異世界から転生

omot

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目覚め

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20年。僕はずっとこの時を待っていた。
20年前、魔王との戦いに死闘の末、なんとか勝利をおさめた。
しかし、魔王との戦いで体力と魔力を激しく消耗し、それらを回復するために深い眠りについたのだ。

僕は目が覚めるとすぐに、ステータスを確認した。
良かった、ちゃんと体力も魔力も回復している。
次に大きく背伸びをして、周りを見渡してみた。
「おかしいな、僕が眠る前はちゃんと自分家のベッドにいたと
思うんだけど」
周りには何もなかった。
文字通り、自分の家も町も人すらいなかった。
「この世の中じゃ、変わらないもののほうが少ないからな。とりあえず、久々に体を動かしたいな。」
そう思い、ベッドから降りようとした。
「ん?結界?」
その結界は、ベッドを囲むようにして張られていた。
「まあ、いいや」
僕はその結界を破るとベッドから降りた。
するとその瞬間、僕のいる地面にひびが入り真っ二つに割けた。
「モーセかよ」
なんて言ってる間もなく、僕は真っ逆さまに地下深くへと
落ちていった。 
何も見えない暗闇の中、地下深くへと。
「どこまで落ちるのかな。」
僕が地面に降り立った瞬間に、地面が割けたのだ。
つまり、あれはきっと人為的なものだろう。
そこまでは、確かなのだ。
でも、誰が何のためにこんなことをしたのだろう。
僕は誰かに導かれるようにして、地面の中へと落ちていった。
寝起きだったということもあるが、僕なら突然地面が割けても、すぐに避けることができる。
魔王と戦った時も、似たようなことがあったが、その時だって、僕は簡単に回避した。
けど、今回は違った。
誰が僕を呼んでいるような気がした。
そこに行かなければいけない気がしたんだ。
「ん?」
何かが聞こえた気がした。
「気のせいか。」
どこまで落ちたのだろう。
そんなことを考えているうちに、僕の意識は無くなっていた。
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