁ……。
 
 そんなことを考えていると、馬車を操縦していた使用人が口を開いた。
 
 「もうすぐ伯爵邸へ到着いたします」
 
 前方を見ると巨大な壁が待ち受けているのだった。
 
 私達が門の前まで来ると同時に、門番たちが大きな声で『開門!』と叫ぶと大きな音を立てながら門が開かれる。
 
 すると使用人達が口開いた。
 
 「皆さまお疲れ様でした、到着でございます」
 
 そんな声を聞きながら窓の外へ目を向けるととんでもない豪邸が現れたのだ。
 
 あまりの大きさに言葉を失っていると使用人の女性が声をかけてくれた。
 
 「それではヘスター伯爵のいるお部屋まで案内いたします」
 
 そう言ってくれたので、私達は頷きついていく。
 
 荘厳な内装にぼーっと見惚れているといつの間にか部屋の扉が目の前に現れていたのだった。
 
 そして使用人が頭を下げたのち口を開く。
 
 「それでは何か御座いましたら付近の者にご連絡ください」
 
 すると使用人は頭を下げて立ち去って行った。
 
 さて、いよいよへスター伯爵と話をするのだがどんな人であろうか……。
 
 すると扉の方から物音が聞こえて来る。
 
 「伯爵かな?」
 
 そんなリズの声と共に扉が重々しい音を鳴らしながらゆっくりと開く。
 
 すると金髪で整った顔つきをもつ大人びた男が現れた。
 
 年は50ほどであろうか……。

 紫色の高貴な服に身を包んでいて、一瞬だが貴族とは思えないほどの謙虚さを感じさせる笑顔である。
 
 そんな物腰柔らかな男が話しかけてきたのだった。
 
 「あぁ皆さま、来て頂きありがとうございます! こんな所ではなんだし中に入ってください」
 
 そう言うと部屋へと入れてくれたのだった。
 
 私達は促されるままソファへと腰掛ける。
 
 向かい合った形の配置に座った。
 
 しばらくの沈黙の後に男が声を発する。
 
 「改めて挨拶させてもらいますね、私はへスター伯爵アルガス・ヘスターです」
 
 それを聞いた私もすぐに挨拶を返す。
 
 「私はAランク冒険者のラゼルです」
 
 そう答えると他の3人も同じ様に自己紹介をした。
 
 それを見るなり嬉しそうに男アルガスは話かけてくる。
 
 「あなた方の魔力は素晴らしいモノをお持ちですね」
 
 「お褒めいただきありがとうございます!」
 
 リズが代表して返事をするとアルガスは喋りだす。
 
 「それで依頼なのですが、実は最近、近くの村で魔物に襲われていると聞きまして、どうやらただの魔物ではないとか」
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