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ミシェランでの事業2
私は、大人農家の話を聞いてもらおうとナミさんのいる東レ島のホテルへ向かった。
ナミさんとユウトさんには一年ほど前に、私とマッド、リオが転生者であることを話してある。
最初は驚いていたけれど、すぐに納得してくれた。二人に打ち明けたとき、ナミさんからは「どうして私にこんなに必死になってくれるのかがわからなくて不思議でした。今やっと納得出来ました」と感謝されたことを思い出した。
「おかげでナミと再会できて結婚することもできた。本当にありがとう」
ユウトさんのその言葉に、胸がいっぱいになったのを覚えている。
数ヶ月ぶりに会う二人。
「こんにちは、ムッサリ、ジータ」
「こんにちは、チャドも連れて来ましたよ」
ドナはそう言って、いつものようにチャドをムッサリにあずけた。
「いらっしゃいませ。まあ、リアム様も大きくなられましたね。チャドに会うのも久しぶりで嬉しいわ」
ジータが嬉しそうにリアムを抱きしめてくれる。
「今日はナミさんに大人農家の話だけでも聞いてもらおうと思って来たんです。少しお時間いいでしょうか?」
「もちろんですよ。大人農家の話はジルからも聞いています。ナミさんにとってもとてもいい話だと思っています」
ジータはそう言ってくれたが、ホテルの方は大丈夫だろうか。
「ホテルでしたら心配ありません。ナミさんから料理を受け継いでいる人がいますから問題ないですよ」
「そうなんですか?知りませんでした」
「牧場を手伝ってくれているジェイとリョウはそれぞれ結婚し、二人の奥さんがホテルを手伝ってくれているんですよ。特にリョウの奥さんのポーラさんは料理が好きで、ナミさんに教わっています。ナミさんはキャロル様たちのお役に立てるのが嬉しそうでしたから正式に話を聞けば喜ぶでしょう」
ムッサリの言葉に、私は安堵した。ナミさんを信頼し、彼女が自由に働ける環境を整えてくれたジータとムッサリにも感謝の気持ちでいっぱいになった。
ユウトさんも同席し、ナミさんと話し始める。
「お久しぶりです、キャロル様。もしかしてワイン作りの話ですか?」
ナミさんは生き生きとした表情でそう尋ねた。
「はい、もしナミさんさえ良ければお願いしたくて来たんですけどどうでしょうか?」
「もちろんです。私でお役に立てるのなら、是非やらせて欲しいです」
ナミさんの返事に、私は心から喜んだ。
ユウトさんが言葉を挟む。
「ナミは酒作りを本格的にやりたいと前から言っていたんだ。当然俺も一緒に働かせてもらう。だけど、息子はまだ一歳だから、手間がかかることだけは理解してほしい」
ユウトさんは息子のアレンを抱きながら、優しい眼差しでナミさんを見つめている。本当に素敵な家族だ。
「今度、三人で大人農園を見に来てください。大人農園については全面的にお爺様が立ち上げて運営しています。ワイン作りはお爺様の一つの夢です。酒造スキルのあるナミさんの力を借りれれば夢もかないそうです」
「分かった。近いうちに伺うよ」
話していた通り、一週間後にはナミさんとユウトさんが農園を見に来てくれた。お爺様と直接話をして、大いに盛り上がった二人は、大人農家への協力を決めてくれた。
お爺様の夢はどんどん形になっていく。
いつものように、仕事から帰ってきたマッドとお茶を飲みながら話している。
「キャロル、良かったな。大人農家も大成功間違いなしだ」
「そうね。ミシェランはみんなの力でますます発展していくわ」
私の言葉にマッドは頷いたが、少し渋い顔をした。
「だけど、最近少し気になることがあるんだ」
「何かあったの?」
恐る恐る尋ねると、マッドは真剣な表情で話し始めた。
「二日前に一瞬だったけど、ルートの気配を感じたんだ。遠くから眺められているような感じだったが、全身の毛が逆立つような寒気がした。あいつが何かを仕掛けてこないかと少し心配だ」
マッドが口に出すということは、彼の直感が何かを告げているのだろう。
「直感が何かあると言っている。だが、はっきりしないんだ。あいつ自身も、どうするのかを決めかねているのかもしれない」
その言葉に、私は気を引き締めた。幸せな日常に、不穏な影が差し込んでいる。しかし、私たちはもう一人ではない。大切な家族と仲間たちがいる。きっと、この困難も乗り越えていけるだろう。
ナミさんとユウトさんには一年ほど前に、私とマッド、リオが転生者であることを話してある。
最初は驚いていたけれど、すぐに納得してくれた。二人に打ち明けたとき、ナミさんからは「どうして私にこんなに必死になってくれるのかがわからなくて不思議でした。今やっと納得出来ました」と感謝されたことを思い出した。
「おかげでナミと再会できて結婚することもできた。本当にありがとう」
ユウトさんのその言葉に、胸がいっぱいになったのを覚えている。
数ヶ月ぶりに会う二人。
「こんにちは、ムッサリ、ジータ」
「こんにちは、チャドも連れて来ましたよ」
ドナはそう言って、いつものようにチャドをムッサリにあずけた。
「いらっしゃいませ。まあ、リアム様も大きくなられましたね。チャドに会うのも久しぶりで嬉しいわ」
ジータが嬉しそうにリアムを抱きしめてくれる。
「今日はナミさんに大人農家の話だけでも聞いてもらおうと思って来たんです。少しお時間いいでしょうか?」
「もちろんですよ。大人農家の話はジルからも聞いています。ナミさんにとってもとてもいい話だと思っています」
ジータはそう言ってくれたが、ホテルの方は大丈夫だろうか。
「ホテルでしたら心配ありません。ナミさんから料理を受け継いでいる人がいますから問題ないですよ」
「そうなんですか?知りませんでした」
「牧場を手伝ってくれているジェイとリョウはそれぞれ結婚し、二人の奥さんがホテルを手伝ってくれているんですよ。特にリョウの奥さんのポーラさんは料理が好きで、ナミさんに教わっています。ナミさんはキャロル様たちのお役に立てるのが嬉しそうでしたから正式に話を聞けば喜ぶでしょう」
ムッサリの言葉に、私は安堵した。ナミさんを信頼し、彼女が自由に働ける環境を整えてくれたジータとムッサリにも感謝の気持ちでいっぱいになった。
ユウトさんも同席し、ナミさんと話し始める。
「お久しぶりです、キャロル様。もしかしてワイン作りの話ですか?」
ナミさんは生き生きとした表情でそう尋ねた。
「はい、もしナミさんさえ良ければお願いしたくて来たんですけどどうでしょうか?」
「もちろんです。私でお役に立てるのなら、是非やらせて欲しいです」
ナミさんの返事に、私は心から喜んだ。
ユウトさんが言葉を挟む。
「ナミは酒作りを本格的にやりたいと前から言っていたんだ。当然俺も一緒に働かせてもらう。だけど、息子はまだ一歳だから、手間がかかることだけは理解してほしい」
ユウトさんは息子のアレンを抱きながら、優しい眼差しでナミさんを見つめている。本当に素敵な家族だ。
「今度、三人で大人農園を見に来てください。大人農園については全面的にお爺様が立ち上げて運営しています。ワイン作りはお爺様の一つの夢です。酒造スキルのあるナミさんの力を借りれれば夢もかないそうです」
「分かった。近いうちに伺うよ」
話していた通り、一週間後にはナミさんとユウトさんが農園を見に来てくれた。お爺様と直接話をして、大いに盛り上がった二人は、大人農家への協力を決めてくれた。
お爺様の夢はどんどん形になっていく。
いつものように、仕事から帰ってきたマッドとお茶を飲みながら話している。
「キャロル、良かったな。大人農家も大成功間違いなしだ」
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私の言葉にマッドは頷いたが、少し渋い顔をした。
「だけど、最近少し気になることがあるんだ」
「何かあったの?」
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「二日前に一瞬だったけど、ルートの気配を感じたんだ。遠くから眺められているような感じだったが、全身の毛が逆立つような寒気がした。あいつが何かを仕掛けてこないかと少し心配だ」
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