【BL】オネェ騎士は見習いが可愛くて仕方ない。

梅花

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8章

6話

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「ニコル……その誘発フェロモン……何とかなさい……アタシがβだから大丈夫だけれど、Ωが嗅いだら大変な事になるわよ」
βでも感じるその匂いに、レイモンドはニコルを見上げた。
感じたことの無い背筋を何かが上がってくるような感覚。
「お風呂、入って気持ちを切り替えなさいな」
きっと、求められたら応えてしまうだろう。
流石にリッツ以外にもうひとりなど、無理に決まっている。
「レイモンド様……」
「ダメよ、そんな可愛い顔で見て来たって」
青年の端正な顔立ちの筈なのに、ニコルの幼い面影が過ぎってしまう。
「ほら、使い方はわかるわね?行ってらっしゃい」
背中を押すようにして浴室にニコルを押し込むと、レイモンドは漸く一息吐いた。
窓を開けて、空気を入れ替える。
「ニコルには騎士の称号があるから、アタシと婚姻を結ばなくても良いのよね……」
ふと、レイモンドは口にしてしまう。
自分には何も無いのだと。
騎士でもなく、親からも捨てられ家名を名乗ることも許されていない身なのだ。
「あら嫌だわ……アタシ、ニコルに何もしてあげられないじゃない……リッツが大きくなったらまた騎士にでもなろうかしら……」
騎士の試験を受けて見習いから騎士に……などと考えてから年齢制限があったわねと、笑ってしまった。
「最近、剣も握っていないしリッツが居るから相手をして貰おうかしら……その前に体力を戻さないとね」
やる事は山積みだとレイモンドは思いながら、リッツの可愛らしい寝顔を見る。
「レイモンド様、お湯をいただきました」
カタンと音がして振り返ると、ニコルが立っていた。
水も滴る……と言うやつだとレイモンドは思いながら手招く。
「いらっしゃい、髪を乾かしてあげるわ」
幼い頃はくるくると跳ねる毛先が可愛かったニコルが、今はその髪を短めに切っており洗った為かその跳ねた様子は全く無い。
「ほら」
ソファーを促すと、レイモンドは自分の櫛を取り出した。
「服はキツくない?アタシのだから丈が短いのは仕方ないと思って?夜までには新しい服を揃えて貰うから」
「あ、いえ……ありがとうございます」
ソファーに座らせたニコルの髪を拭きあげて櫛を通す。
「ねぇニコル……貴方の幸せは何かしら……この国で騎士とい地位もあるし、変異種ではあるけれどもαよ?望めば叶えられるでしょう」
櫛を片付けてからレイモンドはニコルの隣に座った。
「でも、アタシはリッツを貴方に認知して欲しい……婚姻を結ぶなんて事は言わないから……神殿で貴方が父親だと書類に書かせて欲しいのよ。それ以上は迷惑を掛け無いと約束するわ」
隣で眠るリッツ。
「レイモンド様、どうして結婚をしない前提なのでしょうか?俺はレイモンド様となら縁を結びたい……だから、俺は騎士になったのです。
貴方の隣に立つ為に」
ニコルはレイモンドを見てきっぱりと言い放つ。
「お願いしますレイモンド様、俺を選んでくださいませんか?」
ニコルは立ち上がると、自分の騎士服のポケットから何かを取り出した。
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