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24.嫡男の横暴は許しません
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街の人達に犯罪者と勘違いされ、罵倒されたのが余程ショックだったようで、次男様は城に着くなり寝込んでしまわれた。事情はコンカラー兄様から聞くしかない。
どうやら次男様は、召使になれば自由に外出できると勘違いしていたようだ。なぜ、そう思ったのかと聞くと、バカだからと帰ってきた。根拠もなく、一方的にそう思い込んでいたようで、確かにバカだ。外出の理由は、この度、騎士団の予備隊に配属されたので、自身の持っている剣を新調したくて鍛冶屋を探していたようだ。兄様の説得を無視し続け、どこにあるか分からない鍛冶屋を探して、街を適当にぶらついていた。そして、欲しい物はすべて盗んだとか。
──はっ?何それ。
「次男は、物を買うのに金子がいるのを知らないんだぜ」
「まさか、無一文で外出したのか?」
「なぁ、バカだろう。次男が盗った物すべて、立て替えさせられて災難だったよ。これで、鍛冶屋が見つかっていたらと思うとゾッとするよ」
「嘘だろ、次男様は17歳だぞ。普通それくらい知っているだろう。そんななぜ、バ…いや、無知なのか。それが本当なら、大変なレベルだぞ」
「それより立て替えた分、帰って来るよな?」
「あとで、領収書をくれ。金額分の稟議書を発行して手元に戻るよう手配しよう。」
大変な事実が分かった。次男様はとんでもない非常識なのだと。こうなると、嫡男様がまともに見えてきた。それにしても、あの自分勝手な兄様達が、よく辛抱している。本来なら2人に暴行していても不思議ではない。このまま根気よく辛抱して付き合って欲しい。
「マチルダ、なんだ、あの副大隊長は」
──あぁ、言ってる傍から。兄様、まだ初日だぞ。
私の部屋に勢いよく入って来たのは、嫡男様だ。プッ、頭に大きなコブを作っている。さては、兄様の堪忍袋の緒が切れたか。
「どうかされましたか。ナフフォルガー様」
「どうもこうもない。俺が、騎士団員達を指導していたら、突然後ろから、襲ってきたのだ」
ああ、容易に想像がつく。ようは、騎士団員達が忖度してわざと負けたが、空気の読めない嫡男様が追い打ちをかけ、それを見かねた兄様が嫡男様を打ちのめしたのだな。
「分かりましたナフフォルガー様。今から訓練場に赴いて、副大隊長を叱咤致しましょう」
「ああ、俺も同行する。しっかり反省させろよ」
私は訓練場に到着した時、驚愕した。そこは、まるで被災地のような惨劇で、訓練場は真っ赤に染まり、第6騎士団員達は全員、瀕死の状態だった。兄様が、予備隊を手配していて皆、治療中だったのが幸いしていた。
私は慌てて、特別予備隊を出動させ、さらに、チャーフィーに使いを出し、救命隊の編成と出動を依頼した。
「どうした、マチルダ。顔が青いぞ。これくらいの事で、同様しているようでは、騎士団長は務まらんぞ」
「これは、ナフフォルガー様の行いですか?」
「そうだ。今朝から、腹ただしい事ばかりなので、この者達には本気での指導をしたまでだ。なぜ、そのような怖い顔をする。この世には治癒薬という物があるのだろう。それを使えば、簡単に治るのではないか」
「はい、その通りです。では、ナフフォルガー様もこんな目に遭っても、簡単に治りますから問題ないですよね」
「バカを言え、俺は剣の達人だぞ。こんな目に遭わせられる奴がこの世にいるはずないだろう」
「では、私と勝負しましょう。私に勝てば、明日から団長です」
「おいおい、お前はバカなのか?母上のお気に入りだから見逃してやっていたのに、お前から勝負を挑めば、言い訳が立たんぞ。」
「構いません。」
「ハハハハハ。まさか、自分の地位を投げ出す者がいるとは。マチルダ、お前は知らないだろうが、俺は1000年に1人の天才剣士だ。そんな俺にお前が勝てるはずないだろう」
ああ、一体誰が、このバカにこれ程の自信を持たせたのか。千年ではなく善念を持って欲しいものだが。
「おい、トータス。審判をしろ」
トータス兄様は面倒くさそうに、命令に応じた。右手を高く上げた時、私を睨みつけた。その瞳には、
──私がこんなに辛抱しているのに、お前が爆発するのではないぞ。
と言っているのが分かる。確かに部下達も瀕死になりながら耐えたのだから、ここで爆発したら、その辛抱が無駄になる。
ごめん兄様、みんな、無理。こいつを八つ裂きにしなければ、私の気が収まらない。
「始め」
兄様は、諦め顔で、右手を振り下ろした。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
嫡男様の首以外の関節はすべて、ありえない方向を向くまで、剣を振り下ろした。ご存じ、百人斬りの刑だ。嫡男様は、眼と口と鼻と股間と尻から大量の液体を垂れ流し、白眼を向いて意識を失っていた。すぐに運び出せれ、治療を受ける。どうせ最上位の治癒薬を飲まされ、すぐに痛さを忘れるのだろうな。
こうして、嫡男様は次男様同様、寝込む事となり、本日は、平穏を迎える事となった。とはいえ、とんでもない初日を迎えてしまった。これは、間違いなく明日、呼び出しを受け、怒られるパターンだ。
──グゥゥゥゥゥゥ。
あれ?お腹が鳴っている。そういえば、もうすぐ日が暮れるのに、昼を取った覚えがない。あのクソ兄弟のせいで、私の貴重な昼休憩を省略されるなんて。明日からもそんな日々が続くのか。
──あぁ、憂鬱だ。
どうやら次男様は、召使になれば自由に外出できると勘違いしていたようだ。なぜ、そう思ったのかと聞くと、バカだからと帰ってきた。根拠もなく、一方的にそう思い込んでいたようで、確かにバカだ。外出の理由は、この度、騎士団の予備隊に配属されたので、自身の持っている剣を新調したくて鍛冶屋を探していたようだ。兄様の説得を無視し続け、どこにあるか分からない鍛冶屋を探して、街を適当にぶらついていた。そして、欲しい物はすべて盗んだとか。
──はっ?何それ。
「次男は、物を買うのに金子がいるのを知らないんだぜ」
「まさか、無一文で外出したのか?」
「なぁ、バカだろう。次男が盗った物すべて、立て替えさせられて災難だったよ。これで、鍛冶屋が見つかっていたらと思うとゾッとするよ」
「嘘だろ、次男様は17歳だぞ。普通それくらい知っているだろう。そんななぜ、バ…いや、無知なのか。それが本当なら、大変なレベルだぞ」
「それより立て替えた分、帰って来るよな?」
「あとで、領収書をくれ。金額分の稟議書を発行して手元に戻るよう手配しよう。」
大変な事実が分かった。次男様はとんでもない非常識なのだと。こうなると、嫡男様がまともに見えてきた。それにしても、あの自分勝手な兄様達が、よく辛抱している。本来なら2人に暴行していても不思議ではない。このまま根気よく辛抱して付き合って欲しい。
「マチルダ、なんだ、あの副大隊長は」
──あぁ、言ってる傍から。兄様、まだ初日だぞ。
私の部屋に勢いよく入って来たのは、嫡男様だ。プッ、頭に大きなコブを作っている。さては、兄様の堪忍袋の緒が切れたか。
「どうかされましたか。ナフフォルガー様」
「どうもこうもない。俺が、騎士団員達を指導していたら、突然後ろから、襲ってきたのだ」
ああ、容易に想像がつく。ようは、騎士団員達が忖度してわざと負けたが、空気の読めない嫡男様が追い打ちをかけ、それを見かねた兄様が嫡男様を打ちのめしたのだな。
「分かりましたナフフォルガー様。今から訓練場に赴いて、副大隊長を叱咤致しましょう」
「ああ、俺も同行する。しっかり反省させろよ」
私は訓練場に到着した時、驚愕した。そこは、まるで被災地のような惨劇で、訓練場は真っ赤に染まり、第6騎士団員達は全員、瀕死の状態だった。兄様が、予備隊を手配していて皆、治療中だったのが幸いしていた。
私は慌てて、特別予備隊を出動させ、さらに、チャーフィーに使いを出し、救命隊の編成と出動を依頼した。
「どうした、マチルダ。顔が青いぞ。これくらいの事で、同様しているようでは、騎士団長は務まらんぞ」
「これは、ナフフォルガー様の行いですか?」
「そうだ。今朝から、腹ただしい事ばかりなので、この者達には本気での指導をしたまでだ。なぜ、そのような怖い顔をする。この世には治癒薬という物があるのだろう。それを使えば、簡単に治るのではないか」
「はい、その通りです。では、ナフフォルガー様もこんな目に遭っても、簡単に治りますから問題ないですよね」
「バカを言え、俺は剣の達人だぞ。こんな目に遭わせられる奴がこの世にいるはずないだろう」
「では、私と勝負しましょう。私に勝てば、明日から団長です」
「おいおい、お前はバカなのか?母上のお気に入りだから見逃してやっていたのに、お前から勝負を挑めば、言い訳が立たんぞ。」
「構いません。」
「ハハハハハ。まさか、自分の地位を投げ出す者がいるとは。マチルダ、お前は知らないだろうが、俺は1000年に1人の天才剣士だ。そんな俺にお前が勝てるはずないだろう」
ああ、一体誰が、このバカにこれ程の自信を持たせたのか。千年ではなく善念を持って欲しいものだが。
「おい、トータス。審判をしろ」
トータス兄様は面倒くさそうに、命令に応じた。右手を高く上げた時、私を睨みつけた。その瞳には、
──私がこんなに辛抱しているのに、お前が爆発するのではないぞ。
と言っているのが分かる。確かに部下達も瀕死になりながら耐えたのだから、ここで爆発したら、その辛抱が無駄になる。
ごめん兄様、みんな、無理。こいつを八つ裂きにしなければ、私の気が収まらない。
「始め」
兄様は、諦め顔で、右手を振り下ろした。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
嫡男様の首以外の関節はすべて、ありえない方向を向くまで、剣を振り下ろした。ご存じ、百人斬りの刑だ。嫡男様は、眼と口と鼻と股間と尻から大量の液体を垂れ流し、白眼を向いて意識を失っていた。すぐに運び出せれ、治療を受ける。どうせ最上位の治癒薬を飲まされ、すぐに痛さを忘れるのだろうな。
こうして、嫡男様は次男様同様、寝込む事となり、本日は、平穏を迎える事となった。とはいえ、とんでもない初日を迎えてしまった。これは、間違いなく明日、呼び出しを受け、怒られるパターンだ。
──グゥゥゥゥゥゥ。
あれ?お腹が鳴っている。そういえば、もうすぐ日が暮れるのに、昼を取った覚えがない。あのクソ兄弟のせいで、私の貴重な昼休憩を省略されるなんて。明日からもそんな日々が続くのか。
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