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シスルのための物語
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「アイリス。アイリスがいいわ。もし、私に妹ができたら、アイリスというお名前になるよう、お父様へお願いするの」
リアトリスが、幼い娘の紫色の髪を撫でていると、小さな声がポツリと聞こえた。ベッドで上体を起こしているリアトリスは、ようやく沈黙を破った娘に、安堵の溜め息をこぼさぬよう、ぐっとこらえねばならなかった。
「とげとげなんてついてない、綺麗なお花よ。ご本やお芝居で、悪役につけられる、怖いお名前とは全然違うわ。ねえ、お母様、妹が出来たら、アイリスと名付けるように、お父様へ一緒にお願いしてくれる?」
しょんぼりと娘が尋ねてくる。小さな体を抱き締めたリアトリスは、旋毛にそっとキスを落とした。
「ええ、約束するわ、可愛い子。アイリスって、とてもいいお名前だものね」
娘の名前について、誰かが余計な事を言ったのだろう。棘花とでも、なじったのかもしれない。内心、はらわたが煮え繰り返っているリアトリスだが、穏やかに娘へ語りかけた。
「だけどあなたのお名前だって、素敵さでは誰にも負けないわ」
「……うそ」
「本当よ。うちの紋章にだって、意匠として入れてあるでしょう」
「あれは、とげとげが痛そうだから、剣の代わりに描いてあるんだわ。きっと、お父様は強い男の子が欲しかったのね。爵位を継げる男の子が……」
「違うわよ、お馬鹿さんね。爵位なんて、あなたがお嫁に行った後に、従弟を養子に貰えばいいって、お父様はおっしゃっていたわ。あっさりしたものだったのよ」
リアトリスがクスクス笑う。体の弱い彼女は、娘のために弟妹を産んでやれる体力がないのだ。男児を出産出来なかった彼女を、夫は責めなかった。
「お母様がこの家へお嫁に来た日に、お父様がくださったお花でもあるんだから。特別に決まっているわ」
「そうなの……?」
「ええ。とっても嬉しかったのよ」
これは嘘だ。実際は、夫の真意を見誤り、この男は自分が嫌いに違いないと、心が氷点下まで冷え込んだ。薔薇でもユリでもなく、雑草を貰った彼女が、まあ素敵とニッコリ微笑んだのは、皮肉以外のなにものでもなかった。
しかも、初夜は待ちぼうけである。今日はいいと、ボソッと言い捨て、無愛想な花婿は寝室から出ていき、戻ってこなかった。
惨めな花嫁リアトリスは、今後の身の振り方について、じっくり、たっぷり、一晩中考えたものである。
結局、性根だけは強靭なリアトリスは、貴婦人の矜持より実を取ることにした。
とりあえず夫の前でサメザメと泣き、反応を確認してみたのだ。
強面で口下手な夫はというと、『不用意に人へ触れて握り潰すのを恐れる優しき巨人』といった、ギクシャクした奇妙な挙動で、両手を虚空にさまよわせた。泣き出した新妻を鬱陶しがる気配は無かった。
根気強く事情を聞いてみると、あの棘だらけの雑草は、彼の血族にとって特別な花だと判明。初夜のすっぽかしも、誤解だと分かったのである。
殺意が芽生えた前夜のあれは、捨て台詞などではなかった。疲れているようだから、ゆっくり眠って明日にしようね、という意味だった。花嫁に飛び付きたかったのに、色々我慢して出ていった彼の、心遣いであったのだ。
「まだ王国が小さくて、お父様のご先祖様が寒さの厳しい場所にいらっしゃった頃。領民ともども、早春に咲くあのお花で、冬の間に痩せ細った体へ栄養をつけたそうなの。困った人を助けてくれる、優しいお花なのよ」
「…………」
うつむいた娘の耳が赤く染まる。嬉しいのだと分かった。夫そっくりで、不器用な娘が愛しくなる。
最近、寝込みがちなリアトリスの元を訪ねてきたとき、娘は無理をして笑っていた。婚約者との顔合わせは大成功で、仲良く遊んだと、良いことしか言わなかったのだ。
ベッドに乗るよう促して、傍らに座らせ、頭を撫でた。そうして温もりを伝えるうちに、妹が産まれたらアイリスにして欲しいと言ったのである。遠回しにしか助けを求められない、娘のいじらしさに、胸がしめつけられた。
娘の名前をからかったのは、もしかしたら婚約者なのだろうか?
いや、邪推は良くない。確証が無い以上、決めつけてかかるのは危険だ。リアトリスなど、夫に恋をしたのは、すっぽかされた悲惨な初夜の翌朝である。真偽を見定めるには、冷静な判断が重要なのだ。
おそらく、娘を問いただしたところで、親に心配をかけまいと、沈黙を貫くだろう。リアトリスは、床に伏しがちな自分の体を歯痒く思った。もっと自由に動けたなら、夫や娘のために情報を集めてこられるのに、と。
夫には、娘の様子を注意深く見てくれるよう頼んでいる。だが、二人とも同質の不器用さを持つせいか、上手く意志疎通できない場合が多いのだ。
「リアトリス、入っていいか」
「あ……」
扉の外から躊躇いがちに響いた夫の声。娘の体が緊張し、悲しそうな吐息がこぼれる。
娘が自分の名前を気に病んでいるという秘密。それを聞いてしまったこと、そして聞かれてしまったことに、それぞれがたじろいでいる。悲しませて申し訳ないと、お互いに思っているのだろう。
「ええ、どうぞ。お入りになって」
リアトリスはしれっと言った。夫が部屋へ入ってくる。
冷たそうな容姿だ。甘い言葉はなく、笑顔も無い。けれど、どれほど忙しかろうが病弱なリアトリスの元へやってきて、きっかり一刻、本を朗読し、また仕事へ戻っていく。
生真面目で、不器用な、優しい人だ。夫も、娘も。リアトリスの愛する二人が、お互いにどう接していいか分からず、居心地悪く狼狽えている。愛しくて、切なくなる。
「お邪魔をして申し訳ありません。わたくし、お勉強がありますから、失礼を……」
「行っては駄目よ」
「え?」
出ていこうとする娘の手を、そっと握って引き留めた。
「あなたも聞いていきなさいな。お父様は、お邪魔だなんて思ってらっしゃらないわ。ねえ、あなた?」
「ああ」
無愛想だが、すんなり頷く。夫は心から、娘を大切に想っている。それを伝えるのが、致命的に下手くそなだけで。この国では、資産扱いされる女の子に、血族の誇りとも言える名を与えてくれた。その行動こそ、彼の愛情深さを示していた。
書棚へ向かう夫の広い背中を見つめて、リアトリスはいたずらっぽい笑みを浮かべた。娘の耳へ囁きかける。
「お父様はね、いつもお堅い歴史書や、戦記ものばかり読むのよ。照れてしまうから、愛の詩集やロマンスは朗読して下さらないの。意地悪よね」
「そんなことは……」
「でもね、今日は難しい本を、お選びにはならないと思うわ」
意味が分からないのか、不思議そうにしている娘へ、リアトリスは笑みを深めた。
「きっと、短くて易しい物語をお読みになるわよ。子供向けの童話集みたいに、楽しいお話や怖いお話がたくさんのっているご本をね。だってお父様は、あなたが大好きなんですもの」
一脚の椅子と本を持って、夫が戻ってきた。表紙を見た娘の顔へ、嬉しそうな笑みが浮かぶ。
明るい気分で朗読を待った。しかし、パラパラとページをめくって、本の内容に軽く目を通した夫は、眉間に皺を寄せている。
「どうしたのですか、あなた?」
「童話だと思ったのだが……変な話しか載っていない……」
「くっふ」
リアトリスが吹き出した。ムスッとした夫に睨まれたが、全く怖くない。
「どんなお話がありますの?」
「そうだな。最初の話は……奇妙な図書館の物語のようだ」
「どうする? このご本を読んでもらう?」
頬を紅潮させた娘がコクコクと頷いた。
「そ、そうか」
安堵したのか、夫の眉間から苦悩の縦皺が消える。本を開いた彼は、深みのある声で、数編の物語を朗読していった。
「大陸の北。とある王国に、小さな図書館が隠されていた。その図書館は……」
リアトリスは耳を傾ける。夫が読む、娘の────シスルのための物語に。
リアトリスが、幼い娘の紫色の髪を撫でていると、小さな声がポツリと聞こえた。ベッドで上体を起こしているリアトリスは、ようやく沈黙を破った娘に、安堵の溜め息をこぼさぬよう、ぐっとこらえねばならなかった。
「とげとげなんてついてない、綺麗なお花よ。ご本やお芝居で、悪役につけられる、怖いお名前とは全然違うわ。ねえ、お母様、妹が出来たら、アイリスと名付けるように、お父様へ一緒にお願いしてくれる?」
しょんぼりと娘が尋ねてくる。小さな体を抱き締めたリアトリスは、旋毛にそっとキスを落とした。
「ええ、約束するわ、可愛い子。アイリスって、とてもいいお名前だものね」
娘の名前について、誰かが余計な事を言ったのだろう。棘花とでも、なじったのかもしれない。内心、はらわたが煮え繰り返っているリアトリスだが、穏やかに娘へ語りかけた。
「だけどあなたのお名前だって、素敵さでは誰にも負けないわ」
「……うそ」
「本当よ。うちの紋章にだって、意匠として入れてあるでしょう」
「あれは、とげとげが痛そうだから、剣の代わりに描いてあるんだわ。きっと、お父様は強い男の子が欲しかったのね。爵位を継げる男の子が……」
「違うわよ、お馬鹿さんね。爵位なんて、あなたがお嫁に行った後に、従弟を養子に貰えばいいって、お父様はおっしゃっていたわ。あっさりしたものだったのよ」
リアトリスがクスクス笑う。体の弱い彼女は、娘のために弟妹を産んでやれる体力がないのだ。男児を出産出来なかった彼女を、夫は責めなかった。
「お母様がこの家へお嫁に来た日に、お父様がくださったお花でもあるんだから。特別に決まっているわ」
「そうなの……?」
「ええ。とっても嬉しかったのよ」
これは嘘だ。実際は、夫の真意を見誤り、この男は自分が嫌いに違いないと、心が氷点下まで冷え込んだ。薔薇でもユリでもなく、雑草を貰った彼女が、まあ素敵とニッコリ微笑んだのは、皮肉以外のなにものでもなかった。
しかも、初夜は待ちぼうけである。今日はいいと、ボソッと言い捨て、無愛想な花婿は寝室から出ていき、戻ってこなかった。
惨めな花嫁リアトリスは、今後の身の振り方について、じっくり、たっぷり、一晩中考えたものである。
結局、性根だけは強靭なリアトリスは、貴婦人の矜持より実を取ることにした。
とりあえず夫の前でサメザメと泣き、反応を確認してみたのだ。
強面で口下手な夫はというと、『不用意に人へ触れて握り潰すのを恐れる優しき巨人』といった、ギクシャクした奇妙な挙動で、両手を虚空にさまよわせた。泣き出した新妻を鬱陶しがる気配は無かった。
根気強く事情を聞いてみると、あの棘だらけの雑草は、彼の血族にとって特別な花だと判明。初夜のすっぽかしも、誤解だと分かったのである。
殺意が芽生えた前夜のあれは、捨て台詞などではなかった。疲れているようだから、ゆっくり眠って明日にしようね、という意味だった。花嫁に飛び付きたかったのに、色々我慢して出ていった彼の、心遣いであったのだ。
「まだ王国が小さくて、お父様のご先祖様が寒さの厳しい場所にいらっしゃった頃。領民ともども、早春に咲くあのお花で、冬の間に痩せ細った体へ栄養をつけたそうなの。困った人を助けてくれる、優しいお花なのよ」
「…………」
うつむいた娘の耳が赤く染まる。嬉しいのだと分かった。夫そっくりで、不器用な娘が愛しくなる。
最近、寝込みがちなリアトリスの元を訪ねてきたとき、娘は無理をして笑っていた。婚約者との顔合わせは大成功で、仲良く遊んだと、良いことしか言わなかったのだ。
ベッドに乗るよう促して、傍らに座らせ、頭を撫でた。そうして温もりを伝えるうちに、妹が産まれたらアイリスにして欲しいと言ったのである。遠回しにしか助けを求められない、娘のいじらしさに、胸がしめつけられた。
娘の名前をからかったのは、もしかしたら婚約者なのだろうか?
いや、邪推は良くない。確証が無い以上、決めつけてかかるのは危険だ。リアトリスなど、夫に恋をしたのは、すっぽかされた悲惨な初夜の翌朝である。真偽を見定めるには、冷静な判断が重要なのだ。
おそらく、娘を問いただしたところで、親に心配をかけまいと、沈黙を貫くだろう。リアトリスは、床に伏しがちな自分の体を歯痒く思った。もっと自由に動けたなら、夫や娘のために情報を集めてこられるのに、と。
夫には、娘の様子を注意深く見てくれるよう頼んでいる。だが、二人とも同質の不器用さを持つせいか、上手く意志疎通できない場合が多いのだ。
「リアトリス、入っていいか」
「あ……」
扉の外から躊躇いがちに響いた夫の声。娘の体が緊張し、悲しそうな吐息がこぼれる。
娘が自分の名前を気に病んでいるという秘密。それを聞いてしまったこと、そして聞かれてしまったことに、それぞれがたじろいでいる。悲しませて申し訳ないと、お互いに思っているのだろう。
「ええ、どうぞ。お入りになって」
リアトリスはしれっと言った。夫が部屋へ入ってくる。
冷たそうな容姿だ。甘い言葉はなく、笑顔も無い。けれど、どれほど忙しかろうが病弱なリアトリスの元へやってきて、きっかり一刻、本を朗読し、また仕事へ戻っていく。
生真面目で、不器用な、優しい人だ。夫も、娘も。リアトリスの愛する二人が、お互いにどう接していいか分からず、居心地悪く狼狽えている。愛しくて、切なくなる。
「お邪魔をして申し訳ありません。わたくし、お勉強がありますから、失礼を……」
「行っては駄目よ」
「え?」
出ていこうとする娘の手を、そっと握って引き留めた。
「あなたも聞いていきなさいな。お父様は、お邪魔だなんて思ってらっしゃらないわ。ねえ、あなた?」
「ああ」
無愛想だが、すんなり頷く。夫は心から、娘を大切に想っている。それを伝えるのが、致命的に下手くそなだけで。この国では、資産扱いされる女の子に、血族の誇りとも言える名を与えてくれた。その行動こそ、彼の愛情深さを示していた。
書棚へ向かう夫の広い背中を見つめて、リアトリスはいたずらっぽい笑みを浮かべた。娘の耳へ囁きかける。
「お父様はね、いつもお堅い歴史書や、戦記ものばかり読むのよ。照れてしまうから、愛の詩集やロマンスは朗読して下さらないの。意地悪よね」
「そんなことは……」
「でもね、今日は難しい本を、お選びにはならないと思うわ」
意味が分からないのか、不思議そうにしている娘へ、リアトリスは笑みを深めた。
「きっと、短くて易しい物語をお読みになるわよ。子供向けの童話集みたいに、楽しいお話や怖いお話がたくさんのっているご本をね。だってお父様は、あなたが大好きなんですもの」
一脚の椅子と本を持って、夫が戻ってきた。表紙を見た娘の顔へ、嬉しそうな笑みが浮かぶ。
明るい気分で朗読を待った。しかし、パラパラとページをめくって、本の内容に軽く目を通した夫は、眉間に皺を寄せている。
「どうしたのですか、あなた?」
「童話だと思ったのだが……変な話しか載っていない……」
「くっふ」
リアトリスが吹き出した。ムスッとした夫に睨まれたが、全く怖くない。
「どんなお話がありますの?」
「そうだな。最初の話は……奇妙な図書館の物語のようだ」
「どうする? このご本を読んでもらう?」
頬を紅潮させた娘がコクコクと頷いた。
「そ、そうか」
安堵したのか、夫の眉間から苦悩の縦皺が消える。本を開いた彼は、深みのある声で、数編の物語を朗読していった。
「大陸の北。とある王国に、小さな図書館が隠されていた。その図書館は……」
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