T.R.E.I: 特務研究教育機構――潜む存在

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第十一話:影の奥底

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都市は静寂を取り戻したかに見えた。神崎玲とT.R.E.Iチームは、封鎖ラインの解除と被害状況の確認に追われていた。瓦礫の間を進む足音、光学網の微調整、防御フィールドの再起動――全てが戦闘後の緊張を残している。

「玲、解析結果を見ろ」

上官が差し出した端末には、Entityの波形データが新たに解析されていた。前回の直接対決で力を見せたEntityの意志は、都市全体のエネルギーと共鳴していたが、その動きにはさらなる規則性が潜んでいることが判明する。玲は目を見開いた。

「……都市全体のエネルギーを利用して、自らを“可視化”しようとしている?」

上官は頷く。「可能性の一つだ。しかし、T.R.E.I内部の古い記録によれば、Entityは単なる異常存在ではない。過去の研究では、この種の存在は都市の“集合意識”や記録と深く結びつくとされていた」

玲の胸に重い感覚が広がる。Entityの正体はまだ不明だが、人間や都市の情報を取り込み、意思を持つ存在――つまり、人間の社会構造そのものとリンクしている可能性があるのだ。

「では、今回の行動も、単なる攻撃ではなく“通信”の一種だったのか……」

玲は解析端末を操作し、都市全体の振動パターンをさらに追跡する。微細な光の波紋が点在する地点を確認すると、旧行政棟以外にも同様の反応が複数箇所に存在することが判明する。都市全体に潜む“潜在的な舞台”――Entityの意思は、まだ完全には表出していなかった。

「玲、注意しろ。この影響範囲は広がる可能性がある。次の都市規模事件の兆候かもしれない」

無線の警告に、玲は唇を噛む。T.R.E.I内部では、過去の研究結果を隠蔽してきた歴史があり、現在の捜査官たちには知らされていない情報が多い。Entityの行動と組織の秘密、そして都市全体の未来――三者の絡み合いが、新たな試練の序章を告げていた。

影の奥底で微かに揺れる光――Entityの意思は、まだ完全には消えていない。神崎玲は深呼吸を一つ、決意を固める。次に起こる都市規模の異常事態に備え、彼女はT.R.E.Iの力を信じて立ち向かうしかなかった。

夜空を切り裂く風の音が、都市の鼓動に重なり、次なる戦いの序章を告げていた。
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