ときめき部~無気力な日々が変るまで~

オリオン

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第3章、夏休み

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「海だぁぁ! 夏だぁぁ! 水着だぁぁ!」

水着に着替えて、砂浜に出てから、ただでさえ高かった香苗先輩のテンションが振り切れ
ものすごい笑顔で、馬鹿でかい声で海に向って叫んだ、よほど嬉しかったのだろう

「香苗、去年もそんな大声を出していたな」
「だって、海だよ!? 年に1度くらいしか来れないんだよ!?
 それに、私達以外誰もいない、完全貸し切り空間! そりゃあ、テンションMAX!
 いや、下手したら、限界突破! いやっほぉぉ!」

そんな言葉を発しながら、凄い速度で海に向って走って行った。

「楽しそうだな」
「そうですね」

ただ、俺と後輩の女の子はあまりテンションが高くない。
俺のテンションがそんなに高くない理由は・・・・俺、泳げないんだよなぁ。
運動神経が無い訳じゃ無いんだろうが、何故か泳ぐのだけは下手だ。

「なぁ、1つ聞いて良いか?」
「何ですか?」
「何でスク水なんだ?」
「海なんて今まで来たこと無いんですよ、だから、水着が無くって」
「あぁ、だから中学のスク水か」
「それしか無かったんですよ、仕方ないじゃ無いですか」

ふーん、そうか、今まで海に来たことが無かったからテンション低いのか。

「どうしたの? 2人とも、あまり嬉しそうにしてないけど」
「いや、その、俺は泳げなくって」
「私も泳げませんし、初めてなんですよ、海は」

あぁ、この子も泳げないんだ、それに初めてか、そりゃあ、テンション上がらないよな。

「ふむ、そうか、なら練習すれば良いだけの話じゃ無いか」
「そうそう、折角の海なんだし、木陰に隠れて目が死んでる状態で体育座りはね」
「いや、本当に訓練とか面倒なんで」
「そうですよ、私は砂浜の土を使って、お城でも作ってますから」
「駄目駄目! 折角だし、泳ごう!」

小菜先輩達がここに来たことに気が付いた香苗先輩が走ってきて
後輩の女の子の腕を引っ張った。

「え?」
「あはは! 泳ぐぞぉぉ!」
「ちょ、ちょっと! ま、待ってください!」
「うはは!」

彼女の必死の言葉は、一切届かないようで、凄い速度で引っ張られている。
更に、その勢いのまま海まで突っ込んでいった。

「あぁ、ありゃ、大変だ」
「そうだな、香苗に目を付けられたら大変だろう、さて、後はお前だな、早く来い」
「え? いや、マジで泳げないんですけど」
「うるさい、文句を言うな、教えてやると言ってるんだ」

うぅ、瑠衣先輩の睨むような視線が・・・・やっぱ怖いな。

「瑠衣ちゃん、だから睨んじゃ駄目だよ」
「・・・・何度も言うが、一切睨んでない、見てるだけだ」
「え? そ、そうなの?」

あぁ、やっぱり普通に見ていただけなのか、目つきが悪いから誤解してしまう。

「はぁ、とにかく、私は睨んでない」
「えっと、ごめん」
「いや、構わない・・・・ほら、陽志、泳ぐぞ」
「えっと、分かりました」

結局瑠衣先輩の睨むような視線に負け、俺は泳ぐ事にした。
泳げないのに海に入るなんて、全く意味が無いと思う。

「それじゃあ、泳ぐぞ」
「泳げないんですけどね」
「教えてやると言ったじゃないか、まずはそうだな、浮くための方法を教えてやろう」

水に浮くための方法か、確か力を抜けと教えられたが、難しかったな。
てか、力を抜いて浮くことが出来るのか? 何でだ? 力を抜いても体重が軽くならないし。
なのに、どうしてそれで浮くことが出来るんだろうか、訳が分からない。

「浮くための方法は簡単だ、浮けると思えば良いんだ」
「え?」
「泳ぐ方法は簡単で、出来ると思えば行ける」
「えっと、その」
「あの、ごめんね、瑠衣ちゃんって何か教えるのって苦手なんだ
 特にスポーツとかだったら、勉強は大丈夫なんだけどね」

きっと、得意にならないと分からない、何かがあるんだろうな。
俺には気持ちだけで泳ぐことが出来るとは思えないし。
絶対にそんな境地には至ってないしな。

「うーむ、そうか、理解が難しいか・・・・なら、面倒だし、とりあえずやってみろ」
「はい?」
「ほら、大丈夫だ、泳げなかったら助けてやる」
「ちょ、ちょっと待ってください! 俺は小学生時代以降泳いだことが無いんですけど!?」
「良いから、何事も挑戦だ!」
「ちょ! ま!」

俺は強引に瑠衣先輩に海に引っ張り出された。

「よし、それじゃあ、手を離すぞ」
「いや、足が付かないんですけど!?」
「そうしないと意味が無いからな、ほら」

そのまま、瑠衣先輩は俺の手を離した。
俺は速攻で沈むと思ったのだが、意外な事に沈まない。
普通に浮ける・・・・どうしてだろうか、俺って意外と泳げる?

「うむ、問題無さそうだな」
「み、水の上って本当に浮けるんですね」
「あぁ、どうやら私の見立て通り、お前は泳げるようだな
 運動神経もあるし、行けるとは思ったが」
「まぁ、泳げて良かったです・・・・俺はね」

俺は問題なく浮くことは出来たのだが、後輩の女の子はそうはいかなかったようだ。

「わっぷ! お、おぼれ!」
「うーん、駄目だなぁ、やっぱり泳げないの? はい、浮き輪」
「はぁ、はぁ、うぅ・・・・」

香苗先輩は自分が使っていた浮き輪から出て、彼女に渡した。
彼女は辛うじてその浮き輪に掴み、おぼれることを回避した。

「泳ぐのってそんなに難しい?」
「当たり前じゃ無いですか! 泳げないのに沖に出るなんて死にますよ!」
「うーん、簡単だと思うけどなぁ」

やっぱり香苗先輩も物事を教えるのは下手なんだろうな、予想通りだ。
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