13 / 24
第3章
第12話 迫る百合の花、守れ小さな蕾
しおりを挟む
セドリックは、朝からひどい頭痛に襲われていた。
――たぶんきっと、いや、絶対。昨日の薬のせいだ。セドリックは確信していた。
(あいつ……どんだけ盛ったんだよ)
お薬を使用する際は、用法容量をきちんと守りましょう。
セドリックは改めてそう思った。
「こんにちは。ふふっ」
ひどい頭痛にさらに追い打ちをかけるように、ミレイユは懲りずに店へやってきた。
「セドリックのおかげで、完成したわよ~。多分……これ、マダムたちに大人気になると思うの! またよろしくね!」
(使用許諾をちゃんと取っていただきたいものだ……)
昨日の記憶を――思い出すのはやめておこう。セドリックはそう心に決めた。
「絶対無理。俺じゃなくてもいいだろ」
「そんなこと言わずにぃ~、ねっ? お礼に、完成した化粧水あげるわよ!」
「いらねーよ。そもそも化粧水なんて使ったことないし……」
「んー……じゃあ、クロエちゃんにあげようかなっ」
セドリックの背筋が凍る。
「は? その原料って……」
ミレイユはにっこりと微笑む。
「そうよ」
「やめろ! そんなものあげるな! クロエには必要ないッ!」
ちょうどそのとき、セドリックが声を張り上げるのと同時に、クロエが庭から店へ入ってきた。
クロエは、ミレイユがまた現れたことに動揺したが、それ以上に、先ほど聞こえてきたセドリックの言葉に不安を覚えた。
「なに? 私に必要ないって? どういうこと?」
ミレイユが来てからというもの、クロエはひどい疎外感を感じていた。だからこそ、必要以上にセドリックへ詰め寄ってしまう。
「いやぁ……なんでもない。気にするな」
「……」
クロエは唇を噛む。
「ねぇ、セドリック。それじゃ、クロエちゃんが可哀そうじゃない。ふふっ、ちゃんと教えてあげればいいのにぃ~。ねぇ? クロエちゃんっ」
(やめろッ! それ以上、変なことをクロエに言うんじゃないッ!!)
セドリックは目線でミレイユに訴えかける。
だが、鋭い眼光を向けるセドリックを、ミレイユは楽しげに見つめ返すだけだった。
そしてクロエの手を取り、庭へと続く扉のほうへ一歩近づいた――。
「クロエちゃん! 私にいろいろ聞きたいことあるんじゃない? なぁ~んにも教えてくれないセドリックなんてほっといて、私とデートしましょうよっ」
急に手を引っ張られ、クロエは驚いた。けれど、ミレイユに聞きたいことがあるのは本当だった。
「……で、でも……お仕事中だし……」
ミレイユの魔の手がクロエに迫る危機を察し、セドリックも慌てて止めに入る。
「そうだ! クロエは暇なお前と違って、今は仕事中だッ!」
「え~、でも、もうお昼の時間よぉ。ここの職場は、見習いにお昼休憩も与えてあげないのぉ? ひど~い! 鬼畜ぅ~」
(くっそぉーッ! ミレイユめ! 計りやがったな……)
セドリックは、ミレイユに言葉で勝てたためしがなかった。
「……じゃあ、お昼休憩行ってきます……」
セドリックが心配しているのは、何となくわかっていた。でも、クロエにはどうしても確かめたいことがあった。気に食わないが、ミレイユの提案に乗らざるを得なかった。
ミレイユに手を引かれ、店を出て行くクロエ。セドリックは、それ以上引き止める術を持ち合わせていなかった。
(どうする……これ。あいつは、いったい何を企んでるんだ……クロエがミレイユに毒されてしまう……)
セドリックは頭を抱える。
ただ、最近のクロエは少し様子が変だった。
以前よりも暗い表情を見せることが多かったのが気になっていた。だから、少しでも気晴らしになればいい。セドリックの心の中には、そんな思いも、わずかにあったのだった。
ミレイユは、町に入るとすぐにあるケーキ屋へ向かいながら、クロエの手を引いて歩いた。
複雑な思いを抱えるクロエは、自信満々に堂々と振る舞うミレイユを見て、(こんなの勝てないよ……)と切なさに顔を歪めるしかなかった。
「それでねぇ~、セドリックが……」
道中も、店に着いてからも、ミレイユはずっとセドリックの昔話を語り続けた。
最初は自慢されているようで少し腹立たしかったが、次第にセドリックの過去を知れる喜びのほうが勝っていく。
「ふふっ。クロエちゃん、可愛い! ムッて怒った顔も可愛いけど笑ってるほうがもっと可愛いわよぉ」
そう言いながら、ミレイユはクロエの頬を撫でる。
クロエは思わず頬を赤らめた。
そんな様子を楽しむように、ミレイユはニコニコと笑いながら続ける。
「セドリックは鈍感だし、性についても子供みたいだし、クロエちゃんからガッといかないとだめだと思うのよねぇ~」
突然のアドバイスに、クロエは目を見開いた。
(この人は……敵なの……味方なの? おじさんのことが好きなんじゃないの?)
頭が混乱し、クロエは思考の整理が追いつかない。そんなクロエの戸惑いをよそに、ミレイユはなおも話を続ける。
「……だからね、私がクロエちゃんにいろいろ教えてあげる! セドリックを虜にするテクニック」
思考をまとめようと、話半分に聞いていたクロエだったが、ミレイユの最後の言葉には反応せずにはいられなかった。
「……おじさんを、虜にするテクニック……?」
ミレイユは顔の前で両手を合わせ、妖しげな微笑みを浮かべながらクロエを見つめる。
「そう! 虜にするテクニック……ふふっ」
魅力的な響きに、クロエは思わず吞み込まれそうになる。
だが、ぎゅっと拳を握り、理性を取り戻した。
(ううん! この人が味方だと決まったわけじゃない……油断してはいけないわっ!)
「お断りします」
「えぇー? なんでよぉ~? クロエちゃん! あなた、セドリックと居すぎて似てきちゃってるわよぉ~。いやよぉ~、可愛くないぃ」
クロエはきりりとした表情で、まっすぐ前を見据えていた。
帰りの道中も、ミレイユはしつこくクロエに迫り続ける。だが、クロエは動じず、セドリックのように「いえ、結構です」と突っぱねた。
ミレイユもしつこかったが、それを断固として拒否するクロエの頑固さ。
セドリックとミレイユの言い合いを思い出しながら、クロエは心の中でつぶやく。
(おじさんの気持ちが、少しわかる気がする……)
店についてからも、ミレイユはしつこくクロエにまとわりつく。セドリックに助けを求めようと店内を見回したが、姿がない。
机の上には置き手紙があり、「急な配達が入った。すぐ戻る」とセドリックの文字で書かれていた。
その手紙を一緒に見たミレイユは、妖しく微笑む。
「ねぇ、クロエちゃん……昨日、見てたでしょ?」
ミレイユの問いかけに、クロエの心臓がドキッと跳ねる。
――やはり、目が合ったような気がしたのは気のせいではなかったらしい。
黙ってうつむくクロエに、ミレイユはさらに問いかける。
「知りたくない? 昨日、私とセドリックが何をしていたか……」
クロエは息をのむ。
ゆっくりとうつむいていた視線を上げ、まっすぐにミレイユを見つめた。
――それが、一番聞きたかったことだったから。
「ふふっ。……特別に教えてあげるっ」
ミレイユはスカートのポケットから小瓶を取り出し、クロエに見せる。中には、紫色をしたさらりとした液体が入っていた。
ゆっくりと小瓶のふたを開けるミレイユ。
「昨日のセドリックが、どういう状態だったのかわかるぅ?」
ミレイユの問いかけに、クロエは静かに首を横に振った。
そして、小瓶のふたに付いたスポイトで液体を吸い上げながら、ミレイユは続ける。
「セドリックがなんで私の言いなりだったのか……知りたくなぁい?」
誘うような笑みを浮かべながら、クロエの口元へスポイトを運ぶ。
ミレイユは、スポイトを持つ手の薬指で、そっとクロエの顎を押し下げ、口を開けさせた。
甘ったるいミレイユの声が、クロエの思考を鈍らせる。
されるがままに開いたクロエの口に――ポタッと、小さな雫がひとつ落ちた。
舌に落ちた雫は、一瞬でクロエの中に取り込まれる。
「これはねぇ、男性には三滴で体の自由を奪い、快楽を与えてくれるの……そして、女性には二滴でオーガズムを迎える準備を整えてくれるの」
クロエの顔がとろけそうになる。
「……そして、クロエちゃんは体が小さいから、小さな一滴にしてみたんだけどぉ……どうなるのか、楽しみねぇ」
クロエの呼吸が次第に荒くなる。
頬を赤く染め、いまにもとろけそうな表情でミレイユを見つめる。
もう、何も考えることができなかった。
クロエの手が少しずつ上がっていく。――むず痒くなっている場所に向かって。そんなクロエを、ミレイユは楽しそうに眺める。
「あら……クロエちゃんは、そっちがお好みなのねぇ~。うふふっ」
クロエは、知らず知らずのうちに自分の胸元の服をギュッギュと握り、引っ張っていた。むず痒さに耐えきれず、力任せに服をこすりつけるクロエ。
その手を、ミレイユはそっと下ろす。
「大丈夫……私に任せてねっ」
ミレイユは、机の上のものをぐっと押しやり、そこにクロエを座らせた。そして、そのままそっと寝かせる。ゆっくりと服のボタンを外し、下着の中に手を滑り込ませた。
ミレイユの手はすべすべで、少しひんやりしていた。おなかに触れた瞬間、クロエの体はびくりと跳ねる。
可愛らしい反応を見せるクロエに、ミレイユは満足げに微笑んだ。そのまま、さらに奥へと手を潜り込ませる。
ぷにっとした膨らみへとたどり着いたミレイユの手は、そのままクロエを包み込んだ。ミレイユの手から少しこぼれるクロエの膨らみ。
「クロエちゃん意外とあるのねぇ~。可愛いっ」
細くしなやかな人差し指が滑り、クロエの先端をかすめる。
「ふぅ……ぅっ」
ミレイユは、クロエの足の間に押し入り、さらに距離を縮める。指先がぷっくりとした先端を往復するたび、クロエの体は熱くなっていく。
「あぅ……ふぁっ」
――ぷにっ、くにっ……ギュムゥーッ。
「へぁぃっ……ぁあっ……んっ……」
クロエの表情がとろけていくたび、ミレイユも恍惚とした笑みを浮かべる。
「あぁっ、もうっ我慢できなぁいっ。クロエちゃんが可愛すぎるのがいけないのよぉ~」
ミレイユは言葉と同時に、クロエの下着を一気に鎖骨までまくり上げた。
――ぽゆんっ。
形を残しながらも、両側に流れるクロエの柔らかな膨らみが、わずかに揺れている。
「やだぁ~! すっごく綺麗! 大きさも形もバランスが取れてて……美しいわぁ」
「ちくび可愛すぎぃっ。くろえちゃんのお豆さんは小さめで、周りがぷっくりしてるタイプなのねぇ~」
ミレイユは興奮した様子で、クロエの先端や膨らみをぷにぷにとツンツンと弄ぶ。
「ぅうっ……はぅっ……ぁぅ」
「お姉さん……頂いちゃってもいいかしら? いいわよねぇ? ……ごくんっ」
生唾を飲み込むミレイユの目は、飢えた獣のようにギラギラと輝いていた。
「いただきます! あーん……」
――ゴツンッ!!
「い゙だっ……じだがんだぁ……っ!」
「自業自得だろっ!!」
セドリックの拳骨がミレイユに炸裂する。
「お前は……目を離すとすぐこれだ……」
そう言いながら、セドリックはミレイユをクロエから引き剥がした。たくし上がっていたクロエの下着をぐっと下ろし、朦朧としているクロエをゆっくり起こす。
ぐわんぐわんと揺れるクロエを見て、セドリックはため息をついた。
「お前、また薬使ったのか? その薬、自分で試したことあるのか? 副作用がきつすぎる! そんなの、ほとんど失敗作だ!」
「えぇ……嘘ぉ……そうなのぉ~!?」
ショックを受けるミレイユは放っておいて、セドリックはクロエを抱き上げ、二階へ向かう。
カウチに座らせ、大きなコップに水をなみなみと注いで持たせる。
「クロエっ! しっかりしろ! いいか、この水は全部飲み干すんだ。水をたくさん飲めば、薬の作用が早く抜ける。ふらつきが収まったら、冷たい水で顔を洗いなさい。そしたら、このまま少しここで横になっていいから、休んでなさい」
真剣な表情でクロエに話しかけるセドリック。
クロエも、こくんと頷いた。
一階の薬房から、セドリックの怒鳴り声が鳴り響いている。
ふわふわとする意識の中、クロエはセドリックの言いつけを守り、水を飲み干し、顔を洗った。
そして、ふらふらとカウチへ向かう。
――まだ、胸のあたりがじんじんと熱を帯びている。
むず痒さを鎮めたい気持ちで、クロエの手が下着の中を這う。
「ふっ……くぅっ……」
痒いところをギュッとつまんでいた。
知らず知らずのうちに、クロエはカウチの横を過ぎ、その奥のセドリックの寝室へとたどり着いていた。
ゴソゴソと布団の中に潜り込む。懐かしく、幸せな気分が蘇る。
布団にくるまり、枕に顔を埋めると、セドリックの匂いが全身を包んだ。
クロエは、そのまま、むず痒さを鎮めるように、そっと指を動かした。
おへその下あたりが、きゅぅっと締めつけられ、ふっと力が抜ける。
セドリックの匂いは心地よくて、クロエはそのまま眠りに落ちた。
――たぶんきっと、いや、絶対。昨日の薬のせいだ。セドリックは確信していた。
(あいつ……どんだけ盛ったんだよ)
お薬を使用する際は、用法容量をきちんと守りましょう。
セドリックは改めてそう思った。
「こんにちは。ふふっ」
ひどい頭痛にさらに追い打ちをかけるように、ミレイユは懲りずに店へやってきた。
「セドリックのおかげで、完成したわよ~。多分……これ、マダムたちに大人気になると思うの! またよろしくね!」
(使用許諾をちゃんと取っていただきたいものだ……)
昨日の記憶を――思い出すのはやめておこう。セドリックはそう心に決めた。
「絶対無理。俺じゃなくてもいいだろ」
「そんなこと言わずにぃ~、ねっ? お礼に、完成した化粧水あげるわよ!」
「いらねーよ。そもそも化粧水なんて使ったことないし……」
「んー……じゃあ、クロエちゃんにあげようかなっ」
セドリックの背筋が凍る。
「は? その原料って……」
ミレイユはにっこりと微笑む。
「そうよ」
「やめろ! そんなものあげるな! クロエには必要ないッ!」
ちょうどそのとき、セドリックが声を張り上げるのと同時に、クロエが庭から店へ入ってきた。
クロエは、ミレイユがまた現れたことに動揺したが、それ以上に、先ほど聞こえてきたセドリックの言葉に不安を覚えた。
「なに? 私に必要ないって? どういうこと?」
ミレイユが来てからというもの、クロエはひどい疎外感を感じていた。だからこそ、必要以上にセドリックへ詰め寄ってしまう。
「いやぁ……なんでもない。気にするな」
「……」
クロエは唇を噛む。
「ねぇ、セドリック。それじゃ、クロエちゃんが可哀そうじゃない。ふふっ、ちゃんと教えてあげればいいのにぃ~。ねぇ? クロエちゃんっ」
(やめろッ! それ以上、変なことをクロエに言うんじゃないッ!!)
セドリックは目線でミレイユに訴えかける。
だが、鋭い眼光を向けるセドリックを、ミレイユは楽しげに見つめ返すだけだった。
そしてクロエの手を取り、庭へと続く扉のほうへ一歩近づいた――。
「クロエちゃん! 私にいろいろ聞きたいことあるんじゃない? なぁ~んにも教えてくれないセドリックなんてほっといて、私とデートしましょうよっ」
急に手を引っ張られ、クロエは驚いた。けれど、ミレイユに聞きたいことがあるのは本当だった。
「……で、でも……お仕事中だし……」
ミレイユの魔の手がクロエに迫る危機を察し、セドリックも慌てて止めに入る。
「そうだ! クロエは暇なお前と違って、今は仕事中だッ!」
「え~、でも、もうお昼の時間よぉ。ここの職場は、見習いにお昼休憩も与えてあげないのぉ? ひど~い! 鬼畜ぅ~」
(くっそぉーッ! ミレイユめ! 計りやがったな……)
セドリックは、ミレイユに言葉で勝てたためしがなかった。
「……じゃあ、お昼休憩行ってきます……」
セドリックが心配しているのは、何となくわかっていた。でも、クロエにはどうしても確かめたいことがあった。気に食わないが、ミレイユの提案に乗らざるを得なかった。
ミレイユに手を引かれ、店を出て行くクロエ。セドリックは、それ以上引き止める術を持ち合わせていなかった。
(どうする……これ。あいつは、いったい何を企んでるんだ……クロエがミレイユに毒されてしまう……)
セドリックは頭を抱える。
ただ、最近のクロエは少し様子が変だった。
以前よりも暗い表情を見せることが多かったのが気になっていた。だから、少しでも気晴らしになればいい。セドリックの心の中には、そんな思いも、わずかにあったのだった。
ミレイユは、町に入るとすぐにあるケーキ屋へ向かいながら、クロエの手を引いて歩いた。
複雑な思いを抱えるクロエは、自信満々に堂々と振る舞うミレイユを見て、(こんなの勝てないよ……)と切なさに顔を歪めるしかなかった。
「それでねぇ~、セドリックが……」
道中も、店に着いてからも、ミレイユはずっとセドリックの昔話を語り続けた。
最初は自慢されているようで少し腹立たしかったが、次第にセドリックの過去を知れる喜びのほうが勝っていく。
「ふふっ。クロエちゃん、可愛い! ムッて怒った顔も可愛いけど笑ってるほうがもっと可愛いわよぉ」
そう言いながら、ミレイユはクロエの頬を撫でる。
クロエは思わず頬を赤らめた。
そんな様子を楽しむように、ミレイユはニコニコと笑いながら続ける。
「セドリックは鈍感だし、性についても子供みたいだし、クロエちゃんからガッといかないとだめだと思うのよねぇ~」
突然のアドバイスに、クロエは目を見開いた。
(この人は……敵なの……味方なの? おじさんのことが好きなんじゃないの?)
頭が混乱し、クロエは思考の整理が追いつかない。そんなクロエの戸惑いをよそに、ミレイユはなおも話を続ける。
「……だからね、私がクロエちゃんにいろいろ教えてあげる! セドリックを虜にするテクニック」
思考をまとめようと、話半分に聞いていたクロエだったが、ミレイユの最後の言葉には反応せずにはいられなかった。
「……おじさんを、虜にするテクニック……?」
ミレイユは顔の前で両手を合わせ、妖しげな微笑みを浮かべながらクロエを見つめる。
「そう! 虜にするテクニック……ふふっ」
魅力的な響きに、クロエは思わず吞み込まれそうになる。
だが、ぎゅっと拳を握り、理性を取り戻した。
(ううん! この人が味方だと決まったわけじゃない……油断してはいけないわっ!)
「お断りします」
「えぇー? なんでよぉ~? クロエちゃん! あなた、セドリックと居すぎて似てきちゃってるわよぉ~。いやよぉ~、可愛くないぃ」
クロエはきりりとした表情で、まっすぐ前を見据えていた。
帰りの道中も、ミレイユはしつこくクロエに迫り続ける。だが、クロエは動じず、セドリックのように「いえ、結構です」と突っぱねた。
ミレイユもしつこかったが、それを断固として拒否するクロエの頑固さ。
セドリックとミレイユの言い合いを思い出しながら、クロエは心の中でつぶやく。
(おじさんの気持ちが、少しわかる気がする……)
店についてからも、ミレイユはしつこくクロエにまとわりつく。セドリックに助けを求めようと店内を見回したが、姿がない。
机の上には置き手紙があり、「急な配達が入った。すぐ戻る」とセドリックの文字で書かれていた。
その手紙を一緒に見たミレイユは、妖しく微笑む。
「ねぇ、クロエちゃん……昨日、見てたでしょ?」
ミレイユの問いかけに、クロエの心臓がドキッと跳ねる。
――やはり、目が合ったような気がしたのは気のせいではなかったらしい。
黙ってうつむくクロエに、ミレイユはさらに問いかける。
「知りたくない? 昨日、私とセドリックが何をしていたか……」
クロエは息をのむ。
ゆっくりとうつむいていた視線を上げ、まっすぐにミレイユを見つめた。
――それが、一番聞きたかったことだったから。
「ふふっ。……特別に教えてあげるっ」
ミレイユはスカートのポケットから小瓶を取り出し、クロエに見せる。中には、紫色をしたさらりとした液体が入っていた。
ゆっくりと小瓶のふたを開けるミレイユ。
「昨日のセドリックが、どういう状態だったのかわかるぅ?」
ミレイユの問いかけに、クロエは静かに首を横に振った。
そして、小瓶のふたに付いたスポイトで液体を吸い上げながら、ミレイユは続ける。
「セドリックがなんで私の言いなりだったのか……知りたくなぁい?」
誘うような笑みを浮かべながら、クロエの口元へスポイトを運ぶ。
ミレイユは、スポイトを持つ手の薬指で、そっとクロエの顎を押し下げ、口を開けさせた。
甘ったるいミレイユの声が、クロエの思考を鈍らせる。
されるがままに開いたクロエの口に――ポタッと、小さな雫がひとつ落ちた。
舌に落ちた雫は、一瞬でクロエの中に取り込まれる。
「これはねぇ、男性には三滴で体の自由を奪い、快楽を与えてくれるの……そして、女性には二滴でオーガズムを迎える準備を整えてくれるの」
クロエの顔がとろけそうになる。
「……そして、クロエちゃんは体が小さいから、小さな一滴にしてみたんだけどぉ……どうなるのか、楽しみねぇ」
クロエの呼吸が次第に荒くなる。
頬を赤く染め、いまにもとろけそうな表情でミレイユを見つめる。
もう、何も考えることができなかった。
クロエの手が少しずつ上がっていく。――むず痒くなっている場所に向かって。そんなクロエを、ミレイユは楽しそうに眺める。
「あら……クロエちゃんは、そっちがお好みなのねぇ~。うふふっ」
クロエは、知らず知らずのうちに自分の胸元の服をギュッギュと握り、引っ張っていた。むず痒さに耐えきれず、力任せに服をこすりつけるクロエ。
その手を、ミレイユはそっと下ろす。
「大丈夫……私に任せてねっ」
ミレイユは、机の上のものをぐっと押しやり、そこにクロエを座らせた。そして、そのままそっと寝かせる。ゆっくりと服のボタンを外し、下着の中に手を滑り込ませた。
ミレイユの手はすべすべで、少しひんやりしていた。おなかに触れた瞬間、クロエの体はびくりと跳ねる。
可愛らしい反応を見せるクロエに、ミレイユは満足げに微笑んだ。そのまま、さらに奥へと手を潜り込ませる。
ぷにっとした膨らみへとたどり着いたミレイユの手は、そのままクロエを包み込んだ。ミレイユの手から少しこぼれるクロエの膨らみ。
「クロエちゃん意外とあるのねぇ~。可愛いっ」
細くしなやかな人差し指が滑り、クロエの先端をかすめる。
「ふぅ……ぅっ」
ミレイユは、クロエの足の間に押し入り、さらに距離を縮める。指先がぷっくりとした先端を往復するたび、クロエの体は熱くなっていく。
「あぅ……ふぁっ」
――ぷにっ、くにっ……ギュムゥーッ。
「へぁぃっ……ぁあっ……んっ……」
クロエの表情がとろけていくたび、ミレイユも恍惚とした笑みを浮かべる。
「あぁっ、もうっ我慢できなぁいっ。クロエちゃんが可愛すぎるのがいけないのよぉ~」
ミレイユは言葉と同時に、クロエの下着を一気に鎖骨までまくり上げた。
――ぽゆんっ。
形を残しながらも、両側に流れるクロエの柔らかな膨らみが、わずかに揺れている。
「やだぁ~! すっごく綺麗! 大きさも形もバランスが取れてて……美しいわぁ」
「ちくび可愛すぎぃっ。くろえちゃんのお豆さんは小さめで、周りがぷっくりしてるタイプなのねぇ~」
ミレイユは興奮した様子で、クロエの先端や膨らみをぷにぷにとツンツンと弄ぶ。
「ぅうっ……はぅっ……ぁぅ」
「お姉さん……頂いちゃってもいいかしら? いいわよねぇ? ……ごくんっ」
生唾を飲み込むミレイユの目は、飢えた獣のようにギラギラと輝いていた。
「いただきます! あーん……」
――ゴツンッ!!
「い゙だっ……じだがんだぁ……っ!」
「自業自得だろっ!!」
セドリックの拳骨がミレイユに炸裂する。
「お前は……目を離すとすぐこれだ……」
そう言いながら、セドリックはミレイユをクロエから引き剥がした。たくし上がっていたクロエの下着をぐっと下ろし、朦朧としているクロエをゆっくり起こす。
ぐわんぐわんと揺れるクロエを見て、セドリックはため息をついた。
「お前、また薬使ったのか? その薬、自分で試したことあるのか? 副作用がきつすぎる! そんなの、ほとんど失敗作だ!」
「えぇ……嘘ぉ……そうなのぉ~!?」
ショックを受けるミレイユは放っておいて、セドリックはクロエを抱き上げ、二階へ向かう。
カウチに座らせ、大きなコップに水をなみなみと注いで持たせる。
「クロエっ! しっかりしろ! いいか、この水は全部飲み干すんだ。水をたくさん飲めば、薬の作用が早く抜ける。ふらつきが収まったら、冷たい水で顔を洗いなさい。そしたら、このまま少しここで横になっていいから、休んでなさい」
真剣な表情でクロエに話しかけるセドリック。
クロエも、こくんと頷いた。
一階の薬房から、セドリックの怒鳴り声が鳴り響いている。
ふわふわとする意識の中、クロエはセドリックの言いつけを守り、水を飲み干し、顔を洗った。
そして、ふらふらとカウチへ向かう。
――まだ、胸のあたりがじんじんと熱を帯びている。
むず痒さを鎮めたい気持ちで、クロエの手が下着の中を這う。
「ふっ……くぅっ……」
痒いところをギュッとつまんでいた。
知らず知らずのうちに、クロエはカウチの横を過ぎ、その奥のセドリックの寝室へとたどり着いていた。
ゴソゴソと布団の中に潜り込む。懐かしく、幸せな気分が蘇る。
布団にくるまり、枕に顔を埋めると、セドリックの匂いが全身を包んだ。
クロエは、そのまま、むず痒さを鎮めるように、そっと指を動かした。
おへその下あたりが、きゅぅっと締めつけられ、ふっと力が抜ける。
セドリックの匂いは心地よくて、クロエはそのまま眠りに落ちた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる