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第66話 ヤギの悪魔
しおりを挟む「おっはよ~」
次の日の朝、レズリタがそう元気な声を出しながら私の背中を叩く。
まだ眠い私は寝ぼけながら起き上がり着替えを済ませる一階に降りて歯を磨く。ようやく起きたところでお腹はペコペコだった為、宿の食堂でご飯を食べることにする。
するとリズ達も起きてきたので一緒に朝食を食べ私たちは宿を後にすることにした。
宿から出てギルドへ行くと結構人が多いことに気がついた。依頼が張り出されているボードの前には多くの冒険者たちがいて盛り上がっている様子だ。
私たちもその中を進んでいき受付嬢の場所へ到着する。相変わらず美人な受付嬢だ。
「あ! ラゼルさん!」
いつもは疲れている顔持ちの受付嬢が嬉しそうに挨拶をしてきたので私も思わず挨拶を返してしまう。リズ達はまだ眠そうな目をこすっていた。すると受付嬢が口を開く 。
「依頼が沢山来ていますよ!」
……とのことだ。私はまだゆったりとしていたいが、リズ達はパワーアップした力を早く試してみたくて仕方がないといった様子だ。
「なんかSランクレベルの依頼とかってありますか?」
私が聞いてみると受付嬢は紙をペラペラとめくり始め、一ヵ所で止めて私に向けてその依頼書を見せる。
その紙にはヤギンを討伐してほしいという依頼だった。ヤギンは全長3メートルぐらいの黒い体毛に二足歩行で立ち鋭い2本の牙をもっている魔物であり、ヤギのような形をしているようだ。
知能も人並にあるので攻撃する際はまず距離を取ることに専念するといわれているみたい……。キツイかもしれないななどと考えてるとリズ達がそわそわし始めるので仕方なしに依頼を受付嬢に出し受理されるのを見届ける。
「今回の依頼はとても危険ですので気を付けてくださいね」
受付嬢がそう言ってくるので私たちは頷く。
そして確認も取れたので早速私たちは馬車に乗り、ヤギンが出没する目的地へと向かうのであった。
「そういえば今回ヤギンが出るのは王都から離れた村らしいよ」
私が皆にそう伝えるとリズ達は今回受けた依頼の情報を確認しているようだ。
「あんまり情報がないんだね~」
「ああ、しかも村についても情報がないな」
レズリタとエリックが少し困惑気味にそう言う。まあ、誰も受けたがらない依頼だから余ってたんだろうなと私は思った。そして私たちは話しながら馬車の中で過ごしていると目的地に着く。
村の周りは木々だらけでおどろおどろしい雰囲気に包まれていた。まるであの時ウルフに襲われたあの夜を思い出すような感じだ……。そのまま私たちは馬車を降りて歩き、村の中に入り込む。
今の所誰かがいることなど確認は出来ないため村人はまだ避難などしていないのだろう。私たちはそのまま村にある家へと行きノックをする。だが誰もいない様子。
私は少し考えると村長の家に向かってみようと皆に提案してみる事にする。そう話すと皆が頷く。
そして村長の家に到着をしノックするが、結果は同じであった……。
「おいおい、どうなってんだこりゃ」
エリックはこの異様な光景を見て思わず口を開く。他の皆も同じように言葉を失っていた。そう村には誰もいないのだ……。
出発する前までの話では村には人がそれなりに住んでいると紙に書いてあったがどういうことだろうか。
そして村人たちはどこへ行ったのか全く見当がつかない状況だ……。
その後、私たちはそのまま村の探索を始めたがどの家も空っぽになっている……。
それから数時間を探索に費やしたが全く手掛かりが見つからない。
「どうして誰もいないの~」
「ちょっと不気味よねこの村」
リズとレズリタも村の不気味な雰囲気に驚いてきたのか少し震えながら声に出す。
確かに廃墟のような雰囲気、不気味な静けさは異常としか言うほかない。
ここまで来たらギルドに一旦連絡をしといた方ががいいのかと思い始めたのだった……。
それから私たちはとりあえず馬車に戻ることにした。
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