145 / 174
結婚式
しおりを挟む
結婚式の当日は、抜けるような青空が広がり、ミシェランの街はお祭りのように賑わっていた。当初、パレードなどの予定はなかったのだが、領民たちが当たり前のように準備を進めていたようだった。お爺様も「皆が喜ぶのであればやりなさい」と言ってくれ、警備費用を上乗せすることで、盛大に行われることが決まったのだ。
私のウエディングドレスは、純白で肌触りの良い素材に、生成り色の繊細な刺繍が施されている。そして、ブレイブス港で私とマッドが集めた真珠をあしらった、少しクラシカルなデザインだ。ドレスの裾は長く、教会のヴァージンロードに美しく映えるだろう。
式が始まり、パイプオルガンの音色が厳かに響き渡る。その音色に合わせてヴァージンロードを歩きながら、私は演奏している女性に見覚えがあるような気がして、思わずマッドに尋ねた。マッドは小声で「後で教えるよ」と優しく囁いた。
聖壇の前に立ち、私たちは固い誓いの言葉を交わした。
牧師:「マッド・ミシェラン、あなたはキャロルを妻とし、健やかなる時も病める時も、富める時も貧しき時も、生涯をかけて愛し、慈しむことを誓いますか?」
マッド:「はい、誓います」
牧師:「キャロル、あなたはマッド・ミシェランを夫とし、健やかなる時も病める時も、富める時も貧しき時も、生涯をかけて愛し、慈しむことを誓いますか?」
私:「はい、誓います」
迷いのない私たちの返事に、お父様もお母様も満足そうに微笑んでいる。
リオもマリアも満面の笑みで祝福してくれている。
少し離れた席では、ドナが大粒の涙を流して大泣きしており、ジルが必死に慰めている姿が見えた。
近くの席では、マクミラン伯爵の祖父が「良かった、良かった」と何度も繰り返しながら、ハンカチで目元を押さえている。
親しい人達ばかりに囲まれた式は、私にとってかけがえのない思い出となった。
式も終盤、教会の鐘が大きく響き渡った。厳かなその音色に合わせて、ステンドグラスから差し込む暖かな光が教会全体を包み込み、まるで空気が浄化されたかのように清々しい感覚が広がる。天井絵の天使達も、私たちを祝福するかのように微笑んでいるように見えた。
暫くすると、参列者達の間から驚きの声が上がり出した。
「なんだろう、急に疲れが取れたようだ!」
「擦りむいたところが、なぜか治ってる……!」
「長年の腰の痛みが、嘘みたいに消えたわ!」
教会を出ると、さらに大きな歓声が私たちを包み込んだ。空を見上げると、雨も降っていないのに、鮮やかな七色の大きな虹が青空に架かっていた。そして、誰も準備などしていないはずなのに、白い鳩たちが一斉に空へと舞い上がり、青空を優雅に飛んでいく。
人々もその光景に驚きを隠せず、さらに歓声が上がり、中には感動のあまり涙を流す者もいるのだ。
「これは神様たちの祝福なのか?」
「そうね、そうかもしれないわね」
私とマッドは顔を見合わせて、そっと笑い合った。
パレードはゆっくりとした速度で行われ、時々馬車を降りて皆に手を振り、感謝の意を伝えながら進んで行った。
私はルルソン村も大好きだが、ミシェランのこの街も大好きだ。この地をマッドと共に、より住みやすく安全な場所にしたいと心から思った。
パレードの途中、マッドが小声で教えてくれた。
「さっきパイプオルガンを弾いていたのは、転生者の一人だよ」
「え……そうなの?」
「以前に聞いた事件の後、祖父が教会で保護していたんだ。今は子供もいて、シスターとして頑張っているよ」
「名前を聞いてもいい?」
「ああ、構わないよ。シイラだ。俺も一度しか話したことはないし、向こうは俺たちが転生者であることは知らないはずだから、気にしなくていい」
「今は幸せに暮らしているの?」
「ああ、そうだと思う」
「それなら良かったわ」
私はマッドやリオがいたからこそ、今まで幸せに暮らしてこられた。彼女にも心から幸せに暮らしてほしいと願った。
馬車を降りると、沿道に集まった皆が再び手を振って私たちを祝福してくれた。温かい言葉が飛び交う。
「おめでとう、坊ちゃん! お嫁さんをしっかり守るんだよ!」
「嬢ちゃん、坊ちゃんを頼んだよ!」
「本当に綺麗で可愛いお嫁さんだ。ミシェランは安泰じゃな!」
「お姉ちゃんはお姫様なの?」
その質問をした小さな女の子をマッドが抱き上げると、再び大歓声が沸き起こった。マッドはその女の子の耳元に、優しい声で言った。
「お姉ちゃんは、俺だけのお姫様なんだよ」
小さな女の子は、その言葉に顔を真っ赤にして、照れくさそうに笑った。
パレードも無事に終わり、私とマッドは二人だけでピピ島へ向かった。今日はピピ島で一泊する予定だ。
マッドとの初めての夜は、とても自然で穏やかな時間だった。天界にいた頃から、マッドはいつも私の横にいてくれる、頼もしい存在だ。その事実は、今でも何も変わらない。
翌朝、柔らかな日差しが差し込む中、私は寝返りを打つ。
「奥さん、おはよう」
マッドの優しい声が耳に届き、思わず目を開けた。
「マッド、おはよう」
私が自分が裸なのをすっかり忘れてベッドから起き上がってしまい、慌てて布団を引き寄せると、マッドは楽しそうに笑った。
「キャロル、俺たちは夫婦なんだから、もう照れなくてもいいんだよ」
そう言ってマッドは私を引き寄せ、優しくキスをしてきた。温かい唇が触れ合い、心がじんわりと溶けていく。
何度も何度もキスを交わし、再び愛し合った。彼の腕の中にいると、本当に居心地が良い。いつまでもこうやって、マッドと共に仲良く暮らしていきたいと、心から願った。
私のウエディングドレスは、純白で肌触りの良い素材に、生成り色の繊細な刺繍が施されている。そして、ブレイブス港で私とマッドが集めた真珠をあしらった、少しクラシカルなデザインだ。ドレスの裾は長く、教会のヴァージンロードに美しく映えるだろう。
式が始まり、パイプオルガンの音色が厳かに響き渡る。その音色に合わせてヴァージンロードを歩きながら、私は演奏している女性に見覚えがあるような気がして、思わずマッドに尋ねた。マッドは小声で「後で教えるよ」と優しく囁いた。
聖壇の前に立ち、私たちは固い誓いの言葉を交わした。
牧師:「マッド・ミシェラン、あなたはキャロルを妻とし、健やかなる時も病める時も、富める時も貧しき時も、生涯をかけて愛し、慈しむことを誓いますか?」
マッド:「はい、誓います」
牧師:「キャロル、あなたはマッド・ミシェランを夫とし、健やかなる時も病める時も、富める時も貧しき時も、生涯をかけて愛し、慈しむことを誓いますか?」
私:「はい、誓います」
迷いのない私たちの返事に、お父様もお母様も満足そうに微笑んでいる。
リオもマリアも満面の笑みで祝福してくれている。
少し離れた席では、ドナが大粒の涙を流して大泣きしており、ジルが必死に慰めている姿が見えた。
近くの席では、マクミラン伯爵の祖父が「良かった、良かった」と何度も繰り返しながら、ハンカチで目元を押さえている。
親しい人達ばかりに囲まれた式は、私にとってかけがえのない思い出となった。
式も終盤、教会の鐘が大きく響き渡った。厳かなその音色に合わせて、ステンドグラスから差し込む暖かな光が教会全体を包み込み、まるで空気が浄化されたかのように清々しい感覚が広がる。天井絵の天使達も、私たちを祝福するかのように微笑んでいるように見えた。
暫くすると、参列者達の間から驚きの声が上がり出した。
「なんだろう、急に疲れが取れたようだ!」
「擦りむいたところが、なぜか治ってる……!」
「長年の腰の痛みが、嘘みたいに消えたわ!」
教会を出ると、さらに大きな歓声が私たちを包み込んだ。空を見上げると、雨も降っていないのに、鮮やかな七色の大きな虹が青空に架かっていた。そして、誰も準備などしていないはずなのに、白い鳩たちが一斉に空へと舞い上がり、青空を優雅に飛んでいく。
人々もその光景に驚きを隠せず、さらに歓声が上がり、中には感動のあまり涙を流す者もいるのだ。
「これは神様たちの祝福なのか?」
「そうね、そうかもしれないわね」
私とマッドは顔を見合わせて、そっと笑い合った。
パレードはゆっくりとした速度で行われ、時々馬車を降りて皆に手を振り、感謝の意を伝えながら進んで行った。
私はルルソン村も大好きだが、ミシェランのこの街も大好きだ。この地をマッドと共に、より住みやすく安全な場所にしたいと心から思った。
パレードの途中、マッドが小声で教えてくれた。
「さっきパイプオルガンを弾いていたのは、転生者の一人だよ」
「え……そうなの?」
「以前に聞いた事件の後、祖父が教会で保護していたんだ。今は子供もいて、シスターとして頑張っているよ」
「名前を聞いてもいい?」
「ああ、構わないよ。シイラだ。俺も一度しか話したことはないし、向こうは俺たちが転生者であることは知らないはずだから、気にしなくていい」
「今は幸せに暮らしているの?」
「ああ、そうだと思う」
「それなら良かったわ」
私はマッドやリオがいたからこそ、今まで幸せに暮らしてこられた。彼女にも心から幸せに暮らしてほしいと願った。
馬車を降りると、沿道に集まった皆が再び手を振って私たちを祝福してくれた。温かい言葉が飛び交う。
「おめでとう、坊ちゃん! お嫁さんをしっかり守るんだよ!」
「嬢ちゃん、坊ちゃんを頼んだよ!」
「本当に綺麗で可愛いお嫁さんだ。ミシェランは安泰じゃな!」
「お姉ちゃんはお姫様なの?」
その質問をした小さな女の子をマッドが抱き上げると、再び大歓声が沸き起こった。マッドはその女の子の耳元に、優しい声で言った。
「お姉ちゃんは、俺だけのお姫様なんだよ」
小さな女の子は、その言葉に顔を真っ赤にして、照れくさそうに笑った。
パレードも無事に終わり、私とマッドは二人だけでピピ島へ向かった。今日はピピ島で一泊する予定だ。
マッドとの初めての夜は、とても自然で穏やかな時間だった。天界にいた頃から、マッドはいつも私の横にいてくれる、頼もしい存在だ。その事実は、今でも何も変わらない。
翌朝、柔らかな日差しが差し込む中、私は寝返りを打つ。
「奥さん、おはよう」
マッドの優しい声が耳に届き、思わず目を開けた。
「マッド、おはよう」
私が自分が裸なのをすっかり忘れてベッドから起き上がってしまい、慌てて布団を引き寄せると、マッドは楽しそうに笑った。
「キャロル、俺たちは夫婦なんだから、もう照れなくてもいいんだよ」
そう言ってマッドは私を引き寄せ、優しくキスをしてきた。温かい唇が触れ合い、心がじんわりと溶けていく。
何度も何度もキスを交わし、再び愛し合った。彼の腕の中にいると、本当に居心地が良い。いつまでもこうやって、マッドと共に仲良く暮らしていきたいと、心から願った。
71
あなたにおすすめの小説
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
駆け落ち男女の気ままな異世界スローライフ
壬黎ハルキ
ファンタジー
それは、少年が高校を卒業した直後のことだった。
幼なじみでお嬢様な少女から、夕暮れの公園のど真ん中で叫ばれた。
「知らない御曹司と結婚するなんて絶対イヤ! このまま世界の果てまで逃げたいわ!」
泣きじゃくる彼女に、彼は言った。
「俺、これから異世界に移住するんだけど、良かったら一緒に来る?」
「行くわ! ついでに私の全部をアンタにあげる! 一生大事にしなさいよね!」
そんな感じで駆け落ちした二人が、異世界でのんびりと暮らしていく物語。
※2019年10月、完結しました。
※小説家になろう、カクヨムにも公開しています。
転生先ではゆっくりと生きたい
ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
https://ncode.syosetu.com/n8964gh/
白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます
時岡継美
ファンタジー
初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。
侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。
しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?
他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。
誤字脱字報告ありがとうございます!
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!
【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです
ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。
女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。
前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る!
そんな変わった公爵令嬢の物語。
アルファポリスOnly
2019/4/21 完結しました。
沢山のお気に入り、本当に感謝します。
7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。
2021年9月。
ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。
10月、再び完結に戻します。
御声援御愛読ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる