ときめき部~無気力な日々が変るまで~

オリオン

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第2章、家族の時間

父の帰宅

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翌日の朝、俺達は妙にソワソワしている。
昨日はあんなことを言っていた陽子も落ち着きが無い。
この報告は母さんにもした、母さんはかなり喜んでいたな。
うーん、早く戻ってくれば良いんだが。

「・・・・お、遅い」
「あ、兄貴、ソワソワしすぎ」
「お前もな」
「わ、私は落ち着いてるし」

と言っているが、どう見ても落ち着いているようには見えない。
なんせ、普段は部屋にいるはずの陽子が俺と同じでリビングにいるんだからな。
でも、これはチャンスかも知れない、陽子と話すことはあまり無いし。

「なぁ、陽子」
「何?」
「彼氏で来た?」
「出来てないし」
「そうか、早く彼氏作らないと大変なんじゃ無いか?」
「そう言う兄貴こそ焦った方が良いんじゃ無い? 彼女今まで1度も居なかったじゃん」
「お前もだろ?」
「うっさい!」

今まで、彼氏なんて1度もいなかったんだよな、陽子の奴。
顔も良いし、性格も母さんが病気になる前は元気で人当たりが良かったはずなのに
それなのに彼氏はいなかった、よく分からない物だ。

「本当に不思議だよな、お前は美人で人当たりも良いのに」
「び、美人って言うな! そう言う事を平気で言うのってどうかと思う」
「妹は自慢したくなるだろ? 兄貴だし」
「うっさい! 話しかけるな!」

うーん、やっぱり気にしていたのだろうか、浅はかだったな。
しかし、まさか嫌われるとは思わなかった。
あまり下手な事は言わない方が良いのかも知れない。

「それにしても、父さん遅いな」
「何処かで何か食べてるんでしょ、あと、話しかけないでって言ったじゃん」

うぅ、困ったな、やはり嫌われたらしい。
何とか修復できれば良いのだけど、難しい・・・・か?
いや、でも、流石に妹との関係が劣悪とか嫌だし。
何とか関係を修復できるようにしないと。

「あ、えっと」
「戻ったぞ!」

俺が陽子に話しかけようとしたとき、丁度父さんが帰ってきた。

「父さん!」

俺達はその声に反応して、すぐに玄関の方まで移動した。
そこには、大きな荷物を持って帰ってきている父さんが立っていた。

「よぉ! 久々だな、何だ? 今まで以上にいい顔してるじゃ無いか、お前ら」
「そう見えるか?」
「勘違いだって」
「ははは! 俺の目を誤魔化せると思ってんのか? 父親舐めんなよ?」

父さんは俺達と違って、かなりテンションが高い元気な人だ。
どうしてここまで違うのかはよく分からないのだが、何かあるんだろう。

「さて、それじゃあ、お前らに土産だぞ、ほら」

そう言って、鞄の中から食べ物やらキーホルダーやらを色々と出してきた。
なるほどな、これだけ沢山入れていたから、鞄があんなにパンパンだったのか。

「いやぁ、なかなかのもんだろ? 色々と買ってきたんだぞ?
 ほら、これなんかな、向こうで有名なお菓子で、かなり美味いんだぞ?」
「もしかして、これだけ買ってたから帰ってくるのが遅かったのか?」
「そう言う事だ」
「かなり高かったんじゃ無いの?」
「なに、全部で3万程度だ」
「高いじゃ無いか!」
「俺はちゃんとへそくりを持ってるんだ、そこから出したからな、家計にダメージは無い
 その代わり、俺のへそくりは壊滅したがな!」

父さんは腕を組んで豪快に笑った。
まさか土産のために、自分のへそくりを全部使うとは、大したもんだ。

「それで、美弥子みやこはどうしてる?」
「あぁ、まだ寝てると思うぞ」
「そうか、じゃあ、寝顔を見るとするか」

そう言って、父さんはニヤニヤしながら母さんが寝ている部屋に移動した。
そこでは、母さんは寝ておらず、座っていた。

「か、母さん!? 何で寝てないんだよ!」
「折角尚志さんが帰ってくるんですもの、お化粧をして待ってたのよ」

母さんはそう言って、ゆっくりと顔を上げた。
かなり久々の化粧をした母さんの顔は、いつも以上にお淑やかな感じだ。

「はは、全くよ、俺は化粧なんてしてないお前さんの顔が好きなんだぜ?」
「そう言ってくれたのは覚えているの、でも、久々に会えるんですもの
 女の礼儀として、お化粧はしますよ」
「はは、そうか・・・・そうだな、化粧をした顔も美人だしな・・・・ただいま、美弥子」
「お帰りなさい、尚志さん」

・・・・俺は母さんの部屋の扉をゆっくりと閉めた。
久々の夫婦のご対面だ、俺が邪魔をするわけにはいかない。
本当に、あの2人は40近くには思えないくらいラブラブだよな。
見てるこっちが恥ずかしくなってしまう。

「はぁ」
「兄貴、部屋に入らないの?」
「はは、まさか、あんな空間に俺がいるのは場違いだろ?」
「・・・・そうだね、私達は自分の部屋に戻ろうか」
「そうだな」

俺達は自分の部屋に戻り、少し待機をすることにした。

「はは、本当にあの2人はいつまでも恋してる感じだな」
「兄貴」

俺がそんな事を思っていると、ノックも無しに扉が開き、陽子が入ってきた。

「何だ? お前が俺の部屋に来るなんて珍しじゃないか」
「うるさいなぁ、ちょっと宿題を教えて欲しいだけ」
「お、良いぞ? しっかし、お前が勉強を教えて欲し言ってくるのは初めてか?」
「ちょっと1人じゃ解けそうに無い問題があっただけだし、ほら、教えてよ」
「分かったって」

俺は父さんが部屋から出てくるまで、陽子に勉強を教えてやる事にした。

「これは簡単にxを代入すれば良いんだ」
「あ、出来た!」
「よしよし、しかし、お前はこれ位なら解けるんじゃ無いか? 他でも解けてるし」
「うるさい、ちょっと難しかったの」

そんな風には見えないがな、あまり難しそうな問題じゃ無かったし。
そんなこんなで、宿題を一通り終わらせた後、下から父さんの声が聞えてきた。

「おーい! 今日は家族でどっか行くぞ!」
「は!? か、母さんは大丈夫なのか!?」
「あぁ、体調も良いらしいぞ? まぁ、病院行って、大丈夫か聞くけどな!」

そうか、母さんは体調が良いのか、それは良かった。
始めてかも知れないな、母さんが病気になってから家族皆で何処かに行くのは。

「じゃあ、準備するよ」
「よし、そうこないとな、そんじゃ準備急げよ!」
「「分かった」」

俺達は素早く準備をして、家族で出かける準備が出来た。
家族皆での久々の軽い外出・・・・楽しみだな。
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