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第三章 リベラティオへの旅路
第191話 マジックバック
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「カナデ兄ちゃんとトゥナ姉ちゃん……僕に酷いことするの? 怖いよミコ姉ちゃん……助けてよ」
俺達に同情を呼びかけるシンシ。
しかし、その口元は、三日月の様に緩ませ皮肉混じりの笑顔を見せつける。──くそ……やりにくい!
力動眼の対象をシンシに戻し、何とか打開策を探す。
ミコが知らない以上、俺が探しだすしかないか……。
目を凝らす中、俺はひとつの事実を見通した。
──剣と肉体は、魔力の線で繋がっている?
確信は持てない。ただゾンビにはないそれが、なぜ本体側には存在しているのか……。
「もしかしたら、あの肉体と剣を分断できればシンシを大人しくする事が出来るんじゃないか?」
俺の疑問を聞き、ミコが悩みこむ。
今まで見たことの無い真剣な姿だ、ミコも何とかして、シンシを元に戻そうと必死で考えているのだろう。
「分からないカナ……。でもボク達は武器精霊だシ! 使い手が居なければ、本来の力が発揮できないのは確かカナ!?」
よし……そうと決まればやることは一つ。手を落としてでも、器と言われた肉体と魔剣であるシンシを──引き離す!
俺達の会話を聞いていた、シンシの様子が変わっていく。
三日月の用な笑顔は上下逆さまを向き、その表情からは怒りがとって見える。
「本当にお前は厄介だな、カナデ! 僕を……その目で見ないでヨ!」
シンシが剣を振るうと突如、黒い手が器から無数にも現れ、何本かが俺達に向かい襲いかかる!
波打つ手は地面を削り、触れたものを無差別に消して行く。
「──トゥナ、回避しろ!」
俺達はそれを避けたものの、黒い手は止まることを知らないかの様、道行く障害を全て消しながら、ありとあらゆる窓や扉たどり着く。
すると、闇がそれらにそって広がり、出入り口と言う出入り口はすべて、黒いモヤに覆われてしまった。──くっ! 退路を……塞がれたのか!?
「──カナデ! あれは、マジックバックカナ!」
「マジックバックって……あの出入り口にある黒いモヤが? うちのとは、随分大きさも見た目も違うじゃないか! そもそもバックでも何もないし。ってことはなんだ? このマジックバックも、もっと大きく出来るってことか?」
「いってる場合じゃ無いカナ! あんなのボクじゃ無理ダシ! シンシの才能か魔法との相性だと思うカナ……。でも、使用魔力も相当なはずダシ!」
そこまでして、どうしてそんなものを……。
マジックバックなら経験上、生き物はしまえないはずだ。その気を出せば通過もできるよな?
──って! でもあそこを通ったら、無銘どころか服も収納されるのか!? それは不味いな……。
「カナデ君……考え込んでる場合じゃ無いと思うわよ?」
トゥナの声を聞き周囲を見渡すと、黒いモヤの中から次々とゾンビが現れ、俺達に向かい徐々に距離を詰めてきていた。──こ、こんなん完全にホラーだろ、夢に出るわ!
「あ、あれもマジックバックだろ! 生き物は入れれないんじゃなかったのか!? どんどん出て来るぞ」
「アレは死んでるから大丈夫だシ。魔物の素材を入れるのと理屈は同じカナ……」
最悪だ……密室にこれは不味いぞ。
ゾンビ化とマジックバック大、こんなにも相性が良いのかよ……。
「魔力。使っちゃった! 寄越せ……寄越せヨ! お前達の魔力!」
ゾンビは次から次へと出て来る……。
逃げ場がないココでは、取り押さえられるのも時間の問題だ。
それにしても、どうしてあんなに大量の人間の死体をマジックバック内に納めてるんだよ、シンシはそんなにも沢山の人を手にかけたのか?
闇に囲まれ薄暗い建物内で見えなかったが、ゾンビが近づくと身体中に火傷の跡が残っている。
それを見て、シンシの所有する死体の謎の推測がたった。
「もしかして、ラクリマに死体が無かったのはシンシが全部マジックバック内に納めてた……からなのか?」
「そう言う事だヨ、カナデ兄ちゃん。魔力があの時は少なかったから、死んじゃうかと思ったヨ。助けてくれて、ありがとうございます。だからお礼に……苦しまないように殺してあげるネ?」
シンシのやつ、どんどん口調がおかしくなってるじゃないか! お礼が殺すってなんだよ!
ゆるりと近づくゾンビを、俺の無銘とトゥナのレーヴァテインは次々と切り裂く。
しかしただの切り傷では、斬っても斬っても、ゾンビは歩みを止めることはない。
死んでるとは言え、人の肉を斬る感覚は吐き気を覚える。
でも今は、そんなことを言ってる場合じゃない! 倒したとしても、折り重なるように次が襲ってくるのだから……。
斬りを主体とする俺は、まだ比較的良い。しかし、トゥナの突きメインの戦闘スタイルとは相性が悪い……長引くと!
「──カナデ君このままでは不味いわ! 押しきられる!」
痛覚の無いゾンビが、こんなにも厄介だとは……。
強行突破して出口に突っ込んだらスッポンポンだし、万事休すか!?
俺達に同情を呼びかけるシンシ。
しかし、その口元は、三日月の様に緩ませ皮肉混じりの笑顔を見せつける。──くそ……やりにくい!
力動眼の対象をシンシに戻し、何とか打開策を探す。
ミコが知らない以上、俺が探しだすしかないか……。
目を凝らす中、俺はひとつの事実を見通した。
──剣と肉体は、魔力の線で繋がっている?
確信は持てない。ただゾンビにはないそれが、なぜ本体側には存在しているのか……。
「もしかしたら、あの肉体と剣を分断できればシンシを大人しくする事が出来るんじゃないか?」
俺の疑問を聞き、ミコが悩みこむ。
今まで見たことの無い真剣な姿だ、ミコも何とかして、シンシを元に戻そうと必死で考えているのだろう。
「分からないカナ……。でもボク達は武器精霊だシ! 使い手が居なければ、本来の力が発揮できないのは確かカナ!?」
よし……そうと決まればやることは一つ。手を落としてでも、器と言われた肉体と魔剣であるシンシを──引き離す!
俺達の会話を聞いていた、シンシの様子が変わっていく。
三日月の用な笑顔は上下逆さまを向き、その表情からは怒りがとって見える。
「本当にお前は厄介だな、カナデ! 僕を……その目で見ないでヨ!」
シンシが剣を振るうと突如、黒い手が器から無数にも現れ、何本かが俺達に向かい襲いかかる!
波打つ手は地面を削り、触れたものを無差別に消して行く。
「──トゥナ、回避しろ!」
俺達はそれを避けたものの、黒い手は止まることを知らないかの様、道行く障害を全て消しながら、ありとあらゆる窓や扉たどり着く。
すると、闇がそれらにそって広がり、出入り口と言う出入り口はすべて、黒いモヤに覆われてしまった。──くっ! 退路を……塞がれたのか!?
「──カナデ! あれは、マジックバックカナ!」
「マジックバックって……あの出入り口にある黒いモヤが? うちのとは、随分大きさも見た目も違うじゃないか! そもそもバックでも何もないし。ってことはなんだ? このマジックバックも、もっと大きく出来るってことか?」
「いってる場合じゃ無いカナ! あんなのボクじゃ無理ダシ! シンシの才能か魔法との相性だと思うカナ……。でも、使用魔力も相当なはずダシ!」
そこまでして、どうしてそんなものを……。
マジックバックなら経験上、生き物はしまえないはずだ。その気を出せば通過もできるよな?
──って! でもあそこを通ったら、無銘どころか服も収納されるのか!? それは不味いな……。
「カナデ君……考え込んでる場合じゃ無いと思うわよ?」
トゥナの声を聞き周囲を見渡すと、黒いモヤの中から次々とゾンビが現れ、俺達に向かい徐々に距離を詰めてきていた。──こ、こんなん完全にホラーだろ、夢に出るわ!
「あ、あれもマジックバックだろ! 生き物は入れれないんじゃなかったのか!? どんどん出て来るぞ」
「アレは死んでるから大丈夫だシ。魔物の素材を入れるのと理屈は同じカナ……」
最悪だ……密室にこれは不味いぞ。
ゾンビ化とマジックバック大、こんなにも相性が良いのかよ……。
「魔力。使っちゃった! 寄越せ……寄越せヨ! お前達の魔力!」
ゾンビは次から次へと出て来る……。
逃げ場がないココでは、取り押さえられるのも時間の問題だ。
それにしても、どうしてあんなに大量の人間の死体をマジックバック内に納めてるんだよ、シンシはそんなにも沢山の人を手にかけたのか?
闇に囲まれ薄暗い建物内で見えなかったが、ゾンビが近づくと身体中に火傷の跡が残っている。
それを見て、シンシの所有する死体の謎の推測がたった。
「もしかして、ラクリマに死体が無かったのはシンシが全部マジックバック内に納めてた……からなのか?」
「そう言う事だヨ、カナデ兄ちゃん。魔力があの時は少なかったから、死んじゃうかと思ったヨ。助けてくれて、ありがとうございます。だからお礼に……苦しまないように殺してあげるネ?」
シンシのやつ、どんどん口調がおかしくなってるじゃないか! お礼が殺すってなんだよ!
ゆるりと近づくゾンビを、俺の無銘とトゥナのレーヴァテインは次々と切り裂く。
しかしただの切り傷では、斬っても斬っても、ゾンビは歩みを止めることはない。
死んでるとは言え、人の肉を斬る感覚は吐き気を覚える。
でも今は、そんなことを言ってる場合じゃない! 倒したとしても、折り重なるように次が襲ってくるのだから……。
斬りを主体とする俺は、まだ比較的良い。しかし、トゥナの突きメインの戦闘スタイルとは相性が悪い……長引くと!
「──カナデ君このままでは不味いわ! 押しきられる!」
痛覚の無いゾンビが、こんなにも厄介だとは……。
強行突破して出口に突っ込んだらスッポンポンだし、万事休すか!?
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