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2章 成人
4話
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「美味しかったわご馳走様」
レイモンドがそう言うと、先に食べ終わっていたニコルが静かに立ち上がる。
「ごめんなさいね、待たせちゃったわ」
ニコルは、頭を左右に振るとレイモンドのトレイと自分のトレイを重ねて片付け始める。
もう、数年続く恒例行事だ。
レイモンドは最初は自分ですると言っていたが、頑としてニコルは自分の仕事だと譲らない。
「ありがとう」
レイモンドはいつもと同じようにお礼を言うと立ち上がった。
「……さて、ニコルいらっしゃい逃亡したら許さないわよ?」
トレイを片付けちらりとこちらを向いたニコルの腕をがっしりと掴む。
「え、レイモンド様……」
「ほらいらっしゃいな、アタシも少し切ってもらうけど騎士になるんだから、ちゃんと身支度しなさいな」
くるくると巻いた髪をクシャクシャ撫でてやる。
目に掛かるような髪を短くしてあの綺麗な目をしっかり見られるようにしてやりたい。
「あまり、切りたくないのはわかるけど、貴方そんなに髪を切りたくないの?」
「俺……そこまで顔が良くないから」
「は?ちょっと待って、ニコル貴方自分の顔を見た事あるの?」
廊下を歩き、執務室に入る。
「こんなにイケメンなのに?しっかり顔を出して見せて頂戴?アタシはニコルの顔は素敵だと思うわよ?」
ニコルの頬に手を添えて少し顔を下げさせる。
「だから、似合う髪型にしてもらいましょ?ね?」
パチパチと、瞬きをするニコルにふふっと笑いレイモンドはニコルの額に掛かる前髪を掻き上げた。
「おでこを出すのも良いわね、キスがし易いわ?」
なんて笑いながらニコルの額を撫でていると、扉にノックがあった。
「失礼いたします、お客様が……」
扉の向こうから声がかかりレイモンドは直ぐに行くわとニコルの手を掴む。
「行くわよ?」
「……はい」
まだ戸惑っているのかとレイモンドは思いながらもそのままニコルを連れ出した。
レイモンドの隊の一室には散髪をする部屋が設けられている。
切った髪を片付けやすいような床タイルになっているのだ。
その中に背中を預けられる椅子や手洗い場などもできている。
「お待たせ」
「あら、イケメンじゃない?」
来ていたのは先日の店の店主。
「レイモンドのカットもあるから、他の子には任せられないし。で、どっちが先に切る?」
「ニコル、大丈夫よこう見えて腕は確かだから」
そうレイモンドが言って、散髪台にニコルを座らせたのだった。
レイモンドがそう言うと、先に食べ終わっていたニコルが静かに立ち上がる。
「ごめんなさいね、待たせちゃったわ」
ニコルは、頭を左右に振るとレイモンドのトレイと自分のトレイを重ねて片付け始める。
もう、数年続く恒例行事だ。
レイモンドは最初は自分ですると言っていたが、頑としてニコルは自分の仕事だと譲らない。
「ありがとう」
レイモンドはいつもと同じようにお礼を言うと立ち上がった。
「……さて、ニコルいらっしゃい逃亡したら許さないわよ?」
トレイを片付けちらりとこちらを向いたニコルの腕をがっしりと掴む。
「え、レイモンド様……」
「ほらいらっしゃいな、アタシも少し切ってもらうけど騎士になるんだから、ちゃんと身支度しなさいな」
くるくると巻いた髪をクシャクシャ撫でてやる。
目に掛かるような髪を短くしてあの綺麗な目をしっかり見られるようにしてやりたい。
「あまり、切りたくないのはわかるけど、貴方そんなに髪を切りたくないの?」
「俺……そこまで顔が良くないから」
「は?ちょっと待って、ニコル貴方自分の顔を見た事あるの?」
廊下を歩き、執務室に入る。
「こんなにイケメンなのに?しっかり顔を出して見せて頂戴?アタシはニコルの顔は素敵だと思うわよ?」
ニコルの頬に手を添えて少し顔を下げさせる。
「だから、似合う髪型にしてもらいましょ?ね?」
パチパチと、瞬きをするニコルにふふっと笑いレイモンドはニコルの額に掛かる前髪を掻き上げた。
「おでこを出すのも良いわね、キスがし易いわ?」
なんて笑いながらニコルの額を撫でていると、扉にノックがあった。
「失礼いたします、お客様が……」
扉の向こうから声がかかりレイモンドは直ぐに行くわとニコルの手を掴む。
「行くわよ?」
「……はい」
まだ戸惑っているのかとレイモンドは思いながらもそのままニコルを連れ出した。
レイモンドの隊の一室には散髪をする部屋が設けられている。
切った髪を片付けやすいような床タイルになっているのだ。
その中に背中を預けられる椅子や手洗い場などもできている。
「お待たせ」
「あら、イケメンじゃない?」
来ていたのは先日の店の店主。
「レイモンドのカットもあるから、他の子には任せられないし。で、どっちが先に切る?」
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そうレイモンドが言って、散髪台にニコルを座らせたのだった。
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