運命のアルファ

猫丸

文字の大きさ
9 / 16
1.颯人視点

9.執着と独占欲

(しないのか。 俺が亮太をつなぎとめておくには身体しかないのに)

 しゅんとしながら、亮太の前に正座で座る。
 亮太はバッグから紙を一枚出した。俺は首を傾げながら、その書類に目を通す。

「これ……? え? マジで? 亮太、すごい!! おめでとう!!」

 その紙は、大学の合格通知書だった。しかも俺の大学よりも遥かに難しいところだ。

「ブランクがあったから、1年以上かかっちゃったけど、ずっと行きたかった大学に受かった……」

「そっか、亮太。 すごい頑張ったんだな……さすが亮太だ……」

 亮太に会えないこの期間、俺はずっと亮太のことだけを思ってうじうじしていたというのに、亮太はちゃんと前を向いて歩いていたのだ。
 
 再会したときに言われた「颯人は前を向いて歩いていたんだ」という言葉を思い出した。
 違う。あの時の俺は自分の行動を後悔して、惰性で生きていた。そして今はずっと亮太を思って、ただ思い出にすがって生きているだけだ。
 本来の自分を取り戻した亮太には輝かしい未来が待っているだろう。もう俺は必要ないのだろう。

「ずっと連絡できなくてごめん。 どうしても合格しようって決めてたからさ。 颯人に会うと、甘えちゃうから」

「ううん。 大丈夫……」

「俺、受かったら颯人に言いたいことあって……」
 
「うん……」
 
 これで俺たちは終わるのだろう。そう思ったら、ぽろりと涙が出てきた。

「まだなにも言ってねぇのに、なんで泣いてんの?」

「……ごめ……」

 我慢しなきゃと思えば思うほど、ぽろぽろと涙が出てきた。

「まぁ、いいや。 そのまま聞いて。 颯人、俺と番婚して?」

 予想していなかった言葉に、しばらく理解が追いつかなかった。
 
「…………え? つがい、こん? 俺も亮太もアルファ……」

 思わず涙が引っ込む。

「うん。 知ってる。 でも俺は小さな頃からずっと、颯人は俺の『運命の番』だと思っていたし、その気持ちは今でも変わらない。 颯人がアルファだって知って、忘れようとして、色んなオンナやオメガと付き合ったり、セックスしてみたけど、やっぱり颯人しかいなかった。 もうそれは性別とかじゃなくて、俺は高木颯人じゃないとダメなんだ、ってずっと思ってた。 けど性別のせいでその感情に蓋してた。 俺、ちゃんと颯人の隣りにいてふさわしい人間になるから、お願い。 俺を拒まないで?」

 今まで見たことのない必死な亮太に俺は驚いた。俺の知っている亮太はいつも余裕で、いつもなんでも簡単にこなす俺のヒーローだ。
 だが、その顔を俺だけに見せるのなら、それは悪くない。いや、むしろ嬉しい。俺だって亮太しかダメなのだ。

「俺だって、ずっと亮太しかいない。 こんなに成長しちゃって可愛げもなくなっちゃったけど、いいの?」

「小さいときのかわいい颯人も、大きくなった颯人も、これから年を取っていく颯人も全部俺のものだ」

「ふふ、それは俺も一緒だよ。 亮太のすべてを俺にちょうだい?」

 どちらからともなく重なる唇。
 亮太の手が服の裾から侵入してきて、指先が乳首を刺激し始めた。

「はふ……ま、って……準備、してくる、から……」

「一緒にシャワー浴びよ?」

 ◇
 
 互いの身体を笑いながら洗い合う。

「やめっ、くすぐったいって!!」

 俺が触る隙がないくらい、亮太が泡だらけの俺の身体を触ってくる。

「あー、幸せすぎて我慢できない。 早くベッドいこ?」

 俺の泡を流しながら、亮太が言った。俺も同じ気持ちだった。

 1年以上なにも受け入れることのなかった穴は、久しぶりの刺激に歓喜した。

「あっ、あっ、気持ちい、い……」

 中から亮太に侵食されていく。奥の壁までトントンと刺激されるイタ気持ちよさに頭が真っ白になりながら、俺は潮を吹いた。

「今度は後ろから入れたい」
 
 俺も亮太も何度もイッて、それでも相手を求める気持ちのほうが強かった。
 潮や精液でびちゃびちゃになった腹を、タオルで拭いて、亮太は俺を四つん這いにさせた。
 奥の扉がこじ開けられるような感覚がした。

「あ、亮太!! だめっ、それ以上は!! だめっ!!」

「颯人の全部を俺にちょうだい?」
 
 両腕の力が抜け、尻を高くした状態で俺のすべてを亮太に明け渡す。どうせ俺は亮太がいないとダメなのだ。亮太が女性でもなく、オメガでもなく、俺という存在を選んでくれた。もうそれだけで今なら死んでも良いと思えるくらい幸せだった。
 亮太が求めてくれるなら、何でもしたい。
 こくこくと頷くと、亮太は俺の腰を強く掴んで、ぐりぐりと最奥をえぐった。

「うぅっ、うぐぅっ……!!」

 眼の前がチカチカと星が舞うような刺激の後に、『ぐぽぉ』という音が体内から聞こえた。一瞬頭の中が真っ白になる。
 
「あ、あ……いやぁ……見ないで……」

 俺はあまりの強い刺激に漏らしていた。しょろしょろと黄色い液体が、ペニスの先端から漏れ、亮太が笑いながらバスタオルで押さえた。

「はは、最高にかわいすぎる……」

 液体が止まったのを確認して、亮太は俺の背中に軽くキスをすると、抽挿を再開した。動く度に体内がぐぽぐぽと音を立て、亮太のちんこに吸い付く。

「あ、だめ……だめ……おかしくなる……おかしくなっちゃうからぁ……」

「いいよ。 俺と一緒におかしくなろう? 俺はずっと昔から颯人におかしくなってるんだから……」

(俺がどれだけお前を好きか知らないから、そんな事言えるんだ……)
 そう思ったが、言い返すだけの余裕はなかった。体内のちんこが更に固くなり、質量が増した。射精の時が近い。
 気を失いそうなほど強い刺激の後に、熱い液体が体内の更に奥にぶちまけられた。

「あぁ……あぁ……」

 力尽きて、うわ言のようにしか声の出ない俺の首筋に亮太が唇を近づけてきた。
 そして、思い切り噛んだ。

「うわぁぁぁ!?」

 反射的に仰け反る身体。
 少し血の出た首筋を、亮太はぺろりと舐め「俺のもの……」と抱きしめた。
感想 5

あなたにおすすめの小説

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

ネガティブなΩがスパダリαから逃げる

ミカン
BL
オメガバース

運命の番は僕に振り向かない

ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。 それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。 オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。 ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。 ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。 ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。 ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。 完結しました!ありがとうございました。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

孕めないオメガでもいいですか?

月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから…… オメガバース作品です。

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」