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第30話
しおりを挟む「よし。こんなもんかな」
十分ぐらいで手際よく掃除が終える。今日はアンリおばさんの所に止まる事になっているが明日には、またこの小屋を使う事になるだろう。
綺麗に掃除をしておいて、道具は直ぐに使えるようにしておかないとそのつけは自分たちに回って来る。夜の暗い中ランプの灯が点かなく、寒い中薪ストーブも灰でいっぱいだったら直ぐに暖を取ることも出来なくなってしまうだろう。そうならないように道具の手入れはとても大事だ。
「それじゃ、出発しましょうか」
「あっと、ちょっと待って。やる事があったんだ」
「ん? 何やる事って? 」
「裏の川に魚を捕る網を仕掛けておこうと思ってさ」
リリアン先生が仕掛けの網がある事を教えてくれていたので、せっかくだからやってみる事にした。
網の中にエサとなる干し肉を千切って入れる。どこに仕掛ければ良いかあまり分からないので適当に近くに入れてみる。
「よし。こんなもんかな」
「これでいいの? 」
「たぶん」
「たぶんって、アーちゃん」
知らないものはしょうがないのでこれでいい。とにかくやってみないと話にもならない。やってみてダメだった次はもうちょっと工夫してやる。
網を仕掛け終わったら今度こそ出発の時間だ。小屋に戻り忘れ物がないか二人で確認する。……大丈夫だな。荷物を背負い小屋を出る。
予定では暗くなる前にアンリおばさんが住んでいるオムタ村に着くはずだ。
昨日よりは慣れた様子で歩き始める二人。また他愛もない会話をしながら進んだ。
「そういえば髪の毛長くなったよな。昔はショートヘアーって言うのか、耳ぐらいまでだったよな? 」
「んー、そうだね。ちょっとね。願掛けって言うのかな、おまじない的な」
「ふーん。何をお願いしてるの? 」
「えへへー。秘密」
昔は髪を短かくしていたルナ。いつの頃からか切らなくなっていた。アレクスはいつから伸ばし始まったのか分からなかったが、きっかけはアレクスだった事をルナは教えなかった。
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