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3章 本を旅する
3章 本を旅するー3
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「この状況はどうなんですか。随分訳が分からないですが」
「まぁそうだね。物語の中に入れるなんて実に小説らしいよね。でも一番私が小説を小説たらしめるのは、内容じゃないと思うのね」
「ストーリーが小説ではないんですか」
「奇想天外なことが起こることばかりが物語ってわけじゃないでしょ。本当になんにも起こらなかったり、でもその中で主人公はいろいろ考えるわけだ」
「私小説とかそうですよね」
「純文学だとそういう印象のものが多いね、正直。エンタメ小説で何にも怒らんかったら読者が困っちゃうからね」
「でもその中にストーリーがあって、読み手に訴えかけるからこその物語だと思うんですけど」
私はなんだか、本中さんが少し奇抜な考えを言いたいんだけなんじゃないかと思っていました。本中さんは奇抜な考え方を好みますが、本人の選択は割と普通なのです。
「まぁね、でも現実でもそういうことってない、友達の話で何か、学ぶというか、そういうことってあるじゃん? それと小説とか映画とかの物語って何が違うのか考えてみたのね」
「違うんですか?」
「私は違うと思う。私は、小説や映画は終わりがあるところだと思うのね」
「終わり、ですか」
「小説とかって読んでる時にもあとどれくらいこの物語が続くのか分かるし、絶対終わりが来る。いくら続編が出ても、そう」
私は自分がとても面白いと思った小説を読んでいる時に、その本を読み終わるのが悲しくなったことを思い出しました。少しだけ納得できる論です。
「でも現実でも、たとえば友達の話とか、その話は会話の時にはその話はどんなに長話でも終わりが来ますよね」
「その物語の主人公たる友人はずっと生きてるじゃない」
「まぁ、そうですけど」
「現実には終わりが無いんだよ。例えば私がこういう考えだと今戸成さんに話してるでしょ、小説の中の主人公だったら、その考え方はずっと変わらないけど、現実の私は明日にでもこんな考えじゃなくて、小説を小説たらしめているのはストーリだと言っているかもしれない」
「私小説の主人公は実際生きているんだから続きがあることになるんじゃないですか」
「その小説内では彼はそのあと平穏に生きて死ぬんだよ。そこで終わり、もし何かあったとしても、その小説の世界の彼には、今後小説で起きた出来事以上の出来事は起こらない」
なんだかよく分からない話だと思いました。私はなんとか溶けそうになっているアイスをすくって口に運び、食べきりました。
「さ、食べ終わった?」
本中さんは立ち上がると、京都の町を回ろうと言い、小説のシーンを回りました。私も本中さんも実際の京都に行ったことはあるのですが、何か違うのです。それは一種の住民への親密さでした。観光客である私たちは感じられないものです。
京都の町で、どんどん事件が起こります。本中さんは私の腕を引っ張り、あっちに行こう、こっちに行こうと振り回すので、私は一日経つころにはとても疲れていました。
夜になり、私たちは初めての試みとして、本の世界で寝ることとなりました。ちょうどよさそうな場所を探します。本の中なので、野宿と言ってもどこで寝てもそう変わりません。本の世界はなんだかんだ平和なようです。
夜、もぐりこんだ屋内で眠っていると、外で何か起こっている気配がします。私は外を確認し、何か空で戦いが起こっているようだと本中さんに言うと、おかしいな、と呟いました。
「何がですか」
「戸成さんこの本覚えてる?」
私は随分と前に読んだのですこし忘れていました。同じ作者の他の作品も読んだので、内容が混ざっています。
「まぁ、一応覚えていますが」
「この本にはこんなシーンは無いんだよ」
「まぁそうだね。物語の中に入れるなんて実に小説らしいよね。でも一番私が小説を小説たらしめるのは、内容じゃないと思うのね」
「ストーリーが小説ではないんですか」
「奇想天外なことが起こることばかりが物語ってわけじゃないでしょ。本当になんにも起こらなかったり、でもその中で主人公はいろいろ考えるわけだ」
「私小説とかそうですよね」
「純文学だとそういう印象のものが多いね、正直。エンタメ小説で何にも怒らんかったら読者が困っちゃうからね」
「でもその中にストーリーがあって、読み手に訴えかけるからこその物語だと思うんですけど」
私はなんだか、本中さんが少し奇抜な考えを言いたいんだけなんじゃないかと思っていました。本中さんは奇抜な考え方を好みますが、本人の選択は割と普通なのです。
「まぁね、でも現実でもそういうことってない、友達の話で何か、学ぶというか、そういうことってあるじゃん? それと小説とか映画とかの物語って何が違うのか考えてみたのね」
「違うんですか?」
「私は違うと思う。私は、小説や映画は終わりがあるところだと思うのね」
「終わり、ですか」
「小説とかって読んでる時にもあとどれくらいこの物語が続くのか分かるし、絶対終わりが来る。いくら続編が出ても、そう」
私は自分がとても面白いと思った小説を読んでいる時に、その本を読み終わるのが悲しくなったことを思い出しました。少しだけ納得できる論です。
「でも現実でも、たとえば友達の話とか、その話は会話の時にはその話はどんなに長話でも終わりが来ますよね」
「その物語の主人公たる友人はずっと生きてるじゃない」
「まぁ、そうですけど」
「現実には終わりが無いんだよ。例えば私がこういう考えだと今戸成さんに話してるでしょ、小説の中の主人公だったら、その考え方はずっと変わらないけど、現実の私は明日にでもこんな考えじゃなくて、小説を小説たらしめているのはストーリだと言っているかもしれない」
「私小説の主人公は実際生きているんだから続きがあることになるんじゃないですか」
「その小説内では彼はそのあと平穏に生きて死ぬんだよ。そこで終わり、もし何かあったとしても、その小説の世界の彼には、今後小説で起きた出来事以上の出来事は起こらない」
なんだかよく分からない話だと思いました。私はなんとか溶けそうになっているアイスをすくって口に運び、食べきりました。
「さ、食べ終わった?」
本中さんは立ち上がると、京都の町を回ろうと言い、小説のシーンを回りました。私も本中さんも実際の京都に行ったことはあるのですが、何か違うのです。それは一種の住民への親密さでした。観光客である私たちは感じられないものです。
京都の町で、どんどん事件が起こります。本中さんは私の腕を引っ張り、あっちに行こう、こっちに行こうと振り回すので、私は一日経つころにはとても疲れていました。
夜になり、私たちは初めての試みとして、本の世界で寝ることとなりました。ちょうどよさそうな場所を探します。本の中なので、野宿と言ってもどこで寝てもそう変わりません。本の世界はなんだかんだ平和なようです。
夜、もぐりこんだ屋内で眠っていると、外で何か起こっている気配がします。私は外を確認し、何か空で戦いが起こっているようだと本中さんに言うと、おかしいな、と呟いました。
「何がですか」
「戸成さんこの本覚えてる?」
私は随分と前に読んだのですこし忘れていました。同じ作者の他の作品も読んだので、内容が混ざっています。
「まぁ、一応覚えていますが」
「この本にはこんなシーンは無いんだよ」
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