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第三章 リベラティオへの旅路
第178話 ピュ~カナ!
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廃墟となったラクリマ村を、朝早く出発した俺達は、次の目的地であるアラウダの村を目指し馬車での移動を始めた。
雨上がりの雲一つない青空の中、ユニコーン達の蹄が土を蹴り、泥が跳ねる。
しかし、力強い二頭は、その状況でも軽快な音を奏ながら馬車を引く。
そんな中、御者席に座る俺とハーモニーの裏からは、子供達の元気な声が響いている。
ルームに押し付けといてなんだけど、シンシと出会ってからのミコの張り切りようが手がつけられないな……。
まるで近所のガキ大将だ。
「シンシ、前に行くカナ! ハモハモの隣が一番の絶景スポットダシ!」
でも、よくよく考えれば、ミコのやつ二百歳は越えてるんだよな?
子供扱いするのおかしいな? それにしても、あれが最年長って……。
「カナデ、カナデ! そこどくシ! シンシとお外見て風になりたいかな!」
「兄ちゃん、ボクもそこに座りたいヨ……ダメかな?」
馬車の幌から顔を出したシンシの頭の上に、今日も乗っているミコ。──完全にそこが所定位置になったみたいだな……。
「分かった、変わってやるから中に戻れ。くれぐれも、ハーモニーの邪魔をするなよ?」
そう言いながらハーモニーにその場を任せ、幌の中に入いった。
すれ違い様に「裏切り者」と俺に口パクするハーモニーの顔を、見ないふりをしながら……。
中に入った俺は、シンシと入れ替わるように荷台の中に入る。
目の前には、仲良く雑談をするトゥナとティア。そして、何やら作業をしているルームの姿が。──っておいルーム! 完璧に目を離してるだろ?
俺の視線に気づいたのだろうか? ルームは、電動工具の様なマジックアイテムを置き、保護ゴーグルの様なものをはずた。
そして俺に声を掛ける。
「ちゃ、ちゃんと見てたんやで? それにホラ、子供はワンパクぐらいの方が丁度ええやないか! 子供は風の子元気な子ってな!」
何も言ってないだろ? 墓穴を掘りやがって……ってかその言葉、この世界にもあるのかよ。
「見ていたなら当然、あの二人が今何処にいるか分かるよな?」
俺の質問に、慌てふためきキョロキョロと辺りを見渡すルーム。──どうやら、俺は人選を間違ったのかもしれない。
そんな時だ。早速、馬車の前の方からハーモニーの叫び声が──。
「──ちょ、ちょっと! ミ、ミコちゃんが飛んでっちゃいますよ~! シンシ君、しっかりと押さえててください~!」
「ピュ~カナ! ピュ~だシ!」
「ミコ姉ちゃんが、風になってるヨ! すごいネ!」
ど、どうやら既に事件が現場で起きているらしい。
まさか本当に風になろうとは……。
御者席はとんでもないことになってるな。
ハーモニーの声を聞いてか、ルームが若干顔をひきつらせながらも「あっちやろ?」と指を指した。
そんな彼女に、助けに行くように親指でジェスチャーすると、肩を落としながらも大人しくハーモニーの応援に向かった。
「──ミコ様は、次の町に着いたら大丈夫でしょうか?」
「そうね……心配よね……」
聞き耳を立てていた訳では無いが、彼女達の会話が聞こえてしまった。──ミコの名前が出てきてる以上、知らないふりって分けにもいかないか?
「何の事ですか? 俺が見てない間に、何かやらかしたとか……?」
「いえ、そうではなくて。ミコ様は、シンシ様と少々距離が距離が近いようなので……無事に離れられるかな? っと思いまして」
詳しくは知らないが、俺が知っている限りでは、ミコはずっと聖剣の中に入ったまま、グローリアのあの庭に刺さっていたらしい。
今まで、心を打ち解けることが出来る──友達が、彼女にはいたのだろうか?
「とても仲が良いものね。きっと……離ればなれになるのは辛いわよね……」
言われてみれば、少し感情移入をしすぎてる気もするな……。
今のうちに、少し忠告しておいた方が良いだろうか?
「次の休憩に俺から話しておくよ。理由を説明すればミコも分かって……」
俺の言葉に、何故か非難の目を向けるトゥナとティア。
「な、なんだよ? 二人してそんな目で見て」
「別に深い意味はないのよ? ちょっと心配だな~って……」
「そうですね、カナデ様は少々デリカシーがかけている部分がありますので」
ひどい言われようだ。
確かに気が利く方ではないかもしれないが、保護者は俺だしな、人任せにするわけにも……。
「まぁ、二人は見守っていてくれよ。なんともならなくなったら、助力を頼むよ」
俺はミコに掛ける言葉を考えながら、次の休憩スポットつくまで頭を悩ませるのであった。
雨上がりの雲一つない青空の中、ユニコーン達の蹄が土を蹴り、泥が跳ねる。
しかし、力強い二頭は、その状況でも軽快な音を奏ながら馬車を引く。
そんな中、御者席に座る俺とハーモニーの裏からは、子供達の元気な声が響いている。
ルームに押し付けといてなんだけど、シンシと出会ってからのミコの張り切りようが手がつけられないな……。
まるで近所のガキ大将だ。
「シンシ、前に行くカナ! ハモハモの隣が一番の絶景スポットダシ!」
でも、よくよく考えれば、ミコのやつ二百歳は越えてるんだよな?
子供扱いするのおかしいな? それにしても、あれが最年長って……。
「カナデ、カナデ! そこどくシ! シンシとお外見て風になりたいかな!」
「兄ちゃん、ボクもそこに座りたいヨ……ダメかな?」
馬車の幌から顔を出したシンシの頭の上に、今日も乗っているミコ。──完全にそこが所定位置になったみたいだな……。
「分かった、変わってやるから中に戻れ。くれぐれも、ハーモニーの邪魔をするなよ?」
そう言いながらハーモニーにその場を任せ、幌の中に入いった。
すれ違い様に「裏切り者」と俺に口パクするハーモニーの顔を、見ないふりをしながら……。
中に入った俺は、シンシと入れ替わるように荷台の中に入る。
目の前には、仲良く雑談をするトゥナとティア。そして、何やら作業をしているルームの姿が。──っておいルーム! 完璧に目を離してるだろ?
俺の視線に気づいたのだろうか? ルームは、電動工具の様なマジックアイテムを置き、保護ゴーグルの様なものをはずた。
そして俺に声を掛ける。
「ちゃ、ちゃんと見てたんやで? それにホラ、子供はワンパクぐらいの方が丁度ええやないか! 子供は風の子元気な子ってな!」
何も言ってないだろ? 墓穴を掘りやがって……ってかその言葉、この世界にもあるのかよ。
「見ていたなら当然、あの二人が今何処にいるか分かるよな?」
俺の質問に、慌てふためきキョロキョロと辺りを見渡すルーム。──どうやら、俺は人選を間違ったのかもしれない。
そんな時だ。早速、馬車の前の方からハーモニーの叫び声が──。
「──ちょ、ちょっと! ミ、ミコちゃんが飛んでっちゃいますよ~! シンシ君、しっかりと押さえててください~!」
「ピュ~カナ! ピュ~だシ!」
「ミコ姉ちゃんが、風になってるヨ! すごいネ!」
ど、どうやら既に事件が現場で起きているらしい。
まさか本当に風になろうとは……。
御者席はとんでもないことになってるな。
ハーモニーの声を聞いてか、ルームが若干顔をひきつらせながらも「あっちやろ?」と指を指した。
そんな彼女に、助けに行くように親指でジェスチャーすると、肩を落としながらも大人しくハーモニーの応援に向かった。
「──ミコ様は、次の町に着いたら大丈夫でしょうか?」
「そうね……心配よね……」
聞き耳を立てていた訳では無いが、彼女達の会話が聞こえてしまった。──ミコの名前が出てきてる以上、知らないふりって分けにもいかないか?
「何の事ですか? 俺が見てない間に、何かやらかしたとか……?」
「いえ、そうではなくて。ミコ様は、シンシ様と少々距離が距離が近いようなので……無事に離れられるかな? っと思いまして」
詳しくは知らないが、俺が知っている限りでは、ミコはずっと聖剣の中に入ったまま、グローリアのあの庭に刺さっていたらしい。
今まで、心を打ち解けることが出来る──友達が、彼女にはいたのだろうか?
「とても仲が良いものね。きっと……離ればなれになるのは辛いわよね……」
言われてみれば、少し感情移入をしすぎてる気もするな……。
今のうちに、少し忠告しておいた方が良いだろうか?
「次の休憩に俺から話しておくよ。理由を説明すればミコも分かって……」
俺の言葉に、何故か非難の目を向けるトゥナとティア。
「な、なんだよ? 二人してそんな目で見て」
「別に深い意味はないのよ? ちょっと心配だな~って……」
「そうですね、カナデ様は少々デリカシーがかけている部分がありますので」
ひどい言われようだ。
確かに気が利く方ではないかもしれないが、保護者は俺だしな、人任せにするわけにも……。
「まぁ、二人は見守っていてくれよ。なんともならなくなったら、助力を頼むよ」
俺はミコに掛ける言葉を考えながら、次の休憩スポットつくまで頭を悩ませるのであった。
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