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異世界サバイバル

三人は自分のできることを教え合う①

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 学校の構想、それに浅利が消極的だろうと了承したことで、四堂は安堵の息を吐いた。
 こういった揉め事に慣れておらず、経験不足を自覚していたので、精神的に疲れたのである。


「ついで、じゃないですけど。どうせだから、今後の話も一緒にやっちゃいましょう」

 熱くなって説得をしたのが恥ずかしかった四堂は、場の空気を変えるために次の話をする事にした。
 実際、今後の話は絶対にやっておかないと拙いので、それがなくても切り出していただろうが。


「まず、当面の物資は、俺が用意します」

 四堂はそう言って、数枚のカードをバインダーから取り出した。
 『カードクリエイター』の専用アイテム、召喚カードだ。

 カードにはそれぞれ『小さな水樽』『砂混じりの塩パン』『カップに注がれたミルク』『酸っぱいリンゴ』『ハチミツの小瓶』というカード名、イラスト、簡単な説明文フレーバーテキストがついている。
 これらは異世界に来たとき、ジョブと一緒に入手したデフォルトのカードである。

 他にも召喚カードの『ゴブリン』、アイテムカードの『鉄のナイフ』『鉄鍋』『火口箱』『麻の服』『革の靴』『ロープ』、魔法カードの『マナボルト』『ヒール』などのカードがある。
 カードは汎用性の高いラインナップで、これだけ見れば有用なユニークジョブで、役立たずには見えない。

 しかし一緒にいた仲間たちの中には職人系、魔法系のユニークジョブ持ちがいたので、はっきり言ってしまえば器用貧乏の下位互換でしかなく、どうしても扱いは劣るものになる。
 独りで異世界に転移したのであれば最も生き残れるだろうユニークジョブでも、集団なら便利屋未満でしかなかったわけだ。


「食べ物と飲み水は、この通り。最初から用意されてたので問題ないです。
 ただ、俺がそればかりやっていても、ジリ貧です。美味い飯も食えないし、ただ生きているだけの生活になると思います。
 だから、いずれ、花咲さんには植物関連、主に農業関係を任せて、食糧事情の改善をしてほしいです」
「う、うん。頑張るね」
「本当に、花咲さんだけが頼りだから」
「分かった、よ」


 四堂は口にしなかったが、いずれ消えるだろう結界の事を考えると、防衛力の強化にも手を付けたかった。
 ただ、それ今言っても手が足りず、どうにもならない。
 だからそこには触れず、目の前の目標にだけ目を向けさせる事にした。


 四堂の拙い口車に花咲は乗せられ、重い期待に潰されそうになりながらも、やる気を見せている。
 浅利は結界の事に気が付いていたため、何も言わずに指示に従えばいいと、考える事を放棄していた。
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