【書籍化決定】悪役貴族に転生した僕、家族を救うために水魔法を極めて破滅回避する!

空月そらら

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日常編

第122話 小さな冒険と、月夜の決意

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エレノアお姉ちゃんが嬉しそうに箸を進めると、父は深く頷いて「ほう、これはいい。確かに疲れた体に染みそうだ」と低く呟く。

 僕は満足げにもう一口食べ、それと合わせるようにスープを飲む。

 スープにも薬草が使われていて、味わいが深くなっている感じ。

 フェル用には特別に味付けを薄くしたスープが用意されているらしく、僕がその器を床に置くと、フェルは「わんわん!」と喜びの声を上げながら舌をぺろぺろと動かしている。

「フェルもおいしい? よかったね」
 
 僕が優しく声をかけると、フェルは満足そうに尻尾を大きく振ってまたスープに口をつける。

 見ているだけで微笑ましい。

 母が「リウス、ほんとにたくさん採ってきたのね。助かったわ。おかげでこんなにバリエーションを増やせるとは思わなかった」と感謝の言葉をくれるので、僕は「え、えへへ……」と嬉しそうに照れてしまう。

「リウス、あなたもどんどん成長してるわね。薬草採取まで出来るなんて……。学園に行く頃には、本当に頼もしくなってるかもしれないわ」
 
 エレノアお姉ちゃんがそう言って口元を綻ばせる。

 父も「まあ、まだまだだが……悪くないぞ」となぜか照れくさそうに呟く。

 僕は家族に囲まれながら食事をするこの時間が大好きだ。

 森での冒険を少し思い返すと、フェルとリリアと談笑したあの光景が鮮明に浮かんで、さらに胸が温かくなる。

 食後、リリアがテーブルを片づける間、僕は「今日はほんと、充実した日だったな……」と小声でつぶやく。

 フェルがテーブルの下から「わんわん!」と賛同の声を出し、父母とエレノアお姉ちゃんがそんな僕たちを微笑ましく見守ってくれている。

 いつも通りの邸宅の夜が少しだけ特別に感じられる。



 その夜、僕は自室に戻り、窓辺でベッドに腰を下ろしながら夜空を見上げていた。
 
 フェルが隣にいて、もふもふの体に頭を預けるように座り込む。

 月の光がカーテンの隙間から差し込み、床に淡い光の道を作っている。

 外は静かで、虫の声が微かに耳をくすぐった。

 ほんの数時間前まで薬草採取していたなんて、ちょっと信じられない。

 まるで小さな冒険を終えた後の安らぎが心を満たしている。

「フェル……今日は楽しかったね。リリアと森を散策して、薬草もいっぱい採れて……」
 
 フェルが「わんわん!」と短く鳴き、尻尾をパタパタ振る音がベッドに響く。

 僕はクスクス笑いながら、その背中を撫で続ける。

 フェルも気持ち良さそうに目を細め、舌をちょっと出していた。

 次第に呼吸が穏やかになり、僕は窓外に目を戻す。

「学園が始まったら、もっといろんなことを知って、いろんな森やダンジョンにも行くのかな……そしたら、ルージュや他の友達ができるかもしれない」
 
 そんな想像が頭を巡り、ふと笑みが零れる。

 まだ見ぬ世界が待っているし、学園に行けば魔法の実践や薬草研究、さらに剣の鍛錬もあるらしい。

 この邸宅での平穏な時間も大事だけれど、僕はもっと冒険したいという欲が少しずつ膨らんでいる。

 フェルが「わん……」と静かに声を出し、僕の膝に頭を乗せてきた。

「ありがとね、フェル」
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